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1.  キル・ビル Vol.1(日本版) 《ネタバレ》 
皮膚を突き刺し血を吸う蚊、着火する銃弾、そして美しいユマ・サーマンのあまり美しくない外反拇趾。それらをシネマスコープの巨大スクリーンぎりぎりいっぱいに接写するタランティーノは、世紀のバカだ。かつてカンヌまで制したこのバカは憧れのルーシー・リューを起用したいばっかりに、カタコト日本語がせいいっぱいの彼女をあろうことかジャパニーズヤクザの女親分の座にゴリ押しし、異を唱える日本人代表としての田中の親分=國村隼の首をバッサリはねて片付けてしまう。ルール無用なこのバカはそうしてまさにユマ・サーマン扮する主人公×××よろしく、悪趣味なプッシーワゴンに乗って自らの信じる道をひたすらに危険な曲乗りで爆走するのだ。ブライアン・デ・パルマばりの分割画面だの、ダリオ・アルジェントばりの色彩マジックだの、深作欣二ばりのバイオレンスだのにはじまり、闘う制服美少女モノから梶芽衣子主演映画に至るまで、俺的フェイバリット・ムービーに節操なく熱烈なオマージュを捧げまくるバカ。そんな世界一幸福な映画オタクとしてこのバカな映画監督が描き出すのは、服部半蔵が寿司屋兼刀鍛冶としてOKINAWAに潜伏し、日本刀ホルダー付きのシートが用意された航空機AIR Oが首都TOKYOのネオン街を低空飛行するトンデモ大国ジパング。そして悪趣味で出鱈目でいてどこか魅惑的なこのパラレルワールドを孤高に勇往邁進するユマ・サーマンの姿だ。彼女はそんな異界におけるさらなる異物として、二重の孤独を抱えそこに立つ。その姿はバカバカしいけど美しい。『修羅雪姫』や『女囚さそり』のように「復讐」を美しく描くためには、卑劣な敵にも真っ向から臨む気高い志と生命を賭した文字どおりの死闘が必要なことを、このバカはバカなりに知っているのだ。たとえ18禁ゲームのような醜悪さではあっても、満身創痍になりながら人を斬るサムライ気取りのこの細長い白人女は、その暗い瞳にちゃんと梶芽衣子の魂を宿している。タランティーノはよっぽど梶芽衣子が好きなんだろうな、と思うと、ちょっと泣けてくるほどだ。(それなのにバカバカ言っちゃってごめんねタラちゃん。 でも一転、変態殺人鬼と同じレベルに堕ちて「復讐」を乱痴気騒ぎで楽しんじゃう最新作『デスプルーフ』は美しさのかけらもなくてただただ不愉快なだけだったよ。)
[映画館(字幕)] 9点(2009-11-29 01:44:37)(笑:1票) (良:1票)
2.  嫌われ松子の一生 《ネタバレ》 
毒々しい人工甘味料で過剰にデコレートされた画面の中あふれかえる雑多な登場人物たち。中島哲也監督によって人形のように配置され操られる彼らは、もはや俳優である必要がない。キャストの相当数がお笑い芸人やミュージシャンで占められるのはそのためだ。そんな中、松子を演じる中谷美紀だけが、喜怒哀楽も血も涙もある人間として強烈なバイタリズムの輝きを見せる。監督が用意する緻密で窮屈な枠組と、そこからはみだそうと目を瞠るばかりの生命力を発散させる女優。反目しあう二人ながら、往年のハリウッド映画さながらにスクリーンいっぱいに浮かぶMIKI NAKATANIの冒頭のクレジットが、この主演女優への最大の敬意と賛辞を表していて素敵だ。映画が主人公松子の一生をミュージカル調に語るのは、パンケーキを食べ百貨店の屋上でミュージカルを観た父との幸福な時間に彼女が生涯囚われつづけるからだろう。パンケーキが象徴するのは松子が何度も挫けそれでも信じた、愛だ。おどけ顔で必死に父の愛を望んだ彼女は、よりによって思い出の場所でその死を知り、「どうすれば私、愛される娘になれるの?」と悲痛に歌う。ただいまと言ってもおかえりと言ってもらえず、おかえりと言ってもただいまと言ってもらえぬ嫌われ松子。彼女が最後の最後に見つけるのは、切望しながら自ら見過ごしてきた、けれどちゃんとそこにあった、いくつもの愛だ。ラスト、襲われ突っ伏した松子は仰向けになり、星空を見上げ立ち上がり、その愛の一つを握りしめ、一歩二歩と前へ進む意志を持ってうつ伏せに倒れる。幾度となく「人生が終わった」と思いながら、それでもさっさとその人生を終わらせたりはしなかった彼女にふさわしいその最期。たとえ同じ犬死にであっても、彼女の倒れる向きとその意味は180度違う。美しい背中で階段を昇る松子を待つのは妹久美だ。階上の部屋で姉の愛を求めた妹。そして父の拒絶に苦しみながら、自らこそが妹を拒みつづけた姉。人に何をしてもらうかではなく何をしてあげるか。劇中示されるその言葉のとおり、愛されるためでなくただ愛するため、松子はその階段を昇る。その時彼女はあれほど必死に追い求めた愛を、思いがけずその手にしている。おかえりとただいまをかわしあえるこの上ない幸福、そして滑稽なおどけ顔など見せずとも浮かぶ父の笑顔。松子は愛されていた。そんな素晴らしき愛を、川尻松子はようやく心のままに噛みしめるのだ。
[映画館(邦画)] 9点(2009-11-21 15:17:52)(良:2票)
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