21. THE LAST MESSAGE 海猿
《ネタバレ》 毒にも薬にもならない作品とはまさにこういう映画。 2作目が個人的には傑作だったもので、正直この作品にはがっかりした。 もちろんそれなりのキャストを揃えて予算もかけているみたいですから、面白くないわけがありません。それなりの映画には仕上がっています。 ただあまりにも前作通りのパターンすぎて、もはや興醒めするレベルです。2匹目のどじょう狙いなのがミエミエです。 脚本や演出にまるで工夫がないものですから、とにかくクサイ台詞で無理矢理感動させようとする演出のごり押し。ワンパターンのピンチとクサイ台詞の連続。過去シーンの挿入は少々クドイ。この辺も、脚本やストーリーが全然面白くできなかったので、過去のヒット作にすがっているようにしか見えません。 好きなシリーズなんですけどね。この作品に関してはいまいちと言わざるをえません。 役者さんたちの演技はとても良いです。相変わらず加藤あいはかわいい。 [DVD(邦画)] 6点(2021-04-02 03:51:03) |
22. 裁判長!ここは懲役4年でどうすか
《ネタバレ》 全く新しい目線と言っても過言ではないほど新しい、『傍聴人目線』の裁判コメディ。 そもそもオープニングのザリガニ裁判のセンスが素晴らしくて、掴みが完璧。私もがっちり心を掴まれてしまい、最後まで興味深く鑑賞させていただきました。 終始ゆるいノリとテンポ。ですが不思議と飽きない。 前半はいろんな裁判、いろんな裁判官を紹介してくれるのが面白い。こちらも設楽と一緒に裁判所ツアーをしている気分になります。 後半は一転。ドラマチックな展開に。 きっかけはマリリン(片瀬那奈)のきつい一言。裁判所に来るのをやめた南波さん(設楽)を連れ戻そうと、傍聴人仲間がひとつの裁判を紹介します。ここから徹底して第三者の立ち位置だった視点から、被告側、当事者側の視点へと物語の方向性が変化していきます。そう、被告を助けるために、傍聴人としてできる最大限のサポートをしていくわけです。ここで描かれる様々な裏工作が地味に面白い。 とまあ、この作品はゆるいなかにも起承転結がしっかり描かれていて見やすいのです。 つまり題材は非常にマニアックながらも、ドラマの作りとしては王道。誰が見ても楽しめる良質なコメディムービーとなっています。 残念だったのは極端にデフォルメ化された人物が多数登場したこと。その最たるものが日村のシーン。この辺りは面白いドラマにしようという勢作サイドの心意気が裏目に出てしまった気がします。 [DVD(邦画)] 7点(2020-11-09 11:03:19) |
23. 30デイズ・ナイト2:ダーク・デイズ<OV>
《ネタバレ》 続編は見る気なかったのですが予告が面白そうでしたのでやっぱ観ることに。 リベンジものっぽかったので、スカッとできるかなと思いまして。 導入部分はサイコー。前作の生き残りステラ。復讐かつ吸血鬼撲滅の第一歩としての地道な講演活動。その講演に紛れ込んでいる吸血鬼を太陽光で文字通り炙り出す演出がかなり良い。 吸血鬼へのレジスタンスみたいなグループと合流してからは次第に物語は失速。いや、このレジスタンスみたいな組織が思っていたより大分しょぼいんです。人数も少ない。計画性もあるんだかないんだかよくわからない。なんだか期待はずれの連続なんです。 もちろんホラーとしては及第点です。悪くないです。ただ今作には復讐に燃えるバンパイアハンター御一行様とバンパイアの熾烈な戦いを期待したのですが、防戦一方、敗戦濃厚でちょっと暗すぎ。地下襲撃にしろ、船襲撃にしろ、無計画かつ無謀な戦いばかり挑んで仲間を失うばかり。こーゆー閉塞感を期待して見たわけじゃないんですよねー。ホラー、サスペンスとしては面白かったのですが、期待していたストーリー展開ではなかったなー。 VSリリスに関してはご都合主義も良いとこです。あれだけいた吸血鬼たちが一人も出てこないで、なぜかリリスとタイマン形式に。ちょっと不自然が過ぎませんか。 前作の感動的なラストを台無しにするオチもいかがなものか。 とまあ面白かったのは認めますが、見た後の満足感は正直いまいちなものでした。 [DVD(字幕)] 7点(2020-11-07 01:11:34) |
24. ザ・イースト
《ネタバレ》 映画に娯楽を求めちゃう私にとって、こーゆー作品はどうしても評価が低くなりがち。これは完全に好みの問題です。 薬害、公害を引き起こす企業に制裁を加えるザ・イースト。そこに潜入し、ザ・イーストの調査、監視をすることで企業を守る民間警備会社。主人公のジェーンはザ・イーストに潜入するも、彼らに感化され、その思想に一定の理解を示すようになってしまう。その一方で、『目には目を』というイーストの基本理念には強い抵抗感を露にします。『ミイラ取りがミイラになる』みたいな単純な話でもなさそうです。 それが証拠に、ザ・イーストに協力する一方で、自社にはしっかりイーストの情報を報告する。彼氏と仲良くする一方で、イーストのボスとねんごろになってしまう。そんな状況がずっと続くわけですから、ちょっと疲れてしまうのです。 メインストーリーと関係のないシークエンスで結構尺を取っちゃったり、その一方で説明不足な部分があったりと、決してバランスやテンポが良い映画とは言えません。 全員が拘束衣に身を包み、口でスプーンをくわえ、隣の人に食べさせてあげるシーン。このいかにもな思想集団的発想、自分達以外のものを否定する雰囲気がカンに障る時点で、自分とこの作品は合わないと思いました。 [DVD(字幕)] 5点(2020-10-04 02:04:12) |
25. サブウェイ123 激突
《ネタバレ》 思っていたより面白かったです。ここでの評価が低かったので、どうかなと思っていたのですが。 オリジナルがあってこその低評価。なるほど。どうしてもリメイク作品は厳しい目で見られがちになるものですから、多少低評価になるのは致し方ないかもしれないです。 パニックムービーとしてもクライムムービーとしても及第点。これ単体で見れば悪くない作品じゃないでしょうか。 演出がパワー不足なのか、やや盛り上がりに欠ける気はします。ですが最初からずっと、それなりの緊張感を絶やすことなく、最後まで楽しませてくれます。 私怨をはらし、利益も追求する。激情家に見せてその実計算高い。そんなクレバーな人物を流石の演技力で魅せるトラヴォルタ。 一方、一般人でありながら、存在感のある主人公を見事に演じていたデンゼル・ワシントン。 この2人が主演を務めたからこその面白さもあるかもしれません。 面白けりゃなんでもよい私にとって、この作品とは相性が良かったみたいです。 唯一難点を挙げるなら、暴走する無人列車そっちのけでライダーの追跡をしちゃうガーバーはキャラに合っていない気がしました。違和感を感じます。人命最優先ではなかったのでしょうか。だったらすぐ本部と連絡をとって状況を説明するのが先決ではないかと思うのですがね。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2020-09-19 09:07:49) |
26. ザ・ウォーカー
《ネタバレ》 信仰心がないのでストーリーにはまるでひきこまれず。 『世界の終末』はいろんな映画で見てきたので、その世界観にもひきこまれず。 とゆーか、個人的に『世界の終末』ってのが好きじゃないんだな。でも『北斗の拳』(もちろんマンガのほう)くらいアクションエンターテイメントに徹してくれたら、ヒーロー映画として楽しめます。 ですのでこの作品で良かったのはアクションくらいかなー。もはやヒーロー並の圧倒的戦闘力でスッパスッパと悪党共の首をはねていくのは爽快。 ただ終盤は防戦一方で盛り上がりはするがカタルシスは皆無。 全体通してエンターテイメントにしたいのか、布教活動をしたいのか、よくわからん映画であります。 テイストとしては好みのタイプではありません。ですがストーリーはつまらないものの要所要所のアクションは楽しめたので、そのプロセスを楽しむ映画と言えそうです。 個人的にはラストのバーでの暴徒騒ぎ、クローディアの離反、カーネギーの高熱が凄く好き。今まで築いた文明や社会や秩序が崩壊していく瞬間ってのが昔から好きなので、このシーンが一番好きかもしれないです。 疑問点はいくつかあるのですが、やたら爪をチェックし、『やつらとは違う』というセリフが出てくるので、てっきりクリーチャーかなんか出てくるのかと思っていたのですが、何も出てきやしませんでした。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-09-06 20:03:08) |
27. ザ・フィースト
《ネタバレ》 やたらアップが多く画面が見づらい。更にはやたらぐらぐら揺れる画面が見づらさに拍車をかける。 1人逃げた女がそのまま放置っていう展開が気に入らない。 アウトローVSゾンビやモンスターっていう、『毒を以って毒を制す』みたいな話は好きなんですが、この人たちはアウトローというよりダメ人間ばかり。性格ブスだし、とりたててビジュアルに魅力があるわけでもないし、この人たちがどーなろうが知ったこっちゃ無いってのが本音。だからあまりハラハラもしないです。 じゃあ『一矢報いる』的な逆襲のカタルシスがあるかっていうと、そーゆーのもほとんどない。 でもシチュエーションは好きです。顔見知りの人たちが集まる酒場に、突如としてモンスターが襲ってくる。籠城・応戦・脱出。これまで数多くの作品が踏襲してきたB級ホラーの定石であり、王道。1970年~1990年代のモンスター系ホラーが好きだった人ならきっと楽しめるのではないでしょうか。 完成度の高い作品や、常に映画に新しい風を求める人には至極退屈でくだらない映画になっちゃうんでしょーけどね。 [DVD(字幕)] 6点(2020-09-05 13:14:46) |
28. サバイバル・オブ・ザ・デッド(2009)
ロメロのゾンビはゆっくり歩く。『走るゾンビ』に比べれば、迫力はないかもしれません。 ですが、そんな『歩くゾンビ』特有の恐怖というものが必ず描かれてきました。今までのロメロ作品において、ゾンビは畏怖すべき対象であったのです。 この作品はどうでしょう。今までのロメロ作品とは明らかに何かが違う。この作品ではゾンビはただの記号であり、ただのシンボルであり、ただの消耗品になってしまいました。アイテムであり、オブジェであり、コメディ要員と化してしまいました。 今までのロメロ作品とは違い、本当に低レベルな個性もこだわりもないただのB級作品となってしまいました。 個人的にロメロ作品で好きだったのが、無秩序や狂気のなかに描かれる秩序と平穏。そして壊れ行く文明社会。この作品ではそれも描かれません。サバイバル要素だって全然ない。 人間を捕食する描写がある。だからかろうじてゾンビムービーである。退屈はしませんでした。ですがそれだけの映画です。 [DVD(字幕)] 5点(2020-08-24 23:58:08) |
29. サロゲート
《ネタバレ》 言いたいことは山ほどあるけど、とりあえず車はいらないでしょう。 サロゲートの脚力、跳躍力。更には疲れを知らないときたもんだ。だったら職場まで全力疾走させれば良い。みんなサロゲート持っているんだったら、まず車社会でなくなってないとおかしい。 それに仕事はともかく、娯楽やプライベートまでサロゲート使うかな。それって人間心理に反してないですか?きつい仕事や危険なことはサロゲートを使うでしょう。ですが楽しいことは基本自分でやりたいはず。もちろん容姿に自信がなくてサロゲートを使う人はいるかもしれんけど、少数派のはずです。 で、『世界人口の98パーセントがサロゲートを使用』フムフム。まあ、いいでしょう。 『犯罪は激減。人種差別はなくなりました。人類が抱えてきた難問は短期間で解決しました。』ほほう。そりゃすごいね。それでそれで? 『戦争だー。どっかーん。サロゲートが闘うからゲームと変わんねーぜー。』っておい。人類最大の難問である戦争がなくなっとらんじゃないか。それともアメリカにとって戦争は人類が抱える難問とはとらえていない?そりゃ恐ろしい国だぜ・・。 まあ、なんか文句ばかり書きましたが、それなりに面白い作品ではあります。 世界観だけにおんぶにだっこではなく、しっかりストーリーが考えられているところは好印象。まあそれが面白さにつながっているかどうかはまた別の話ですが。 魅力のある登場人物が一人でもいれば違ったかも。ひまつぶしにはなりますが、人にオススメするにはあと一歩って感じです。 [ブルーレイ(字幕)] 6点(2020-07-03 00:10:14)(良:1票) |
30. ザ・ドア 交差する世界
《ネタバレ》 過去改変ものかと思いきや、全くのパラレルワールド。 そうとは気付かず、ダヴィッドが誤って5年前の自分を殺しちゃったとき、『消える!消える!』と焦っちゃいました。・・・でも消えない。 いったい何が起きているのだろう、そしてこれから何が起きようとしているのだろう、と、興味津々で見ていたらまさかのすり替わり。いや、自分が自分と入れ替わるっていうのはすり替わりですらないのか?このパターンは意外とないですね。 まあ、人を殺しておいて、ハッピーエンドなんて願うべくもなく。いったいどのような結末になるのか。 ・・・ははーん、なるほどですねぇ。思っていたほどのバッドエンドではなかったですね。 5年前の娘や奥さんを助けたからって、5年前の自分やマックスを殺しちゃったことがチャラになるわけありません。なかなか切ないラストを用意してあります。ですがこれが正解でしょう。 スザンヌ夫婦が5年前の自分を殺しちゃうあたりからはホラー色強め。なかなかスリリングな展開です。 浮気相手だって5年後からやってきて平然と声をかけてきます。でもそれはつまり5年前の自分を殺してすり替わっているわけで・・・。怖い怖い。 中盤くらいまでは、殺人がばれそうになる緊張感。後半から終盤にかけては、この世界からの脱出劇。1つの映画で異なる緊張感を楽しめる一風変わったサスペンス。 壮大なスケールで描くのではなく、プライベートな空間に留めたのは良かったと思います。 苦手なタイプの荒唐無稽近未来SFなんかではなく、大変わかりやすいシンプルなSFスリラー。面白かったです。 [DVD(字幕)] 7点(2020-06-13 02:53:40)(良:2票) |
31. サマーウォーズ
《ネタバレ》 私は化石のような人間なので、そもそも『ネットもの』っていうジャンルが苦手。SNSもオンラインゲームもやらないしね。仕事でワード、エクセル、ネットを使うぐらいです。ですから、こーゆー作品とは、はっきり言って相性はよくありません。 ただ、サマーウォーズはそんな石器時代代表のような私にも、ジェスチャーでわかりやすく伝えてくれるような親切さを感じます。 現在の状況を、アニメーションでデフォルメ化して表現。ただ、その表現の仕方、デフォルメ化はあまりにもマンガチックで子供じみています。まるで『ウホウホ、これだったらわかるかい、ウホウホ』と、ちょっと馬鹿にされているようにも感じてしまい・・・難しいですね。 登場人物は一昔前のステレオタイプな人たちばかり。演出もちょっと古臭い。 こーゆーのに懐かしさを感じ、味わい深いと思うことは確かにあります。ですがこの作品は古いうえにちょっと感情表現過剰な気がしました。 世界の危機だっていうのに、ちゃんと状況を説明しない主人公。だから氷を持っていかれちゃったりするんですよ。ヒロインも侘助にもっとちゃんと説明しなきゃ。そんな主人公とヒロインにイライラ。 主人公がパスワードを解くシーン。キング・カズマのバトルシーン。夏希の花札バトル。それぞれ盛り上がるシーンがあります。ですから最後まで退屈することはないです。ハッピーエンドだし。もうちょっと感動したり、カタルシスを感じたかったりしたのですが、その辺は今一歩といった印象です。 [ブルーレイ(邦画)] 6点(2020-05-17 14:20:39) |
32. ザ・キング・オブ・ファイターズ
《ネタバレ》 こーゆーゲームの映画化はさ、『わかりやすく』『楽しく』作ってくれるのが一番です。 トーナメント戦にしてさ、いろんなキャラ出して、じゃんじゃん戦わせりゃあ良いんです。 ぐだぐだぐだぐだつまんない会話やら、回想シーンばっか見せられても眠くなるだけ。 もちろん、ストーリーが面白ければ話は別。脚本が練られていて、演技にひきこまれるような役者さんだったら良い。 でも、こーゆー『ザ・B級』みたいな作品でそーゆーことはまずない。 ストーリーはつまらないに決まっている。『深み』『斬新』期待すべくもない。セリフ棒読みは当たり前でしょう。 でもそれで良いんです。見ている側だって、こーゆー作品にA級のクオリティなんて求めていませんから。高級料理を食べに来たんじゃないのです。今はラーメンが食べたい気分なんです。そーゆーときの、このジャンル。格ゲーアクションを見せてくれたらよかったのです。 頑張ってはいましたが、『方向性』と『ウェイトの置き方』が微妙にずれちゃっています。残念。 [DVD(字幕)] 3点(2020-05-09 14:51:57) |
33. 最強のふたり
《ネタバレ》 これが実話っていうのが凄い。障害者の大富豪と貧しい黒人青年。描き方によっては重く、暗くなりそうな題材を、明るくポップに仕上げた作品。不謹慎になるかならないか、かなり際どい絶妙なバランス。でもそれがこの映画の魅力になっていそうです。『心のバリアフリー』とでもいうのでしょうか。『富豪』『障害』という肩書きを完全にスルーしちゃうドリスに、フィリップだけでなく、見ている私達も爽快な気分を味わうのです。 こーゆー作品にしてはユーモアのセンスも抜群。『絵』のくだりは最高。『白いキャンバスに鼻血つけただけじゃん。俺が描いてやるよ。なんなら青いペンキも足してやるし。』に始まり、ドリスの絵が売れるまでのコント劇。11,000ユーロで売れたときは『売れたっっ!』って笑いが止まらんかったです。芸術って何なんでしょう。ついた金額がその絵の価値を決めるのか? フィリップのラブレターを小馬鹿にするシーンも面白い。そういった意味では、心温まるヒューマンドラマというだけでなく、ちゃんと『映画』というエンターテイメントに昇華されているのが素晴らしい。 サイドエピソードについてはやや詰め込みすぎ、説明不足、消化不良気味であることは否めません。フィリップの娘。ドリスの家族。抱える問題がどのように解決され、今どうゆう状況になったのか、肝心なところが明かされないままです。ですので、ちょっとすっきりしない部分は残ります。 とは言え、ハートフルでプチサクセスなコメディドラマとして、見る人を楽しませてくれる作品なのは間違いないでしょう。 [ブルーレイ(吹替)] 8点(2020-01-19 11:30:45)(良:2票) |
34. サンシャイン 2057
《ネタバレ》 今、何が起こっているのかがとてもわかりにくい。複雑な設定。難しい専門用語。細かいカット割り。なんだろう、終始ごまかされているような印象。 とは言え、とは言えですよ。やはり『宇宙』というものに憧れる身としては、この映画にはそれなりの『畏怖』や『浪漫』を感じずにはいられません。でも宇宙やら、それ関連のSFに興味が少しでも持てない方は最初からお断りといった趣。万人向けでもなければエンターテイメント作品とも言い難いでしょう。 後半になるにつれ、サスペンス色が強くなります。終盤は完全にホラー。ピンバッカーについてはボロクソに叩かれていますが、彼の登場でこの作品の娯楽度は上がった気がします。 小難しい話はちょっと・・・。哲学的な話はちょっと・・・。宗教は論外。という私は、『単純なワクワク』『単純な恐怖』を求める庶民代表。ピンバッカー登場によるスリラー演出は嬉しい展開です。 かといって、この映画自体が面白いかと言われれば微妙。そもそも、『予定の針路を勝手に自分たちの判断で変更して、その結果全滅しちゃう』なんてパターンは、私が一番嫌いとするところ。小難しい居丈高な物腰の作品のわりに、そーゆーところはホラーあるあるなんですね。なんだかなあ。 [ブルーレイ(字幕)] 5点(2019-10-30 07:34:59) |
35. ザ・シューター/極大射程
《ネタバレ》 プロローグで驚異的な射撃能力を見せつけてからの本編。 こんなに有能で善良な軍人が、祖国に1度ならず2度までも裏切られるとは。ここでスワガーと視聴者の怒りが共有され、まんまと物語りに引き込まれていくのでした。 マーク・ウォールバーグ演じるスワガーは、はっきり言ってスーパーマン。こんなに強すぎると緊張感がなくなりそうですが、八方塞がりな危機的シチュエーションが見事に緊張感を生み出しています。特に、罠にはめられてから、サラの元へ行くまでの逃亡劇が素晴らしい。 味方がサラとメンフィスだけってのも良かったですね。陰謀系ではありますが、登場人物を限定し、すっきりわかりやすい勧善懲悪ストーリーにしたのが良い。その一方で、『村を虐殺した部隊をお前達は助けたのだ』のセリフが凄く印象に残っているように、衝撃的なストーリー展開でもあります。衝撃的かつ明確なストーリー構成。だからアクションがより冴えて見えます。まさにサスペンスアクションのお手本のような作品です。 ちょっと残念だったのはオチのつけかた。雪山で大佐と上院議員を殺さない。『これは法に則って罪を償わせ、社会的地位を抹殺する流れか?』と期待。勝ち誇る大佐と上院議員にぐうの音も出ないほどの証拠をつきつけ大逆転。・・・・かと思ったのに、『えええ?』な展開。最後は結局鉄拳制裁って、それじゃあ望むカタルシスは得られなかったりするのです。 それに、最初から比較的暗めのトーンなので、今まで不遇だった分、最後くらいスワガーとメンフィスとサラの笑顔でしめくくってほしかった次第です。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-10-14 23:48:46) |
36. サニー 永遠の仲間たち
《ネタバレ》 こ、高校生?中盤くらいまでずっと小学生だと思って見ていました。だってねえ。このノリ。このファッション。当時の韓国の高校生って随分子供っぽかったのですね。序盤の休み時間の雰囲気なんか、完全に小学校です。 さて、映画は、わりと面白かったです。余命わずかな親友との再会。親友の最後の頼みで『サニー』のメンバー、チャンミ、ジニ、ポッキ、クムオク、スジを探すことに。ありきたりのプロットだし、退屈になりそうな題材を、小さなエピソードの積み重ねで楽しく見せてくれます。現在と過去を交互に見せる見せ方も、この映画においては効果的だったと思います。 高校生のときに夢見ていた未来の自分と現実とのギャップ。こーゆーシーンがあると、韓国のことなんかなんも知らないのに、なぜかノスタルジックな気分になります。結構好きなシーンです。 で、正直コメディパートが個人的にはややいまいち。はっちゃけすぎていて、笑えるどころか寒気をおぼえます。 でも前半のコメディが効いているから、後半の事件に衝撃を受けます。ギャップって大事。なのでコメディ要素はあったほうが良かったのですが、要はそのバランスです。 最後の最後で『スジ』と再会できてよかった。ですがスジがあの事件の後どうなったのか。『退学』って言っていたけれど誰が退学になったのか。スジは今まで何をしてきて、今何をしているのか。全く明かされなかったので、そこだけ消化不良です。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-10-01 05:12:05)(良:1票) |
37. サベイランス(2008)
《ネタバレ》 『ヒッチャー』みたいな雰囲気がたまらなく怖い『雰囲気ゴリ押し系ホラー』。それ自体に文句はないんですが、ネタバラシちょっと弱くないですかね。ミステリー仕立てで凄く面白かったのに、フタを開けてみればたいしたミステリーでもない。『何でもありサプライズ』は逆に驚けないのです。 本物のFBIが殺人鬼なのか。それとも殺人鬼がFBIになりすましているのか。どちらにしても基本設定に無理がある気がします。 『最初から二人組みの殺人鬼なんて実はいなかった』というオチかと思っていたのですが、全然違いました。子供の絵も何かのヒントになるかと思ったのですが、回想シーンで何が描かれるかを示唆するだけで、特にヒントではないですね。この映画にミステリーを期待しないほうがいいかもしれません。 ほぼほぼバッドエンディングなんで、後味はあんま良くない。女の子とその家族はかわいそうすぎます。 それに、警官二人がクソ野郎すぎて、殺人鬼カップルのインパクトが弱くなってしまったのも問題。そもそもあのクソ警官どもがみんなの車を停めなければ、みんな普通にドライブして誰も犠牲者は出なかったはずなんで、クズ警官どもの罪は重い。 と、何か次から次に文句が出てきちゃいますが、映画としては普通に面白いので困ったものです。 [DVD(字幕)] 7点(2019-09-01 12:04:31) |
38. 30デイズ・ナイト
《ネタバレ》 2時間近い長尺ながら、開始20分足らずで最初の犠牲者を出す潔さ。田舎町ひとつを壊滅させるスケール。犠牲者多め。適度なペースで物語がどんどん進むのが良い。 いわゆる『ゾンビ系映画』では『すでに荒廃した街』や『ゾンビが巣食う街』ってのはよく描かれます。ですがそうなるに至った経緯を描いた作品っていうのは、意外と多くないんです。この映画はゾンビ系ではありませんが、吸血鬼の一団によって田舎町ひとつが壊滅するまでを描いた貴重な作品です。次々と町の人たちが襲われていく様子は圧巻です。 嫌悪感を抱かない程度のグロ描写。心臓が止まらない程度の緊張感。私の好きな『かくれんぼホラー』のテイストも含まれているおまけつき。ホラーアクションとして、バランスが良い作品と言えそうです。 難点を挙げると、主人公達の行動選択に説得力が欠けていたこと。まあ元々が吸血鬼サイドに有利すぎる条件で八方塞がりなので、仕方ない面もありますが。だとしても『警察署まで行って○○をすれば助かる』『町外れの工場へ行って○○すれば逃げられる』など、明確な理由、説明、説得力が欲しいです。『成功すれば必ず助かる』という希望は、ホラー映画では絶対に必要。希望が無い状況では、恐怖ではなく『絶望』や『諦観』が幅を利かせてしまうのです。 [DVD(字幕)] 7点(2019-08-15 18:43:51)(良:1票) |
39. サイレントヒル
《ネタバレ》 どうやら『現実世界』と『異世界』と『異世界の裏の世界』の3つがフィールドになっているようですね。 『異世界』が『死後の世界』なのか、それとも『生と死の境界』なのか、その辺がはっきりしません。ローズとベネット巡査が、交通事故により死んだのか、それとも生きたまま連れてこられた世界なのか、それさえもあやふや。冒頭『サイレントヒルでは大規模な火災事故があった。大勢の住民が死に、大勢の人間が行方不明のまま』と説明があります。とすると、アレッサが復讐のため、自分を焼いた人間たちを異世界に生きたまま閉じ込めた。そして異世界ではなぜか教会がアレッサも手を出せない聖域として存在し、住人達はそこへ逃げ込んだと考えるのが妥当かもしれません。教会はシャロンと同じように、アレッサの良心が具現化したものかも。 映像すばらしいです。クリーチャーも怖い怖い。冒頭の焼けた子供たち(おそらくアリッサをいじめた報いでしょう)。元用務員のクリーチャー。看護婦の格好した悪魔みたいなの。そのどれもが凄い迫力。特に序盤はわけがわからずひたすら怖かったですね。なのでホラー映画としては、もうかなりの完成度で満足です。 ストーリーに関しては、アレッサが自分勝手にローズとベネットを巻き込んだのがちょっと不満。ローズもベネットもあんなに頑張ったのに。なにより善人です。なのにベネットは殺されて、ローズは結局もとの世界に戻れないなんて可哀想じゃないですか。パパだって可哀想。バッドエンディングでも構わないと思うときももちろんあるのですが、この作品はハッピーエンドで良かったんじゃないでしょうか。アレッサはシャロンとなって、もう一度ローズ一家の娘となって幸せな人生をやり直すでいいと思うんですけど。後味悪いです。 [ブルーレイ(字幕)] 7点(2019-04-06 14:10:05)(良:2票) |
40. サハラ 死の砂漠を脱出せよ
《ネタバレ》 言ってみれば、『スターウォーズ』とか、『パイレーツ・オブ・カリビアン』とか、そっち系の作品。映画として見応えがそんなにあるわけではないけれど、見ている間は普通に楽しい。そんな感じです。 『内戦』『産業廃棄物』『暗殺』といった物騒なテーマを、とにかく軽いノリとパワー全開の映像で楽しく見せちゃう映画。 序盤はまさに登場人物の紹介って感じで、ややかったるい。そんな中でも、ペネロペ・クルス演じるエヴァのターンは『謎の病気』がらみで、名作『アウトブレイク』のような緊張感とホラーテイストで結構ドキドキ。でもそれも期間限定で、トレジャーハンター組のダーク&アルと合流してからは否応なしに陽気なアドベンチャーへと様変わり。どっちが良いかは人それぞれでしょうが、序盤のミステリアスな緊張感を中盤以降も少し欲しかったかな。雰囲気が軽すぎて、途中からどーでもよくなってくるんですよね。 凶悪な軍事国家や、悪い企業が相手なので、多勢に無勢で危機的状況がひっきりなし。にも関わらずお気楽な空気が変わらないのは、ひとえにダークとアルのキャラクターによるもの。また、2人の能力も高いため、どんな状況であってもすべて何とかなってしまいます。そのため大変気楽に見れるエンターテイメントではありますが、本格的なアクションやスリルを求めると肩透かしをくらうのは間違いないでしょう。 自分自身、そんなに期待していたわけでもないのに、中だるみしちゃってたときがあったのは確か。とは言え、一つの映画としてきれいにまとまっていて面白いし、最後まで見ればラストは爽快な気分になれちゃうので、期待していなかった分得した気分です。 [DVD(字幕)] 7点(2018-02-28 02:19:37)(良:2票) |