3. ゴーン・ベイビー・ゴーン
《ネタバレ》 よく見かけるんだけど、主演でもあまりパッとしないイメージがあったベン・アフレックの監督デビュー作。初監督ということもあり、地味な演出ながら奇をてらわず脚本で勝負してきたのが今作の完成度を高めているようです。スタッフはベテランを揃えているようで、撮影は陰影のつけ方が非常に美しく、俳優陣もモーガン・フリーマン、エド・ハリスら演技派で固めてくれています。主演のケイシーも俳優としての才能は兄ベンを超えているとみた。今後の活躍に期待します。それと、ジョン・アシュトンを「ミッドナイト・ラン」以来見かけていなかったので、こちらの出演も嬉しいです。 やや突飛な設定ですが、パトリック、アンジーをはじめ、人物の心情描写が巧く、物語はよく練られているように思いました。重厚なミステリーであり、ラストで簡単に答えられない問題提起をしてくるので、後々まで心に残る。どちらが正しいとは一概には言い切れない。アマンダは警部の元にいた方が良かったかもしれない。しかしパトリックの訴えも理解できる。ヘリーンを信じてみたい、何よりも後悔はしたくはない、と。そして彼が下した決断。おそらく彼自身も悔いてるだろう。あの虚無的な表情がそれを物語っているように思う。相変わらずアマンダのことは眼中にないヘリーン。彼女は娘の愛用している人形の名前すらも覚えていなかった。それに気付いた時のパトリックの空しい表情がいい。 ストーリー以上に、考えさせられるテーマを含んだ中々深い作品です。 [DVD(字幕)] 8点(2008-10-15 23:35:09)(良:1票) |