1. TAXi
《ネタバレ》 DICK DALE & his DEL TONESの「MISIRLOU」は最高の波乗りBGM。 それを冒頭、フランスの市街をバイクで駆け抜けるシーンに使った! タランティーノはコレをオープニングで使っておきながら、またかったるい会話を始めやがってテンションを下げるという“無駄遣い”をやらかしてくれた。 別にタランティーノが嫌いとかそういうものではない。 ただ単にこの映画みたいに初っ端からブチかまして欲しかっただけなんです。 そんなワケで、この冒頭部分だけはジェラール・ピレスとリュック・ベッソンを支持したい。 本作は中身投げ捨て、ひたすら車で走りまくるカーアクションムービー。 CGエフェクトがかかっているだなんて信じられない中々の迫力。 純然たるフランス映画よ。 シャレオツ(死後)な若者、性欲に走る上品なエロ、それをアメリカナイズなアクションでブッ壊すベッソン。 でもいきなりキスして胸を揉むのはNGな。 気軽に楽しめる快作。 [DVD(字幕)] 9点(2014-12-19 19:49:45) |
2. たそがれの女心
《ネタバレ》 原題は「某夫人(特に名を秘す)」。マックス・オフュルスによる傑作。 二つの大戦によって滅び去った社交界の様相を蘇らせてしまうオフュルス。オフュルスの執念、それに応える女優陣の力強さ。 ダニエル・ダリューとシャルル・ポワイエの絡みも印象的だ。 社交界に渦巻く不倫から女たちの情念を描いていく傑作。 [DVD(字幕)] 9点(2014-05-18 17:49:12) |
3. 太陽(2005)
これは、まず日本じゃ撮れない。日本は主観で天皇像をやたら特別視しすぎるきらいがある。天皇もせっかく「私も人間だ」といったのだから、日本人はもっと砕いて描いても良い筈だ。 その点、ソクーロフは客観的で、あくまで一人の人間として天皇を描いた。 口ももごもごし、まるで子供のように植物の研究に明け暮れ、「人間て良いな~」と謳歌していそうな、何処にでもいそうな感じに。これほどユーモアと気品を両方感じさせる天皇、中々いない。 [DVD(字幕)] 9点(2014-04-30 19:12:36) |
4. 大列車作戦
《ネタバレ》 バート・ランカスター&ジョン・フランケンハイマー最高の1本となる戦争アクション。 ナチスVSレジスタンスの壮絶な列車アクションがスリル満点で楽しい。連合軍の無理難題と亡きレジスタンスの亡霊たちをかかえるレジスタンス達、意地でも勝利の可能性を逃すまいとするナチス。 走行中の列車に飛び乗るシークエンスの見事なこと。ドラマも熱い。果たして戦争が無ければ例の大佐も、石炭で顔が真っ黒になるレジスタンスも平和でいられたのだろうか。戦争アクションの醍醐味、ここにあり。 [DVD(字幕)] 9点(2014-04-10 23:56:38) |
5. 太陽がいっぱい
《ネタバレ》 パトリシア・ハイスミスの原作、ヌーヴェルヴァーグのスタッフが多数終結した傑作スリラー。間違いなくルネ・クレマンの最高作だ。 海を走り飛び立つ飛行機 お洒落なOPからしてこれがヌーヴェルヴァーグの要素をふんだんに盛り込んだ作品であることが解る。撮影にアンリ・ドカエ! 机の上に敷き詰められたパンフレット、写真、絵の山、二人の男の会話から物語は始まる。 パンフレットの船、男たちが友情を深める船、事件が引き起こされる密室になる船。 盲目の男にぶつかり、謝罪の気持ちの金を払い、杖をとってしまい盲人の真似、彼らは車が絶対に止まると信じて車道を横切るのである。信じてはいるが、万が一車に轢かれて死ぬかも知れないというスリルも楽しんでいる。もう一人の男は女と遊ぶために盲人の真似ごとをする。 宝石に触るわ胸にさわるわ尻を叩くわやりたい放題、口づけは挨拶のように交わされ、それが少しずつ二人の男に亀裂を生む。 手に握られた戦利品、船上であんなに仲良くやってたのに…あの娘を自分の物にしたいという欲望が男に決断させてしまう。 海中に消えたはずの者が常にその存在を感じさせ、緊張を持続させる。ホテルで追っ手を撒く駆け引き。 隙をついて扉を開け、寝室で無防備に寝る女に近づく欲望。彼は焦らない。友人を虜にした女性、今度は自分がその女性を虜にしてやろう。それは自分を裏切った者への復讐でもある。慰めるのは過去を忘れさせて自分のものにするため。 ギターは投げ捨てられ、水着姿で手をつなぐことによって二人に肉体関係が成立したことを静かに物語る。 船が運んでくる無言の帰還者、「手」。 警官が、メイドが映画の終わりが近づいていることを知らせる。太陽をあおぎ、椅子に深く腰掛けて満足げな顔を見せる主人公。何も知らずに酒をあおり、店員の呼びかけに無垢な笑顔を見せる。 それを静かに見守る船によって、物語は締めくくられる。 [DVD(字幕)] 9点(2014-01-25 13:14:16) |
6. ターミネーター2
《ネタバレ》 前作の「ターミーネーター」は殺戮マシーンという恐怖に徹した恐ろしさがあったけど、本作はその殺戮マシーンが「心強い仲間」になってくれる。 オマケに襲い来る敵は前作より最強凶悪の敵だとさ。 最高の常軌の逸し方じゃないか。 スピルバーグの「ジョーズ」を2部作にしてより濃くしたような面白さ。 「ジョーズ」は鮫に怯えるパニック映画から鮫の恐怖に打ち勝つヒーローものになるが、 「ターミネーター」シリーズは襲い来る恐怖と殺し合うだけじゃなく、恐怖を味方に付けお互いの立場を理解し、絆を結んでいくという力強い内容が醍醐味でもある。昨日の敵は今日の味方。 昨日の敵は今日の味方。 襲い来る暗殺者、 頼りになるスーパーマン、 そんなスーパーマンがピンチだ! 今度は守られる側がスーパーマンを助ける番だ! それに応えてスーパーマンは必ず戻ってくる! 何度でも。 このシンプルを極めた面白さ。 きめ細かなメカニカル描写、 質感のある映像美、 そして人間とロボットの立場を超えた絆・・・最高じゃないか。 [DVD(字幕)] 9点(2013-12-17 11:44:23)(良:1票) |