1. LAMB/ラム
《ネタバレ》 『まんが日本昔話し』ならぬ『まんがアイスランド昔話し』的寓話の趣き。室田日出男氏か市原悦子さんのナレーションで、ほのぼのテイストのアニメーションでも違和感無さそう。さしずめタイトルは『ひつじ坊や』ですかね。そういう意味では終始一貫してホラー様式を取る必要はなかったかもしれません。ハートウォーミングファンタジーを装いながら最後にズドンと落とすやり方もあったかと。オチは衝撃とか恐怖より、納得感が大半を占めました。 さて、本作で特筆すべき点は、台詞の少なさ、説明の無さです。たとえば「子どもを亡くした夫婦」という肝とも言える設定について作中言及していません。私は作品紹介の時点で予備知識を得ておりましたが、当然全ての観客がそうではありません。注意深く観察し想像力を働かせれば辿り着ける設定なのでしょうが、結構無茶な欲求だと思います。この「不親切さ」こそが本作最大の魅力。物語の余白は高級フレンチの白いお皿並みかと。思い切った脚本で観客を選ぶ映画だと思いますが、想像力を駆使して自分なりのサイドストーリーを組み立てて楽しむ趣向だとすれば、これはこれで面白いと思います。 [インターネット(字幕)] 7点(2023-01-08 16:58:56) |