1. アンナとシャム王
アイリーン・ダン、ゲイル・ソンダーガード、リンダ・ダーネル・リー・J・コップの名演もさることながら、傲慢な中に見え隠れする孤独に負けまいとする王としての矜持を見せたレックス・ハリソンの一挙手一投足に見惚れました。男と女の友情を貫いた重厚な物語で、リメイク版より断然こちらであります。 [インターネット(字幕)] 8点(2023-01-21 03:30:34) |
2. 哀愁
《ネタバレ》 マジマジと見惚れる男前ロバート・テイラーの押しの強さで迫る姿は、絵空事として日常を忘れさせて貰えます。 一方で大金持ち一族のボンボンの無神経さに白ける部分も。結局は家柄第一が透けて見える母と叔父の物わかりの良さにも何だかなぁ・・・ 愛するということはその人のする事も含めて愛する・・・山本有三作品にあったのですが。 心ならずも娼婦に身をやつしてしまったのを知った彼はそこで彼女を諦めたのでしょうか。 キティに胸熱にさせられたものの後味悪さにグッタリな作品です。 [インターネット(字幕)] 6点(2022-09-23 18:47:30) |
3. 安城家の舞踏会
華族制度廃止をリアルタイムで尚且つ終戦直後に豪華キャストで豪華セット装飾に驚き。財産税で没落してゆく安城家、新興成金親娘、元運転手の会社社長。各人思惑が生々しく迫ってきます。浮世離れした安城家の面々で長男を演ずる森雅之さんの不安に蓋をして斜に構える言動が絶品。いつの間にか無くなってしまったたおやかで美しい日本語が印象的。育ちの善し悪しがあっても自分の価値観に従って生きる事に考えが及びました。秀作です。 [インターネット(邦画)] 8点(2022-05-13 14:40:08) |
4. 悪魔の美しさ
「ファウスト」未読。覇権主義への皮肉な視線も垣間見えるなかなかに重苦しい話でありながら名優ミシェル・シモンの怪演に楽しませて貰えました。互角に渡り合う27歳ジェラール・フィリップは天才ぶりを改めて実感するところ。結末の肩透かし感が物足りないものの、見応えがあった夢の共演に大満足の作品。 [DVD(字幕)] 8点(2021-09-27 09:22:17) |
5. 青い戦慄
《ネタバレ》 レイモンド・チャンドラー書き下ろし脚本でのアラン・ラッド主演に寄せた期待は、ヘレンの性悪さに膨れ上がったのですが、彼女の死以降の酔いが醒めるのが早い事と言ったら。グダグダな脚本&グズグズな主役二人の台詞回しに違う意味での戦慄を覚えました。鑑賞後に知ったやっつけ仕事のような製作も納得の愚作。残念。 [DVD(字幕)] 3点(2021-09-05 01:44:20) |
6. 愛憎の曲
《ネタバレ》 クロード・レインズ、ベティ・デイヴィス、ポール・ヘンリード共演。作曲家・大指揮者・大富豪・美食家と彼の教え子であり愛人であるピアニストと彼女の昔の恋人で戦争で行方不明になったチェリストの三角関係大愛憎劇。誇り高く粋で気品に満ち満ちた体面を保ちながらこれ以上は無いと言える底意地悪さで二人に憎悪をぶつけるレインズ。単に情けない男も彼が演ずると肩入れしてしまうのは贔屓目なのでしょう。レストランオーダーシーンを始めとして流石のデイヴィスも呑まれています。 素っ頓狂で恐縮ですが、 昭和56年暮れのザ・シーク vs タイガー・ジェットシン一騎打ちが浮かびました。入場シーンからワクワクし、シンがあっという間に大流血させられ、初めて見た必死な形相で反撃し最後は勝利を収めるも、始終押されっぱなしで感じた格下感が信じられなかった記憶が残っています。 こんな二人の間に入ったポール・ヘンリードが負けじと熱演していますが、空回り感が強い浅い人物像で、レインズ完敗の結末も併せて残念なところです。しかしながら、同じく3人共演の「情熱の航路」での毒にも薬にもならないキャラとは違い、毒々しさが見応えたっぷりで、デトロイトの帝王ならぬ元祖無冠の帝王クロード・レインズの貫禄に魅入った秀作です。 [DVD(字幕)] 8点(2021-06-10 01:11:22) |
7. 暁の勝利
ナチスに占領されたノルウェー漁村民抵抗運動が描かれています。戦意高揚ものにしては脚本及び演出並びにポール・ムニの燃えたぎる姿がおとなしめで盛り上がりきれないもどかしさがありました。クレジットにあったリリアン・ギッシュは1回目では見つけられず、2回目でらしき人に確信が持てず調べて、3回目で確認が取れました。こういう時にDVDのありがたさを感じます。 [DVD(字幕)] 5点(2021-05-23 00:38:06)(良:1票) |
8. アンナ・カレニナ(1948)
1935年版鑑賞済ですが粗方忘れています。グレタ・ガルボとは違ってヴィヴィアン・リーのアンナは華に欠け身勝手にも程がある不倫女のイヤな部分のみ強調されて萎えます。アンナの浅はかさを浮かび上がらせるカレーニンとキティの描写に加点。 [DVD(字幕)] 3点(2021-04-13 04:18:34)(良:1票) |
9. 赤い手のグッピー
木に登って行くトンカンがやるせない。(+5点) 狭量な一族のやり取りをダラダラ見せられてぐったりしました。 [DVD(字幕)] 5点(2020-09-29 12:28:06) |
10. 青空に踊る
WW2中、撃墜王アステア10日間休暇中の束の間のロマンス。一目惚れしてからの展開は時間が無いとはいえサイコパスなストーカーにしか見えなくてイライラ「早く踊って!」ダンスシーンではアステアに付いていってるジョーン・レスリーに目を奪われる。18歳とは到底思えない成熟な姿を見せる彼女にプラス2点。戦意高揚モノとして「ヤンキー・ドゥードゥル・ダンディ」程に突き抜けた感は無い。ロバート・ライアン共演に「ラッキー♪」喜んだものの全く当たり障りのないキャラクター。全てに亘って程々でこじんまりした作品。 [インターネット(字幕)] 6点(2020-08-10 11:46:21) |
11. 赤い靴(1948)
《ネタバレ》 「第七のヴェール」「ある日どこかで」が思い浮かぶボリス・レルモントフ。彼にとってヴィクトリア・ペイジは自身理想のバレエを体現してくれるペットと言うかロボット(適切な言葉が浮かばない)であって、彼女が人間らしい愛情を持つことに憤怒する。バレエ以外愛せない男を演じるアントン・ウォルブルックは絶品でありました。「赤い靴」バレエシーンはダンサーの魅力と映画ならではの映像表現が相まって息を呑む素晴らしさ。物語そのものが「赤い靴」であった最期の「靴を脱がせて・・・」が何ともやりきれない。傑作です。 [DVD(字幕)] 9点(2019-07-28 19:49:35) |
12. 暗黒への転落
《ネタバレ》 警官殺しの裁判劇と弁護士アンドリュー・モートンと被告ニック・ロマノの過去の回想シーンのメリハリの効いた展開に引き込まれる。顔に大きな傷のある検事がボギーに劣らぬ存在感で尋問模様は手に汗握る。スターに花を持たせるのだろうと思ったのがまさかの結末。彼の男気ある粋な物言いに見惚れるも最後の大演説には不同意。何発も銃弾を撃ち込まれた警官にも家族はいるのです。 エマという最良の伴侶が居ながら、負けん気が無く辛抱が出来ない被告の性根が原因であり、エマの棺が運び出されるのを遠くから見送る彼に腸が煮えくり返る「お前もそこから飛び降りて命を絶て」 真っ当に平凡に生きる事の値打ちを思い知らされる秀作。 [DVD(字幕)] 7点(2018-02-24 22:31:36) |
13. 悪魔が夜来る
《ネタバレ》 悪魔の手下であるジルとドミニクにあっさり籠絡されるアンヌ、ルノー、ユーグ公を白けた目で観ていたのが、中盤で悪魔がお出ましになってからは物語に一気に引き込まれる。この悪魔はどことなく品があり雄弁だが語る内容は傍若無人で全能の魔力で他人を支配出来るとふんぞり返る。ジュール・ベリーの厭らしさに満ち溢れる演技が素晴らしい。「従順でない者には我慢ならぬ!」(ヒトラーも同様の台詞を吐いていたのだろう)と言いなりにならないジルとアンヌを石像に変えてしまうものの二つの石像からは鼓動が聞こえる。1942年当時のナチスに支配されたフランスで亡命せずに作り上げた監督のフランス人としての矜持に脱帽。 [DVD(字幕)] 9点(2018-01-27 12:15:39) |