2. IZO
豪華なキャストにひかれて軽い気持ちで見にきた若者、また時代劇っぽいイメージにひかれて気軽に足を運んだ年配夫婦たち・・・大抵みんな途中で席をたっていきました。最後には満席から半分くらいに減っていたような、ある種の観客サバイバルです。反社会、不条理、バイオレンス、嫌悪感、改めて気持ちのいい言葉が見つかりません。しかし、この映画の発しているメッセージに感性の周波数を合わすことができるなら、その違和感を満喫できるのではないでしょうか。僕の中で、もしかしたら「IZO」=「国家」「歴史」そのもの?と頭をよぎった瞬間、あまりのやばさに打ち消してしまいそうになりました。小学校の教室のシーンで「国家とは?」という教師の問いに対する生徒の、「国家とは、ヒトの頭の中にだけ存在する悪質な妄想です。本能的に群れを作る癖のある人類の集団を統治管理するための欺瞞的仮想概念であり、特に偽政者側が必要とし、絶対化しようとする虚構の、基本原理中の基本原理です。」という答えに、触れてはならないものに触れたような不安な気分にもなりました。物語性を探すのではなく、メッセージと言葉と、映像を自分でつなぎ合わす作業で満腹です。飛び散らかってる台詞や言葉や歌の数々を冷静につなぐと、やばさ倍増です。しかし、それが強烈なメッセージとして輪郭が露わになってきます。あまりにも前衛的な描写と台詞を散りばめた、ある種の実験的な作品のようです。切り口は違うけど、寺山修二とかが好きな人なら興味深く見れるだろうとも感じました。全体を貫く漆黒さの中で、桃井かおりと、松田龍平の孤高な存在感に僕はほっとしてしまいましたが・・・。ラストあたりで、松田龍平が、「ふっ」と息をIZOに吹きかけるシーンは見事です。このシーンで最終的にいろんな考えが膨らみます。あと、できれば変なCGやワイヤーアクションは不必要では?とも感じました。コメントをこれだけ書くという事はやはりインパクトは強烈だったんでしょうね。だから、点数は2点と8点という極端な点数をつけたい気分です。 5点(2004-08-29 18:26:36)(笑:1票) |