1. レッド・サン
《ネタバレ》 本作は日本側が企画段階から参加しているので、良くある欧米映画にある珍妙な日本描写はありません。 北米大陸を旅する日本全権一行の姿、立ち居振る舞い、着物や所作、ディティールに至るまで、我々日本人が時代劇で親しんでいるそのままが再現されています(勿論それが史実と合致するかは別問題ですが)。 しかしそうであるが故に、「日本文明」と「西欧文明」の大きな違いというものが鮮明に描写されているように感じます。 おそらく本作を鑑賞した米国人はじめ西欧の人々は、あけすけで、表情豊か、率直でわかりやすく、自分たちのカルチャーそのもののメンタリティを持つブロンソンやドロン達には素直に感情移入出来たと思います。 しかし全く異なるルーツを持つ日本人からすると、一見無愛想、無表情で何を考えているかわからないような、三船敏郎演じるサムライにもその、うちに秘めたほとばしるような感情、情念を感じることが出来ます。 そういう部分は欧米の鑑賞者に理解させるのは難しいのかもしれません。 本作は単なる東洋趣味の物珍しさばかりを追求したゲテモノ映画では無いのですが、本作が公開された1971年当時、そろそろ日本の経済力が米国で存在感を増し始めていた頃。 これを全く異なるルーツを持ちながらも、同じ「人間」としての共通点を見いだすきっかけとして鑑賞した人々がどれ程居るのだろうか、と考えてしまいます。 この後80年代に向かって日本は現在の中国の如く世界を経済で支配するが如く席巻していくわけですが、その端緒、西欧人の日本に向ける微妙、複雑な目線を感じさせる興味深い作品だと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2010-12-09 13:18:33) |
2. 太陽(2005)
昭和天皇の人となりがこの通りかどうかは別として、これほどまでに天皇を一人の人間としてとらえた映画を、よりによってロシア人に撮られてしまうとは。終戦にともなう天皇の孤独や苦悩も、どこまで史実をもとにしたのか、ソクーロフの解釈が多くを占めているのかわからないが、イッセー尾形の勇気ある役作りに助けられて興味深く観ることができた。しかし劇場ではどうだったかわからないが、音声が聞き取りづらい。何を言っているのかわからないから英語字幕で確認する始末だった。 [DVD(字幕)] 7点(2007-03-27 17:07:31) |
3. ホテル・ルワンダ
この映画はどんなホラー映画よりも恐ろしい。本当に恐ろしい存在とは、モンスターでも悪霊でもなく、人間そのものだということが良くわかる映画です。しかし家族を愛し、平和を願うセサバギナ達の存在もまた人間の一面です。この映画はルワンダで起こった悲劇に対して、国際社会がいかに無力で無関心であったか、先進国はじめ世界各国が己の国益のみに汲々として、ルワンダの人々の叫びに鈍感であったかということを告発しています。と同時に、危機に瀕した時、家族を守る男としての生き方を描いた優れた人間ドラマでもあります。戦争に限らず、危機的な状況に置かれたら、自分は家族や隣人を守ることができるのかと自らに問いかけながら観ました。 この映画は映像云々をあまり言う映画ではないとは思いますが、照明が平板で、編集がもっさりしていたのがちょっと残念でした。 [DVD(吹替)] 7点(2006-09-10 15:49:49) |
4. オリバー・ツイスト(2005)
原作は知らないのですが、大いに楽しめました。古典であるためなのかどうか、人物設定がやや類型的な感はありますが、テンポも良く、ぐいぐいと物語に引き込まれました。それからこの映画、美術が大変素晴らしいです。19世紀の薄汚れたロンドンの貧民街が、下水や人々の体臭まで臭って来そうな位リアルに表現されています。「ALWAYS三丁目の夕日」もそうですが、僕は美術セットに現実感があると、それだけでスクリーンの向こう側に引き込まれてしまいます。 [DVD(吹替)] 8点(2006-07-10 16:27:31) |
5. コーヒー&シガレッツ
高評価の中気が引けますが、僕にはこの作品のよさがサッパリ理解できませんでした。それぞれの短編はタイトルのとおりコーヒーと煙草を小道具として使っているという共通点はあるが、これといって何かキーになったり触媒になるわけでもなく、かといって、全く無意味かというとそうでもない(ような気がする)。おそらく最後まで観ればなにがしか全編を貫く韻のようなもの、または感慨があるのかと思っていましたが、それが僕の感受性の弱さか、キャッチすることが出来ませんでした。昔現代美術の展覧会に行って、部屋の中央にポツリと置かれたオブジェを見て、友人は「鳥肌が立った」と感動しているのに、僕は全く何も感じることが出来なかった孤独感を思い出しました。 [DVD(字幕)] 5点(2006-04-21 08:45:12) |
6. ヒトラー 最期の12日間
悪の象徴、非人間、悪魔と糾弾されるヒトラーだが、描かれていたのは極限状態に置かれ混乱し、憔悴し、部下に八つ当たりをしながらも、一方で秘書や少年兵に優しい言葉をかけるそれこそ何処にでもいそうな初老の男だった。それだけに彼の招いたあまりにも大きな混乱や悲劇が際立って見えてくる。20世紀は人類史上最も多くの血が流れた世紀だと言われるが、その嵐の目にいた者は、しっぽの生えた悪魔でも妖怪でもなく、ただの人間だったのだ。何か暗澹たる気持ちにさせられた。 [DVD(吹替)] 9点(2006-01-13 21:39:58) |
7. オープン・ユア・アイズ
本作を見て、先に「バニラスカイ」を観てしまったことを後悔。オリジナルはハリウッド製よりもおそらく低予算ゆえの映像の薄味加減が散見されるが、語り口の緊迫感はこちらの方が上かな。ペネロペ以外は自分の知らない俳優達だったので、先入観に惑わされることなく物語に集中することが出来たし、舞台が欧州というのも味わいがあっていい。 8点(2005-02-02 21:38:27) |
8. ひまわり(1970)
《ネタバレ》 ジョバンナの身勝手さが許せないと言う意見はすごく良くわかります。そうやって見てみると彼女の行動は自分のアントニオへの愛だけでいっぱいになってしまっていて、他者への思いやりに欠けているかもしれません。でも自分は彼女への怒りは湧きませんでした。怒りというよりも身勝手で不器用な彼女の生き様がとても哀しく胸に迫りました。そしてアントニオがミラノまで逢いに来て、自分の家族のことも振り切って一緒に行こうといってしまうその弱さにも。人間って弱い生き物ですね。 ろうそくのの中にぼんやり浮かぶジョバンナのうつむいた顔、息を呑むほど美しかったです。 8点(2005-01-08 13:44:00) |
9. WATARIDORI
映画館で観たかった作品。余計な演出を極力排しているので、鳥の世界に感情移入しやすかった。余計な演出が入ると、カメラの裏の人間を感じてしまうので、現実に引き戻されてしまう。本当は音楽も要らなかった。鳥の羽ばたく音と風を切る音。それだけでも最高のBGMだと思う。 8点(2004-04-01 08:06:34) |
10. チャーリー(1992)
チャップリンのしぐさをよくここまで真似したものだ。 6点(2003-12-12 22:43:29) |
11. ギャング・オブ・ニューヨーク
なんか評価低いなあ。ぼくはおもしろかったです。当時のNYの風俗が垣間見れるだけでも。美術がしっかりしてるので、当時の街の空気、匂いまで漂ってくるようです。スコセッシが寄せるNYへの憧憬がよくわかりますね。そして街に流れる音楽が印象的。耳に着いてはなれません。 7点(2003-12-12 22:39:53) |
12. ラストエンペラー/オリジナル全長版
美術も時代考証も完璧かと思いきや、中国の人から見たら噴飯物らしいのですが・・・いや、わからないものですね。教授の音楽が本当に素晴らしい。 7点(2003-12-12 16:19:46) |
13. ニュー・シネマ・パラダイス/3時間完全オリジナル版
こういうセンチな感覚って日本人ならすんなり受け入れられたのだが、欧州人にも通じるものだったのかというのが、最初の印象。この映画には悪人がひとりも出てこない。皆それぞれの小さな人生を精一杯生きている。観た後ちょっと切なくて嬉しくなる作品です。 8点(2003-12-12 15:50:38) |
14. ニキータ
ベッソンの暴力描写って凶暴、冷酷、スタイリッシュ。ハリウッドの予定調和な暴力とは異質。役者もクセ者揃いでした。ただ、結構重いので、何度も観たい気にはならないかな。 9点(2003-12-12 15:47:46) |
15. ダーク・ブルー
地味だけどいい。飛行機の戦闘シーンはCG使いまくりだけどセンスがよいので許す。 8点(2003-12-12 13:03:46) |
16. ゾンビ/ダリオ・アルジェント監修版
ゾンビ、トラウマです。どんなホラー映画より恐ろしい。 9点(2003-12-12 13:01:44) |
17. グラン・ブルー/グレート・ブルー完全版
主人公の静かでストイックな生き方に惚れました。 8点(2003-12-12 12:02:09) |
18. オルカ
初めて劇場で観た映画だったと思う。これ、「ジョーズ」のあとにつくられたものだと思いますが、結構暗い物語なんですね。 8点(2003-12-12 11:40:02) |
19. 海の上のピアニスト
港に接岸した時にいくらでも下りれるのに、と話を台無しにするようなことを考えてしまいました・・・設定に無理を感じてしまい、感情移入できなかった。 5点(2003-12-12 11:30:13) |