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S&Sさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 2390
性別 男性
自己紹介 〈死ぬまでに観ておきたいカルト・ムービーたち〉

『What's Up, Tiger Lily?』(1966)
誰にも触れて欲しくない恥ずかしい過去があるものですが、ウディ・アレンにとっては記念すべき初監督作がどうもそうみたいです。実はこの映画、60年代に東宝で撮られた『国際秘密警察』シリーズの『火薬の樽』と『鍵の鍵』2作をつなぎ合わせて勝手に英語で吹き替えたという珍作中の珍作だそうです。予告編だけ観ると実にシュールで面白そうですが、どうも東宝には無断でいじったみたいで、おそらく日本でソフト化されるのは絶対ムリでまさにカルト中のカルトです。アレンの自伝でも、本作については無視はされてないけど人ごとみたいな書き方でほんの1・2行しか触れてないところは意味深です。

『華麗なる悪』(1969)
ジョン・ヒューストン監督作でも駄作のひとつなのですがパメラ・フランクリンに萌えていた中学生のときにTVで観てハマりました。ああ、もう一度観たいなあ・・・。スコットランド民謡調のテーマ・ソングは私のエバー・グリーンです。


   
 

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61.  からみ合い 《ネタバレ》 
ガンを患って余命幾ばくもない大企業のオーナー社長が、遺産を与えるかどうか判断するために三人の認知してない隠し子を部下や弁護士に捜して連れて来いと命令を下す、まるで戦国武将の跡目争いか『リア王』みたいなとても現代劇とは思えないプロットです。社長以下登場人物がみな腹黒くていわば“全員悪人”といった風情で遺産をめぐった暗闘を展開するわけですが、どう考えても社長役の山村聡がミスキャストだと思います。手当たり次第に女に手をつけて子種をまき散らす、おまけに胃を三分の二も切除して療養中なのに秘書の岸恵子を手篭めにする、と言う風に肉欲の化け物みたいな絶倫男が山村聡だなんてちょっと無理があります。ここはもっと下品で脂ぎった演技が出来る役者を使うべきだったでしょう(新東宝なら適役と言える俳優がゴロゴロいますが)。 結局三人の隠し子のうち本物だったのは一人だけだったのですが、この隠し子たちが意外なほどストーリーに絡まないところがこの映画の弱いところです。芳村真理のエピソードなぞは殺人事件に繋がってゆくんですが、これってそもそも仲代達矢の弁護士が人違いをしてしまったのが発端じゃないですか。でもその辺を上手く観客に伝えられないストーリー・テリングの拙さは観ていてもどかしくなるぐらいでした。 いかにも小林正樹らしい重厚な撮り方なんですけど、なんか物足りなさが残ってしまうんですよね。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2013-10-30 17:27:37)
62.  怪談海女幽霊 《ネタバレ》 
熱い夏には納涼映画、やっぱ怪談でしょう。そして海を舞台にしたら涼しげでいいんじゃない、そうなりゃもう海女を主人公にするっきゃない! と言うわけで『怪談海女幽霊』といったタイトルに必然的に落ちつくわけで、実に単純で判りやすい(笑) クズ映画ばかり量産していた大蔵貢時代の新東宝にあっても、怪談ものだけは一定以上の水準を保っていたのは事実でしょう。もっともそれは中川信夫が撮った怪談時代劇にだけ当てはまるセオリーで、他の監督が撮っていたのはこういうZ級レベルのゲテモノが大半だったみたいです。 新東宝怪談映画には欠かせない若杉嘉津子が出ているのに、全然活躍しないし幽霊にもならないというのはいったい監督は何を考えていたんでしょうか。と言うか、そもそもこの映画は怪談と言うよりも殺人ミステリー&復讐劇なんです。真面目に語る様なストーリーの映画ではありませんが、一段と露出度がアップした海女の水中シーンと浜辺でのキャットファイトが楽しめるので一部のファンには堪えられないでしょう。 本年はNHKで放映されている『あまちゃん』が大ヒットしてますし、ここらで久しぶりに海女映画の新作を観てみたいものです。
[CS・衛星(邦画)] 2点(2013-08-19 20:21:24)
63.  彼女を見ればわかること 《ネタバレ》 
この映画、一見するとオムニバスみたいに感じるけど実は違う。まさにそれぞれの女性の“ある視点”をつなぎ合わせたみたいなもので、それが微妙に重なり合っている部分があるというのがミソ。だからと言って話に繋がりがあるわけではないので、そこはどれだけ存在感のある女優たちを集められるかというのがカギでもある。その点では、G・クローズ、H・ハンターといった演技派を前半で投入できたのは成功でしょう。 男のくせにここまで女性目線の脚本を書くなんて大した奴だ、と思ったらこの監督、ガルシア=マルケスの息子なんですね。どうりでC・ディアスが読んでいた点字小説が『百年の孤独』だったわけですね(笑)。でもストーリー・テリングの技は偉大な親父さんにはまだまだ及ばない、もっと修行しないとね。それこそ、映像化は不可能といわれる『百年の孤独』を映画化出来るぐらいになって欲しいところです。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-07-04 19:38:10)
64.  鏡の中にある如く 《ネタバレ》 
ベルイマンの“神の不在”三部作は、トップバッターからしてもう強烈。なんせ神を深く信じるH・アンデルセンは精神異常で、壁を突き抜けて現れた神は蜘蛛の姿をしていたというんですから凄いものです。音楽の劇中での使用は最小限に抑えて、自然の物音を実に効果的に使っているのと、スウェーデンの白夜を美しく撮ったモノクロ映像がとても印象に残ります。重いテーマを扱った重苦しい映画ではありますが、ラストに明るい希望が感じられるところに救いが感じられます。
[ビデオ(字幕)] 7点(2013-04-24 22:34:54)
65.  カリフォルニア・ドールス 《ネタバレ》 
あの蓮實重彦先生に「R・アルドリッジ映画の最高峰」と言わしめた、スポ根ジャンルの隠れた傑作。男同士のどつきあいを撮らせたら天下一品だったアルドリッジの遺作が女子プロレスのどつきあいの映画になったのは何とも不思議な感じですが、本作の女闘美ファイトは『北国の帝王』でのL・マービンとA・ボーグナインが見せた死闘を、ある意味で上回る迫力です。 それにしても誰が考えついたか知らないけど、P・フォークをあのマネージャー役にキャスティングした時点で、この映画がレジェンドになることを決定づけた様なものでしょう。女レスラー二人とマネージャーの不思議な人間関係も良く描けています。敵役のタッグチーム“トレドの虎”を単なる憎まれ役としなかったのも上手いところ。このチームのマネージャーが見た目は怖いけど実はスポーツマン・シップを重んじる男だったというのも、アルドリッジ映画には欠かせないキャラです。ラストで、負けた“トレドの虎”をドールスに握手に行かせるシーンは、ちょっと感涙ものでした。
[CS・衛星(字幕)] 9点(2013-03-13 22:46:59)(良:1票)
66.  外人部隊フォスター少佐の栄光
「本邦未公開映画の隠れた傑作」などと言う噂を聞いたことがあったので、ちょっと期待しながら鑑賞。結論から言うと、TVムーヴィーとして観るならまあ合格点かなという程度でした。 どう考えても2時間30分は上映時間が必要な脚本なので、せっかくJ・ハックマンやC・ドヌーヴを起用しているのにドラマ部分がペラペラになってます。戦闘シーンだって、いくら四方から攻められたと言っても重機関銃があれば持ちこたえることができますよ。ハックマンと部下たちの確執が深まるという重要なプロットについてはこれまた中途半端な描写なんで、ラストも盛り上がらないのが残念です。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2013-03-09 23:37:13)
67.  怪談累が渕(1957) 《ネタバレ》 
脚本やプロットがちょっと狂っているケースが多い新東宝のプログラム・ピクチャーですが、怪談噺は古典が原作なので秀逸な作品が多いのです。この映画は圓朝の『真景累ヶ淵』の前半部を脚色した中川信夫の初怪談映画です。深見新左衛門に斬り殺されたあん摩宗悦の娘お累が、知らずに新左衛門の息子新吉と恋仲になります。お累は三味線のばちが当たって出来た傷が化膿して顔半分がふた目と見られない醜い姿になってしまいます。これは仇の息子と出来ちゃった娘に宗悦の怨霊が呪いをかけたと解釈してよいかと思います(なるほど、罰が当たったというわけですね、落語らしい駄洒落です)。このお累の顔のメイクがなかなか凄くて、楳図かずおの怪奇漫画に出てくるような感じです。お累はばあやから新吉の素性を知らされたうえに傷が悪化して悶死してしまうのですが、新吉は最後まで自分の親が何をしたかも知らずに物語が終わってしまうのがミソなんです。この新吉という男が絵に書いたような色男で、奉公先のお久というお嬢様からもモーションをかけられてお累を見捨ててしまいます。この噺は大村陣十郎という悪徳浪人はいますが、お累・新吉・お久の三人は特に悪いことをしたわけではないのに、三角関係のもつれからみんな死んじゃうところが哀れを誘います。お累がお久への嫉妬に苦しむさまや優柔不断な新吉のだらしなさ、怪談噺の枠を超えてドロドロした愛欲劇として観ても面白いです。新東宝ピカイチの怪談女優である若杉嘉津子の妖しいまでの美しさをご堪能ください。
[DVD(邦画)] 7点(2012-12-06 20:57:11)
68.  影武者 《ネタバレ》 
黒澤映画の中で、本作が史実の出来事をネタにした唯一の時代劇なんですね。橋本忍は脚本に参加していないので、黒澤のロマンチスト気質が濃厚な物語に仕上がっています。言い古されていますけど、勝新太郎の代わりに急遽登板した仲代達矢のあまりにオーヴァーな演技がこの映画の最大の失敗でしょう。影武者が盗人らしい下品な本性を表わすところなんか、勝新ならきっとこんな風に演るだろうなと仲代達矢も意識して苦労したんじゃないかな。皮肉にも、仲代達矢は勝新の影武者だったようなものでしょう。あとちょっと理解しがたいのは黒澤の俳優起用ポリシーで、家康役が俳優は初体験の人とは恐れ入ります。そう言えば、幻の黒澤版『トラ・トラ・トラ!』でも山本五十六に素人の一般人を使う予定だったそうですし、なんか変わってますよね。 長篠の騎馬突撃をああいう風に見せてくれたのは私には不満で、その直前までの騎馬の映像が「さすが黒澤!」と唸らせるほどだったので、余計に残念でした。 それにしても、黒澤映画は馬の映像が素晴らしい。
[DVD(邦画)] 7点(2012-09-01 22:11:52)
69.  カジュアリティーズ 《ネタバレ》 
直訳すると原題は「戦争の犠牲者」。この「犠牲者」はもちろんレイプされ殺害された女性を筆頭にしたヴェトナムの民衆たちを指しているのだが、情緒的な日本人が撮るとそこに「政治や社会のせいで戦場に来ることになってしまった」兵士たちも含めてしまうことが多い。しかしこの映画でデ・パルマは、ショーン・ペンたちの非道な行為は個々人の邪悪がなせる業であると突き放した冷徹な眼で描いているのです(たとえ群集心理的な要素があったとしても)。こういうところは、デ・パルマもキリスト教文化のもとに育った人なんだなと感じます。激しい銃撃戦のさなか、刺されて血まみれのヴェトナム女性がよたよたと橋の上を歩く姿には、十字架を背負ってゴルゴダの丘にひかれてゆくキリストの様でした。ペンのほかにもジョン・C・ライリーやジョン・レグイザモといった今をときめく曲者俳優たちが若々しくって良かったです。 『アンタッチャブル』で大成功した次になんでこんなに後味が悪い映画を撮ったんだと批判もあったそうですが、これはきっとデ・パルマの良心だったんでしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2012-04-13 23:27:47)(良:1票)
70.  川の底からこんにちは 《ネタバレ》 
“シジミのパック詰め~シジミのパック詰め~川の底からこんにちは♪”木村水産新社歌はクセになります、すっかりはまりました。力まない演出と満島ひかりが前半に乱発するまったく心がこもってない「すいません」が功を奏して(?) とっても軽い作品みたいな印象を与えるかもしれませんが、石井監督は類まれなる演出力を持っていますよ。そして出ました、満島ひかりのシャウト、ラストの「お父さん~、お母さん~」はなんかすごく良かったなあ。 それにしても骨になってもあのおばさんたちをよろめかすなんて、社長、あんたはやっぱりイイ男だったんですね(笑)。
[DVD(邦画)] 8点(2012-02-08 23:36:02)
71.  カンタベリー物語(1972) 《ネタバレ》 
『ピンク・フラミンゴ』と『ソドムの市』だけは観ないで人生を終えたいと願っている私なので、本作がパゾリーニ初体験です。それにしても、この様な映画がDVDとはいえ無修正で鑑賞できるとは日本も変わりましたねえ。公開当時に映画館で観たら、たぶんボカシと無理なトリミングだらけでわけがわからんかったでしょうね。八つのショートストーリーが語られるのですけど、それぞれのエピソードのつなぎ方がぶっきらぼうで、どこで話が終わった方がわかりにくかったですね。エピソードの中では、そりゃニネット・ダヴォリがチャップリンみたいなキャラになる第三話目が群を抜いて可笑しいのは間違いなしです。ダヴォリが唄う『四人の女神』とかいう珍妙な歌のインパクトが絶大で、いまだにあのメロディが頭に残ってますよ。ちなみに、ダヴォリが頭と手首を板に挟まれているのは中世には良くあった“晒し刑”で、斬首されるわけではないのでご安心を。あとはフランコ・チッティの無表情な悪魔や、ラストのいかにもパゾリーニらしいフルチンの赤鬼・青鬼が強烈な地獄の情景など、独特のパゾリーニ・ワールドに魅了されました。艶笑三部作の『デカメロン』『アラビアン・ナイト』も機会があれば観てみたいです。
[DVD(字幕)] 7点(2011-10-11 21:21:54)
72.  華麗なるギャツビー(1974) 《ネタバレ》 
脚本はなんとフランシス・フォード・コッポラ。時期的には『ゴッドファーザー』の後でいよいよ天下を取ろうかという絶頂期のせいか、やっつけ仕事でフィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』を脚色したみたいな出来です。コッポラの脚本ではただのメロドラマみたいで、監督のジャック・クレイトンの演出のせいもあって、尾崎紅葉の『金色夜叉』をローリング・トゥエンティのアメリカへ舞台を置き換えたみたいな感じでした。 というわけで文句ばかり垂れてしまいましたが、俳優レッドフォードとしてはギャツビーはひとつの頂点に立ったとも言えるのも確かです。ほかの男たちが汗ダラダラ流している中で、さっそうとピンクのスーツ(!) を涼しげに着こなせる俳優が他にいるでしょうか。夕暮れ時に湖畔に佇むシルエットは実に決まっていて、ギャツビーのロマンチストぶりが良く出ているショットです。街道わきにあるでっかい眼鏡だけの看板も実にシンボリックで、こういうところを見ると原作はフィッツジェラルドの傑作なんだと納得させられました。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-08-29 00:12:15)
73.  ガープの世界 《ネタバレ》 
ジョン・アーヴィングの映画化としては『ホテル・ニューハンプシャー』よりよっぽど成功していると言えるでしょう。現代アメリカ文学お得意の寓話仕立てではありますが、単純に観ればアンチ・フェミニズム映画であるのは間違いないでしょう。私には、男性として、職業作家としてロビン・ウィリアムスが母親や妻などの女性たちに翻弄されてゆく波乱万丈の人生が強烈でした。母親グレン・クローズが身ごもるエピソードは果たしてなんのメタファーなのか自分にはイマイチ理解できないのですが、冒頭とラストに出てくる赤ん坊を見ていると、人間という生物は男と女がいなければ存在できないんだなとしみじみ思いました。
[CS・衛星(字幕)] 7点(2011-07-10 23:54:51)
74.  カンザス・シティ 《ネタバレ》 
カンザス・シティが故郷のアルトマンが、彼なりの視点で懐かしい街にノスタルジーを捧げています。30年代ルーズヴェルト大統領時代のカンザス・シティはけっこう腐敗したギャングがはびこる怖い街だったみたいで、そういう場所に全米からジャズマンが集まってカウント・ベイシーやチャーリー・パーカーという偉大なジャズマンが育ったみたいです。だからアルトマンには故郷を懐旧させるのはずばりジャズとギャング、この映画には普通のノスタルジックさはなくアルトマンらしい乾いてハードボイルドな世界が展開されます。ギャングのボスはハリー・ベラフォンテ、こいつが笑えないユーモアセンスで冷酷なくせにのべつくまなくおしゃべりするのですが、ベラフォンテ、すっごい貫禄でした。ベラフォンテにチンピラの旦那を拉致されたジェニファー・ジェイソン・リーが、「毒には毒を」というわけで民主党の大物の妻ミランダ・リチャードソンを誘拐して夫を脅迫してチンピラ亭主を取り返そうとする。ベラフォンテのギャングに対抗できるのはなんと民主党が飼っているギャングだと言う発想がまた壮絶です。ボス・ベラフォンテは劇中ずっと「ヘイヘイ・クラブ」というジャズ・クラブに腰を据えているのですが、このクラブで延々と続くジャズパフォーマンスがこの映画の大きな見どころです。ジャズには疎い私ですが、製作当時の現役一流ジャズマンがカウント・ベイシーやレスター・ヤングといった面々を演じていて、中盤で見せてくれる“テナー合戦”はたしかに必見の価値ありです。狂言回しみたいなキャラでしたが、少年時代のチャーリー・パーカーも登場します。本作は『ナッシュビル』の様な音楽群像劇ではなくそれまでのアルトマンの作風とはちょっと異質なせいもあって公開当時は不評だったそうですが、私はけっこう楽しめましたよ。やっぱいちばん印象に残ったのはジェニファー・ジェイソン・リーで、神経質そうにしかめる顔は父ヴィック・モローにあまりに似ているので驚きました。
[DVD(字幕)] 7点(2011-05-19 23:53:44)
75.  カポーティ 《ネタバレ》 
わー、本作を観て昔『冷血』を読んだときに味わった衝撃がまた甦ってきました。本作をご覧になった方で未読のかたは、ぜひカポーティの『冷血』も一読されることをお奨めします、ノンフィクション小説というジャンルを開拓した文学史に永遠に残る金字塔です。映画の中でもカポーティが『冷血』を朗読すると大劇場の聴衆が凍りつくシーンがありましたが、あれは決して誇張ではないと思います。この映画のカポーティ像は、自分が『冷血』を読んで残った「ああ、カポーティはペリーと一緒に処刑されちゃったんじゃないか」という感想とまったく同じなのでびっくりしました(まさかその当時は、カポーティがそのまま新作を発表しないで亡くなるとは予想してませんでしたが)。フィリップ・シーモア・ホフマンの演技は神がかり的で今さら論じるまでもないのですが、自分はキャスリーン・キーナーのネル・ハーパー・リーがまた素晴らしかったと思います。彼女はけっこう地味でおばちゃん顔(失礼!)なのでハーパー・リーの様なキャラはピッタリだと思うんですけど。
[DVD(字幕)] 8点(2011-05-16 21:35:04)
76.  カジノ
原作が『グッド・フェローズ』と同じニコラス・ピレッジのノン・フィクションなので雰囲気が似ているところは眼をつぶりましょう。でもなんか物足りなさを感じてしまうのは、『グッド・フェローズ』と違ってデ・ニーロが最後までクールなキャラだったからでしょうか。しかし考えてみると、本作以降デ・ニーロはスコセッシ作品に出演してないのですよ。21世紀に入りディカプリオと組む様になってからのスコセッシ映画は、やっぱデ・ニーロとコンビ組んでた作品群とは全然違うと感じるファンは多いはず。もう一度スコセッシ、デ・ニーロ、ペシの顔合わせが観たいものだ、そしてそこにハーベイ・カイテルがちょこっとでも顔だしてくれたら最高でしょうね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2011-03-23 00:35:29)
77.  カフカの「城」 《ネタバレ》 
原作をむかし読んだことありますが、あまりのつまらなさに100ページももだずに投げ出した記憶があります。それをあのハネケが忠実に映画化してるのだから、覚悟を決めて鑑賞しました。意外と映像としてみればまだ判りやすいかなと思いましたが、横移動しかしないカメラには退屈を禁じえませんでした。Kの助手の一人は『ファニー・ゲーム』のあのおデブちゃんじゃないですか、などと油断していたら私にとっては驚愕のあのラストが待っていました。 こんな映画の終わり方ってあり?いくら原作が未完と言っても、こんな撮り方を考えつくのは、世界広しと言えどもミヒャエル・ハネケしかいないでしょう。恐れ入りました。
[DVD(字幕)] 5点(2011-02-14 21:38:32)
78.  カレンダー・ガールズ
けっこう期待して観たんですが、肩すかしをくらったという感じです。面白い題材なのになんでかなと考えてみると、関係者みんなが満足するように撮っちゃったので実話ものが良くはまる落とし穴に落ちちゃったというところでしょうか。みなさんご指摘のように、カレンダーが製作されてからの失速はやっぱ致命的です。ちなみに婦人会のたびに歌われているのは讃美歌「エルサレム」で、第三のイングランド国歌みたいなものです(第二の国歌はもちろんエルガーの「威風堂々」)。
[DVD(字幕)] 5点(2010-12-25 20:28:14)
79.  隠し砦の三悪人 《ネタバレ》 
本作は黒澤映画の中でも登場人物たちのキャラの切れ具合は随一、脚本執筆の語り継がれているエピソードも有名ですが、あえて注目したいのは黒澤初のシネスコ映画であることです。シネスコでスクリーンに映し出される情報量が増えましたが、それに対応した得意のパン・フォーカスが冴え渡ってダイナミックな映像を見せてくれます。観るたびに感嘆するのは真壁六郎太が登場するシーンで、太平と又七が河原で金を探している前景の遥か彼方の崖の隙間から三船敏郎が豆粒の如き小ささながらも鮮明に姿を現してくるのです。隠し砦がある山中の設定も、良くもこんなに石がごろごろしたロケ地を見つけてきたなと感心するぐらいの荒々しい風景で、そんな難所を登ったり降りたりさせられた千秋実と藤原釜足のご両名の苦労が偲ばれます。「裏切り御免!」の藤田進と上原美佐、演技力に難がある両名が劇中もっとも記憶に残ったというのも微笑ましいところです。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2010-11-15 23:46:50)(良:1票)
80.  飾窓の女 《ネタバレ》 
フィルム・ノワールと言うジャンルの定義のひとつに、「ノワールにハッピー・エンドはない」と言うのがありますが、本作のオチの様な凄まじいハッピーエンドではもはやノワールとは呼べないですね。脚本のナナリー・ジョンソンはあのオチには大反対だったのに、ラングが強硬に押し切ったというのが真相だそうです。でもラングは『スカーレット・ストリート』と言う同じ様なシチュエーションの作品をロビンソン・ベネット・デュリエのキャストで翌年撮っていて、そちらは正統的なバッドエンドで終わっているそうで、彼なりに本作のラストには後悔があったのではないでしょうか。 本作を語るにはどうしてもオチについてぶつくさ言いたくなるのですが、ストーリーテリング自体はヒッチコックに負けない技巧を見せてくれます。とくにジョーン・ベネットがダン・デュリエを殺害しようと部屋に誘い込み二人が丁々発止のせめぎ合いを繰り広げるシーンの緊迫感は、『イングロリアル・バスターズ』を思い出すというかタランティーノが引用しているくらいです。ラングはヒッチコックの最大のライバルだったんだなと再認識しました。 ちなみに私が鑑賞したのはカラーライズ版でどういう経緯で色つきになったか知りませんが、これははっきり言って愚挙ですね。
[CS・衛星(字幕)] 6点(2010-10-28 21:44:37)(良:1票)
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