1. バーフバリ 王の凱旋
《ネタバレ》 インドでは前編から2年後に公開されたとのことで、あそこで終わって2年待たされたインドの観客のことを思うと、この作品への思い入れは相当だったろうと想像できます。まさか、回想シーンで物語の大半を使うとは思わず、なかなか動き出さない物語にちょっと焦らされた感も。その煽りをくって、1作目のヒロインだったアヴァンティカは空気キャラ化してしまったのはちょっと残念。とはいえ、この2年のあいだにすっかり変わった映画業界における女性の立場を反映してのことなのか、本作のシヴァガミとデーヴァセーナの「メチャクチャ強い女性」キャラ造形は素晴らしい。この2人がそれぞれ映画の最初と最後に炎を掲げて歩く場面の力強さ、美しさは、ハリウッド映画にもない独特の美学を体現していて格別です。また、後編ということでキャラ紹介に時間をかけなくてもいい分、各キャラクターの歌舞伎のようなキメたポーズが続出するのも魅力。ダークな展開でもとにかく印象的な絵を連続させるのでワクワクも続くし、その見事なまでの画力にザック・スナイダーが霞んで見える。難点を言えば、やっぱり息子バーフバリの物語が弱くなってしまったことか。ストーリー的には、父バーフバリの物語を反復しているようにも見えるのだけれど、俳優が一緒なのもあって、息子が体現する「新しい世代」の時代だ!的なワクワク感がなく、逆に息子とアヴァンティカのカップルは、強烈だった父バーフとデーヴァセーナ夫婦と比べるとスケールダウンして見えてしまうのは残念。もう少し「新しい希望」的なものが見えると、もっと気持ちが盛り上がったかなあとは思うのですが、ここが西洋哲学とは異なるインド哲学的な価値観なのでしょうか。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2018-12-24 10:18:22)(良:1票) |