21. 生きる
主人公の渡辺課長を演じる志村喬の存在があってこそ成立しえたような、日本映画史に燦然と輝き続ける名作。死を目前にして何かに取り憑かれたような表情やそのセリフの発声法など、おそらく彼にしかできないであろう独特のものである。小雪の舞う夜、完成したばかりの公園のブランコで「ゴンドラの唄」を幸せそうな表情で口ずさむシーンは、死を意識することで平凡で無気力な人生を送ってきた男が、最後に“今”を精一杯生きた証としての満足感をも表現して、終生忘れえぬ感動をもたらしてくれた。 10点(2001-01-14 17:59:08) |
22. 田舎の日曜日
パリ郊外。樹木の葉が黄色く色づくある日曜日。年とった画家が住む邸宅の内外の佇まい。そこへ実直な息子夫婦が孫を連れてやってくる・・・。物静かな佇まいの中にしみじみと語られる、さりげない会話に人生が滲み出る。このフランス映画独自の世界は何ものにも代えがたい貴重なもの。そしてワンカット・ワンカットが老画家の印象派絵画そのものの美しさ。 8点(2000-11-26 21:58:25) |
23. イルカの日
イルカの高度な知能を軍事目的に利用して、大統領暗殺を計るという一種のSFもの。しかしこの作品はそんなストーリーが陳腐にも思えるほど、イルカの可愛らしさやその泳ぎの美しさには心を奪われる。作品そのものを忘れ去っても、人間と擦り寄りながらイルカが泳ぐシーンのバックに流れるテーマ曲は終生忘れない。 7点(2000-11-19 00:03:32) |
24. イル・ポスティーノ
これが遺作となったM・トロイジーのほとんど演技を超えたその人間臭さや暖かみ、無邪気さと哀しみの表現などがこの作品のすべてと言ってもいい。良質で純粋な作品でテーマ曲も素晴らしく印象的だが、ただ結末には多少の不満が残ってしまう。 8点(2000-10-15 16:24:51) |
25. インナースペース
傑作「ミクロの決死圏」を観てしまっている以上、テクノロジーも格段に進歩していることだし、これを超える作品として期待したんですけど・・・。SFX的には実に“ショボい”出来ーというより、コミカルなドラマのほうに重点を置いてる作品。そういう意味では肩透かしを喰らった感じだけど、本筋はなかなか良く出来てました。 7点(2000-10-13 00:44:00) |
26. インデペンデンス・デイ
公開される一年も前から流されていた予告編。夜の大都会の街並みの遥か向こうから車が次々とスッ飛んで来るさまを、呆気に取られてスクリーンを見つめていた記憶があります。強いアメリカを強調するあまり、毛嫌いされた向きも確かにある。しかしエンターティンメントとしてそのSFXは極めて斬新で、CG及びデジタル合成の利点を、この大スペクタクルドラマで最大限の効果をあげて成功している。特に空中戦の素晴らしさは特筆に価する。終盤が少し弱くマンガチックになってしまったけれど、まずは見せ場タップリの大満足の一本でした。 9点(2000-09-24 00:06:46) |
27. イグジステンズ
ぐにゅぐにゅ、ねちゃねちゃと肉体と機械の結合(融合)のテーマは今回も健在。でも相変わらずの虚構の世界と悪趣味のクロネンバーグ・ワールドには食傷気味! 6点(2000-05-05 23:55:18) |