1. 邪魔者は殺せ
《ネタバレ》 なかなか重厚な作りで良かったです。それから衛星放送で観た後すぐにレビューを書いておけば良かったと思えるほど、皆様と内容が被ってしまうのですがこれ以上被らない内にとっとと書いておきます(笑)。そんな訳で皆様の仰られる通り本作は「第三の男」同様、影に拘った演出とモノクロームの映像が実によく物語にマッチしています。結局は全部あの間抜けな主人公が悪いんだけど、様々な人に助けられ(いじくられ)ながら半死半生で生き延びていく姿は面白かったです。また他の仲間も警官に射殺されたり捕らえられたりしながらも、最後まであらん限りの抵抗をするシーンはスリリングで尚且つ哀愁を誘いました。余談ですが、鳥好きのシェルという男は見ていて個人的に「ロード・オブ・ザ・リング」のゴラムを思い出しました。 [CS・衛星(字幕)] 7点(2005-09-19 23:46:09)(良:1票) |
2. 白い恐怖(1945)
いわゆるニューロティック映画というやつでしょうか。罪悪感と殺人の強迫観念に駆られ、記憶喪失に陥った男は果たして何者なのか?なぜこの男は白い物を見ると動揺するのか?という場面で流れる、テルミンの恐怖心を煽る不気味な音楽は効果抜群です。ひたむきに愛する男の無実を信じるヒロインに、情緒不安定ながらもそれに必死に応えようとする男。サスペンスに加えて、この二人のラブロマンスの要素がまたもや堪りません。シュールリアリズムの画家サルバドール・ダリを監修に迎えた悪夢のシーンもまた、この映画の中の大きな見せ場の一つでしょう。実際には20分以上もある大規模なシークエンスだったそうで、映像表現が難解すぎて使われなかったそうですがこれはかなり観てみたい気がします。他にも水槽にミルクを流し込んで撮影した牛乳のシーンや、わざわざ木製の巨大な手を作ってまで撮影した拳銃のシーンなど。とにかくあらゆる斬新な試みと、巧みなヒッチコック・マジックが融合した素晴らしい作品です。 8点(2004-05-01 12:44:00)(良:2票) |
3. 深夜の告白(1944)
ビリー・ワイルダーの初期の頃の作品にはサスペンスチックな物が多いですね。よく他の映画の中でネタにされることが多い作品なので、(ウディ・アレンや最近では「ファム・ファタール」)前から観たいと思い気になっていました。この映画を観ると、いかに保険金詐欺という行為を成功させるのが難しいかがよく分かります。(単に調査員のキーズが有能だっただけかもしれないけど・・・)やっぱりこれはストーリーがどうこうと言うよりも、回想形式の演出が上手いですね。展開が読めてしまっても最初から最後まで一気に物語の中に引き込まれてしまう。傑作フィルム・ノワールです。 8点(2004-04-21 19:06:09) |
4. 紳士協定
これで7点とか無難な点数を下したら、やはり怒られてしまうのでしょうか? 7点(2003-09-09 23:10:13) |
5. 市民ケーン
《ネタバレ》 初めて観た時は「何がそんなに凄いねん!?」と関西人でもないのに関西弁で叫んでしまいましたが、何年か振りに見直してみると確かに凄いんです。冒頭の一面雪景色かと思ったら突如カメラがズームバックしてスノードームへと移り変わるオープニングから、全編に亘って繰り広げられる徹底したパンフォーカス撮影、少々やり過ぎなんじゃないかとさえ思える影を多用した照明配置と、このワンシーンを撮るだけでも相当時間掛かってるんだろうな~というスタッフの影の苦労が窺えます。ただ正直言って個人的にストーリー自体は面白くも何ともない…とまでは言いませんが、『アビエイター』のハワード・ヒューズ氏同様、アメリカの富豪のやることには付いていけません(一応こっちはフィクションですが)。この映画の実質上の主人公である記者トンプソンの「私にはケーンが哀れに感じる」という言葉には同感です。結局ケーンは数多くの大事なものを失い、その中でも"薔薇のつぼみ"は取り分け大きくて重要だったということでしょう。とりあえず富と名声さえ手に入れれば人生の"勝ち組"(この言葉大嫌い!)とかになれると思っている人々に是非観て頂きたいですな(笑)。 [ビデオ(字幕)] 8点(2003-08-28 17:51:24)(良:2票) |