1. 借りぐらしのアリエッティ
思ったよりシビアに小人の世界を描いているなという印象を受けた。全編を通して見えてくるのは、生存競争の厳しさとでも言えばいいのか。前半は未知の世界への冒険、後半は一転して侵略と防衛の話へ。自然淘汰と言うのは簡単だが、だとしたらアリエッティたち小人は、何と悲しい運命を背負わされた種族か。人間と同じ姿形をしながら、外の世界に対してあまりに無力すぎる。彼女たちの今後を考えると、決して明るい気持ちで観れるような映画ではなかった。 [DVD(邦画)] 7点(2012-08-26 05:55:52) |
2. カプリコン・1
月面着陸の捏造説からヒントを得た社会派SFサスペンス。ラストのヘリコプターとの追跡劇は圧巻で、あれを見るだけでもこの映画の価値がある! [地上波(邦画)] 6点(2010-12-26 23:54:40) |
3. かもめ食堂
《ネタバレ》 かもめ食堂にいる人々は、時間や義務に追われることなく自分のやりたいことを自由にやっている。客がまったく来なくても気にしないし、荷物が届かなくても焦らないし、友達がいなくても楽しんでる。でもそういう生き方は、様々なことに日々追われて生きる僕にとってはあまりにもベクトルが違いすぎて、共感も憧れも抱くに至らなかった。ただ、何事にも動じないで落ち着き払った小林聡美の演技は魅力的でした。それから作中の手料理がすごく美味しそうに見えました。 [地上波(邦画)] 5点(2010-10-07 23:19:00) |
4. 学校の怪談4
シリーズ4作目ですが、これまでの3作とは趣が大きく異なります。舞台は学校そのものから海辺の町へ。いわゆる都市伝説的な要素を寄せ集めたドタバタ劇ではなく、より怪談っぽさを追求したシリアスな作品。全体的に冗長ですが、マンネリ化の回避を狙った意欲作であるとも言えます。子供たちはいろいろ登場するが主に兄妹に焦点が当てられ、兄思いの妹がひたすら頑張る様は何だか微笑ましかった。 [DVD(邦画)] 4点(2010-09-16 01:04:00) |
5. 学校の怪談
《ネタバレ》 公開当時、父親に連れられて映画館に見に行きました。当時4歳程度だった僕は、あまりの怖さにびくびくしながらスクリーンを見ていたのを覚えています。内容は、主に学校にまつわる怪談話を寄せ集めたお化け屋敷のような映画といったところでしょうか。ただ、最初に見たときは本当に怖かったお化けたちだけど、今改めて見るとそれぞれに個性がありなかなかおもしろい。特に、ブツブツ文句を垂れながら掃除をするクマヒゲさんのキャラクターづくりは秀逸。一方お化けだけでなく、悪ガキ、はぶられっ子など小学生たちの位置づけもしっかりしている。小学生らしい言動や友情、恋心なども、おかしくもありおもしろくもある。学校の風景、だぼだぼの服といったものにも時代が感じられて懐かしい。この映画を見るたびに、「小学校時代っていいよなあ」と懐かしくも寂しい思いに浸ってしまう。そういう意味で僕にとってとても大事な映画。こういう映画をいつまでたっても楽しめるような童心を持った大人になりたいものです(それはそれで駄目か?)。 [DVD(邦画)] 7点(2010-09-13 22:29:53)(良:2票) |
6. 崖の上のポニョ
《ネタバレ》 ポニョがかわいい!それはそれとして、これまでになかったようなほのぼのとしたタッチですが、海の動き、魚の動き、そして海辺にはしっかりフナムシを登場させるなど(まるで王蟲だ!)自然に対する観察眼や好奇心といった宮崎駿の初期作品からのテイストは全く失われていることはなく、単なる子供向け映画で終わらせていないところがあります。彼の映画の根本にはこういった視点が保たれ続けているからこそ、何かしら僕ら鑑賞者の心をつかみ、また次の作品も観たい気持ちにさせるのではないかと思います。 [映画館(邦画)] 6点(2009-01-03 17:11:54) |
7. 風の谷のナウシカ
自分としては、環境保護もそうだが、むしろ人間同士の争いが主要なテーマであるように感じられた。作中ではペジテやトルメキア、風の谷の人々、そして蟲たちの複雑にからみあった利害が衝突し、多少の犠牲を出しながらも物語は一応の収束へと向かう。一方で現実はどうだろうか。巨神兵による王蟲の大量殺戮は、核兵器によるそれを思わせる。あるいは、人間が住処の奪還を試みる度に王蟲の残骸に胞子が宿り腐海が広がってゆく様は、戦争を終わらせようと攻勢に出る度にかえって各地で民衆の怒りや憎しみを煽り泥沼化していくジレンマにも見える。現実では対立関係は簡単には拭えないし、犠牲はもっと甚大になるだろう。それを防ごうとナウシカが示したのが、他者への慈愛だ。ナウシカは他人や動物の命に対して盲目的なほど敏感である。突発的に人を傷つけることもあるが、たとえ理解し合わない相手でも生かすこと、生きていることに何より意味を見出そうとする姿勢はこの物語のように、私たちの望める救いとなるかもしれない。果たして人類は、他者への慈愛を共有し得るだろうか?それに失敗したとき、どれほどの犠牲を払わなくてはならないのか?それが、この作品から現代、そして未来に絶えず投げかけられる問いであると思う。 [DVD(邦画)] 10点(2008-06-07 00:14:58) |