1. 恐竜100万年
《ネタバレ》 最初のところで、「これ、明確な言語が生まれる前設定なんだな。しかし、どこでどうジャンプするんだろう?」と思っていたら、まさかの最後までそのまま行くというのでまずびっくり。制作側の強力な信念を感じます。一方で、話の展開からすればみんなで恐竜をやっつけるあれこれが出てくるんだろうと思いきや、それは確か1回だけで、あとは目の前で見ているか、せいぜい追い払うだけ。かえってそれが生々しさを醸し出していますし、恐竜の強さも実感させます。何とも、独特の熱さ、そしてシュールさを感じさせる作品です。●一方で、セクシーなお姉ちゃんはみんな大好きというのは時代設定も場所設定も問わないという点において、人類普遍の定理を証明してみせた作品でもあります。 [DVD(字幕)] 6点(2024-04-22 22:02:23) |
2. キャロル(2015)
《ネタバレ》 こういう奥行きが深い役をケイト・ブランシェットに与えて、出番を存分に与えていれば、あとは当然のようにクオリティが上がっていくわけで、見る側としてはどっぷり浸りながらその演技を堪能していればよいわけなのです。しかししかし、さらにびっくりしたのが、ルーニー・マーラの存在感と表現力で、ブランシェットが次々に投げ込む剛速球や超変化球を、平然と全部ボレーで打ち返すがごとき高感度ラリーを繰り広げているのです。その上で、最小限の言葉で背景を言い尽くす上品な脚本と、慎み深くも職人芸を感じさせる映像や美術の充実が加わったら、もう言うことはないのです。そして、ここぞという箇所に凝縮されているベッドシーンの美しさも、監督の登場人物に対する深い敬意と愛情を感じさせます。 [映画館(字幕)] 9点(2017-10-24 01:02:24) |
3. キス★キス★バン★バン
《ネタバレ》 主人公とババの背景や発想の違いが笑いや哀しみをもたらすはずなのに、その設定が全然生かされていない。つまり、その辺の通りすがりの二人がめぐり会った話としても成立してしまうのです。あと、実はマルティン・マカッチョンが見たくて見たというのもあるのですが、出番少なかった・・・。 [DVD(字幕)] 5点(2013-03-02 01:55:31) |
4. 近距離恋愛(2008)
《ネタバレ》 友人系ラブコメ(?)は好きなので割と期待したのだが、話を巧く転がすことができず、結局焦点が曖昧なまま予定調和的に終了するようなことになっている。ただ、ミシェル・モナハンという女優は、ラブコメ素材としては良い資質を持っていると思う。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2012-11-03 22:28:32) |
5. キック・アス
《ネタバレ》 設定からして、オタクが何の能力も技術もなくオタクの執念だけで悪に勝ってしまうという素敵なお話かと期待していたのですが・・・ビッグ・ダディやヒットガールが出てきた頃から変に重くなって、後半は、作品世界自体がバットマンやスパイダーマンの美味しいところ取りですね。せっかくのオタクのキャラがもったいない。途中で突然流れるスパークスの"This Town Ain't Big Enough For Both Of Us"に+1点。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2011-11-08 03:23:16) |
6. キンキーブーツ
定番すぎというかパターンどおりというか、とにかく工夫が感じられない。キウェテルの女装以外に印象に残るところがないのはまずい。主人公の靴そのものに対するこだわりや愛情が描かれていないので、前提に説得力がないのです。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2011-03-21 00:43:23) |
7. キング・アーサー(2004)
アーサー王伝説をあえて題材にとりつつ、やってることは普通の時代物とほとんど変わらない。壮大な対象に挑んでその壁の前でこけてしまった感じ。クライブ・オーウェンが最初から最後までニコラス・ケイジに見えてしまうのも気になった。この人にこの作品の主役は合わなかったのでは?キーラ・ナイトレイの見せ場がほとんどないのも、何とももったいない。 [CS・衛星(字幕)] 4点(2009-07-14 03:06:10) |
8. キリング・フィールド
作品の構造としては起伏に乏しく平坦で、特に後半はプランが一方的に主役になっちゃったりしているのが気にはなる。しかし、映像の力は何とも圧倒的で、左右の動きや奥行きを駆使したカメラワーク、その枠内に巧妙に配置されたエキストラ、美術関係、そして山々や湿地などの大自然が、強烈なインパクトで迫ってきます。サム・ウォーターストンが今ひとつ表情に乏しいのが難点。主人公はいろんな忘れがたい体験をしているのだから、もう少し表現してほしかった。 [DVD(字幕)] 7点(2007-12-03 04:35:24) |
9. ギャング・オブ・ニューヨーク
《ネタバレ》 数回見てやっと名作だと分かりました。レオは父の敵を討つはずでありながら、手間取ったり逡巡したりしてなかなか前に進まない。スーパースター的な活躍を全然しない。凄くリアリティがあります。デイ=ルイスは、単なる敵役のボスではなく、レオを父の代わりのような暖かさで包んでいる気配がある。キャメロンも、この作品では珍しく立ち位置を把握した的確な演技を行っている。登場人物の造形に一筋縄ではいかない味わいがあります。そして、脇役も含めて、それらの人物の行動が、これまで意外にふれられることのなかったNYという街の生まれていく経過を一体となって表現しています。最初は単なるヤンキーの喧嘩(文字通りだ)だったのが、利権と結びついてマフィアの原型のようになり、それが最終的に国家権力によって制圧される、その構造が徐々に浮かび上がってくるのです。米版キャッチの"America Was Born In The Streets."が見事にこの映画の本質を表しています。それを具現化したのが、当時の街の全体風景を執念で再現してしまった美術陣であり、この頑張りも称賛されるべきでしょう。2時間40分があっという間。 [DVD(字幕)] 8点(2005-03-27 00:46:17) |
10. 危険な関係(1988)
最初から最後までひたすらドロドロの世界ですが、こういうのはそれでいいのです。華麗な衣装、まわりくどい会話、何考えてんのか分かんない登場人物の行動、これぞ虚飾と欲得に満ちた頽廃貴族の世界。お見事です。登場シーンはむしろマルコヴィッチの方が多いような気もするが、画面にいなくても常に支配力を醸し出しているかのようなグレン・クローズの存在感が強烈。 [DVD(字幕)] 7点(2004-12-06 01:11:10) |