1. アバター(2009)
《ネタバレ》 まず私は、「日本語吹替え」は洋画本来のクオリティーを損なう要因と考えている性質で。しかし本作は字幕を追うのがもったいない。あの映像美プラス3D効果で“アトラクション感覚”で見るのがベストかと。持ち上げといてなんだが、娯楽溢れる日本人なら特に、ファンタジーなパンドラの世界観やそのグラフィックはそう珍しいものではないと思える。当時だったからこそだが、タイタニックの全景を俯瞰で舐めるシーンのが感動を覚えた(煽る音楽も良かったし)。パンドラやナヴィよりも、軍の装備や設備の人との合成、動きのリアリティーのがすごい。また、最初のインパクトだけで特に3Dに拘る必要はなかったかと(眼鏡の上から更にあの3D眼鏡は…扱い辛く気が散るし)。一番残念だったのは根幹のストーリーで。新しい世界(まあ資源だが)を求めて、原住民の尊厳と自然を踏みにじる人間、そこに疑問を覚えた主人公達…映像でごまかしているが、内容はとってもありがち。絶対悪として人間を描いてはつまらんです…ファーストガンダムを見ろ!譲れない各々の正義は必ずあるんだから。ラスボス扱いであの大佐の横暴ぶりはとにかく最悪。もはや個人のエゴを貫くための闘いに成り下がった。更に、文明の利器を微妙に使用して闘うナヴィ側の主人公達とか…。大きなテーマが曇ってしまった。個人的には、期待通り強い女性役にハマるミシェル・ロドリゲスの散り様に1点。“画的”には素晴らしい作品である事は間違いない。しかし簡単に高い評価は付けたくない。惜しい…もっと高みを望みたい作品です。 [映画館(吹替)] 8点(2010-01-06 16:29:31) |