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1.  アタメ
オレンジとブルーのへんてこりんな色の組み合わされる世界。そのようにへんてこりんに進んでハッピーエンドになるってのがすごい。『コレクター』のように主人公の不気味さを見せ付けるのではなく、作者は主人公の夢を完成させてやるの。ヒロインの恐怖には関心がなく、主人公の愛の情熱に加担していく。彼の夢は「家庭を作りたい」が第一で、「女がほしい」じゃないんだよね。良き父親になりたいの。処方箋を書いてもらうとこで、子どもをあやしたりする。彼、孤独なんだけど「おれは孤独なんだっ」ってたぐいの自己憐憫がまったく感じられない。「おれは今一人だ、だから家庭を作ろう、そうだ、あの女優がいい」と論理的に・しかしあくまで一次方程式の単純さでつながっていく。縛らなくたっていいとおもうんだけど、情熱を表現したいのかな。歩く人の中をツーッと滑っていく人がいる、あの奇妙な感じ、けっこうこの監督のタッチと合っている。姉の歌とバックコーラスもいい。「この主人公、愛することに不器用で」ってんじゃなく、「愛ってこういうもんでしょ」と作者は確信しているみたい。困ったものである。
[映画館(字幕)] 7点(2013-12-14 09:59:24)
2.  秋のミルク
ドイツ版「おしん」。でもドイツは厳しい。旦那の叔母さんてのが憎々しいいじめ役で、この人ラスト近くで「ごくろうさんだったね」という一言があって和解する感動の一幕が来るぞ、と思ってたら、なかった。旦那に追い出されて終わり。グリムに出てくる悪いおばあさんだった。ヒロインがだんだんたくましくなっていく物語。母の死を回想し、これからはお前が母親だ、という言葉を思い起こすと奮起する。ナチの高官にも食ってかかる。政治的反感ではなく、生活レベルでの・自分の人生を良くしようとする態度。これは強い。ナチズム下の一般大衆の描写。外に高官が来てみんなが敬礼しているときに主人公がケーキなんか食べてると、店のおばさんが非難がましくヒットラーの演説流してるラジオの音量を上げる。ドイツ農家の暮らしってのが分かって、男や老人が威張ってるのは日本「おしん」と似てる。カッコーワルツのひなびた味わい。ちょっと愚痴っぽかったけど、愚痴のない庶民の暮らしなんて古今東西なかっただろう。
[映画館(字幕)] 6点(2013-08-28 09:33:39)
3.  アマデウス
舞台だと日本人が日本語であちらの芝居をやってても気にならないのに、映画だと同じ西洋人がやってるのにヨーロッパ言語であるべきところが英語だと気になってしまうことがある(気にならないときもあるんだ)。フィルムの記録性に対する信頼がどこかに残ってるのかなあ。本作のモーツァルトやコンスタンツェのしぐさや口跡なんか、意図してアメリカ風にしてたんじゃないか(『ヘアー』のヒッピー?)。現代アメリカとの対比みたいな狙い。亡命者の視線がどうしても出てしまい、それが作品をややしぼめていた気がする。「神の悪意」というテーマだけで面白いんだから。サリエリを少年時代から回顧したのは良く、モーツァルトの楽譜を見たときのショックが生きた。面白かったところ。医師がアイネクライネをサリエリの作曲かと思ってホッとして口ずさむとこ。空中ブランコや馬が壁破って出てくる「ドン・ジョバンニ」の舞台。俗と聖の関係を一番単純にやってたのは、義母ががみがみ怒鳴ってるのが「魔笛」の夜の女王のアリアになっていくところ。精神病院好きの監督だ。今回は神による拘禁からの自由ということか。
[映画館(字幕)] 7点(2013-05-10 09:57:46)
4.  愛に関する短いフィルム
愛というよりも、恋うこと。窓と窓との距離を往復する互いの関心。限度を越えて関心を持ってしまうこと。見てるだけじゃなく、電話機を通して関わる。見てるだけじゃ我慢できなくて、自分を隠したまま、自分が彼女に作用しているところを見たがる(まるで『裏窓』だね)。次に慰めたくなり、ともう隠れていられないから、出てっちゃう。女のほうは「見せる」のね。ベッドを動かして。そうやって関わりあったものの、「キスしたいの? 寝たいの?」に答えられない青年。だって彼の頭にあるのは「関心」なのであって、一緒にアイスクリーム食べられりゃそれでいい。愛とは覗き合うことなのか、窓と窓との距離がないと、愛は生まれないのか。
[映画館(字幕)] 7点(2013-04-21 09:48:58)
5.  暗室
黄色が美しい。ローソクの灯だったりラストの夕焼けだったり、ドローンとした感じで浦山的でない色だと思うんだけど、終わりで強引に木村理恵が「姉」になってしまうとこが、浦山だなあ。木村理恵は『青春の門』の大竹しのぶの、さらには『キューポラのある街』の吉永小百合の末裔だろう。けっきょくこの監督は、娘さんをああいう田園に置いて明るい光の中で「姉」にしたいんだ。この監督は日本では珍しく前向きの人を描いても嫌味にならないという特技があるんだけど、それが徹底的に後ろ向きの吉行文学をやるというところに興味があった。で結論としては合わずに失敗だったと思うが、部分的には面白い効果になっていた。自分に子どもができることの恐怖を吉行はあくまで主人公の男の側から描くけど、浦山は女の側からの視点も加える。原作ではまったくの他者であった女が、映画では適度に主観を傾けられ得る存在になっている。葬式のあとの海辺で自殺の話をしてると、突如妻が走り抜けていくシーン。自分は絶望してても自殺しないが、そういう生き方があたりに死を振り撒いてしまうという逆説か。松村禎三の音楽、どこか尺八に通じていくようなフルートの低音の野太い響きがいい。
[映画館(邦画)] 5点(2012-11-28 10:21:01)
6.  青い夜明け
アイルランドの田園風景、海岸なんかほとんど『ライアンの娘』のまんま。日傘の代わりに帽子が飛んだ。このヒロインのハッキリした眉毛に記憶があるんだけどなんだったかな(『おかえりなさい、リリアン』?)。ちょっと気の強い感じ。憧れのヒュー・グラントは伯母の評によると「美男だけど内容はカラッポ」で、気の毒だがハマってる。メイドがダニー・アイエロそっくりで笑える。平穏なときが終わる予感。やがてこの家も売られることになってて、こういう没落感に敏感なのがあちら英国の映画。そうなるとA・ホプキンスだ。革命家でありつつどこかウンザリしかけてるところもあって、投げやり。彼を通して、政治や暴力、圧政や民族主義やなんかがぶつかりあう、歴史がきしんでいる「現代」に出会っていくわけ。ちょっと人物の配置がはっきりし過ぎてたか。
[映画館(字幕)] 6点(2012-04-20 09:58:04)
7.  アメリカ
横顔の映画。体全部が真横を向いている(おもに左)。顔の半分が見えていないことによる膨らみと言うか、かえって内面への興味をそそられる。また視線の方向は分かるが、相手との距離感が分からない(見えてる目玉が一個なので)。そして原則として相手は同一画面に収まらない。だもんで人物間の距離感覚がひどく曖昧になってしまう。あのように真横だと永遠に平行線が引き伸ばされていく感じで、「相手」が漠然と霧散していくような取りとめのなさが満ちてくる。この原作はそもそも「本人がまったく望まないのに人間関係のごたごたを招き寄せてしまう喜劇」という一面がある。映画ではその他人たちが曖昧になっていくところに、この監督なりの解釈があるのだろう。エレベーターボーイのエピソードが一番面白かったか、だんだん抜き差しならなくなっていく感じ。警官もタクシーの運ちゃんもポスターもすべてドイツ語のアメリカ。ラストは延々と湖の脇を走る抜けていく車窓シーン、汽笛とともにクレジットタイトルが入ってくる。
[映画館(字幕)] 7点(2011-05-14 09:43:38)(良:1票)
8.  アラビアのロレンス 完全版
前半に比べて、後半がどうも弱い。長いからこっちが疲れちゃうのかもしれない。『風と共に去りぬ』も、後半が駄目だった。でもあれは、原作がそもそも後半、南部歴史修正主義者の信念吐露みたいなものが入り込んできて気色悪いんだけど、こっちはどちらかというと後半のほうがロレンスの屈折に焦点が当たり、ドラマとしては面白くなれるはずだった。その屈折が映画としてうまく膨らんでくれてない気がする。というより前半が良すぎたのか。前半の「清潔な砂漠」の魅惑と脅威を描いては、絶品である。ロレンスが、これに魅せられたのが映像だけで納得できる。飛砂の舞いとなだらかな造形の妙。一度足跡つけてNG出しちゃうと、撮り直しするのが大変だっただろうなあ。それと砂漠の奥の深さの描写。オマー・シャリフの登場シーンを筆頭に、「果てしのなさ」を二次元でちゃんと描けている。3Dは、いらない(『戦場にかける橋』のジャングルや『ライアンの娘』の海のように、人間の愛憎を凌駕していく大自然を描くと天才的な監督)。シナリオも丁寧で、マッチを吹き消すとこや、こだまの反響なぞ、いい。後半では、そういうシナリオの綾が、あまりなかった気がする。
[DVD(字幕)] 8点(2010-10-23 09:59:23)
9.  アメリカの伯父さん
生物学者がネズミを例にひいて「状況を把握できないことが苦悩だ」と言う。しかしその「状況を把握できないで苦悩するネズミ」を、上から客観的に観察すると、それは滑稽に見える。この苦悩と滑稽の絡みあいこそが人生、ってことかしらん。映画の大枠だけみると、安全地帯から観察しているものの無責任さや上品ぶった語り口が想像され、フランス映画お得意のおすましした世界だな、と思われるかもしれないが、でもそこはかとないしみじみした情感も感じられるところが悪くない。島で再会する場面、当人たちにしてはひどく厳粛、それをネズミの類型を通して一度滑稽に転化し、そのネズミがまた人間に戻ってくると、滑稽を含めた人間の営みがより大きな厳粛さの中に吸い込まれていくような、宗教的な悟りとは別ものだけど、ある種の安定した人生観が見えてくる。行動心理学でとりあえず説明しようとし、でもそれで割り切れない部分にいとおしさを感じさせるような、そんな映画。
[映画館(字幕)] 7点(2008-01-06 12:26:33)
10.  アシク・ケリブ
悪口で言うのではなく紙芝居のような映画。絵本のような映画。次にどんな絵が出てくるかワクワクしながら見るおとぎ話だ。石になる果物。グルグルまわる虎の首。芸術は様式性が強くなると、洗練され繊細な感覚になって原初の生命力から遠ざかってしまうことが多いのだが(モダンジャズがアフリカの民俗音楽から遠ざかってしまったように)、この監督は、断固アカヌケてやらないぞ、と決意してるみたいで、土ぼこりの匂いを残しつつコッテリした中央アジアの様式性を展開する。奇跡のよう。ときに使われる広々としたロングショットは、堂々と天に突き抜け、輝いてまぶしい。
[映画館(字幕)] 8点(2007-11-13 12:13:21)(良:1票)
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