1. ブラックブック
《ネタバレ》 - Zwartboek - “黒い本”オランダ語です。この映画の存在を知らなくて、タイトル観てもピンと来なかったけど、バーホーベン監督と知って俄然観てみたくなりました。 ナチスとユダヤ人という題材+バーホーベン監督なのに、思いのほかグロさが控えめで、これは“きれいな(人格の)バーホーベン”が創ったんだな。とても観やすい内容で、一部を手直しすればゴールデンタイムでも放送出来そう(…無理か)。 とても長い映画だけど全然退屈しなかった。隠れ家生活、助けてくれる青年、家族との再会、裏切り、レジスタンス入りととってもスピーディで、じっくり考える間もなく次の行動をしなきゃいけない。私もラヘル→エリスになった気分。 ナチスとユダヤ効で重たい気分になりそうだけど、効かないクロロホルムとかちょっとユーモアを感じてしまうのは、さすが娯楽映画のバーホーベン。ラヘルが大量のインシュリンを打たれた時、期限の方が出るかと思ったけど、チョコの方だった。でも伏線回収美味いよバーホーベン。陰毛染めるトコなんてマニアックだなぁって思ってたらシッカリ生きてるぞその伏線。フランケンの醜い全裸と汚いおケツと放尿シーン。大量の糞尿ぶちまけの本気度はさすがのバーホーベン。お色気も多めで抜かり無いぞバーホ―ベン。 最後の不穏な空気からスエズ動乱に続くそうだけど、その直前(映画冒頭)に聖地巡礼でロニーが、オランダ開放当時の彼氏(意外にも続いてたのね)と一緒に訪ねてくるところも面白い。 ナチスが支配したらナチスに。開放されたら解放軍にと器用に生きるロニー。対してラヘルは頼るものを次々失い、信じた者に次々裏切られる。最後ムンツェと静かに暮らしてほしかったけど、ねぇ。でもハンスへの静かで残酷な復讐はスカッとした。 リアリティを求めると話は変わってくるけど、映画らしいディフォルメとテンポの良さが娯楽サスペンスとしてよく出来ていました。 [インターネット(字幕)] 8点(2022-10-09 17:11:32) |