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1.  禁じられた遊び(1952) 《ネタバレ》 
これを始めて見たのはまだ小学生で、日曜洋画劇場だったと思います。見終わった後、ドキドキと悲しさと一気に去来したような悲しい気持ちになった事を覚えています。その時、ラスト・シーンと共にもうひとつ、忘れられなかったのが、「カチカチに固まった犬の死体」(ご覧になった方ならきっと分かって戴ける筈!)でした。まるで、プラスチックのような固まりみたいになった愛犬の死体を、ポーレットが大事そうに抱えている姿。『ああ、死んだらあんな風になってしまうのか』と恐怖に怯えました。あの形が死の象徴のように思えたんですね。今、大人になって数年前見返したら、やっぱりその描写はショッキングでした。爆撃で一瞬のうちに撃たれて動かなくなった彼女の両親達と同じように。余りの呆気ない殺され方だからこそ、現実感があり恐ろしさも増すんですね。これは「シンドラーのリスト」の中で、ユダヤ人が殺される描写を見た時と同様のものです。ポーレットが少年と一緒になって、死体を集めて埋める行為は見ていて余りに悲しく、いたいけで、そして恐ろしささえ感じました。そこには、純真とは裏腹な子供の持つ無機質なものがあるからかも知れません。本当の「戦争」「死」というものは、その後にもっと生々しく張り裂けんばかりの悲しみがあることを大人は判っているからでしょうか。この映画は静かな残酷さを持って私達に、反戦を訴えていたような気がします。ラストの彼女の叫び声でその静けさが打ち破られたような思いがし、母を追って消えていった姿の先を思うといたたまれない衝動に駆られて・・苦しくなってしまう。反戦映画の傑作として永遠に忘れることの出来ない作品として、やっぱり10点満点を。
10点(2004-02-29 01:44:35)(良:1票)
2.  きんぽうげ 《ネタバレ》 
この映画のシネマ・レビューがあったなんて感激しています。しかも、読んでいて共感してしまう素晴らしいコメントを先に書いていて下さる方↓がいらっしゃったなんて。恐縮ですが、この映画の感想を自分も書かさせて戴くと、自分もかなり好きな映画です。といっても、深夜に吹替えで何年か前に初めて見、その時録画したテープを度々見直すだけなのですが、見る都度、新しい思いにかられます。古いテープに、綺麗とは言いがたい画像ですが、この映画には青春の傷つきやすさや、一瞬として通り過ぎていくその輝きが表されている気がするんですね。あの時代のフリー・セックスや自由を求めて模索していた若者像ともいえるかも知れませんが、見ているうちに、なんとも懐かしく思えるのです。ラストそれぞれが新しい道を見つけ、大人になっていく姿には切なくなります。ジェーン・アシャーの可憐な美しさも際立っていました。イギリス映画な為、洗練されている印象はありませんが、いつまでも心に留めておきたい青春ドラマだと思います。
8点(2004-02-28 18:06:52)(良:1票)
3.  奇跡の人(1962)
モノクロの画面からリアリズムが伝わるような、2時間余りにぎゅっと力を凝縮したような映画ですね。見ていて、息苦しささえ感じるような場面が続きますが、知らずに画面に引き込まれてしまうのは、役者達の真摯な演技と、そこに真実の凄みがあるからなんですね。家族がヘレンケラーを愛しいゆえに過保護にしてしまう優しさと、自分も弱視な為、ヘレンの気持ちが痛いほど分かるからこそ、力強く彼女に生きていって欲しいと体当たりで厳しく接するアン・バンクロフト演じるサリバン先生との対比も実に良く描けていたと思います。サリバン先生の過去、生き様もそこにフラッュシュバックして見せる映像も独自の演出で引き込まれます。見終わった後、何か「信念や勇気」みたいなものがふつふつと心の底から沸き起こってくる力作映画です。
9点(2004-02-28 17:55:12)
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