2. トウキョウソナタ
《ネタバレ》 一人ひとりが秘密を抱える家族がゆっくりとバラバラになっていく過程を丁寧に描いた作品。という次元に止まっていれば、もっと面白い映画になったと思うのだが、強盗事件以降の終盤がかなり全体を台無しにした感もある。 それまでは、キャストの好演もあってなかなか面白かった。ユーモラスなシーンを挟みながらも少しずつ狂っていく家族の様子はリアルで怖かった。家族全員で夕飯を囲むなんて、本当は微笑ましい光景であるはずなのに、それが全然楽しくないように見えるところなどは、思わず意地悪な笑いをしてしまった。黒須の携帯電話のくだりと黒須家を訪問するシーンも印象深い。また、小泉今日子さんの演技は今まであまり観たことがなかったのだが、優しく、時に威厳のある母親の雰囲気をとてもよく出せていたと思う。正直、「お父さん」がしょぼすぎて、長男の台詞じゃないけど離婚すればいいのにとも感じた。香川照之さんのそのしょぼさを出す演技も良かった。威厳を示そうと思って理不尽なことを言うから更に威厳は失墜するのだ。 それが、強盗が入るシーン以降、一気に面白くなくなる。一人ひとりが一旦「家出」をして戻ってきて「家族」を再構成するというのは面白いストーリーだが、お母さんの場合、強盗に頼る必要は無かった。もっと他の「家出」の方法もあったはずだ。自発的な家出でも良かった。映画の進行上、強盗が入る必要性が無い。更に言うと、お父さんが交通事故に遭う必要性も次男が天才児である必要も無い(いくらなんでもあんなに短期間で「月の光」マスターは不自然)。途中まではリアリティ溢れる展開だっただけに理解に苦しむ。8点ペースだったが、ラストで2点引いて6点としたい。 それにしても、日本の映画に出てくる「お父さん」ってこういうキャラが多いけど、未だにこんなに父権主義的な家庭があるのかね?僕も父親には結構叩かれたけど、ピアノをこっそり習ったから殴るとか意見を枉げないくせに議論を尽くせと言うとか、こういう理不尽なことで叩かれたことは無かったなあ。本当におっさんという生き物はしょうも無い連中だと思っているおっさん予備軍です。 最後に疑問点が1点。なぜタニタが協力を了承したのか?解せません(笑) [DVD(邦画)] 6点(2010-07-25 18:03:46) |