1. 君よ憤怒の河を渉れ
全体のプロットとしてはあの有名な「逃亡者」を思い出させ、どこかで観た印象のある展開ではある。ストーリーの整合性という点では破綻している部分も見受けられ、いわゆる「突っ込みどころ一杯」という奴である。安っぽいつくりで逃げているところもあり(いわゆる熊のところとか)製作陣の苦労がうかがい知れ、おいおいと言いたくなるところもある。それでも、途中で観るのをやめようとは全く感じない。最後までつきあって見届けようと思わせる魅力がある。その理由は、高倉健、原田芳雄、大滝秀治の熱演と存在感、役者としての力と目の肥えたうるさ型の観客ではなく映画館へひと時の娯楽を求めに訪れたいわゆる大衆が対象であることを身をもって知り尽くした映画黄金期を過ごしたスタッフによるところが大きいと思う。大衆娯楽としての映画がやがてTVに置き換えられ、今ではTV型の映画が蔓延してしまっている訳だが、その大衆娯楽としての映画の末期に産まれた佳作。 [DVD(邦画)] 6点(2007-08-16 12:20:58) |