1. いとこ同志
《ネタバレ》 うぜ~、何なんだアイツら。散々邪魔しておきながら「何で落ちたの?」とか抜かしやがるし。オマケに信頼していた本屋の店主に「女遊びはやめろ」とか訳の分からない忠告をされたら、そりゃ自殺もしたくなるわな。一方ちっとも勉強しないで遊び呆けていた従兄弟がカンニングして楽々合格するというのもまた皮肉、勉強嫌いの自分にとっては「勉強の無意味さを証明した」という点で妙に嬉しくなってしまいましたが(汗)。そんな訳で主人公のどうしようもない苛立ち、絶望感は見事に表現されていましたが、如何せん物語としてはちっとも面白くないんですよね~(^_^;。こんなの観せられてどうしろと言うのか…。今の受験シーズンにはピッタリな内容ですが、もし落第生に観せたら本当にこの映画の主人公と同じ行動を起こしそうな人が出てきそうで怖い。技術面では撮影のアンリ・ドカエの室内セットを巧みに利用した映像が素晴らしいとのことですが、素人の自分にはよく分かりません。ただ最後のオチはなかなか気に入りました。文字通り陰気な空気に止めを刺しながらも、それが主人公の自殺によってではなく偶発、しかも憎きジャン=クロード・ブリアリに負い目を負わせて終了したのでスカッとしました。「ヌーヴェル・ヴァーグの金字塔」と言われている作品らしいですが、その理由も納得できます。結果、最後のドンデン返しに8点です。 [CS・衛星(字幕)] 8点(2006-01-27 17:07:09)(良:1票) |
2. イヴの総て
《ネタバレ》 これは物凄く見応えのある作品でした、どうせならあと二時間でも三時間でも尺を伸ばしてもっと観ていたかったくらい。タイトル「イヴの総て」、主演ベティ・デイビスと来ればどう考えても主人公のイヴをベティが演じるものかと思っていたら、本当はまさかそれを妬む大女優の役とは…。ベティ・デイビスって毎回こういう嫉妬深い役ばっかりでちょっと可哀想な気もするけど(と言っても他には「何がジェーンに起こったか?」ぐらいしか観ていないけど)、そういう難しい役どころを何なくこなせてしまうところが名女優たる所以かもしれませんね。一方対する相手役のアン・バクスターもとんだ食わせ者、登場シーンから既に役者です。前半と後半とでのまるで違う対照的な性格、あたかも人格までもが入れ替わってしまったような気さえします。しかしこれって決して映画の中だけの話ではなく、実際に現実でも起こり得ることなのでしょうね。そんな芸能界の厳しさ、残酷さをまざまざと見せ付けられたのでした。感服! [DVD(字幕)] 9点(2005-09-28 19:14:37) |
3. 怒れるドラゴン・不死身の四天王
《ネタバレ》 ああ、四天王ってそっちの方ね。てっきりあの弱っちい奴等四人組のことかと思った。それにしてもやっぱりジミー・ウォングって人はどこか変ですよ。例えるならブルース・リーやジャッキー・チェンの映画で、どうもいい端役の人の闘いを延々と見せられているような脱力感があります。「チンさんは日本人で、侍の血を引いてるんだ」って本当かよ!?と思っていたら、あの人本当に日本人だったんですね。そこだけは驚きました。個人的には『片腕カンフー~』の方が滅茶苦茶やっていて笑えるので好きです。 [地上波(字幕)] 5点(2005-06-19 00:42:10) |
4. 生きるべきか死ぬべきか
《ネタバレ》 なるほど、確かに「チャップリンの独裁者」を上回る作品と言われているだけはあります(何か偉そう)。冒頭のインチキ臭い芝居からして既に面白いのですが、ナチスを相手に次々と主人公たちが敵を欺いていくところは痛快です。特に中盤、偽の教授に化けたジョセフとゲシュタポの大佐エアハルトとのやり取りはケッサクです。最後の締めは毎度のことながら鮮やか、流石ルビッチ。to be or not to be! [ビデオ(字幕)] 8点(2005-05-29 11:48:16) |
5. 家での静かな一週間
はっきり言って訳が分からないけど好き。最初におっさんが双眼鏡で偵察しているところから、全力疾走して家に駆け込むところなんかも面白くて好きです。それから何だかあの主人公の生活に憧れてしまうのは自分が駄目人間だからでしょうか?それにしてもこの頃のヤン作品は本当に目が悪くなりそうなものが多いです。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-04-08 09:15:00) |
6. 石のゲーム
如何にもNH○でやっていそうな感じの内容、イマジネーションを刺激されます。しかし子供には見せられない、というか見せてはいけないもののような気がする。ただの石のはずなのにこんなにもエロティシズムを感じさせます。 [ビデオ(字幕)] 7点(2005-03-30 13:15:15) |
7. イギリスから来た男
テレンス・スタンプって全然知らないんですけど、兎に角とても存在感のある俳優だということは分かりました。ただこのおっさんに感情移入しろというのはいくら何でも無理なので、平均からマイナスして6点献上。ソダーバーグの作品って外見とは裏腹に中身が味気ないものが多いような気がするけど、この作品に限ってはその気質と内容が見事にマッチしていると思いました。まさにストーリーではなく編集で見せる映画。しかしながらこの特異な構成のせいで、途中主人公が殺しのイメージトレーニングをするシーンではちょっと混乱してしまいました。 6点(2005-02-05 19:27:31) |
8. 石の花
《ネタバレ》 ロシア映画お得意の民話をベースにしたファンタジー・ストーリー。緑を基調にした鮮烈な映像が実に綺麗で、また蝋燭による時間の経過や季節の移り変わりを一瞬で表してしまうところの演出も上手く、画面一面に花が咲き渡るシークエンスなどはそのイマジネーションの豊かさに思わず感嘆してしまいます。ついでにセットもかなり凝っています。はっきり言って石の花のデザインはけっこう俗悪だと思いましたが…、個人的にはダニーラが作った植木鉢の方が好みです。やや古めかしく子供向けな感は否めませんが、たまにはこういう映画も良いものです。ところで最後はめでたしめでたしで終るから良いんだけど、そういえばこれって回想録じゃありませんでしたっけ?嗚呼、「新ガリバー」が観たい。 7点(2005-02-02 00:18:31) |
9. いばら姫またはねむり姫
同監督の他の作品群と立て続けに観てしまったせいかここで集中力が途切れたのか(さすがにそれはないだろうけど)、普通に面白い作品だなーと思いました。さすがに前作「不条理三部作」などに比べるとちょっとインパクトは薄いけど、チェコのトルンカスタジオで撮った川本さんの西洋物ということで凄く新鮮な感じがして良かったです。こういう一つのものに限らず多彩なジャンルを手掛けられるのってやっぱり凄い才能ですよねえ。中盤ではまさか人形であんなことをするのかとドキドキしてしまいましたが、これもまた普段実写で見慣れている分、人形でやられると逆に新鮮味があります。最後のナレーションの台詞もひねりが利いていて良く、是非ともまた観たいと思わせられる作品でした。 7点(2004-12-29 21:10:48) |
10. イースト/ウエスト 遥かなる祖国
《ネタバレ》 一言で言うと「とても力強い映画」だと思いました。雄々しいオープニングから壮大な物語の幕開けを予感させ、そのまま最後まで一気に観させてしまう。タイトルの「遥かなる祖国」とは映画の舞台になっているロシア(旧ソ連)の地ではなく、妻マリーの故郷フランスのことなんですね。希望を抱いていたはずの祖国に容易くも裏切られてしまった夫の悲しみ、自分のせいで家族をも巻き込んでしまったどうしようもないやるせなさと苦悩が痛いほどに伝わってきます。中盤で夫と妻はそれぞれ自分勝手な行動に出ますが、あんな状況の中ではそれも一概には責められないような気がします。それでもマリーは強く、幾度かのチャンスが訪れるもそれらは脆くも握りつぶされてしまう。最後に真価が問われるのはやはり夫婦の愛。終盤がちょっと駆け足でありながらも、決して諦めることのなかった妻マリーの強い思い、そして家族を守るために取った夫アレクセイの決断力には心を揺さぶられました。脇役であるカトリーヌ・ドヌーヴも大女優という役に見合った貫禄と風格がありました。アカデミー賞とゴールデングローブの両方にノミネートされながらもどちらも受賞できなかったというのはちょっと残念ですが、間違いなく素晴らしい映画だと思います。 9点(2004-12-16 22:33:35)(良:1票) |
11. 錨を上げて
《ネタバレ》 歌って踊って恋する楽しいミュージカル映画のお手本のような作品ですね。まず最初に錨のマークが出てきた時から早くもやられてしまいましたが、「後髪を引かれる思い」での他の乗組員たちのブスッとした表情や、フランク・シナトラの「大人になったら分かるって言われたけど今でも分からない」という台詞には笑わせてもらいました。影の使い方もおしゃれでユニークだし、「どうだ凄いだろ」と言わんばかりにピアノの鍵盤を追い続けるカメラワークにも唸らされるものがありました。そして「トムとジェリー」のアニメパート、決して使い回しなどではなくこの映画のために作られたというのが凄い。一ファンとしては感泣ものです(ジェリーがジーン・ケリーに比べてやたら馬鹿でかくなってたけど)。他にも「どこが山賊やねん!」というジーン・ケリーの華麗な衣装など見所は多いです。しかしながらこんな簡単な内容であるにも関わらず2時間20分という上映時間はさすがに長い!この手の映画は個人的にせいぜい2時間前後が限界で、それ以上だとどんなに華麗な動きを見せられても逆に鬱陶しくなってしまいます。手法は目新しいけど話自体は極めて凡庸だったので平均の7点、良質のミュージカル作品ではあると思います。 7点(2004-12-08 19:12:30) |
12. イースター・パレード
《ネタバレ》 自分で登録しておきながら、この映画のことをすっかり忘れていました(汗)。大分前に観たので記憶がちょっとおぼろげなのですが、実は初めて本格的にフレッド・アステアを見たのがこの作品なんですよね。周りの人たちは普通に踊っているのに何故か画面中央のアステアだけはスローモーションというシーンがあって、「この人は自分の踊りを自由自在にコントールできるんだな」と感嘆しながら、そのステップの巧みさに強く心を惹かれたのを覚えています。共演のジュディ・ガーランドの方は失礼ながらあまり印象に残っていないのですが、アステアに「通行人を振り向かせろ」と言われて変な顔をするのが可笑しく、面白くてキュートな女優さんだったと記憶しています。後味はやはり良かったですね、これを観てから他のミュージカル映画にもハマっていきました。 8点(2004-11-02 22:15:42)(良:1票) |
13. 一日だけの淑女
《ネタバレ》 泣く子も黙るギャングの親分が、路上売りのお婆さんのために一肌脱ぐ!終いには警察や街の市長までもが全面バックアップという、まさに御伽噺のような物語。現実では有り得ないだろうことだけど、実際にこんなことが起きたら良いなーと思わせられる。フランク・キャプラならではの夢のようなお話です。 7点(2004-07-12 20:01:07) |
14. 愛しのタチアナ
カウリスマキの映画にしては人がよく喋る、笑う。それでもまだまだ普通とはいかない。モノクロ画面の中に男と女、おまけにロードムービー。まるでジム・ジャームッシュの世界。それでも目の前に広がるのは間違いなくアキ・カウリスマキの世界。今まで酒とコーヒーばかり飲んでいた二人が、タチアナとクラウディアに差し出された紅茶を飲むシーンは素敵。そしてこれがマッティ・ペロンパーの遺作でもあるのです。 7点(2004-05-25 18:18:26) |
15. インフェルノ(1980)
ホットドッグ屋の親父と、図書館で怪しい実験をしていた人物は誰なんでしょうか?残された謎が多すぎる!という、アルジェントの中でもかなりの怪作品・・・。 5点(2003-11-23 12:32:59) |