1. 麦の穂をゆらす風
メインテーマは「昨日の友(兄弟)は今日の敵」?しかし、兄弟らしいエピソードはほとんど描かれないので、よっぽど想像力をたくましくしないと、あのエンディングは理解できません。感動したくてしょうがないときに観たのなら、それも出来たかもしれませんが、落ち着いて普通に観てしまったので、ありきたりの悲劇的展開に頼って盛り上げたつもりになってるだけの、失敗作であることがよく分かりました。観客が勝手にドラマを想像しなきゃいけないようじゃ、映画としては完成してないと思うのです。 [DVD(字幕)] 3点(2008-03-02 02:11:50) |
2. ロミオとジュリエット(1968)
これはストーリーや登場人物中心に観る映画ではないと思います。舞台演出の雰囲気を保ちつつ、かつ、舞台では表現できない映画ならではの奥行きのある動きを使って、今やベタとしか言いようのない単純な物語を、まさに映画的に表現することに成功していると思います。バルコニーのシーンの上下の移動や、毒を飲むシーンのアップの使い方なんかに監督の工夫が強く出ていて、それだけでも楽しめます。出会いの舞踏会のシーンで、カメラ中心にぐるぐる回るカットもおもしろいし、ずっと後になって、「タイタニック」のダンスシーンに使われていて、ちょっとうれしかったです。 [地上波(字幕)] 9点(2007-11-11 09:10:36) |
3. 大列車作戦
フランケンハイマーは、こういう「足」を使ったアクション映画を作らせると、ほんとうまいですね。フルスピードのカーチェイスも、ミサイルばりばりの空中戦もなくて、トロトロ走ってるだけの汽車と、ひたすら走って追い続けるランカスターぐらいしか出てこないけど、逆にリアルなスピード感に満ちていて、なんとかして列車の進行を遅らせないといけないという状況を実時間で体験しているような不思議な迫力があります。今作ったら、派手なぶち壊しアクションと比べて、地味すぎて、客受けしないと思いますが、古典として充分楽しめると思います。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2007-06-16 02:15:22)(良:2票) |
4. ホテル・ルワンダ
《ネタバレ》 主人公をヒーローとして扱っているけど、その行動のほとんどが身内のためのものなので、ひどくギャップを感じました。ラスト、逃げる人で一杯のバスを止めてまでして姪っこを助けに行くシーン、感動的な場面で終わらせたかったのかもしれないですが、とても利己的な行動に見えてしまって、興ざめでした。無理してドラマを作らなくてもいいから、ドキュメンタリー調にまとめたほうがいい作品になったのに、と残念です。密告しにいく悪役のホテルマンのキャラクタにも無理がありましたね。映画としての出来も、「キリング・フィールド」や「遠い夜明け」のような印象的な演出はなかったです。 [DVD(字幕)] 5点(2007-06-02 18:41:16)(良:1票) |
5. ドクトル・ジバゴ(1965)
わくわくするとか、ドキドキするとか、夢中になるとか、そういう刺激のある映画ではないのですが、描かれる時間の長さと風景の美しさに身をゆだねる感覚で観たら、長編小説を読みきったときのような、すっきりした気分を味わうことができました。小説を原作にしてるんだから、当たり前か?。大河ドラマとしては、傑作だと思います。しかし、もっと濃い人間ドラマの好きな人には、薄味気味で、退屈な作品かもしれないです。ラストの、ダムの放水シーンの、力強いイメージも、大河ドラマのエンディングとして、最高のアイデアだと思いました。 [ビデオ(字幕)] 8点(2007-02-25 11:30:26) |