1. 殺人幻想曲
《ネタバレ》 緩急のつけ方が凄くハッキリしている映画ですね。 ちょっと重箱ですが、オープニングの空港での再会時、主役二人の熱いキスシーンとその他外野のクロスカッティングのシーンでは、外野のショットは空港の喧騒があってそれがBGMっぽくなっているのに対しキスする二人に切り替わると音が聞こえなくなっていて(恐らくロケとスタジオのクロスカットしている)、これが意図してそうしたかはかなり疑わしいですが、二人の世界を誰にも邪魔される事が出来ない雰囲気を作り出しているようで、結果的に上手いラブシーンになっていると思いました。 少しストーリーが進むと私立探偵が出てきて、夫が怒り狂って怒鳴り散らしているシーンとそうでないところでもオンとオフの差が激しいですし、やはり何と言っても指揮をしている最中の妄想と現実との差が面白可笑しく描かれているところ、特に現実世界のグダグダ感が笑えます。 台詞の過剰さがやや鼻についたのと、妄想3回というのも少々クドく感じられましたが、小物遣いや脚本も良く出来ておりコメディの要素もなかなかの出来で、更にワーグナーやチャイコフスキーの楽曲が楽しめたりと見どころ満載の映画に仕上がっていると言えるでしょう。 主役の指揮者はコメディ俳優ではないと思いますが、タクトの振り方がとんでもなく下手糞で毎回吹き出してしまいそうになったのと、ヒロイン役のリンダ・ダーネルが美人だった事で、ちょっとオマケして6点。邦題も上手いですね。 [映画館(字幕)] 6点(2013-01-26 17:43:08) |
2. サリヴァンの旅
《ネタバレ》 オープニングの劇中劇が終わったところからの超長回しはインパクト絶大! 前半、旅に出るたびに(ダジャレではありません)再び戻ってきてしまうくだりは面白かったのですが、後半以降がやや失速気味。 最初、道を歩いている時に少年の車に乗せてもらってカッ飛ばすシーンのアクションは必見で、カーアクションは一部映像の合成があったもののそれでも十分に見ごたえのあるシーンでしたし、またバスの中のハチャメチャ振りも実にコミカルに撮れていたりする抜かりのなさは、流石スタージェスと言ったところです。 後半の5ドル紙幣を配って歩く辺りからが少々落差が出てしまっていて、特に気になってしまったのが、教会でディズニーのコメディアニメで大笑いする観客→「世界に幸せをもたらすのはやはりコメディなのだ!」の流れ。ちょっと安直でストレートすぎる風に思えましたし、更に詰めると、サリヴァンを襲った浮浪者が靴を含めて自分の着ているものと交換した描写がなかったのも良くなかったと思います。 よく考えると、冒頭の映画は何故コメディ映画じゃなかったんだろうとか、最初に向かうのがスラム街ではなく何故農家で仕事を手伝っていたんだろうとか、色々と疑問が湧いてきてしまったりして、粗さあり落差ありで少々勿体ない作品のような気がしました。 [映画館(字幕)] 6点(2013-01-06 22:18:29) |
3. サボタージュ(1936)
《ネタバレ》 サボタージュというのは、要はテロの事ですね。 子供が持つ小包が爆発するという内容は観る前から知っていた事を差し引いても、あまり面白くは感じられませんでした、というか、ちょっとストーリーが弱い。 最初に出てきた砂についてもキーアイテムのようにも成り得ていないですし、テロを実行する過程や背景も描き切れておらず(世間の目を海外から反らせるなどという台詞のみで終わってしまっている)、ラストの映画館の爆発も唐突過ぎる印象ですし、ヴァーロックの人物描写についても爆発の後の異様に平然とした態度でいるのも理解に苦しんでしまいますし、入場料の払い戻しのワンプロットも単発ネタのままで終わってしまっているのもイタい。 つまるところ、本題に関わる話は掘り下げが弱く、そうでないものに関してはただ付け加えただけという印象しか残らない映画でした。 [映画館(字幕)] 4点(2012-12-20 01:07:06) |
4. サンライズ
《ネタバレ》 幸せだった夫婦が一人の女によって壊されてゆくという、なかなかシンプルなストーリーなのですが、このような普遍的とも言える定番作品は自分にとってかなりツボです。 自分が映画で楽しみを見出すのは、ベタなストーリーを映像のテクニックや演出、ストーリー構成や人物設定、シチュエーションなどによって如何に上手く見せているかというところに尽きるわけで、変に捻ったストーリーよりもこの映画で見られるような登場人物の心理を丹念に描く形でストーリーが進んでいくものの方が面白く感じられます。 この映画は、前半の教会から出たところまではもう素晴らしいと言うしかなく、特に街に出てきたときに、夫が妻に許しを請うところと妻が少しずつ警戒心を解いていく一連のシークエンスは、もう完璧と言ってしまえるほどの見事な描写です。道のど真ん中で交通渋滞なんかお構いなしに熱いキスを交わしているシーンの後の二人が並んで歩くショットでハッピーエンドだったら素敵だなぁと思っていたのですが、その後にやや長めの息抜きがあって、この落差はちょっと勿体無かったなぁと感じました。 後半の大波にさらわれるシーンも大迫力で、こちらもまた筆舌に尽くし難いほどの名シーンなのですが、その後に妻が助かるシーンを挿入してしまったことで、妻が生きていたことの喜びが半減してしまったような気がしましたが、二人が再会した時の幸せそうな表情が良かったですし、ラストの美しい“サンライズ”ショットも、紆余曲折あった夫婦が再出発するという意味も含んでいるようで、とても感動的なエンディングでした。 [映画館(字幕)] 8点(2011-07-28 23:46:36) |
5. ザッツ・エンタテインメント
《ネタバレ》 MGMが自分の好みでない映画を作っていることがわかったある意味自分にとってありがたい映画。 これで、観なくて済む映画が増えたのは助かる(笑)。 この映画の立ち位置的には、MGMの創設50周年記念に作られた作品で、今までの軌跡を振り返ってみようという内容。MGMミュージカルのダイジェストムービーの様相です。 他の映画から借りてきて貼り合わせたフィルムだからストーリーらしきものは当然ないですし、感動とか興味を引くものがあったとしても、それはこの映画だからそう感じるわけではなく、オリジナルのそれにこそそういった評価をするべきで、もしこの映画で評価するところがあるとすれば、ゲストの方々の語りの部分や個々の映画を繋ぎ合わせる編集のテクニックにあると思います。 自分のこの映画の評価が低いのは、そのどちらにも良いところが見出せなかったし、ミュージカルの一つ一つを見ても、とにかく大袈裟で極端にオーバーな演出ばかりなのが受け付けられませんでした。 お客さんのために作られた映画という感じもしませんし、映画のための映画とでも言うべきでしょうか。もっと言ってしまえば、映画で映画の宣伝を行っているというひねくれた考えも浮かんできてしまい、とにかく自分にとっては良い部分が見つからない映画でした。 [映画館(字幕)] 5点(2011-02-12 18:30:52) |
6. さよなら子供たち
《ネタバレ》 正直に言ってしまうと、この映画のような起伏のないストーリーというのが苦手で、少なくとも上映時間のラスト20~15分くらいの間に盛り上げ所がある映画でないと観終わってからの充実感がほとんどなくなってしまいます。 ラストがこの映画の主題であるだけに、少年たちのストーリーの中に余計に興味を引くような出来事を入れてしまうと、かえってラストが引き立たなくなってしまうために、このような変化のないストーリーになってしまったと推測できるので、まぁこれはただ単に自分とは相性が悪かっただけだと諦めることにします。 そんな中でも興味を引いたのが、宿舎でみんなが寝静まったときの真っ暗なシーンなのですが、静寂が部屋全体を包む時のあの独特の緊張感が良い味を出していたと思います。 遊んでいる時も食事の時も腕白さ全開の子供たちが唯一静かになる瞬間がその時なわけで、普通に考えて何の出来事も起こりそうにない瞬間を敢えて撮るのが逆に不気味で、実際に、ユダヤの子が蝋燭を立てて祈りを捧げている(?)シーンがあり、それ以降は何かが起こるんじゃないかとドキドキして観てしまいました。 [映画館(字幕)] 6点(2011-01-29 18:05:42) |
7. 裁かるゝジャンヌ
《ネタバレ》 ストーリーが重い。重すぎて、とてもじゃないけど入り込めませんでした。 また、序盤から同じようなジャンヌのアップばかり。同じような表情、同じようなアングル、しかも司教との問答も特に進展がなく、チョット退屈だったかなぁと・・・。 けど、サイレントだったからまだ雰囲気が出ていて良かったものの、これがもしトーキーだったら・・・ここまで評価される作品にはならなかったでしょう。 クラシック映画好きの自分としても、この映画だけはムリでした。 [映画館(吹替)] 5点(2007-09-30 02:04:59)(良:1票) |
8. サウンド・オブ・ミュージック
《ネタバレ》 何か、ストーリーの構成が「大脱走」に似ていると感じたのは私だけでしょうか。上映時間もほぼ同じだし、作られた年代も近い。シネマスコープだし、ナチが絡んでいるところや、前半までが面白く感じられたところまでも似ているような気がします。 私より前に書かれたレビューを拝見すると“健全な映画”との評価が多々ありますが、それはクラシック映画に存在する独特な秘めたる魅力なのだと思います。それがクラシック映画ならではの魔力(?)であり、健全さを感じるのはそのためだと断言しちゃいます(私の「ローマの休日」のレビュー参照)。 さて本題。この映画で一番大事なのは、マリア(←名前もすごくイイ!)の子供たちへの愛ではないでしょうか。父親の絶対的な規律により抑圧された生活を送っていたことの反動もあるかもしれませんが、子供たちのために服を作ってあげたり、歌を教えてあげたりと、人間らしさを呼び起こさせるような、マリアの愛情に満ち溢れた接し方に感動してしまいました。この映画は子供向けの映画などではなく、むしろ人を指導する側の立場の人間にこそ是非観て欲しい映画です。この映画を観てると、何か自分も教師になれちゃうような、そんな気さえしてくるようです。 それと、この映画の終盤で、ロルフという青年が自分の職務に忠実で、最後までトラップ一家を逃がすまいとしていたのが凄く悲しくて、何とも言えない寂しさに襲われた。前半であれだけリースルと愛し合っていただけに、軍の規律に恐ろしいほど忠実になってしまい、序盤の父親の教育方針もそうだったが、軍隊の規律というものは一人一人が持っている人間性というものを極限まで奪い取ってしまう恐ろしいものだと感じた。つまり、この悲しさや寂しさが“反戦映画”としてのメッセージなのでは・・・と思いました。 ところで、私が観に行った映画館には子供連れで来た人もいたようで、ドレミの歌を一緒に口ずさむ子供がいたのにはちょっと嬉しくなってしまいました(チョットうるさかったけど^^)。 [映画館(字幕)] 8点(2006-01-29 22:48:19) |
9. 三文オペラ(1931)
期待して観てしまったせいか、テンポの悪さにガッカリした。作中の全てのシーンが盛り上がりを欠いた単調なストーリー。全くといっていいほどに起伏が存在しないのでは。結婚式もショボイ。というか、結婚するまでの女の心理描写もゼロだったし、ホテルについて行った時も結構あっさりついて行ってしまったので、あれれ?という感じでイマイチよく解りませんでした。ラストの戴冠式も、序盤からあれだけ仄めかしといて、たったあれだけかよ!と、がっかりしてしまい、自分にとってはかなり後味の悪い作品でした。 [映画館(字幕)] 4点(2006-01-21 16:41:58) |
10. 最後の人
《ネタバレ》 この映画のエピローグを見て、ふと思った。もしかしてこの映画、コメディなのでは・・・と。 付け加えられたエピローグがコメディタッチで描かれているからということもありますが、それよりも、エピローグに出てきたトイレのボーイを見てそう思いました。 やはり、ポーターにはホテルの顔としての対応が出来、荷物運びをするに相応しい人がやるべきであり、トイレのボーイもまた、同様の事が言えます。適材適所とはよく言ったものですが、この映画ではそれと全く反対の状況を作り出していると感じたとき、ふとこのような考えが浮かんできてしまったのです。 不幸のどん底にある老ドアマンが富豪に成り上がった経過も、到底起こり得ないようなシナリオですし、そもそも、ドアマンをやっていたくらいの迫力のある大柄な人間がトイレに異動させられる事自体ありえない話ですよね。あれだけの大男がタオルを渡している姿というのは哀れみというよりはむしろ、滑稽さの方がより強く感じられてしまうのです。 付け加えられたエピローグがそれまでの雰囲気とガラッと変わってコメディっぽくなったのは、ムルナウ自身原作にコメディの要素を感じていたからかもしれません。 ここまで推測を巡らしてみると、凄い迫力のドアマンの表情(特に目がスゴイ!)も後になって考えてみると、どことなく滑稽に思えてきてしまいます。 それと、既にたくさんの方が仰られている通り、会話などの字幕を一切排除して演技だけで映画を作り上げたというのは、やはり並大抵のことではありませんし、制服の入ったクローゼットの鍵を瞬時に抜き取るシーンのスリル感や噂が広まっていくシーン、また、辞令のyour old ageの文字の超ドアップなどの迫力に溢れたシーンもあり、細かい部分でも唸らされるところが多く存在しますので、シリアスものにしろコメディだとしても、いずれにしても良く出来た映画には違いありません。 ★通算100レビュー★ [映画館(字幕)] 8点(2005-09-24 22:27:22) |
11. サニーサイド
《ネタバレ》 中盤あたりで、運ばれてきた紳士を医者に見てもらい部屋まで案内したところくらいまでは現実の話。それ以降にチャップリンの夢が始まっていたのでしょう。ストーリーの前半にエドナに指輪をプレゼントしていて、二人が惹かれ合っていたのは確かなので、夢から覚めた時、エドナを奪われたのは夢だったことに気づき「この指輪を見ろ!俺がプレゼントしたんだぞ!」というような事を紳士に言っていたような感じですね。 それと、「キッド」(1921)でも似たようなシーンが出てきましたが、天使と踊るシーンがファンタジックでいいですね。やっぱり、心の中にそういう部分がないとあのようなシーンは作れないでしょう。やっぱり、チャップリンってロマンティックな人なんだなぁと思います。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-05-16 00:04:15) |
12. サーカス(1928)
《ネタバレ》 サーカスという題材は、チャップリンが一番得意としている分野なのではないか、と思います。そして、ヒロインとの甘く切ない恋を描くのもまた、お得意のパターンですね。この映画でもチャップリンは色々な才能を発揮してくれるのですが、本作の場合、どうしてもそのネタのウラを読んでしまうのです。ライオンと虎には前もってたらふく餌を食わせているんだろうなぁとか、綱渡りのときももっと細い糸で上から吊っているんだろうなとか、ロバの好きなにおいをチャップリンの体に染みつけたんだろうなとか、色々・・・。けど、(綱渡りに限った話で言えば)命綱なんかやらずに芸を成功させているわけですから、やっぱりスゴイ。この曲芸は何かタネがあるだろうと思ってしまうようなことを実際にタネなしでやってのけてしまうところが見事なのです。 [映画館(字幕)] 7点(2005-05-08 01:11:04) |
13. 三十九夜
みんなどえらい評価高いなあ。最後の39stepsの謎をしゃべるところなんかは、あの内容は当時にしてみれば凄く驚愕モノのネタだったのだろうか。私は、な~んだ、そんなことか、とガッカリしてしまったのだが・・・。しかし、ヒッチコックはよっぽど逃走ものが好きだったみたいですね。似たような作品がほかにも多数あるけど、どれも自分の好みではないです。汽車が走り出してから列車に飛び乗るシーンが妙に印象的でした。時代を感じさせますね。今じゃ絶対ありえない・・・。 4点(2004-06-06 14:33:11) |
14. サイコ2
《ネタバレ》 続編って、よく叩かれるけど、これはいいと思います。メグ・テイリ―がかわいかっただけにあのエンディングはちょっと・・・。あれだけノーマンのことをかばってきたのに、うっかり刑事を階段から突き落として殺してしまい、最後にお母さんも殺され、挙句の果てにその母親殺しの犯人に仕立て上げられてしまってはかわいそすぎる。あと、家の構造についてだが、日本にはないつくりだったせいか、よく分からなかった。 7点(2004-06-04 19:42:09) |
15. サイコ(1960)
《ネタバレ》 こないだ、再度DVDで観てみたが、やっぱり面白い。 変更前に書いた、私立探偵アーボガストが階段を登るときの緊迫感溢れる映し方や、サングラスの警官のドアップ、最後の地下室で照明を揺らすことによって骸骨に陰を持たせて不気味さを増幅させていたりという映像の超絶テクニックを再確認し大満足であったが、今回の再鑑賞では、脚本の技巧さも随所に感じられた。 脚本を作る際に工夫したと思われるポイントは“母親が実在することを如何に信じ込ませるか”という事だと推測できるのだが、私立探偵アーボガストはノーマンとの会話で、マリオンがノーマンの母親と会ったという事は一切出てきていないにもかかわらず、ライラとの電話では母親と会ったという彼なりの推理を展開しており、これがあたかも母親が実在しているかのような錯覚に観客を陥れることに成功している。また、ライラの「相手は病気の老人よ」や、サムの「事の次第は母親が知っているか」など、真相が明らかになる直前までこんな台詞が出てきており、保安官夫婦の証言など簡単に吹き飛んでしまうほど上手く誘導されるのだ。 他にも、多くの方々が書いてらっしゃるので言うまでもないが、4万ドルを持っての逃走から主人公が入れ替わり、連続殺人へと展開するストーリーの組み方や、バーナード・ハーマンの耳を引き裂くような音楽など、クラシック映画の醍醐味を存分に堪能できる一本である。文句ナシの10点! [DVD(字幕)] 10点(2004-06-04 14:38:12)(良:2票) |
16. サイコ3/怨霊の囁き
《ネタバレ》 サイコ・サイコ2・サイコ3と見ましたが、だんだんつまらなくなっていくような気がします。やっぱ、人形を使っちゃイカンでしょ。さめます。別に、最初に鳥を殺さなくてもよかったんじゃないの?残酷だよ。鳥は本物で人は偽物かよ。何回かあった殺人シーンも、見る側に恐怖を与えようとする感じがイヤというほど伝わってくるが、初代サイコのようなキレイな(?)殺人シーンではない。ただ、グロいだけ。 5点(2004-06-04 14:07:32) |