1. 50回目のファースト・キス(2004)
おおざっぱに言えば究極のファンタジーですけど、アダム・サンドラーがやるとこれもアリかな?と素で思えてしまうんですよね何故か。普段から目線のイッちゃってるドリュー・バリモアの個性も、忘れん坊のルーシーにとてもヒットしたと思います。なんとなくキャラクター先行企画の匂いのする作品ですけど、たぶん訪れたことのある日本人も多いはずのハワイで、ペンギンが出てセイウチが出て、物語はとびっきりのファンタジーで、公開当時劇場にこの映画を見に行ったカップルが帰りにケンカになることはほとんど無かっただろうな、と思える作品でした(笑)何も考えずに楽しい映画が見たいな、と思った時にこういう映画に会えるとホッとしますね。SFでもないのにここまでリアリティの無い映画ってあんまり見かけないんじゃないですか。リゾートムービーとでも言うんでしょうか。ストレスフルな毎日をお過ごしの方には、是非お勧めしたいと思います。 [DVD(字幕)] 8点(2007-04-04 01:54:23)(良:1票) |
2. コントロール(2004)
レイ・リオッタ、ウィレム・デフォーというまさに異色の顔合わせでもわかるように、派手さはないが手堅い作りでまさに秀作という表現がふさわしい作品。更正の見込みのない正真正銘の社会病質者にレイ・リオッタ、彼を実験台にして精神をコントロールする新薬を完成させようとする科学者役にウィレム・デフォー。マッド・サイエンティスト物の流れを汲んでいながら、狂っているのがどちらなのか微妙に悟らせないキャスティングが効果を上げている。スケール感を見誤らず、シンプルな構成でタイトに見せる作りは好感度大。この手の作品は流行り過ぎてしまいもはや何が来てもさほどの目新しさはないのだが、心理劇としてもミステリとしてもそれなりの水準は満たしているし、この顔ぶれ・このストーリーに賭ける期待に値するものはきっちり返して来る。いろんな意味でブレの少ない、やるべきことをきっちりやった映画だと思います。お勧め出来ます。 9点(2005-03-27 02:56:27)(良:1票) |
3. コラテラル
いろいろな意味で非常にバランスの悪い映画でした。どう考えてもジェイミー・フォックス演じるマックスの方が主役なのに、トム・クルーズに主役オーラが出過ぎているために話がバラけているのが第一の間違い。そのトム・クルーズが喋りすぎるために中盤がダレすぎ、孤軍奮闘するマックスの焦りがその頑張りの割にはスクリーンからこちらに出て来れない。しかもストーリーは地味で、どちらかと言えばB級サスペンス向け。加えてどう考えてもLAではなくNY向け。小粒な役者を集めてポール・シュレイダーあたりがNYでゲリラ的に撮ってこそ初めて面白くなるストーリーを、何故かハードボイルドのメッカLAで、トム・クルーズ“客演”で撮ってしまった。トム様をかつぎ出した以上予算はたっぷりあるから、無意味な空撮とかばんばん使ってLAの街並みを贅沢に俯瞰で流しているけど完全に無駄。たぶん『ヒッチャー』のバリエーションなんだろうと思うけど、本来決して器用ではないトム・クルーズにこの脇役は無理でしょう。終盤の30分だけ、期待していたジェイダ・ピンケットの脚線美とジェイミー・フォックスの大活躍をちょっぴり堪能できた、ただそれだけの映画です。巻き込まれ役がブルース・ウィリスで、冷徹な殺し屋がサミュエル・L・ジャクソンだったらかなりおもしろくなったと思います。要するにそういうレベルの映画です。こんなに輝いてないトム・クルーズは久しぶりに見ましたけど・・・。しょっぱなでチラッと出て来たジェイソン・スティザムが何の伏線にもなってないのもイタかったですね。ジェイダ・ピンケットは今最も輝いている黒人女優の一人だと思っているけど、私生活でウィル・スミスと結婚しているくせに映画の中までジェイミー・フォックスに肩なんか抱かれちゃうのちょっと反則だと思います。 5点(2004-11-01 23:08:59) |
4. 候補者ビル・マッケイ
あのー。すごく言いにくいんですけど、これ大統領選じゃありませんよね。誰が言い始めたんだか知りませんけど、わたしもどこかで大統領選の話だと書かれているのを見てうっかりこの時期に手に取ったんですけど^^; 内容的にはいかにもアメリカン・ニューシネマという感じでこの時代のこの手の映画が好きな人には最後まで納得の出来栄えだと思います。系列としては『ネットワーク』とか『カンバセーション ・・・盗聴・・・』あたりに似たテンションだと思いますが、選挙戦という明確な一本柱を背負っていますのでニューシネマ独特の淡々とした運びが苦手な方でも比較的受け入れやすいストーリーなのではないでしょうか。ロバート・レッドフォードが正統派の美男子でありながら個性を重視したこの時代のアメリカ映画で一時代を画したことの理由には適切な役選びと、単なる二枚目に期待される以上の演技力があったと思います。この作品でもただのド素人であった彼が選挙戦を戦い続ける中である種のトランス状態に入り込み、圧倒的な高揚感の中で自分自身にすら手の届かない存在になって行ってしまう様子を表情ひとつで演じ切ってしまった。この力量は評価されて然るべきだと思います。それにしてもわたしより少し上の世代の人がブラピを見ては口を揃えて「レッドフォードにそっくり」と言う理由がこの作品を観て初めて理解できました。若い頃のレッドフォード作品は一通り観て来たつもりですが、この作品の彼が一番よく似てますね。いろいろな意味でレッドフォード無しには成立し得ない作品ですが、こういうのが一つの流行りであったとはいえ今なお残り続けているだけの価値は充分にある作品だと思います。こちらを先に観ていたら『ボブ・ロバーツ』をあれほど面白いとは思わなかったかも知れません。 8点(2004-10-31 15:27:07) |
5. コールド マウンテン
マイナス90点。怒りに手が震えるのを深呼吸で抑えながらこのレビューを書いている。私は映画を観てつまんなくても「カネ返せ」とは滅多に思わないというか、選んだ自分も悪いでしょ、と比較的穏やかに諦める方だけど、今度ばかりはおさまりません。だってこれは映画じゃないでしょ。朝のTV小説総集編でしょ。ニコール・キッドマンがデカいので、ジュード・ロウがちっとも素敵に見えません。ジュード・ロウが美しすぎて、ニコール・キッドマンがちっとも輝きません。美しさにかけては他の追随を許さないこの二人が、思いっきり共倒れてしまいました。フレームインが少なかったのがせめてもの救いですが。あらゆる点はともかく、この二人を美しく撮れなかった責任は重いです。最大の見せ場であるはずの山場のシーンで、二人のアップの醜かったことといったら、もう泣くに泣けません。フィリップ・シーモア・ホフマンにジョバンニ・リビシ、ナタリー・ポートマン、ただ話を長くするためだけに次々と登場するゲストキャラは豪華かつ大変魅力的です。だから何?戦争映画好きな私は冒頭の7、8分だけ楽しい思いをしましたが、「イングリッシュ・ペイシェント」の例を見るまでもなく戦争を題材に取ったわりには案の定全然関係ないところに帰着してしまいました。あまりのアホらしさについつい最後まで観てしまいましたが、正直二度と見たくないです。期待のレネー・ゼルヴィガーも「なんでこれがオスカー?」と首をかしげたくなるつまんない役。強いて言えば、今まで一度として演技が出来るとは思わなかったナタリー・ポートマンが非常にいい芝居をしていました。むしろ彼女に何かあげてもいいくらい。オスカー助演賞を撮る映画ってたいていハズレがないと思ってましたが(以下略)誰かアンソニー・ミンゲラに映画の撮り方教えてあげましょうよ。この人、映画見たことあるんでしょうか。ないでしょうね。「イングリッシュ・ペイシェント」とこれと、どっちか1本見れば十分です。どちらも見ないで一生済めば、ホントに幸せです。これは詐欺。 0点(2004-04-25 02:03:54)(良:2票) |
6. ゴシカ
映画とは基本的に楽しむために作られているのであって、限界を超えた恐ろしさを追求した昨今のホラーにはよほどのマゾヒストでなければ楽しめないだろうという感想を持つ私にとっては、これは楽しめるギリギリのところを実に上手く突いて来たほどほど感が非常に嬉しい作品。最近のホラーに馴れた世代には手ぬるいと感じられるのかも知れないし、確かに正視できないほどの強烈さはない。あるのは由緒正しい極上のホラームーヴィー、ただし近未来的とさえ言える現代的なアメリカ建築としての精神病棟を持って来たところで不思議に今っぽさが出た。シャープな映像、ややSFチックな舞台設定が、シンメトリーを多用することによって絶妙のクラシック感覚を醸し出す、このバランスは古き良き時代のホラームーヴィーを研究し尽くしたもの。随所にちりばめられたお約束としてのヒッチコックへのオマージュも暑苦しいほどではなく、ファンならニヤリ、とさせられる品の良さ。全てにおいて非常にバランスが良く、総合点の高い作品であると思う。ハル・ベリーとペネロペ・クルズの競演はまさにせめぎあいの様を呈し、敢えてB級の仕立てにはなっているものの安っぽさは微塵も感じられない。一流のスタッフ、キャストが真剣に丁寧に作った、いわゆるB級ホラーとは完全に一線を画する作品。しかしそれにしてもペネロペ・クルズって英語上手くならないですね。はっきり言って、工藤夕貴の方がずっと上手いです。演技が出来ることは実感できたが、あれだけの演技センスがありながらあれだけ英語が上達しないのってある意味ひとつの才能だと思う。 9点(2004-02-29 02:08:40) |
7. 荒野の七人
西部劇を学ぼうと思い立ち、右も左もわからないまま西部劇コーナーの前に立って真っ先にこれを選び出した自分の野生の勘を誉めてあげたい(笑)「七人の侍」を観たのは20年前のことなので正直、比較するほど覚えていなかったりするし、前作への思い入れが強ければ強いほどイメージが下がるのがリメイクの常なので、おぼろげに知っているぐらいの鑑賞姿勢はプラスに働いたように思われる。ジェームス・コバーン、スティーブ・マックイーンといった未来の大スターたちが、駆け出しの初々しさを持ちながらも後の成功を納得させるだけの存在感を醸し出しているのには率直に驚嘆させられる。特に75個しか台詞のなかったマックイーン(笑)、動く動く。とにかくどんな片隅に置かれていてもひっきりなしに何かやっている。このカウボーイハットが、後の「大脱走」で野球のボールに代えられて行くのですね。ユル・ブリンナーは大物の風格で当然圧勝といったところだが、この人の存在感だけに頼りながらも自分の強烈な存在感をはっきり自覚しているところはやはり凡人にはなし得ない一つの才能だろう。もちろん彼のカリスマ性あってのこの作品だと思うけど、これだけのメンバーが一堂に会して一点のブレもなく一本のベクトルにまとまっている訴求力は名作と言われるだけのことはある。西部劇の名にふさわしい、アメリカ大陸西南部独特の地形的なスケール感、低いアングルを多用した空と馬たちの躍動感、暗く湿った東洋の小国で初めてこれを見たおとうさんたちを、打ちのめすには十分だったに違いない。Sweet! 7点(2004-02-22 14:48:29)(良:3票) |
8. 今夜はトーク・ハード
クリスチャン・スレーターはティーンアイドル時代、くだらない映画にいっぱい出たが、そのへんの作品の中では「ヘザース」と並んで比較的マトモな作品。(「ヘザース」がマトモかどうかという議論はまた別の機会に。^^;)とりあえず普通の青春映画で若者達がいっぱい出て来て大騒ぎする、ただそれだけの話なんだけどスレーターの微妙に暗い、ズレた個性がティーンエイジャーの海賊DJというズレた若者役に思いっきりハマッた。感動とか教訓とか面倒臭いものは一切ないベタベタの青春映画だが、反逆、結束、仲間などといった青春映画の必須アイテムは全て揃っておりラストには一抹の爽快感もある。クリスチャン・スレイターがタイトル通りの台詞でキメた時には思わずニヤリとさせられたし、「トゥルーロマンス」のクラレンス役に繋がって行く助走段階の彼を鑑賞するという目的でなら圧倒的に他の作品を引き離している。とりあえず彼に関心がなくてこの作品を手にする人は滅多にいないと思われるので、そういう人にのみ強くお勧めしておきたい。同年代の他のアイドルとは、明らかに最初っからかなりズレていた、ということは思いっきり確認できると思う。まあそういう映画。 8点(2004-01-29 23:36:01) |
9. 小間使の日記(1963)
後の傑作「哀しみのトリスターナ」につながって行く前哨戦とも言うべき作品だが、こちらは一見してわかりにくいジャンヌ・モローの個性が際立つ。モノクロの映像の中で淡々と繰り広げられるヨーロッパならではのテンポに、決して若くはないお手伝いさんの色香にメロメロになって行く老いた雇い主。ありがちな展開ではあるが、貴族としてのプライドを保ちながらも愛に翻弄されて行く男の弱さ、金も力も若さもないが厳然たるプライドで男の前に立ちはだかる女、この二人の力関係の中にブニュエルの率直な女性至上主義が見える女性の視点からは楽しい作品と言えるだろう。彼の作品の中で女性の足が象徴するものは、すなわち美であり、男性を踏みつけるたくましい力であり、男性がひれ伏すための存在である。かくも力強くたくましい存在である女性に対して、涙ながらに愛を乞い、ひれ伏して行く富も名誉も権力もある男性という図式に、ひたすら女性を抑えつけて来た前時代的な価値観こそ、実はギリギリのところでバランスを保つために人類が生み出した種族保存の一つの方法であったのではないかとさえ思わされる。それほどに、ブニュエルの女性に対する賞賛は素晴らしい。 9点(2004-01-24 12:10:56) |
10. 告発
まず扱っている題材の割りに映像がチープ。ストーリーは泥沼の不幸話で、ラストには救いも発見も何もない。救いのない不幸話は基本的に好きではないし、関わりあった弁護士がこの物語から何かを学んだとかそういう前向きな展開もないので個人的にはほとんど何の魅力も感じなかった。法廷モノとしてももう一つ決めてに欠けてた気がするし、これを観て得られるものが「5ドル盗むのはやめよう」というだけだったらちょっと虚しい。現代版「ミッドナイト・エクスプレス」を期待してしまったせいか、世間の評判とは裏腹に印象が極めて低くなってしまった。あくまでも、もっといい映画はいっぱいあるんじゃないの?という感想。別に悪くはないのだけど。 6点(2004-01-17 23:50:00) |
11. コクーン2/遥かなる地球
前作に心酔しちゃって、あの感動をもう一度!とか素直に思ってしまった私のような者ならともかく、そうでない人には特にお勧めはできません。が、前作のコンセプトは見事に引き継ぎ、かつてないほどベタな焼き直しをやっているので、前作の余韻としては充分に楽しめる内容ではあると思います。それ以上のものをわざわざ期待する人もいないと思うのだけど、まあこのぐらいでいいんじゃないですか。 6点(2004-01-11 13:17:19) |
12. 告発の行方
作品そのものよりも、前評判の方が衝撃的すぎて本編の方はちょっと小ぢんまりしてしまった感じ。この作品に出るまでのジョディ・フォスターがいかに追い詰められていたかを知っている年代にとっては、起死回生のチャンスに賭けたジョディの捨て身の体当たりが痛々しくてちょっと見ていられないものがあった。話は暗いし、後味もよろしくない。結果的に、ジョディ・フォスターという女優が生き残れたからこその価値はあっても、それ以上のものはほとんど何もないと言って良いと思う。 6点(2004-01-11 13:14:39) |
13. コン・エアー
のっけから盛り上がってしまったので最後まで持つのかな?と不安に感じたが激しく盛り上がり続けたのはご立派。もう後半、派手なら何でもいいみたいになっちゃってるのは感動的ですらありました。とにかく無駄にド派手。この映画のリアリティに言及する人があまり見られないのも頷けます。強烈な悪党軍団に立ち向かうのが絶対太刀打ちできそうにないジョン・キューザックっていうのもスゴイし、落としどころを一人で引き受けたブシェミのキレっぷりとか、まさか観るとは思わなかったマルコビッチの体育系アクションとか、クラクラ来るモノはいっぱいあります。何一つ得られるモノはないけど派手さはある。派手さ+ブシェミの異常者ぶりに8点献上。アメリカには精神異常者を病院に入れるという習慣はないのか。どう考えても責任能力ないでしょうあれは。 8点(2004-01-02 12:10:53) |
14. コップランド
スタローンだっつーんで避けて通ってましたが意外な掘り出しモノでした。ちゃんと社会派になってるし。なにげにキャストが豪華すぎるのが気になります。スタローンを連れて来ちゃったのが逆効果だったのではないですか。私のように「スタローン暑苦しくてもういいよ」状態だと思わず避けてしまいますよね。それなりに暑苦しい作品ではありますが、意外と硬派で良く出来ていますのでスタローンアレルギーな方是非チャレンジしてみて下さい。 7点(2003-12-30 12:43:25) |
15. コンタクト
ものすごくお金のかかった無駄映画。特撮があまりにもチャチすぎて笑うに笑えなかった。話もウソっぽすぎて全然ついて行けないし、ジョディ・フォスターだからありがたいと素直に喜べるような人でないとこれはちょっとキツい気がする。 4点(2003-12-30 12:30:31) |
16. コール
《ネタバレ》 あのー。3人を別々に誘拐することが、普通の誘拐に比べてどう優れているのかわからずじまいでした。ネタ倒れてませんか?これ。成り立たないまでも「緻密な心理戦」で突っ走る予定なのかと思っていたらラスト付近でいきなり(犯人ではなく)親が暴走し始めたので慌てました。ちょっとのショックにも発作を起こしかねないアビーちゃんの安全を思ったらもうちょっと慎重に行動して頂きたいところなのですが・・・。ケビン・ベーコンは充分いかがわしいけど、ああいう役ちょっと飽きました。ダコタ・ファニングは恐ろしく上手いですし周りの大人全員食われてました。大して期待はしてなかったけどここまでつまんないとは驚きです。引きずられて「ミスティック・リバー」への期待感まで下がりました。関係ないけどコートニー・ラブって化粧を落とすと意外に可愛いですね。 3点(2003-12-30 09:56:12) |
17. コンフェッション(1998)
劇場公開なんと2週間だけ。パンフレットはホチキスで綴じたようなすごい作り。オスカー俳優の主演映画としてあんまりじゃないのか?と思ったら、観てみて納得な作品でした。オスカーを武器として使いこなせなかったキューバ・グッディングJr.の遺作。サヨウナラ。。。 1点(2003-12-29 13:27:21) |
18. 地上より何処かで
スーザン・サランドンとナタリー・ポートマンが共演する、という以外にほんと、な~んにもない映画でしたね。それだけでお客が呼べちゃうというのもある意味すごいことだと思いますが、最低限、何かストーリーとかポリシーって必要なものじゃないんでしょうか。スーザン・サランドンはアカデミー賞受賞が本当に悪い方向に作用したなと思います。もともとキャラクターだけで勝負してきた女優さんですが、少なくともここまでのビッグネームでなかった頃の彼女には、彼女が出るんなら良いシナリオなんだろう、と期待させるだけの信頼感がありました。この二人が主演でなかったら、この企画通るんだろうか?と考えたら、絶対そんなことあり得ませんよね。 3点(2003-12-29 13:20:01) |
19. コクーン
人々に夢や希望を与えることが映画の一つの使命であると考える立場から、この映画には心の底からありがとうと言いたい。多くの人が、その人生で最も大切な物が何だったかに気づくのはもはや取り返しようのないほど年をとってしまった後である。死を目前にした祖母の、長い長い思い出話を聞いた日から、私は心のどこかでこの映画に出会える日を待っていたような気がする。ここに出て来るお年寄りは、私の祖母ではないのだけれど、彼らが若さを取り戻して笑い、はしゃぎ、再び人生を楽しむ姿を観て、その嬉しさを想像できることが私には嬉しかった。人生は短い。だからこそ、わずか数時間の映画の中だけでもいい、誰かが心の底から幸せを感じる瞬間を、分かち合えたらどんなに良いだろうか。子供が空を飛ぶ夢を見るように、若者が愛する人との出会いを夢見るように、お年寄りにだって若かった自分を取り戻す夢を見る権利があるのだ。この映画に登場した、実際に年老いた俳優たちに感謝したい。若さを取り戻したように演技をするのは、彼らにとってたやすいことではなかっただろう。子供のように走り回り、飛んだり跳ねたり、プールに飛び込んだりすることは彼らにとってしんどかっただろう。それでも大勢の人に楽しいひと時の夢を見せるためなら、彼らはやるのだ。そういうファンタジーが、あってもいいと思う。若い私たちが映画の中で、遠い宇宙の彼方を旅するように、お年寄りが若返ったっていいじゃないか。世の中には楽しいことばかりじゃないけれど、映画の世界では時折、こんなふうに楽しいひと時もある。そういう映画もある。 10点(2003-12-16 00:56:58)(良:1票) |
20. 恋人たちの予感
《ネタバレ》 フェミニズムの嵐吹き荒れる1977年に大学を卒業し、ジャーナリストを目指してNYに出て来たサリー。日本で言えばさしずめ「クロワッサン」世代の彼女が、実に11年間の「友達」づきあいの末、大っ嫌いだったはずの悲観主義者ハリーとの結婚を選ぶ、というある意味70年代の女性解放運動を全面的に否定するかのようなこの作品が、アメリカはもちろん日本でも、女性達から圧倒的な支持を得たことは実に興味深い事実である。強くあれ、キャリアを磨け、経済的に自立して男を頼るな、という信念に支えられて生きて来た世代がこの時30代前半。結婚や出産を脳裏にちらつかせながらも、刷り込まれた価値観との板ばさみに苦しんでいた女性達を再び解放したこの作品は、行き過ぎたかつてのフェミニズム運動に対する一つの回答とも言えるだろう。サリーの歩んだ道は、現実にこの時代に学業を終えて世に出た多くの女性達に通じるものだ。実に11年もの長い歳月を経て、サリーは愛する男性に素直に「YES」と言うことを学び、結婚しない人生をキャンセルして新しい人生を歩み始める。フェミニズムに洗脳され尽くしたかのようなサリーの言動が全編を通して笑いを誘い、あるいは彼女たちと同時代を生きる男性としてあらゆるトライ&エラーを繰り返しながら共存の道を見つけて行くハリー。この二人にシンボライズされるものは、実はこの時代に生きる全ての男女にとって避けて通ることのできないジレンマだったりする。小粋な台詞回しと、この映画で大ブレイクしたメグ・ライアンのコケティッシュな魅力、さらにコメディアン出身のビリー・クリスタルの達者な話芸で、最後まで楽しませてくれる傑作。一見、ライトなコメディのスタイルを取りながらも、隠し込まれた意外にも辛辣なメッセージに思わずドキッとさせられる作品でもある。 10点(2003-12-16 00:38:00)(良:2票) |