1. 救命士
《ネタバレ》 誰も正気ではない空間。ろくに眠れない虚ろな目の主人公の前で、走馬灯のように幾人もの死が通り過ぎていく。誰が生きていて、誰が死んでいるのか分からない。登場人物たちは、自分の生死の境目でさえ、最早見えていないのだろう。夜の暗闇に制服の白いシャツ白い救急車のボディがぼんやりと浮き上がり、レッドライトが日常を非日常に照らし出す。血液と麻薬、白と赤の対比。これらの表現に音楽が組み合わされることによって、救急医療の死への近さや非日常感がコミカルに描かれる。ある種のトランス状態や幻覚のような画面に酔う映画。 [DVD(字幕)] 9点(2013-10-16 06:25:52) |