1. 華氏911
なんというのだろう。これを観て「衝撃の事実を知った。ブッシュけしからん!!」という単純さはいかがなものかと思う。正直、知性を疑いたくなる。ムーア本人が「恣意的に編集した」と言っている以上、そういうことを踏まえた上で観ないと容易にメディアに翻弄されてしまう。「石油利権で戦争するなどけしからん」と主張するのならイラクが闇市場で石油を売却しそれを軍事費に補填している事実をなぜ批判しないのだ。カンヌで賞を取ったというのも多分にフランスの積もり積もった反米感情が、ああいう形で反映されたのではと思う。(かつては「かくも長き不在」という素晴らしい反戦映画にグランプリを与えたカンヌも語るに堕ちたものだ。)ブッシュが優れた大統領とも思わないしダーティな側面があるのも事実であろう。それでも卑しくも民主的な選挙で選出された政治家を批判するならば、まず政策で論争するべきではないか。そのためにはまず国際政治の基礎から勉強しなければならない。人格攻撃で溜飲を下げても何の解決にもならない。20世紀初頭のロシアでユダヤ人迫害の口実として「シオン議定書」なる怪文書が出回ったが、大衆の愚民化の手法という意味で本作は「シオン議定書」と何ら変わりは無い。そういう訳でシネマレビュー二作目の0点。 0点(2004-09-03 07:47:26)(良:1票) |