1. アリス・イン・ワンダーランド
“アム”と“アリス”の神隠し。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2014-10-12 01:06:09) |
2. アナザー・カントリー
《ネタバレ》 1984年公開のイギリス映画。まったくの予備知識なしに見始めたら亡命者っぽいジジイの回想から突如として繰り広げられる薔薇展開に唖然。基本的には1930年代のパブリックスクールの寮生活におけるエリート学生達の人間模様を描いた内容なのだが、公開当時には英国男子萌えの腐女子の皆様方がキャーキャー騒ぎ立てたという伝説的なBL作品でもあるらしい。更に主人公のモデルはのちに「ケンブリッジ・ファイブ」と呼ばれる旧ソ連に仕えた実在のスパイの一人であり、2011年のサスペンス映画『裏切りのサーカス』の前日譚的な話でもあるという事をあとで知ってびっくりした(その両作ともにコリン・ファースが結構重要な役回りでキャスティングされているのは偶然ではないのかも)。主人公達は同性愛や共産主義といった「異端者」である事を理由に寮内におけるポスト争いからパージされ、それを契機に更に革新思想にのめり込むようになった彼等はやがて祖国を裏切るスパイへと身をやつしていく。そこには上流階級出身でかつ性的マイノリティであるというコンプレックスが根底にあったという事なのかな。全英を震撼させたスパイ疑獄事件にこんなホモホモしい背景があったとは…いやーとても勉強になりました。 [CS・衛星(字幕)] 5点(2014-09-07 17:50:01) |
3. 愛する人
《ネタバレ》 「女性のための映画」である事を知りつつ相性悪そうだなぁと思いながらも観賞。でも蓋を開けてみると、“女が「産む機械」なら男なんて「種付け機械」じゃない!”と罵倒されている気分ながらも、ジェンダーフリーやら養子縁組制度やらについて色々と考えさせられる良い映画ではあった。特に序盤における登場人物達がぶつ切りで描かれていく群像劇のような印象から一転、中盤以降から様々な形の親子関係を通じて人々の間に「縁」が出来てゆく展開はお見事。ただ、主人公母娘の微妙に露悪的な立ち振る舞いにはなかなか肩入れができなかったなぁ。なんか恵まれない自身の境遇を周囲の人間に八つ当たってるだけみたいに見えて、その辺りにフェミニズムの一番めんどくさい部分を垣間見てしまった気がする。あと、『愛する人』っていう邦題もちょっと軽すぎる感じがするので、ここは原題通り『母と子(Mother and Child)』で良かったんじゃないかなぁ。せっかく良いテーマを扱ってるのにもったいないと思った。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2014-01-08 20:21:22) |
4. 悪人
《ネタバレ》 九州の片田舎で暮らす無口で不器用な土木作業員が、出会い系サイトで知り合った保険会社のOLを痴情のもつれから殺してしまい、同じく出会い系サイトで知り合った紳士服店に勤める内気な女店員と結託して、ゆきずりの逃避行を繰り広げるという社会派クライムサスペンスラブロマンス。まず役者の皆さんはそれぞれの持ち場で相当がんばっていると思うのだが、この映画の押し付けてくるメッセージらしきものが全くもって気に食わない。私のおしゃまなバイアスを通してこの話を要約すると、地方都市の閉塞感に耐えながら心を閉ざして生きてきた可哀想な妻夫木君は、出会い系を使った買春まがいの行為でガス抜きをやってきた中で、勢い余って小面憎い銭ゲバビッチを1人ぬっ殺しちゃったんだけど、深津さんという「大切な人」と出会って「失うもの」が出来たんだからもう悪人じゃないよね、と言っている様にしか思えないのである。そもそも「大切な人」がいなくて何が悪いのか?「失うもの」が無くて何が悪いのか?そんな人間はみんな犯罪者予備軍か人殺し以下の悪人だと言いたいのか?とんでもない暴論ではないか。余りに馬鹿馬鹿しくてテーマに関してはこれ以上触れても不毛なので、私の個人的嗜好のバイアスを通してこの話を更に要約すると、車から蹴り出された満島ひかりが鉄製のガードレールに顔面を強打するシーンの為だけに存在する映画である。愛の逃避行の行く末とか心からどうでもいい。ちなみにこの顔面強打シーンは短いのだが、角度を変えて2回出てくる所がポイント。蹴り出されるタイミングと速度、ガードレールに当たった時の音、当たった後のリアクション、どれをとっても完璧という他ない。最初に地上波で観た時に大笑いしたので、このシーン観たさにCSで録画し直して、このシーンだけを何度も巻き戻して繰り返し観ている。落ち込んだ時とかにこのシーンを観ると、鬱屈が晴れて明日もがんばろうという気分になれるのである。 [CS・衛星(邦画)] 5点(2013-01-16 14:49:48)(良:1票) |
5. 愛のメモリー
デ・パルマ先生の1976年作品。そんなに長い映画じゃないのに、諸々の既視感に悩まされて集中して観る事が出来なかった一本。私の様な思いをしたくない人は、『めまい』(アルフレッド・ヒッチコック/1958年)→本作→『オールド・ボーイ』(パク・チャヌク/2003年)の順番で観る事をお勧めします。 [CS・衛星(字幕)] 6点(2013-01-07 00:11:51) |
6. アメリカン・サイコ
《ネタバレ》 快楽殺人を夢想するヤッピーの姿を通して、バブル的な物質主義を皮肉った映画。ラストが妄想オチという事で世間の評判は芳しくないようだが、個人的には無駄に筋肉質なクリスチャン・ベールが全裸にチェーンソーで女を追いかける姿に爆笑できただけでお腹いっぱい。他にも名刺のクオリティ勝負に敗れて打ち震えるベールや、ヒューイ・ルイスのアルバム解説をしながら斧で頭を叩き割るベール、3Pしている自分の姿を鏡に写してポーズを決めるベールなどなど素敵なシーンが満載。しれっと出てくる刑事役のウィレム・デフォーも良い味を出している。サスペンスというよりコメディとして観た方が楽しめる一本。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2012-12-30 17:06:34) |
7. アバウト・シュミット
《ネタバレ》 ラスト数十秒のジャック・ニコルソンの泣き笑いの表情にすべてを語らせる映画。そこまで観てやっと、今までの約2時間がそのシーンに至るための壮大な前フリだった事に気付く。内容は一応コメディなのだが、引退したサラリーマンの悲哀がこれでもかと無様に描かれるので、微妙に暗かったり痛々しかったりして笑えない場面の方が多い。しかし、少々退屈に感じたとしても、最後まで投げ出さずに観るべきである。晩年に差し掛かっても何者にもなれず、何事も成し遂げられなかった平凡な男に訪れる、ほんのささやかな救いを。「自分の人生に意味などあるのか?」、一度でもそんな自問をした事がある人なら、人生観を変えてくれる1本にもなり得るはず。ただし、終盤に出てくるキャシー・ベイツの裸体には人生観を狂わされるくらいのインパクトがあるので要注意。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2012-12-15 00:46:06) |