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1.  フレンチアルプスで起きたこと 《ネタバレ》 
大丈夫だと思っていた計画雪崩が眼前に迫る。横で恐怖に叫ぶ息子を抱くことさえもなく、2人の幼い子供と妻を置いて1人で逃げ出した旦那さん。あららら〜…。でも雪崩は寸前で止まり皆無事。そして飄々と戻ってきて、まるで何事もなかったかのように家族と食事…沈黙の食事…。自分のとっさの行動にショックだったろうなぁ…。でも、子供が聞いてない時にでも、なるべく早く奥さんに謝ればいいのに! 結局そのままヘラーっとしてるから、人前で奥さんが暴露し始める。「事実の解釈の違い」などと言い続ける旦那に唖然。そのあたりまでは「最低の旦那やな」としか思ってませんでしたが、だんだん奥さんのやり口に、ヤーな気分が募っていく。早い段階で夫が「怒ってるんだろう?」と問うても「いいえ」なんて言いながら、段階踏まずに他人の耳に入れていく。そんなら、食事に戻ってきた時すぐに怒れよ、と思ったりするのだが、夫も妻も突然の雪崩と、そこで起きた光景に、頭がグチャグチャで感情を正常に働かすこともできなかったんだろうなぁ。追い詰められた旦那が泣き崩れた後、10メートル先も見えないような視界の悪い中の家族四人のスキーが始まる。一体、誰が何を考えているやら不穏な空気にのまれながら一面真っ白な画面をヒヤヒヤしながら見守る。ハイ、お約束通りアクシデント発生! しかし、この映画はどこへ向かっていくのか、白い画面のごとくまるで先が見えず「計画的に奥さん殺害?」「逆に奥さんから旦那への復讐が?」「それとも幼い子供2人が孤児に?」とハラハラ。その顛末を描いたら物語は終わりと思いきや、雪山を去る帰り道にまたもアクシデント! 話の構造としてはすごく運びが上手いと思いました。しかし、一回観ただけではこの映画が何を伝えたいのかはよくつかめませんでした。おそらくテーマに「家族」があるとは思うのだけど、本妻とうまくいかず若い娘と遊んでるおっさんや、不倫に何の罪悪感もなく「自分の責任は果たしている」と自信満々のおばさん(彼女だけラスト別行動)を描きながら含んでいる主張は何なのだろう? これ、『機械じかけのピアノのための未完成の戯曲』のミハルコフが撮ったらどんな感じの映画になるかなーと思ったりしました。
[DVD(字幕)] 7点(2016-04-09 00:29:02)
2.  アクト・オブ・キリング 《ネタバレ》 
虐殺者の「オエェ〜〜ッ!」てシーンがとにかく強烈。それしか思い出せないくらいに、そこが突出して強烈。なんだかんだ言い訳して平気を装っても、身体が反応しちゃって嗚咽する凄さ。この人は何と引き換えにこの(悪事を認めて自分を追い詰めるという意味で)辛い再現を承諾し切ったのだろう? いっぱい金もらったの? 虐殺に関する直接的なことは、もう思い出したくないです。それほど『現実』の感じが強烈。そして、たくさん人殺して平気で堂々と日常を過ごし笑ったり冗談言ったり、という現実も、その裏側で自分の行いの酷さを自覚している苦しみを誤魔化せない姿に見る地獄も、トラウマ級です。ある意味ではとても貴重な作品でしょうし、ある点では2度と観たくないどころか見るんじゃなかったと後悔するような作品です。で、真ん中とって5点にしました(採点できない)。虐殺者の「オエェ〜ッ!」をヤラセと見る人もいるみたいですが、自分の行為を正当化し町の英雄として現在を生きる人がカメラに記録されることを承知で嗚咽のヤラセをOKするでしょうか? それは公に自己否定を認める行為です。普通なら恐ろしく不安で出来ない気がします。自らが殺される側を演じた時の参り様…その延長上にあの嗚咽はあったと思います。あれは自分が人にどんな酷いことをしたかを覚ってしまった人間の偽りない自責の苦痛だと思います。もし、あれがヤラセなら、この映画の制作に関わったみんな人間のクズです。
[DVD(字幕)] 5点(2015-09-30 22:47:16)(良:1票)
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