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やましんの巻さんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 731
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自己紹介 奥さんと長男との3人家族。ただの映画好きオヤジです。

好きな映画はジョン・フォードのすべての映画です。

どうぞよろしくお願いします。


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人生いろいろ、映画もいろいろ。みんなちがって、みんないい。


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1.  マングラー
トビー・フーパーの映画は、たとえどんなに世評の悪い「失敗作」だろうと、必ず見る者の深層意識に冷んやりと、あるいはざらりと触れてくる“おぞましい”瞬間がある。それは、彼がただ単に“恐怖”を表現するのに長けているというんじゃなく、“恐怖とは何か”を本質的に知っているからなんだと思う。 その“おぞましさ”は、言うならば、見知らぬ穴に手を突っ込んで指先が何かぬるりとしたものに触れた瞬間みたいなもの、と言い換えてもいい。その時にぼくたちが感じるだろう不快感や恐怖心を、フーパーの映画は何気なくひょいと投げ出してくる。『悪魔のいけにえ』では、それこそ全編にわたって。『ポルターガイスト』のような映画であろうと、いかにもスピルバーグ風の「光」が画面を覆おうとも、例えば部屋の片隅の薄暗がりや、子役の少女の後ろ姿などにぬぐい難く。 この、悪魔が取り憑いた巨大洗濯用プレス機と人間の死闘を描くという、相当にバカバカしい、そしていかにもスティ-ブン・キング原作ならではのグロテスクさとユーモアに忠実であろうとした映画にあっても、ふとした場面に“フーパーらしさ”が顔を出すだろう。それは、主人公の刑事が深夜の死体安置所で時を過ごす何気ないシーンであったり、彼の義理の弟が住む家のテラスをとらえたショットに見ることができる。実際これらの映像は、プレス機が人間をきちんとプレスして折り畳んだり(!)、果ては動き回って大暴れするクライマックスなんぞよりもはるかに不気味で、不安で、おぞましい気配を漂わせているのだ。 フーパーは、「恐怖とは、人の心の“闇(=病み)”と直接触れる瞬間にある」ことを知っている。彼自身が、そのことに震え、おののいている。一方で、そんな「闇」を何とか「商業映画」として折り合いをつけようと苦闘し続けるフ-パ-作品は、それゆえの“いびつさ”が逆にスリリングであり、こう言ってよければ何よりも魅力なのだとぼくは信じて疑わない。
8点(2004-09-06 18:59:57)
2.  ミスティック・リバー
事件のすべての真相が明らかになり、物語が一応の「結末」を見た後、映画はあたかもエピローグのごとき短いシーンを用意する。それは街の感謝祭の日のパレードで、そこには映画の主要人物たちが一堂に介するのだ(ただ1人を除いて…)。そして、そこでマーシャ・ゲイ・ハーデンが、パレードに参加している自分の幼い息子の名前を呼び、手を振る。声に気づいたのか、きょろきょろと見回す息子…。この映画の中で、誰もが何か取り返しようのない「間違い」を犯している。それがひとつの殺人事件を“複雑”なものにしていくのだけれど、中でも、いちばんその「間違い」によって一生を苦悩の中に生きねばならないのが、たぶんマーシャが演じるこの彼女だろう。そんな彼女が映画の最後に見せた哀れて痛ましい姿に、文字通り魂がペシャンコに潰れる想いがしたのは、きっとぼくだけじゃあるまい。物語の中心にある事件は、まさにひとつの“悲劇”だが、それ以上の“地獄”を、イ-ストウッド監督はマーシャ・ゲイ・ハーデンの役柄に描き出してみせる。一体、これまでの映画にあって、ここまで残酷で、悲痛で、過酷な「深淵」をありありと見せつけるものなどあったろうか。ベルイマンやシュトロハイムですら、ここまでの凄みと痛みを与える作品は作り得なかったとぼくは断言したい。…確かにショーン・ペンをはじめとする役者たちの演技も、25年の時を経て繰り広げられる運命的な巡り会いを緻密にドラマ化した脚本も、文句なしに素晴らしいと思う。けれどそれ以上に、このパレードのシーンを、最後に、しかもあくまでさりげなく置いてみせたクリント・イーストウッドにこそ、ぼくは畏怖する。これを、イーストウッドの作品だからとか、ミステリーだからとか“色眼鏡”でもって見ることだけはやめてほしい。これほどの映画は(いや、他のどの芸術ジャンルにおいても!)そうはない。いや、もはや唯一無二だとすら言ってもいい。当然の満点です。
10点(2004-01-14 18:39:24)(良:6票)
3.  マトリックス レボリューションズ
マシンシティーに向かうネオとトリニティーが、群がる機械生物を振り切るために雷雲に突入する。そして雲を突き抜けたそこには、青い空と太陽が。「Beautiful!(美しい…!)」と思わずつぶやくトリニティー。…この壮大(にして空虚)なSFトリロジ-(3部作)で、ぼくが唯一ハッとさせられ、「感動」したのがこの一瞬だった。言い換えるなら、このヴァーチャルな「虚構」を拒否して「現実」を志向する人間たちの苦闘を描く物語自体が、徹底的にヴァーチャルなイメージデしかない中にあって、このワンシーンだけが「リアル」を感じさせてくれたという…。とりあえず、このシーンと出会えたことだけで、ぼくは(不遜な言い方ですが)このシリーズを「許そう」と思ったのでした。実際のところは、ぼくもまた『1』のところでSTING大好きさんが書かれていたレビューにまったく賛同するものです。あれ以上に見事な『マトリックス』批判(と同時に映画を擁護する文章)を、ぼくは知らない。僭越ながら、皆さんもご一読をお薦めするしだいです。
5点(2003-12-08 19:16:49)
4.  ザ・ウィナー
おそらく欧米以上に日本でこそ「カルト」なアレックス・コックスが、初めてハリウッドで”雇われ監督”として演出した1作。しかし案の定、プロデューサー側とモメて、編集と音楽を別物に差し換えられて公開されたそうな。まあ、コックスに何を望んで起用したのかは知らないけど、このヘンクツな奇人…もとい「奇才」が、従順に言うこときくワケないじゃん。で、日本じゃコックスが編集&音楽を入れ替えたヴァージョンが公開され、たぶんビデオもそちらの方だと思うのだけど、見てみるとこれが実に「まっとう」な出来映え。ラスベガスのカジノで延々と勝ち続ける青年をめぐる不思議な人間模様が、まるでよく出来た一幕芝居のように描かれていくんですな。それにキャストも、ビンセント・ドノフリオやレベッカ・デモーネイ、ビリー・ボブ・ソーントン、マイケル・マドセンなどの渋い顔ぶれが揃っているし。クライマックスの大銃撃戦と、それに続くラストシーンも実に「クール」かつ良い意味でセンチメンタルな寓話っぽくまとめ、コックス、やろうと思えばこんな上質なエンターテインメントだって撮れるんじゃんと、意外(!)な一面を見せられた思いです。もっとも、ハチャメチャななかにも鋭い世界観や形而上学を吐露するあたりがこの監督の真骨頂と信じる”コア”な向きには、ちょっと物足りないかもしれないけど。
7点(2003-11-25 11:58:25)
5.  サルート・オブ・ザ・ジャガー 《ネタバレ》 
『ブレードランナー』や『許されざる者』、『12モンキーズ』などの脚本家デビッド・ピープルズが、初監督に挑戦したSFアクション。例によって原始時代に逆戻りしたかのような未来世界で、何かホッケーかラクロスと格闘技を足したようなスポーツの巡業(?)の旅を続ける、ルトガー・ハウアーとそのチームの物語です。彼らのところに、まるで『七人の侍』の菊千代みたいにジョアン・チェンが強引に加わり、やがて彼女が一流のプレイヤーに成長するまでの間に、師弟愛を越えたほのかな恋愛感情あり、卑劣な敵側の陰謀あり…と、まあこの手の映画にありがちな展開ではあるんですよね。しかし、ルトガー・ハウアーたちが試合に命がけで挑み、ひとつの試合を生き抜くとまた次の試合に臨むために荒野を徒歩で移動する姿は、まるでTVドラマ『コンバット』や『プライベート・ライアン』あたりの歩兵小隊そのまま。そんなかれらのストイックな生きざまが、めちゃくちゃカッコいいんだな。映画の最後、大きな町のチームに迎え入れられたジョアン・チェンと、また黙々と次の試合相手のもとへ旅を続けるハウアーたち。その対比に、ぼくは本物の「ヒロイズム」を見た思いです。そう、これは真の”戦士”についての、シンプルだけど実に力強く思考された一考察に他ならない。ただ暴力的なだけじゃなく、知的にも、情動的にも深いインパクトを与えてくれるドラマです。  《追記》ああ、ようやくこの映画に“救いの手”が現れた! 【なにわ君】さんのレビューを拝見して、ぼくも「8」じゃ映画に申し訳なくなってしまいました。よって、今さらながらの満点献上。本当にこの作品にみなぎる「心意気」と「気高さ」こそ、今の自分に必要なものだと痛感。どうにかして、もう一度見たいなあ。…  《再追記》あらためて【なにわ君】さん、どうもありがとうございます! ぼくが唯一行く弱小レンタルビデオ店には置いてないので、今度DVD探してみますね。ただ、この映画の原題も2種類あるし、別バージョンのものがあるのかもしれませんねぇ…。 《再々追記》おおっ、久々に同志が…(感涙)。【映画の奴隷】さんのレビューで、あのラストシーンが鮮明に浮かんできました! ああ、また見たいっ! しかし小生が行くレンタル店には、この映画がないっっ! 嗚呼。 《再々々追記》おおっ、“同志”がまたひとり!
[映画館(字幕)] 10点(2003-11-17 11:30:20)(良:4票)
6.  ザ・カップ 夢のアンテナ
見ていて、どこか日本の清水宏監督の映画に似たテイストとポエジーを感じた。作り手が子供たちの自然な表情や仕種、ひとりひとりの個性を大事にしていることが、画面からもしっかり伝わってくる。製作があの『ラストエンペラー』や『リトル・ブッダ』のジェレミー・トーマスなんだけど、相変わらずいいスタンスで映画を作ってるなあ。推薦!
8点(2003-09-06 18:17:00)
7.  月のひつじ
パラボラアンテナって、人類が作った最も美しい創造物のひとつじゃないでしょうか。そんなことをフト思ってしまう、ほのぼのとして、時にくすくすと笑えたり、じ~んとしたり出来る、豊かな感情に満ちた珠玉作。こういう、歴史的大事件をささやかでパーソナルな温もりによってドラマ化した、その人間味と才気に感じ入りました。DVDとかで見るのもいいけど、本当はテレビ放映で偶然見てトクした気分になる…という出会い方こそがふさわしいかな。でも、ぜひ見てくださいませ。
8点(2003-08-12 16:30:05)
8.  ムーラン・ルージュ(2001)
正直バズ・ラーマン監督の安っぽいキッチュ趣味はには、かなりの軽蔑感を持っていたんだけど(『ロミオとジュリエット』なんか、あの安さにゃ殺意すら抱いたね)、ここまで徹底されてしまうと、これはもう一つの”美学”として認めなくちゃ仕方ない。『椿姫』をモチーフに、喧噪と感傷に満ち満ちた金ピカ映像の洪水の中に、崇高な瞬間がいくつも現われる。ニコール・キッドマンも最高だし、おのれの不明を恥じましたです。許せ、ラーマン!
9点(2003-06-30 13:05:12)
9.  マッドマックス2
単なるアクション映画というより、アクション映画の概念を変えてしまった稀有な1本。ひとつイヤミなことを言わせていただくなら、この映画、ちゃんと劇場のシネスコサイズの大画面で見ないと、その真価はぜ~ったい分かりませんぞ! ワイド画面のローアングルで捉えられた、疾走する車やオートバイのほとんど官能的なスピード感覚。ここまで映像の隅々にまでエナジーとスタイルと作者の世界観が込められたものなんて、そうはないと思う。ジョージ・ミラーはこの時点で明らかに黒澤明に匹敵する仕事をした。大袈裟じゃなく、ぼくの生涯のベストのひとつです。
10点(2003-06-06 12:52:42)
10.  心の地図
我が生涯のベスト作品のひとつ(いったい何本ベストがあるねん! というハナシも聞かれますが…)。物語はくさいほどドラマチックかつ通俗的なれど、映画は信じられないくらい詩的で超俗的。一遍の美しい夢を見ているような酩酊感が、いつまでも心に残ります。もう何度この”夢”の世界に浸ったことか…。とにかく、思わずハッとしたり、陶然となる瞬間の連続といった本作に、たぶんぼくは永久に魂を奪われ続けることでしょう。
10点(2003-05-22 21:14:35)
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