1. ル・アーヴルの靴みがき
人生を感じるような深みのある場面がたくさんありました。心に残る美しいショットも散りばめられています。素晴らしいラストシーンには監督の揺るがない信念を感じました。カウリスマキ映画の常連役者が次々に登場するところも、良かったです。傑作。 [映画館(字幕)] 10点(2012-05-13 10:30:10) |
2. まぼろしの市街戦
《ネタバレ》 なんとも不思議な映画です。とぼけた雰囲気ながら、ラストのメッセージは痛烈。ヒロインのジュヌヴィエーヴ・ビュジョルドが可愛らしい。 [DVD(字幕)] 9点(2010-08-09 23:36:33) |
3. ぼくの伯父さん
《ネタバレ》 台詞が少なく、音楽とユーモアがたっぷりで、ずっと気持ちよく観ていられます。役者の身振りや歩き方を観ているだけで微笑んでしまいます。大きな事件はほとんど何も起こりませんが、見終わったあとほんの少し幸福感が胸に残っている、そんな素敵な作品です。 [DVD(字幕)] 10点(2010-08-09 23:27:42) |
4. オルフェの遺言-私に何故と問い給うな-
《ネタバレ》 実験精神にあふれた映像表現が素晴らしい。ごく単純なからくりであっても、視覚的に新鮮な刺激を与えてくれます。映画全体の雰囲気として「かしこくなったエド・ウッド」みたいな感じがあり、良い意味でのボケっ放し感がとても楽しめます。形式に捉われず、のびのびとインスピレーションの羽を伸ばした名作だと思います。 [DVD(字幕)] 9点(2009-05-11 06:58:09) |
5. 街のあかり
《ネタバレ》 恋も、仕事も、すべてを失った男が、最後に見つけるもの。 洗練の果てに結晶化した、カウリスマキ節の極北という感じがします。 カウリスマキ監督自身 「主人公にとって幸いだったのは、この映画の監督が心優しい老人であったということです。ラストシーンは希望で光り輝いています」 と書いているラストシーンの完璧さには、打ちのめされます。 いくつか散りばめられているユーモアも、とても笑えます。 [DVD(字幕)] 9点(2008-08-30 22:26:32) |
6. 去年マリエンバートで
《ネタバレ》 デルフィーヌ・セイリグがひたすら美しい。カメラも全篇彼女の美しさに陶酔しているようです。フランス語の響きの気持ちよさも堪能できます。 [ビデオ(字幕)] 10点(2006-08-01 12:02:44) |
7. 審判(1963)
《ネタバレ》 巨大な迷宮のような、ひたすら不安をかきたてられる展開と、淀川長治さん風に言うところの「目で感じる」鋭い映像感覚が見事にかみ合って、2時間ずっと画面に釘づけでした。流れるような長廻しにもゾクゾクします(演劇畑出身の人はやっぱり長廻しを好むひとが多いですよね)。銀行や裁判所における没個性的な、虫みたいな群集の描写はフリッツ・ラングの『メトロポリス』なんかを思い出したりしました。 [DVD(字幕)] 10点(2006-07-24 19:39:59) |
8. ブラウン・バニー
全篇、凄絶に美しかった。終盤やや説明過多な気もしたのですが、本質的な問題ではないでしょう。途方もない傑作だと思います。この容赦のない美しさ。音楽もとてもとてもいいです。 10点(2005-01-11 21:49:03)(良:1票) |
9. 読書する女
《ネタバレ》 私は小説を先に読んだのですが、映画の方も色彩豊かな画面が印象的な、とても洒落た感じの作品で好感を持ちました。場面の中に赤とか青とか、常に鮮やかな色のモノが配置されていて、監督の強烈なこだわりを感じました。皆さん書いておられるように全体的に描写が官能的でどきどきしますし、ところどころ散りばめられたユーモアも楽しいです。私がもっとも印象的だったのは車椅子の少年に朗読を聞かせる場面です。少年は朗読を聞きながらずっとマリーの脚を注視している、マリーも脚を見られていることを意識して徐々に服の裾を上げて脚を露わにしていく・・・・・・見ている/見られているという緊張感がエロティックで印象的でした。原作でもこの場面は非常に官能的に描かれています。あと、マリーの服装や佇まいが素敵にお洒落なのもいいですね。 8点(2004-11-12 19:44:48) |
10. 穴(1960)
《ネタバレ》 脱獄モノは数あれどこの作品を超えるものは永遠に作られないんじゃないでしょうか。語り口、撮影、展開、すべてが完璧に思えます。10点満点以外つけようがありません。しかしまあ、終盤近く、完全に騙されて、油断してました。ぴっくりしました。ベッケル監督の思うツボですね。ともあれ大傑作です。 [映画館(字幕)] 10点(2004-01-29 18:25:48) |
11. シェルブールの雨傘
ミュージカル好きの私にはたまらない映画でした。主題歌のメロディがあまりにも美しく、この映画はこの旋律のためにあるのではないかとさえ思えました。 9点(2004-01-26 12:21:18) |
12. 過去のない男
全体的にポップに撮られていて、カウリスマキ監督が開かれた作品を撮ろうと意識して作ったのだろうなということが感じられます。色彩もとてもカラフル。ギャグも冴えていて劇場は笑いに包まれていました。物語にも動きがあり、とても見やすいです。ただ、普通の映画っぽい方法論を導入していることで、カウリスマキの強烈な個性はやや薄まっているような気もしました。でもステキな映画です。 9点(2004-01-25 11:09:41) |
13. 黒猫・白猫
前半が良い。後半ちょっと長い。全体に絵にセンスが感じられる。ユーモアも秀逸。個人的に一番良かったのは音楽。 8点(2003-06-23 13:20:35) |