21. 薔薇のスタビスキー
「ファニー」から13年が過ぎたシャルル・ボワイエは立居振舞・台詞回しにいささかの衰え無く、気品と包容力が溢れるお姿に見惚れるばかり。このような齢の重ね方に憧れ、同じ(じゃないか)人間の端くれの端くれとしてあやかりたいものであります。余談ながらこの4年後、44年間連れ添った奥様が病死なさった2日後に睡眠薬自殺を遂げられた事実に胸が詰まってしまいます。 ジャン・ポール・ベルモンドとアニー・デュプレーの目の覚めるような着こなしや、室内装飾の重厚さにため息が止まりません。 この見た目で騙したのか稀代のペテン師によるフランス史上最大の疑獄事件は興味深いのですが、時系列をいじくったり、トロツキーのエピソード挿入など展開が分かり辛く消化不良な作品でした。ただ、金はあくまでも只のカネに過ぎない事を掌返しの人々が見せてくれます。そんな中で最後まで友情を育んだシャルル・ボワイエがやっぱり心に残ります。 2022.9.11追記 シャルル・ボワイエ スクリーン初体験にただただ感激。 [映画館(字幕)] 7点(2019-01-14 19:17:14) |
22. 犯罪河岸
「恐怖の報酬」の監督&ルイ・ジューヴェ出演という事で映画館のはしごをして鑑賞。ジェニィの華のあるパフォーマンスに見惚れ、モーリスのどことなしの屈折感に見入る。お待ちかねのルイ・ジューヴェ演ずる警部は、先に観たマクラウド刑事のような、コロンボ警部のような強烈なキャラクターで存在感ありまくり。追い詰められた3人の運命や如何に! 手に汗握った身にとって、「ヘッ?」椅子からずり落ちそうな結末に、これでいいのかよくないのか考えさせられました。 [映画館(字幕)] 7点(2019-01-13 23:15:50) |
23. パッション・ダモーレ
《ネタバレ》 特殊メイクでもって作り上げられた醜女フォスカ。容貌以上に醜いのは性格で観るに堪えない聞くに堪えない姿にゲンナリ。窮め付けは列車に乗り込んできた死神のような姿で殺意が湧き上がる。ベルナール・ジロドーとジャン・ルイ・トランティニャン(お目当て)が霞んでしまったヴァレリア・ドビチの熱演が特筆もの。後味悪過ぎる結末に「ヘンなもの観てしまった」感でグッタリ。 [DVD(字幕)] 3点(2018-09-15 12:41:08) |
24. バンカー・パレス・ホテル
トランティニャン出演以外の知識なく鑑賞。スキンヘッドのアンドロイドチックな存在感は流石で魅入りましたが、お話は退屈そのものでした。エンキ・ビラルの世界観が好きな方には見応えある作品なのでしょう。 [DVD(字幕)] 4点(2018-01-24 15:13:36) |
25. パリの灯は遠く
《ネタバレ》 冒頭の牛馬の如く扱われる女性が当時のユダヤ人の立場を見せつけます。ロベールの奔走を手に汗握って応援していたので出生証明書が届いた事にも耳を貸さない姿に唖然茫然でつまらなさにガックリしました。しかし、直後のロベールと彼に絵を買い叩かれた男とのラストショットで感想が一変。ユダヤ人に対する不遜な仕打ちに対する天罰なのか、言いようのない恐ろしさで一杯に。故国を追われた監督の心情も考えさせられた良作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-01-11 14:52:03) |
26. ハムレット(1990)
《ネタバレ》 初見、原作未読。苦手なメル・ギブソンの嫌味のない熱演に好感が持てました。僅かな出番で物語を引き締めるポール・スコフィールドの凄味に魅入ります。結末は人を呪わば穴二つの上に叔父と母まで死んでしまう重苦しいものでした。諸悪の根源である叔父の淡白さが残念でした。 [インターネット(字幕)] 6点(2017-10-21 23:16:58) |
27. ハイヒールを履いた女
《ネタバレ》 寂しさを埋める為のパーティ参加はまだしもその後のジョージとの行為は共感出来ない。犯人であることは容易に解りますが、精神が何処か病んでいる様子に不気味さを感じていた中での誰も乗っていないブランコを押す姿に寒気が。そんな彼女に惚れてしまった警部さん。久々のガブリエル・バーンに期待は大きかったのですが、よく解らない人となりのキャラクターで残念。ラストで警部にしがみついて号泣するアンナに二人の行く末を想像させられる。アンナを演じられるのはシャーロット・ランプリング以外は考えられない。 [インターネット(字幕)] 7点(2017-08-15 17:54:16) |
28. パリ空港の人々
抜け出したくとも抜け出せない。さりとて抜け出す事に腰が引ける。如何ともし難い胸中が透けて見える大晦日の面々の様子に胸が痛くなります。ラスト、抜け出して、暮らしの保障が何もない明日へ歩いて行く二人の背中にエールを送ります。 [DVD(字幕)] 6点(2012-05-26 16:32:21) |
29. パピヨン(1973)
《ネタバレ》 シスターをはじめとする溢れる裏切りに苦渋を舐めるばかりのパピヨンが、心身ともに粉々に踏みにじられても、ドガの名を口にしない姿、崩れかけたけれど踏みとどまり紙を食べた姿にひれ伏すばかりでした。悪魔島で豚に名をつけ、トマトを植え、ベランダを作ろうかと思案するドガを見るにつけ、老いた状況で楽しい事があるかどうか定かではない脱獄を命をかけてする必要があるのかと思ってしまいました。しかし、犯していない罪を償う理不尽さは受け入れられないという一念を貫かない後悔より貫いてする後悔を選んだのでしょう。見送るドガもその事を承知しているやに見えました。切なさに身を捩るラストシーン、不屈の生き様に圧倒されるラストシーンでした。 [DVD(字幕)] 9点(2011-10-29 17:57:00)(良:3票) |
30. 薔薇の名前
謎解きの部分は「ゼルダの伝説」がフッと頭をよぎったりと興味をそそられ、犯行動機と考えられる笑いと権威について考えさせられる部分がありました。しかし、時代背景の知識を持っていない為なのか、荒涼とした舞台でのグロテスクな描写に対する激しい嫌悪感がそれらを上回った作品でした。 [DVD(字幕)] 3点(2009-10-09 01:19:07) |
31. 花咲ける騎士道(1952)
起承転結、良く練られたストーリーがテンポ良く展開し、大団円(ちょっぴり強引ではありますが)で幕を閉じる。理屈抜きに面白く、小粋な会話も楽しめた活劇に満足しました。 お父さんに飛び乗られてグラついた馬は「あ痛たた~、もぅ・・」と思った事でしょう。 [DVD(字幕)] 7点(2009-08-28 14:12:10) |
32. パリ、ジュテーム
ショートショートの18編。不快さが募った地下鉄駅構内の1話と「だから、何?」と思った3、4話を差し引いても観て良かったと言える作品集でした。お話として味わい深かったのが、3位・パントマイムの2人、2位・ギャスパールに怯える2人、2位に大差をつけての1位・ヴァンパイアの2人です。そして私が憧れるジーナ・ローランズが豪華出演陣の中にあって別格の存在感を示してくれた事を特筆しておきます。 [DVD(字幕)] 6点(2008-05-11 02:37:48) |
33. パリの大泥棒
生きるためでなく生甲斐のために盗みを止められない男。自分の弱みを打ち明けられる愛する人が一人いるのに、自分の末路を覚悟しているのが淡々とした表情から感じられて悲しい。 5点(2004-01-06 00:09:04) |