1. アイ,ロボット
ドタバタした近未来物かと思っていたが、内容は意外にシリアスで好印象。構成もよくまとまっておりCGをふんだんに使っているものの思ったより違和感は無かった。しかし全体的にこじんまりとした作品になってしまった感がある。これといった目新しさも無ければ魂を揺さぶるような感動もなく、物足りなさが残る。鑑賞後にじんわりとロボットのありかたについて考えさせられたけれども……。アクション的にはやや迫力不足か。ウィルスミスを襲うロボットの数は多いがひとつひとつが弱いため、悪い意味で安心して観られた。そしてロボットの人間化という面では嫌でも「ターミネーター」と比べてしまうのも否めない。メッセージ性ではあちらのほうが上だが、リアリズムは今作のほうが上。(あちらが核戦争をキーワードにしているのに対し、今作はロボット三原則をキーワードにしているからであろう)全体的に作品としてはよくまとまっているのだが、新鮮味は無い。ウィルスミスのファンにとっては満足のいく出来であろう。 7点(2004-10-04 21:41:44) |
2. アイデン&ティティ
これは観る者を非常に選んでしまう作品だろう。或る者には陳腐な青春群像劇としか映らないだろうし、また或る者にとっては共感を呼びノスタルジーに浸らせ、涙を誘うパワーがある。つまりは今から約十数年前に起こった空前のバンドブームに対するオマージュ作品なのである。当時とある深夜番組でバンドの勝ち抜きコンテストが行われていた。これをきっかけに、バンドブームが日本中に巻き起こった。当時十代・二十代だった若者は誰もが何かしらの形で熱をあげていたものである。(これは作中にもちらりと登場するビデオ画像、友情出演者、はたまたコメントを寄せた人間たちのリストを見れば、この番組がいかにとてつもない影響力をもっていたかが窺える)しかしブームというものはどんなものでもいつかは終焉を迎える。いいようにメディアに利用され、利用価値がなくなった途端捨てられたバンドマンたちは一体どれぐらいいるのだろうか? ただの一ファンだった私ですらそう思うのだから、当人たちは胸が痛くて見ていられないだろう。もしくは「あんな頃もあったな」と笑っていえるのだろうか? ロックとはそもそも反骨精神に満ちた音楽だった。それが商業化され、ビジネスとなった時、ロックの精神は死滅する。同時にロックを愛する者のアイデンティティはぐらぐらと揺らいでいく。真のロックとは何なのか? それをこの映画はスピードウェイという架空のバンドを通し、我々に訴えているのである。軽いようで奥の深い作品。構成面ではややダレる部分があるものの、かつてのバンドブームが思い出の一部である者にとっては忘れ難い一作となるやに違いない。 8点(2004-08-29 23:55:38) |
3. 愛の選択
ラブストーリーとしてではなく、闘病生活や関わる周囲の人間たちが織り成すシリアスな人間ドラマとしての記憶が鮮明に残っている。気楽な気持ちで観始めると一気にどん底に落とされるような作品。悲劇的な話が好きな人にはお薦めではあるが、個人的にはいまいち男が身勝手に思えて仕方が無かった。ジュリアの苦悩は伝わってくるのだが。 5点(2004-02-02 19:48:59) |
4. アルマゲドン(1998)
《ネタバレ》 わかりやすいパニック感動映画で、泣かせようと意図しているであろうブルースウィルスがベンに別れを告げる場面でやはり泣いてしまう。泣くまいと思っているだけに悔しく、また最後戻ってきたベンとリブタイラーが抱擁しあう場面も出来すぎだと思いつつも泣かされてしまう。よくよく考えるとストーリーは無謀だし突っ込みたいところもたくさんあるのだが、娯楽という面ではさすが大作というだけのことはあって演出方法は一級である。主題歌の楽曲の良さに救われている部分もなきにしもあらず。 6点(2004-01-27 18:42:57) |
5. あずみ
人物描写が薄すぎる。よってせっかくの見せ場である仲間が死んでいく場面にも感情移入しづらい。アクションで評価された監督だが、そのアクションもいまいち迫力が伝わってこないのが残念。そしてさらに残念なのは映像である。CGの使い方が悪い。視点が変わるカメラワークもこちらを混乱させるだけで斬新とはいえ映画にとってはマイナス要素。ギャグも中途半端で何が言いたいのかまったく伝わってこない。原作を知らない私ですらこう思うのだから、原作ファンが観たら憤慨するのも容易に納得できるわけである。キャスト陣の演技力もバラバラで統一されていないように感じた。特に主演である筈の上戸彩は完全に美女丸(オダギリジョー)とやえ(岡本あや)に食われてしまっている。ただ冒頭からいきなり友人を殺さなければならないという展開を用意している為、二時間半という長さであるわりには話のテンポは良い。 4点(2004-01-23 16:47:10) |
6. 青の炎
主演二人の演技力については期待していなかったが、これがなかなかどうして奮闘している。私は原作も知っているが映画は映像ならではの良さが生かされていたと思う。完全犯罪を狙う高校生という設定だけを見ると安易なサスペンス物と捉えがちだが、この作品が一線を画しているのは主人公の根本にあるのが家族愛だからである。家族の為に犯罪を犯し、家族の為に命を捨てる。原作で終始流れていたそのテーマは映画化されても失われていない。キャストがアイドルだからといって侮ってはいけないことを見事に証明した作品だ。一見の価値はある。 7点(2004-01-23 16:31:49) |
7. 青い春
まさに青春である。青い春である。暴力高校という一般的には馴染みの薄い設定であるが、その裏に隠されているのは将来への不安、現実での葛藤という十代なら誰しもが抱える鬱憤の日々である。それを象徴的に表しているのが主題歌だ。ロックとはそもそも世の中に対する自己主張を表現する手段だった。それらが融合し観た者に深い感動を与えてくれる(私は特別ミッシエルガンエレファントのファンというわけではないが)。音楽と映像が見事にマッチした秀作。刹那さが心地よい傑作である。 9点(2004-01-23 16:19:02) |