121. 明りを灯す人
《ネタバレ》 穏やかにのんびり進んでいるっぽい前半にも、何か不吉な予兆を感じさせる一瞬がちらほら見え隠れしているんですよ。で、クライマックスのテントの中でそれが炸裂してしまう・・・その主人公を襲う容赦ない結末と、そこからの2カットで表されるその後の希望。原始的だからこそインパクトのある締め方です。キルギスの普段見ない風景や生活がいろいろ見られるのも興味深い。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-12-03 01:03:28) |
122. デイズ・オブ・グローリー
フランス軍中の北アフリカ兵士という、あまり知られていない部分にスポットを当てた観点は貴重といえるし、わざとらしい事件を起こさずに粛々と進む作り方にも好感が持てる。ただ、登場人物にはもう少し個性が欲しかったと思うけど。 [DVD(字幕)] 6点(2013-11-30 00:46:13) |
123. この愛のために撃て
《ネタバレ》 ハリウッド・テイストな分かりやすいサービス満載のアクションながら、警察内部の対立であるとか、決戦の場所が警察署内であるとか、それを導くためのさまざまな道筋であるとか、あまり見ないネタもちりばめてあってなかなか美味しい。ただ、臨月の妊婦の人質という設定は、よく考えると反則ではないかと思う。もうすぐ産まれるかもしれないという一事だけで自動的に状況を設定できてしまうし、最後に無事産まれたらめでたしめでたし、というのも、ほかの展開と関係なく成立できてしまうから。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-05-29 03:25:11) |
124. 太陽がいっぱい
《ネタバレ》 いろんな偽装の部分で手を拡げすぎず、単純な発想で乗り切り続けているのが、安定感と同時に破滅の予感を感じさせることに成功している。主人公は、その行動からいえば、そんなに格好良くも爽やかでもなく、むしろ陰湿でうじうじした性格であるはずで、その意味では「リプリー」の方が本来の人格に忠実であるとはいえるのだが、こちらが単純明快路線できちんとまとまっているのは、どこを切っても美しい映像とカメラのなせる賜だろう。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2012-04-29 02:39:27) |
125. ジェリーフィッシュ(2007)
ごく普通の3組の人々の並行する道行きをじっと見続けるという視点は好みだし、ひっそりと息をひそめるかのように落ち着いた雰囲気も悪くないのですが・・・3組の話は交錯するようでしないし、そもそも全部が似たような描き方で似たようにうじうじ悩むキャラばかりが出てくるので、作品としての意味合いを削いでしまっている。結果、設定のための設定のようになってしまいました。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-11-08 23:58:13) |
126. マラドーナ
あえてここまで世界的に有名な人物の背後に切り込もうとした心意気は買いたいし、実際にいくつか重要な映像やコメントも収穫しているのだが、編集の順序とか配分比率がえらく稚拙で、せっかくの努力の何割かが消されてしまっている。また、サッカー技術論の専門部分にあまり踏み込んでいないのは、やはりこの素材を選んだ意味を減殺しているのではないだろうか。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-09-22 00:31:53) |
127. JFK
《ネタバレ》 前半部分は、登場人物がごちゃごちゃしていたり、実写と再現が不規則に入り混じっていたりして、あまり入り込めなかったのだが、一気に喋りまくりのサザーランド、そして最後のコスナーの30分超えの論告は圧巻。ただ、話の性質上、オズワルドはシロということは論証できても、そこから先は推論の域を超えないというのが、映画として見た場合でも、何とも歯がゆい。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-07-04 01:16:48) |
128. サン・ジャックへの道
筋的には細切れのエピソードを重ねただけという感じですが、ただの道を黙々と歩いている風景とか、その辺でぼてっと休んでいる状態とか、映像的には意外に面白いのです。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-06-03 04:15:44) |
129. パリ、恋人たちの2日間
《ネタバレ》 どうしても「恋人までの~」「ビフォア~」の続編クラスを期待してしまい、ハードルが高くなってしまうのだが・・・この作品の弱点は、映像としての撮られ方にまで考慮がいっていないこと。カメラワークは最悪に近い。また、脚本も、デルピーの力の入り方は伝わってくるが、ところどころ、あからさまに「ここがフランスとアメリカの違いなんですよ~」的な誇張があるのが難点。ただし、全体として、自分はこういうのが作りたいのだという作り手の一貫した執念があるのは、嫌いではない。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2011-01-11 00:59:43) |
130. 潜水服は蝶の夢を見る
このシチュエーションをこの角度(一人称)で現実に撮ってしまおうという発想が凄い。しかし、主人公の努力や業績とは別の次元で、作品の描写自体は、平坦で同じような流れで最後まで行ききってしまっているので、主人公以外の人たちがどこでどのように考えていたのかということについては、あまり浮かび上がってこない。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2010-12-23 00:27:54) |
131. ヘヴン
《ネタバレ》 内容の量に比べて尺が妙に短いし、ストーリー上は突っ込みどころ満載だし、結局は映像の美しさでカバーしちゃってるんだろ?という気はするのだが、それでもどきっとするショットがあるから見切られない。例えば、爆破寸前、エスカレーターで下るケイトと上昇するエレベーターを同時に収めた構図とか。それと、こういうのは、脱獄がばれて失敗したり、逃げたと思ってもすぐに警察がどこかで待ちかまえていたりするパターンに慣れてしまっていたので、何だかんだあっても一直線にハッピーエンドに向かう展開は、ちょっと嬉しかったりする。 [DVD(字幕)] 6点(2010-12-20 03:46:13) |
132. 小さな悪の華
《ネタバレ》 邦題どおりこの2人がやっていることは「悪」行だらけ。しかし、それをどうこう言う気が起きないのは、その行動のすべてが一つの「不安定性」への立脚に徹底しているからである。だからこそ、ラストではちょっとしたことで動揺し、その刃を躊躇いなく自分たちに向けて完結する。この迷いなき一貫したベクトルが辛うじて作品世界を成り立たせていると思う。 [DVD(字幕)] 6点(2009-12-27 01:08:52) |
133. 戒厳令(1972)
コスタ=ガヴラス作品らしい、重量感ある映像とカメラワーク、そして作品に賭けた沸々とした意志の力を堪能できる内容。ただし、同じところを強調したいがための未整理な部分もあり、そのためにラストが持つ意味も弱まってしまった感がある。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-12-06 13:32:35) |
134. チャーリー(1992)
マリサ・トメイとペネロープ・アン・ミラーとダイアン・レインが一つの作品で見られるなんて!!とわくわくしていたのですが、みんなちょこっとずつしか出てなくてがっかりでした。ほかの脇役も含めて、せっかく出すんだったら、その人たちそれぞれの主人公の人生における意味合いや位置づけをきちんと消化してから出すべきでしたね。これでは単に「その人がいたからその役を作った」というだけです。もっとも、こんな誰が見ても畏れ多い役に果敢に挑んだロバート・ダウニー・Jrの度胸と勇気には敬意を表したい。 [DVD(字幕)] 6点(2009-09-14 23:04:39) |
135. Z
《ネタバレ》 後の「ミッシング」にも通じる不気味な映像の迫力が印象的。特に、エキストラの丁寧な使用が効果を高めている。相手方の描写が多少ステレオタイプのようにも見えるが、大した問題ではない。途中から主役になる予審判事の謎解きが、あくまでも地道な質問の積み重ねと資料の精査に尽きており、突出した特技を用いているわけではないというのも、今日においてもいろいろな場面での参考になる。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2009-05-20 01:46:10) |
136. シェルブールの雨傘
《ネタバレ》 台詞が全部歌なのはよいのですが、肝心のその歌自体が、すでにある台詞にただ音程をつけただけであって、歌としてきちんと独立していません。なので、見ていて(聞いていて)苛々しましたし、せっかくの前半のハッピーなラブロマンス部分も、リズム感を大きく削がれています。ただし、終盤の突然のメロドラマ部分は強烈だったのと、原色強調の色彩感覚は作品にマッチしていたので、そこに各+1点。 [映画館(字幕)] 6点(2009-03-09 02:01:24) |
137. エル・スール
《ネタバレ》 冒頭、少女が目覚め、枕の下から振り子を取り出してじっと見つめるが、そのシーンが象徴するとおりに、じっくり、ゆったりと時間が流れ、静謐で神々しい空気すら感じさせる作品である。肝心の父親の内面の描写はそれほど深いとはいえず、観念的に流れる部分もないではないのだが、聖体拝受式の日の主人公の超絶的な可愛らしさに免じて+1点。 [映画館(字幕)] 6点(2009-01-11 12:55:03) |
138. バリー・リンドン
しつこいナレーション、説明台詞、起伏も必然性もない展開、役作りのされてない演技と、負のポイントばかりが目につくのですが、ラストまで見るうちに強引に納得させられました。というか、キューブリックに体力負けしました。ダラダラしているところが後から思い出すと何となくいい感じで印象に残っているという、困った作品。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2008-08-25 02:50:46) |
139. クィーン
再現モノとしてはそれなりによくできていると思います・・・が、それによって何が描きたかったのかは結局不明。多分、王室の威厳・伝統と国民意識の変化の衝突というのが最大のドラマの要素になるのでしょうが、この主人公がそれまでの人生でどのように考え、行動してきたのかというのが突っ込まれていないので、首相とのやりとりにも迫力が伴いません。また、メインの葬儀の前後も妙にあっさりとすまされています。テーマは明確に一本に絞り込まれており、とても分かりやすい作品ではあるので、点数はちょっと甘め。 [DVD(字幕)] 6点(2008-03-14 02:36:43) |
140. 男と女(1966)
《ネタバレ》 レストランでの子供2人を含めた食事シーンとか、優しさと丁寧さに満ちたベッドシーンとかはとても良い。他方、回想シーンはやたら長い上にとっちらかってて、かなり邪魔なのです。途中までは、一種の前衛作品なのかと思ってしまったくらいでした。それでも、突出した良いシーンのおかげで見た後の印象は悪くないのでこの点数。 [DVD(字幕)] 6点(2008-02-18 02:53:13) |