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1.  九月の恋と出会うまで 《ネタバレ》 
エアコンの換気口取り付け口から1年先の主人公の声が聞こえるタイムスリップという漫画的なありえない設定で物語が始まります。何となく結果も予想されるのですが、どのような展開でハッピーエンドになるのか、一応SF作品として未来からの指示で過去を変えるという筋書きの「つじつま」をどう合わせるのか、が焦点です。見終わってみると俳優陣の爽やかな演技のせいもあり、何か納得できる良い作品だと思いました。そもそも1年前の時点に遡って何で主人公がヒロインに平野氏に付きまとうよう指示したのか、という疑問も最後に答えていて男子的には「まあそうだよな。」と納得できた点もマル。
[DVD(邦画)] 7点(2019-10-21 17:26:52)
2.  グリーン・ゾーン 《ネタバレ》 
作品中では詳しく描かれませんでしたが、イラクの将軍は米政府と組んでサダムフセインの後を継ごうとしていた訳で、米政府は将軍から大量破壊兵器はないと知らされていながらそれを口実に開戦に踏み切った。どちらが悪かと言えば悪代官と三河屋のようなもので「両方悪」としか言いようがない。主人公のミラーは軍、CIA(将軍を生かす方)どちらに組みしても「悪に組みする」ことになる。それを現地人のフレディの最後の一発で知らされるという「落ち」は物語として理解するにはやや難解かも。政府の欺瞞をマスコミへの告発で正そうとするのは、現在のアメリカマスコミ事情を考えると劇中度々出てきた言葉で言えば『ナイーブ』すぎる希望的結末ではないかと思います。採算度外視で1億ドルかけて作った意気込みにこの点数で。
[DVD(字幕)] 7点(2013-08-06 11:16:25)
3.  グラン・トリノ 《ネタバレ》 
古き良きアメリカを象徴する名車「グラントリノ」をこよなく愛する古き良き時代のアメリカ精神を持つ(と自負する)ウオルト翁は、自分の子供達にその精神がなく、実利的すぎて好きになれない。一方で朝鮮戦争で少年のような敵兵を殺戮したことを命令とはいえ、深く罪の意識を持ち続けている。そこにベトナム戦争で故郷を追い出されてアメリカに移民せざるを得なくなったモン族の少年と姉とに深く関わるようになる。これで草の根保守としてのクリントイーストウッドが現代アメリカ社会へ訴えるメッセージのお膳立てが揃います。理不尽で許せない無辜の市民への暴力(911とか)にはダーティーハリーならば見るものにカタルシスを覚えさせる百倍返しの暴力(イラクやアフガン)で答えるところですが、自身は無防備でアジア人の悪ガキに蜂の巣にされ、悪人の始末は公正な法の裁きに委ねるという「選択」は今の米国では考えられない結末でしょう。硫黄島の二部作でも日米の戦う(戦争でなく)意味の違いを際立たせてよく日本に好意的な映画を作ったなあと感心したのですが、イーストウッドはアメリカ人を幸福にしない第二次大戦以来のアジアへの侵略は保守として納得できないことを改めて訴えたかったのだと思います。最終的に古き良きアメリカの象徴グラントリノをウオルト翁は身内でなくアジア移民のナイーブなタオ少年に譲り、次代のアメリカの夢を託すという結論になるのですが、この結末にどれだけの現代アメリカ人が共感できたのか直接聞いてみたい気がします。娯楽映画としては見れませんが、イーストウッド最期のメッセージがこれかということでこの点数。
[DVD(吹替)] 7点(2011-10-22 23:15:31)(良:1票)
4.  空軍大戦略 《ネタバレ》 
航空ファンの私にとって小学生の時初めて見たこの映画はバイブルに匹敵します。全て実機を飛ばし、絶好のロケ日和を選び、ドイツ側も公平に描く。これ以上の映画は見た事がありませんし、多くの航空映画のみならずフライトシミュレーションゲームもこの映画に感化されています。勿論DVDも買いました。10年ほど前英国の友人が「毎年この時期(7月終わり頃)になるとこの映画をテレビで恒例のようにやるよ」と話していたのを思い出します。英国は陽が沈むことがない帝国であったのに、第二次大戦を機会に多くの植民地を失い没落しました。あろうことかここで描かれる時はまさに新興ドイツに本国が負けそうであったのです。この映画でも「我々は敗ける」という台詞が何度も語られるのですが、当時の英国人は100年以上語る事のなかった台詞でしょう。第二次大戦の戦勝国なのに没落した国としての忸怩たる思いを戦後の英国人達は持っていたはずです。この戦いでは少数の英国空軍パイロットの活躍で窮地を脱するのですが、映画の節目節目で出てくるスピットファイアの勝利の旋回(victory roll)はこれを見ている1970年の英国人達にそれとなく「我々はやれる」という過去の栄光を復活させる勇気を与えようとしているかに見えます。(1回目は今はそれどころではない、2回目はまだ早い、そして3回目は?)ドイツを悪や卑怯者として描かず、どちらも正々堂々の勢力として描いた目的もそのあたりにあるのかも知れません。皆さんご指摘のようにあまり脚色をせずに史実を忠実に描き込む映画が少ないだけに素晴らしさが光ります。
[DVD(字幕)] 10点(2006-12-27 19:59:42)(良:1票)
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