1. 硫黄島からの手紙
結構厳しい批判が多いのに驚いた。(もっとも下記の理由で頷けるが)アメリカ人にとっては仇敵ともいうべき当時の日本軍を、アメリカのスタッフがここまで公正に描いたことを大いに評価しても良いのではないだろうか?もちろん本来アメリカの大衆向けのエンタテインメントなのだから多少は大目に見なければならない点もあるかも知れないが、国が違うだけで同じ人間が殺し合わなければならない戦争の悲惨さ、(前作と合わせて)日米の民族性や兵士の置かれていた状況の違い、当時の日本社会が何よりも日本人にとって一番辛いものだった、というポイントが押さえられていたと思う。それに昨今の、時代背景を無視して不自然なほどヒューマニズムを強調した、正真の日本の戦争映画よりも「日本映画」として違和感が少ないのは賞賛に値する。このような映画を巨費を投じて丹念に製作し、アカデミー賞にまでノミネートしてしまう、アメリカの懐の深さには感心するしかない。ただ、難を言えば、アメリカナイズされた「栗林中将」が最も有能で魅力的な人物だったのだという、いつもの「アメリカが一番」を言いたいが為の映画なのか?と考え出すと、鼻持ちならなく成って来てしまう。ここは、彼こそ現代的な西欧の合理主義的聡明さと武士道の美徳を合わせ持った人物と捉えておきたい。 [DVD(字幕)] 8点(2008-01-02 23:33:50)(良:1票) |