1. アラフォー女子のベイビー・プラン
《ネタバレ》 恋愛の前に妊娠出産があるという逆転、しかも行為は無いのに生まれてきた子供は紛れもなく自分の遺伝子を継いでいる、という複雑な設定がまずは勝負のこの作品。普通の恋愛映画の要素をぜんぶひっくり返してやれ、ってな気概を感じる訳ですが、よくよく見てみると案外、真面目でオーソドックスな恋愛映画なのかなって気もしました。 そうですね、名作ラブコメ「恋人たちの予感」(89)の赤裸々21世紀バージョンといった感じ。長年付き合ってる親しい異性の友人が、実は運命の人だったことに気づくという、ラブコメ王道の物語でありました。そこに「精子バンク」を利用した妊娠・出産エピソードを絡めて、さらに精子の交換というアホアホな設定で笑かしてくれる。親子そっくりネタの数々もほのぼのと楽しかったですね。 主役のウォーリー(ジェイソン・ベイトマン)がただのイイ奴じゃなくて、神経質でイヤミなところがあって、ちょっと変人って感じなのが良い。そんな彼を一番理解してくれてありのままを受け入れてくれてたのがキャシー(ジェニファー・アニストン)だった訳で、まぁ、ありがちな話だけど結局、人生のパートナーは「親友」がいいんだよねって話。 子供を産んだ彼女が田舎に引っ越してしばらく疎遠になってしまったっていう、途中のエピソードが私は好きです。よくよくよくあるパターンで、「とにかく四六時中連絡取り合って、何がどうあろうともいつも一緒、だって私たちは親友だから」っていうオハナシが私は胡散臭いと思ってしまう。友達との間柄って物理的な距離で測るもんでもないと思うし、むしろお互いの不義理も承認し合えるぐらいの方が、根っこの絆は強いというかタフな関係性を保ってると思う。友達からメールの返信が半日来ないってだけでイライラしてる若い同僚を見てると、他者との距離の取り方の違いをつくづく感じてしまう昭和のオバサンです。 気がつけばラブコメ・ヒロインとしての地位を築いてきた感のあるジェニファー・アニストン。ラブコメの「女王」とまでは言わないけど、「小間使い」くらいでラブコメ宮殿に召し上げられても良いんではないでしょうか(笑)。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-28 18:51:29) |
2. あなたが寝てる間に・・・
《ネタバレ》 あ~、なんだかんだ言ってもこういう軽ぅ~いアメリカ映画が私は好きだ。ジャンクフードってやめられない。なんの栄養にもならないけど美味しいんですもん。 サンドラ・ブロックはちょっと不思議な立ち位置の女優だと思う。美人じゃないし、可愛いというのとも違う、意外にカテゴライズしにくい人。中性的と言えばいいのか、女としてというより人として魅力がある。この作品でもイイ人だけどちょっと冴えない女性という役、地味で目立たない主人公が王子様に惚れられるという少女漫画的なこの映画にはピッタリだ。 ハリウッド映画が口を酸っぱくして言ってることが「Love Conquers All」(愛はすべてに打ち勝つ)なんですが、このLoveには当然「家族愛」も入るんでしょう。この作品でもヒロインが恋をする相手の家族がやたら仲がよくて微笑ましい。ほとんどのエピソードに彼らが登場してくるので、むしろ男女の愛よりそっちの方がメインじゃね?ってくらいの勢い。ヒロインも自分の想いより彼らの気持ちを優先して行動している感じだし。なのでオハナシ自体も孤独な女性が恋によって幸せを掴むというよりは、素敵な家族を得ることでハッピーエンド、みたいに見えた。まぁ相手が今ひとつ華の無いビル・プルマンだからそれくらいのオプションは付けてもらわないとね(笑)。ピーター・ギャラガーはとんだ当て馬でお気の毒だったけど、ま、そんな役回りがお似合い。百貨店の紳士服売り場のマネキンみたいなルックスはいつ見ても笑える。よくあんな冗談みたいな眉毛を顔にのっけてられると思う。 [CS・衛星(吹替)] 7点(2017-07-28 18:25:09)(良:1票) |
3. ある日モテ期がやってきた
《ネタバレ》 良いです、良いです。ダサダサのモテない男とルックスも性格もパーフェクトな美女との格差恋愛。下ネタもドタバタもあるけど、全体的にはなかなか誠実なドラマになっていて好感持てます。 主人公カーク役のジェイ・バルチェルという子が良いですね。若い時の松潤を2~3発殴って数日食事与えないで監禁して弱らせた感じのビミョーなルックスで、物語にリアリティを与えてます。で、いつも一緒にいる悪友たちがまた良くこういう顔ぶれを揃えたなっていう面々で、見ててとっても楽しかった。職場が空港で、荷物がぐるぐる回るところ(何て言うのかな、アレ)に並んで乗っかっておしゃべりしてる絵なんて、ホノボノしてて癒される。中でも大泉洋似の子は面白かったなぁ。ホール&オーツのコピーバンドをやってたのも個人的にツボ。名曲「kiss on my list」の熱唱には感激したし、ちゃんとジョン・オーツもいたし(笑)。 男同士ってこういう会話してそうだなぁと思ったのは、「彼女は10点、お前は5点。付き合えるのは2点差まで」なんてセリフ。バンドをやってると1点加点されるらしい(苦笑)。そういうバカ話の中で、見た目は1番冴えない既婚者の男が「誰かに愛されてたら、そいつは10点満点だ!」って真面目に言うのが私は好きですね。もう、臆面もなくそういう映画なんです。「Love Conques All.」愛は全てに打ち勝つっていう、ハリウッドが100万回言ってる金科玉条。最後に女の子が気持ちを話すその内容も、ホントに臆面もない素直な愛の告白で。いやぁ、アホみたいだけどウルッときました。ディープな昭和世代にはこの直球勝負がたまらん。女の生態丸出しな元カノも、愛すべきバカ・ファミリーの皆さんもブラボーです。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-28 17:58:58)(良:1票) |
4. あなただけ今晩は
《ネタバレ》 とってもチャーミングな作品。 ひょんなことから“かわいい”娼婦イルマ(シャーリー・マクレーン)のヒモになってしまったネスター(ジャック・レモン)。愛する女を他の男が抱くなんて許せん!と、自分が金持ち爺さんに変装して彼女の上客になる・・・な~んて、こんなハチャメチャなストーリーがあり得るかと呆れるが、これがビリー・ワイルダーの手にかかると、ぶっ飛びのナンセンス・コメディもちょっと切ないラブストーリーとして見事に成立してしまう。 冒頭、パリの裏町レ・アルの市場を詳細に見せるシークエンスが、実は物語の単なる背景ではなかったり、窓にぶらさがるストッキングもネスターが持ち帰る警察の制服も後半の重要な伏線になっているなど、けっこう芸が細かい。あらぬ方向へと暴走しまくるストーリーに比して演出が緻密に組み立てられているので、内容に整合性がなくても映画としては上手くまとまっているなぁと思わせられる。実に良く出来たフィクションだなぁと感心してしまった。 なにしろ、レモン扮するネスターという男の、一途な想いと虚勢の張り方がなんとも胸に迫る。もっと素直になればいいものを無理に無理を重ねて、虚構と現実の狭間で身動きが取れなくなる、この男の姿がとても愛おしくて私は泣いてしまった。ジャック・レモンって、ホント「やせ我慢」の美学が似合う。顔で笑って心で泣いて。カッコいいってこういう事。 ラストに向けてどんどん馬鹿馬鹿しさが加速し、最後のオチなんてまさに人を食ってるけど、アハハと笑い飛ばして爽快な気分になれます。シャーリー・マクレーンの可愛らしさは言わずもがな。グリーンの下着が欲しくなったけど、あんなのどこにも売ってないよ(笑)。 [DVD(字幕)] 8点(2017-07-27 15:32:24) |
5. アントニー・ジマー
《ネタバレ》 「ツーリスト」(2010)のオリジナル版。冒頭のお御足ショットからしばらくは同じ演出で、そっくりコピーされちゃったのか?と思いきや、だんだんテンポの違いがはっきりしてきて、「ツーリスト」とは全く演出の意図が違うことが分かってきた。あちらの作品ではジョニデが屋根の上を逃げ回ったりアンジーがボートで現れちゃったりと画(え)的には派手派手ながら、どこかノンビリムードで追っかけっこも緊張感がなく、とても現代のオハナシには見えなかった。舞台もヴェネツィアだし、なにやら浮かれ観光客気分、ジョニデのすっとぼけ演技も手伝ってコメディ・タッチなところがあり、リメイクと聞いた時は古いハリウッド映画にあったかなぁ?なんて思い違いをしたものです。内容的には愉しかったけど映画としてはあまり出来が良くなかったかなぁ。あるべき画がなくてカットの繋ぎが明らかにおかしいってシーンがあったり・・・。 で、こちらの作品ではサスペンス・タッチを生真面目に演出しつつ、派手さはないものの、荒唐無稽な「映画らしい」場面展開もあり、随所でニヤリとさせられました。私が気に入った場面は、主人公が非常階段を使って逃げてた時に転んでポケットの薬をぶちまけてしまい、階段上に這いつくばってバラまかれた薬を見てると、目の前で薬が跳ね出す・・・上から追手が階段を降りてきた振動で揺れてる・・・って演出ですね。ジュラシック・パークみたい!(笑) ズバリ、この映画の肝は「こじんまり感」ですかね。非常にタイトにまとまっている。お話自体は、フィクションらしく大風呂敷広げた、いい意味でアホくさい、とっても映画らしいお話。これを、あくまでもソリッドな演出に徹して、余計なエピソードをそぎ落として(説明不足な感じもするけど)、早口で語りきって突っ込むヒマを与えない(笑)っていう、なかなかしたたかな作風が個人的には好ましかった。「ツーリスト」と観比べると、より愉しめると思います! [DVD(字幕)] 7点(2017-07-27 11:49:00) |
6. アンストッパブル(2010)
《ネタバレ》 (もしかしたら、ものすごいネタバレ) あ、しまった やべー だめだー あほう じゃ俺が止めたる 頑張れー 危ない お前いい奴じゃん よくやった。そういう映画でした。 誰かの悪意じゃなくて、うっかりミスの事故っていうのが良かったです。いや、良くないんだけど。でもさ、人間だもの。 兄貴のほうが偉大だと思ってた自分が、トニー・スコットもわりと頑固職人的な監督さんだったのねと、遅まきながら気付いた作品。ただ、画(え)がウルサイのだけはどーしても好きになれなくて、なんでそんなにカット割るのかなぁと、この度も思いました。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-26 00:22:41) |