1. ヤギと男と男と壁と
この映画が好きな人には『ダーウィン・アワード』という作品も是非お勧めしたい。2作とも、バカでピュアで憎めない男たちの、斜め上を行った人生を描く、笑える良い映画である。おそらくこの映画がつまらなかったという人は、ずれた観点で観てるか、彼らの良さが分からない、或いは良いと思わない人達なのだろう。役者の個性がよく生かされた豪華で絶妙な配役が素晴らしい。彼らの演技がこの映画の笑いに大きく寄与している。また、千原ジュニアが考えた邦題もこれ以上ないものである。終わる頃になってふと「壁」の意味って何だったんだろうと考えていたら、最後の最後に「壁」の意味が鮮やかに浮き彫りになり、同時に作品の本質を捉えてもいる。そのとき余計にこの映画が好きになる。 [地上波(字幕)] 7点(2013-05-15 19:59:48) |
2. インセプション
《ネタバレ》 ダークナイトの期待を背負いながらまずこれだけの野心的な大作を作り上げた所は素直に凄いと思う。 夢の中に入り込んで~という大まかな設定自体は 自分が知る限りでも存在するし、そう斬新なものではないが、夢に階層を設けてる所とか細かな設定がオリジナリティあって良し。 ただ、ところどころ映画内ルールに疑問点が。1階層目の夢で橋から落ちて2階層目は無重力になってるのに3階層目の夢に影響はないのは何故?キックは聞こえてるのに・・・とか、 他人の夢の中で別人の意識の投影が入り込んでくるという設定はいくらなんでも強引すぎないか?とか、 その他諸々、疑問点を挙げるときりがない。 SFファンタジーの作りものなんだからと言われればそれまでだけど、都合の良いように理論を無視して作るなら 何だってできると思うし、せめてもっと理論を付けて欲しい。 それとノーランは映像クリエイター的な才能とエンタメ大作の作り手としての世界観の構築とかは優れてると思う反面、人間ドラマの描き方が画一的で見せかけだけのものだというダークナイトからの思いを強くした。 主人公コブとモルの関係も、御曹司と父親の関係も全てが類型的でセリフが安っぽく、心に響いてこない。ディカプリオの役なんかはシャッターアイランドと被ってるから比較しやすい。役者はみんな演技派で心に響く良い演技する俳優なのに、今回に限っては何も伝わってこなかった。これじゃあ物足りない。三島由紀夫は黒沢明のことを「思想は中学生並」と言ったらしいけど、ノーランにも同じことが言えると思う。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2011-02-14 11:56:39) |
3. 落下の王国
《ネタバレ》 映像の美しさは然ることながら、自殺願望のある青年と無垢な少女のストーリーにも目が離せなかった。映画の中での物語と現実が作用し合い、互いに変化を与える様が面白い。終盤の、物語を交えたロイの葛藤とアレクサンドリアの「立って」という懇願のクライマックスは涙なしには見られなかった。役者の演技に後押しされてる部分も大きいだろう。ロイを演じるリー・ペイスの、優しくも暗い眼差しがあの役にリアリティを与えていたと思う。 [ブルーレイ(字幕)] 9点(2010-10-06 19:06:35) |
4. フローズン・タイム
言わんとすることが少し分かりにくかったけど、表現したかったものは何となく伝わってきた。主人公の大学生がかわいいです。 [DVD(字幕)] 7点(2009-03-22 17:15:49) |
5. ミッドナイト・エクスプレス(1978)
《ネタバレ》 麻薬密輸のアメリカ人青年を自由獲得の象徴はたまた英雄にでもしたかのようなこの肩の入れようは、知性がなく根本的に間違っていると感じた。確かにこの事件でのトルコ政府の傍若無人さは糾弾する値はあるが、アメリカ人青年の否をまるで無かったかのようにする描き方、デリケートな問題なのに両者の立場に立つつもりが全く無かったことは、あまりにも配慮がないし、その時点で映画としての価値が下がったと私は思う。 [DVD(字幕)] 4点(2009-03-22 15:45:11)(良:1票) |
6. エンジェル(2007)
《ネタバレ》 私はこの作品、なかなかの傑作だと思う。オゾンが普通のメロドラマ?と思って観始めたんだけど、いつの間にかこの世界にどっぷり漬かってしまい途中からずっと涙が止まらなかった。エンジェルというキャラクターをここまで昇華させてしまえる監督はなかなかいないでしょう。夢の世界に居るエンジェルと退廃的な世界に居る夫。この組み合わせはなんと悲しいことか。2人ともが憐れで観てて胸が痛くなった。オゾンはまたもやたまらない作品を作ってくれました。 [DVD(字幕)] 9点(2008-11-28 21:54:07) |
7. リバティーン
《ネタバレ》 映像や音楽は良いんだけど、おそらくこのストーリーを語るには描ききれてない部分がたくさんあって、どうしても作品の中に入り込むことができなかった。まあ、ロチェスターの転落までを描いた作品だから何から何まで描いていたら長くなりすぎてしまうっていうのは分かるんだけど、もう少し巧く繋げられなかったものか。それから「危険な関係」のマルコヴィッチが好きな自分としては、ロチェスターとタイマン張ってほしかったのだけど叶わずに残念。 [DVD(字幕)] 5点(2008-11-28 21:36:29) |