1. 銀色のシーズン
この作品をみて「さっぱりした気持ち」になる人は多いだろう。しかし、それならばこの作品はシャワーと同じであり、まだ映画ではない。ただし、スキーシーンで惜しげもなく披露されるテクニックには脱帽であるし、そのスキーテクを撮影するカメラもいい。全体のスピード感とコメディー的な展開も抜群だと思う。一方、ノリの軽快さは否めず、そのノリになじめない人には楽しめない作品かもしれない。そして観終わると、玉山鉄二がコメディーに向いてないという事実が判明する貴重な作品でもある。 [DVD(邦画)] 7点(2008-12-16 15:39:45) |
2. 銀嶺の果て
このキャストでおもしろくないはずはない。純粋無垢な日本人の生きる姿は、脚本を書いている黒澤監督の得意なテーマだ。外来の曲である「オールド・ケンタッキー・ホーム」が日本人の琴線に触れるというのも不思議な話だが…。 [DVD(邦画)] 7点(2008-08-01 00:30:35) |
3. ギャラクシー・クエスト
わかりやすい幸せが、わかりやすく描かれている作品。つまらないわけがないが、人によっては物足りないかも。何はともあれ、これでもかというくらいに他人まかせな宇宙人に乾杯!! [DVD(字幕)] 7点(2008-01-19 17:43:56) |
4. キサラギ
舞台の映画化。よく練られた脚本はさすが。無駄な台詞、無駄な登場人物がなくて、非常に心地よく観れた。全体としてはよくできていると感嘆するところだが、話の主題が謎の死を遂げたアイドルについてなので、結構重たい部分があり、コメディといっても素直に笑いに徹せられないところがすこし中途半端になってしまった印象。しかし、同じ出来事がちょっとした条件の違いでここまで異なる事象に読み替えられるってすごいことだ。おそるべし人間の物語力。 [映画館(字幕)] 8点(2007-07-08 23:00:15) |
5. 絹の靴下
アステアとシド・チャリシーの共演は、「バンドワゴン」でも観られる。本作は「バンドワゴン」から4年後に作られた作品だが、シド・チャリシーの存在感が断然アップしている。「バンドワゴン」のときにには、アステアの相手役という感じだが、今作ではソロダンスの数もアステアより多いし、なにより、バレエを基調としたエレガントな身のこなしが素晴らしい。本当に美しい踊り手さんだと思う。アステアもがんばってはいるが、年齢による衰えはさすがにしょうがない。アステアファンとしては残念な思いもあるけれど、それを補って余りあるシド・チャリシーの魅力を堪能できる1本。 [DVD(字幕)] 8点(2006-11-15 13:25:21)(良:1票) |
6. きみのためにできること
男は憧れとともに生きる生物である。僕は一人の男としてそれには強く共感する。なぜこの映画では本物のバイオリニスト川井さんを抜擢しているのか分からないが、バイオリニストが美人だろうと無かろうと、録音の柏原青年はバイオリニストの発した一言一言にやられてしまったのだ。それだけといえばそれだけ。でも、基本的に人間は時間を共有した人間としか心の結びつきを構築できないということ。そこに、人間の想像力と善性の限界がある。でも、その限界があるからこそ人間はたった一人の配偶者を愛することが出来るわけで。沖縄に行ってきたばかりの時に見たので、ちょっと甘めにつけてみました。 [ビデオ(字幕)] 6点(2005-08-15 00:08:22) |
7. きょうのできごと a day on the planet
「なんで?」と執拗に繰り返される「ガキの質問」に「ようわからへんけど」ってかなり適当に答えていることが、会話の推進力となり、はたまた次第にはっきりとした思いを形作っていくというのは、自分の経験として十分に知ってはいたけど、映画でそれを見せられたのはこの作品がはじめて。その意味で、この映画はいけるところまで人間を単純に描いている。そのおかげで逆に、人間を取り巻くシステムのようなものが浮き上がっている。見終わったあと、ふと世界とうまくつながっている気がしてきた。「命」つながりだけでなく、「時間の共有」つながりもありえるし、戦闘の絶えないこんな時代(つまり、「命」つながりが弱いってこと)だからこそ「時間でつながっている感覚」は必要とされているとひそかに思う。そう願う。 7点(2004-11-17 12:52:59) |
8. 奇跡(1955)
主題が間違いなく宗教なので、人によって評価が分かれそう。印象としてはラース・フォントリアー監督の「奇跡の海」によく似ているが、細かい所で比較していくといろいろと興味深い相違点も見つけられるだろう(特に、子供の役割、主人公の性別、祈りの描写など)。そもそも宗教には「神を信仰すること自体が、神を裏切っている」という逆説がある。神はわざわざ信仰によって確認されるべきではなく、むしろ、信仰しようなどと思えないほど神の存在を「自明」として捉えていることこそ真の神への態度ではないだろうか。この真の態度とは狂ってしまったヨハネスの態度である。だが、全員がヨハネスのようになると世の中の現行秩序は崩壊することになる。そんな心配すらヨハネスはしないのだろうが…。少なくとも宗派の違いなどは、トリヴィアルで取るに足らない問題であるようだ。 考えるネタは尽きない。 9点(2004-06-17 22:07:01)(良:1票) |
9. CASSHERN
前半のレトロSF的な部分は、ひとつの世界観として斬新でよくできていると思ったが、後半の思想的な言説で畳みかける展開には閉口した。思想で人をひきつけるには、思想がある程度ラディカルさ、新しさを持っていることが絶対条件。しかし、この映画が吐き出している思想は、すでに多くの人にとってありきたりとしか思えない陳腐な内容だ。陳腐な思想の羅列は、くさくて長いお説教以外のなにものでもない。 「二人の愛」で救われるのは、たった二人だけであり、この「二人の愛」を守るために「男」は他人を殺していく。ラストのキスシーンが物語るのが、「二人の愛」ならば、その先にあるのは今までと変わらない殺戮の世界である。「二人の愛」では他人との争いを止めれない。だから「人間愛」だってさ。都合がいいんだから。 でも、伊勢谷友介の阿修羅顔と、要潤のSF的な顔立ちと、麻生久美子の女神っぷりには敬意を表す。 4点(2004-06-05 00:11:36)(良:3票) |