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1.  士魂魔道 大龍巻 《ネタバレ》 
娯楽時代劇としては確かにそこそこ面白いものの、全体的に見れば凡作という印象しか残らない感じで、可もなく不可もなくというところか。冒頭とラストの円谷英二監督によるスペクタクルシーンは見ごたえがあり、タイトルにも出ているラストの竜巻のシーンはいかにも円谷英二時代の東宝特撮らしいが、その竜巻のシーンがちょっと無理矢理感があって強引に感じられるのが残念。タイトルに「大龍巻」と出すならもっとストーリーに絡めても良かった気がする。でもここがやはりこの映画最大の見せ場であることは確かで、繰り返しになるが、ラストのこのシーンは東宝特撮陣の腕前をじゅうぶん堪能できる。
[DVD(邦画)] 5点(2023-12-31 18:32:01)
2.  下町の太陽 《ネタバレ》 
山田洋次監督の2作目で、倍賞千恵子が山田監督の映画に初めて出演した意味で重要な映画でもある。先週「キューポラのある街」を久しぶりに見返したばかりだが、間をおかずに本作をあらためて(こちらも久しぶりに)見るとやっぱり雰囲気がよく似ていて、かなり意識して作られた映画(東野英治郎や菅井きんが出演しているのもそういったことからかもしれない。)であることが分かるし、あからさまな二番煎じを狙っているのは明白なのだが、倍賞千恵子は吉永小百合よりも庶民的な感じがして、それだけでなにか役に説得力があるし、山田監督の演出はまだ垢抜けないものの、ところどころに粗削りながららしさを感じる部分はあり、とくにラストのヒロインの選択はいかにも山田監督らしい真面目さが出ていると感じる。さっきも書いたように「キューポラのある街」を意識して作られた映画には間違いないと思うが、音楽も日活映画でよく見る作曲家が担当しており、そのためか、どことなく日活っぽさも感じられる中であくまで松竹らしい作風の映画になっているのが少しチグハグな印象も受けるものの、本作のタイトルにもなっている主題歌の「下町の太陽」の明るさがとても倍賞千恵子のイメージにピッタリと合っていて、この歌の存在が本作をアイドル映画だと感じさせてくれているし、またヒロインにとっても希望が込められた歌なのだろうとじゅうぶんに感じることができる。(2023年6月25日更新)
[DVD(邦画)] 6点(2023-12-17 14:54:46)
3.  十一人の侍 《ネタバレ》 
「十三人の刺客」、「大殺陣」に続く工藤栄一監督の集団抗争時代劇。タイトルからどうしても「七人の侍」を連想してしまうのだが、それは製作陣も分かっているようでクライマックスの大雨の中での決闘をはじめ、ところどころで意識しているのが分かる作品となっているが、「七人の侍」のようにメンバーそれぞれに個性を持たせる描き方でなく、メインとなるのは主人公である仙石(夏八木勲)ら数名というのは「十三人の刺客」とほぼ同じ。暗殺の標的となるのが菅貫太郎演じる将軍の弟・松平であるなど話としては「十三人の刺客」の焼き直し感が強くなっている(音楽を担当しているのも同じ伊福部昭だが、オープニングの音楽がものすごく「十三人の刺客」っぽい。)が、この松平が「十三人の刺客」のような強烈なインパクトがなくなんか薄い感じがして物足りないし、少し無理やり感のある展開も多く、全体的には凡作の域を出ていないように思うものの、十一人のメンバーの中に女性がいるのが新鮮だったし、最終的にメンバーの中で生き残るのが西村晃演じる浪人ただ一人というのが先に「十三人の刺客」を見ているとまた最後の最後で死なないのかと疑ってしまったが、本作では本当に最後まで死ぬことなく終わって一安心。そして、森での待ち伏せ作戦が中止になったあとの馬の足音だけを聞かせるワンショットがものすごく印象に残り、ここだけでも本作を見た価値はあったと思う。
[DVD(邦画)] 6点(2023-08-07 17:51:22)
4.  賞金稼ぎ 《ネタバレ》 
のちにテレビドラマ化もされたという若山富三郎主演のアクション時代劇シリーズ第1作。冒頭のテロップからして「柳生一族の陰謀」や「真田幸村の謀略」のような荒唐無稽な時代劇である事が伝わって来そうな雰囲気だったが、実際その通りの荒唐無稽な娯楽時代劇でツッコミどころも多いが、何も考えずに見る分には安心して見ていられる。時代劇だけでなく、西部劇的な雰囲気もあって無国籍風なのだが、それに主演の若山富三郎がよく馴染んでいるし、主人公である市兵衛が刀はもちろんのこと、銃を撃ちまくるというのもこの雰囲気で若山富三郎だと全く違和感を感じさせないのがすごい。それに本作では按摩のふりをするシーンがあるのだが、それがどう見ても座頭市にしか見えないのはやっぱり笑ってしまう(主人公の名前からして「市兵衛」だし。)し、それと同時に若山富三郎と勝新はとてもよく似た兄弟なのだということを感じられたのが楽しい。(「影武者」で最初は主演の勝新だけでなく、共演者として若山富三郎にもオファーがあったというエピソードにも納得。)市兵衛と陽炎(野川由美子)が最初に出会うシーンでストップモーションが使われているのも凝った強烈な演出で印象に残り、良かった。
[DVD(邦画)] 6点(2023-07-29 13:56:52)
5.  不知火檢校
それまで二枚目風の役柄を演じていた勝新が、初めてダーティーな汚れ役を演じ、のちの自身の代表作である「座頭市」シリーズにもつながることになる時代劇。ここで勝新は座頭市と同じく、盲目の按摩を演じているのだが、この主人公・杉の市の悪人ぶりが凄まじく、同じような風貌でありながら座頭市とはキャラクターからうける印象が全く違う。しかしこんなひどい悪人なのにこうも魅力を感じるのはやはり演じる勝新の存在感、この俳優の独特なオーラと杉の市のキャラクター性が見事に合致しているためだろう。勝新はやっぱりこういう役柄の方が二枚目風のキャラクターより断然あっているし、この映画を見るとこの杉の市のキャラクターが座頭市の原型になったというのもよく分かる話で、この杉の市も座頭市同様に勝新でなければ表現できないような凄さを感じずにはいられない。この映画での共演がきっかけで勝新と結婚することになる中村玉緒はこの頃のほかの出演作同様にとても可愛らしい。勝新との共演は「悪名」、「続悪名」などで見ているが、この映画が初の本格的な共演なのかな。そういえばこの二人の共演って座頭市シリーズでは一本もないような気がするのだが、原型となるこの映画で共演してたのか。でも一度でいいからこの二人の共演を座頭市シリーズの一篇で見たかったなあ。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2023-07-25 17:51:36)
6.  執炎 《ネタバレ》 
浅丘ルリ子の映画出演100本記念となる蔵原惟繕監督の映画。蔵原監督の映画は今まで見た作品にとにかく暗いものが多かった印象で苦手意識があり、かなり久しぶりに見る気がするが、本作でも暗さは感じるものの、まあ許容の範囲内で印象としても無難な感じなのだが、前半がほぼナレーションによる説明だけで展開していて、ダイジェスト的に感じてしまい、話に深みが感じられず、全体的に大味な感が強かった。鈴木瑞穂のナレーションはいつものように重厚ではあるが、それによって大作感を狙い過ぎのように感じた。後半では確かに間延び感はあるものの、前半に比べれば見やすかったかな。いずれにせよ、浅丘ルリ子は熱演しているものの、演じている主人公・きよのに共感できる部分が少なく、なぜそんなに夫(伊丹十三)に執着するのかもはっきり言ってよく分からず、もっと前半部分をじっくりと丁寧に描くべきだったと思う。ところで伊丹十三はつい数日前に「瀬戸内少年野球団」に出ているのを見たばかりだが、この頃から風貌があまり変わってないなぁ。
[DVD(邦画)] 5点(2022-08-23 22:02:21)
7.  心中天網島 《ネタバレ》 
黒子を使った歌舞伎のような演出や、篠田桃紅の描いた絵をはじめとした独創的な美術セット、白黒映像の美しさなど印象に残るし、ファーストシーンが電話でこの映画の打ち合わせをする監督(篠田正浩)と脚本家(富岡多恵子)のやりとりというのも面白い。だがあまりにシュールすぎて展開についていきづらく、あまり入り込めずに終わってしまった。しかし、岩下志麻は美しかったし、音楽担当の武満徹が脚本にも参加しているのはすごいと思った。
[CS・衛星(邦画)] 5点(2021-12-01 22:30:35)
8.  新・兵隊やくざ 《ネタバレ》 
シリーズ第3作。3作目ともなると大宮(勝新太郎)と有田(田村高廣)のコンビも板についてきた感じで、見ていて安心感があるし、シリーズとしてもここからいよいよ軌道に乗った感じがする。そんな今回も見どころは盛りだくさんなのだが、竜宮でどんちゃん騒ぎをしている大宮の横で有田が深刻な顔をしていたり、足抜けさせた女たちと女郎屋を開こうという大宮の提案に有田が一度は反対したりするなど、奔放な大宮に対しての有田の真面目さが特に際立って印象に残る。そして、大宮が今回のヒロインである桃子(嵯峨三智子)と結婚してしまうという展開にも驚かされた。1作目で憲兵役で少しだけ登場した成田三樹夫が大宮と有田に敵対する憲兵を演じているが、同じ役なのだろうか。いつも殴られても平気な大宮がリンチを受けてボコボコにされるのはちょっと見ていて痛々しいものの、それがあるから、ラストの悪役である上官をぶっ飛ばすシーンにカタルシスが生まれ、爽快感が得られるのは娯楽活劇映画のポリシー。大宮と有田と親しくなる関西弁の一等兵を藤岡琢也が演じているが、なんだか後年「うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー」で彼が演じていた夢邪鬼をほうふつとさせていた。この人の関西弁、味があって好きだな。
[DVD(邦画)] 7点(2021-05-31 18:17:54)
9.  シェルブールの雨傘
噂には聞いてたけど、本当に最初から最後までセリフが歌になっているのが驚きだった。この見たこともない手法に最初はちょっと面食らってしまったが、30分もすれば慣れていた。ストーリーは本当にオーソドックスすぎるが、全編に流れるミシェル・ルグランの美しい旋律を聴いているだけでも満足。雪のガソリンスタンドでのラストシーンがちょっと切なかった。本当はこの映画の点数を8点にして、音楽評価を10点にしようかと思ってたが、音楽がこの映画の魅力の大半だと思うので、ちょっと甘いかもしれないが両方10点にしておこう。
[ビデオ(字幕)] 10点(2020-01-27 23:26:14)(良:1票)
10.  人生劇場 飛車角と吉良常 《ネタバレ》 
内田吐夢監督が唯一手掛けた任侠映画で、東映任侠映画としては初めてキネマ旬報ベストテンにランクインした作品。内容は「人生劇場 飛車角」をリメイクした感じになっていて、飛車角を鶴田浩二、宮川を高倉健が再び演じている。「人生劇場 飛車角」を二週間ほど前に見たばかりだったので、ちょっと不安な面がなかったといえばウソになるのだが、内田監督の演出はさすがに格調高く、重厚さや美しさといったものもあり、鶴田浩二、高倉健をはじめとしたオールスターものなのだが、登場人物それぞれの義理と人情の人間ドラマもしっかりと描かれ、今まで見た任侠映画の中でもとくに見ごたえのあるものになっていて、そういう不安は一気に消し飛んだ。鶴田浩二の飛車角のなんという男らしさは言うまでもなくカッコいいし、高倉健の宮川は「人生劇場 飛車角」と比べるといかにも高倉健らしいストイックな感じで、やはり高倉健のイメージにはこちらの宮川のほうが合っている。そして、なんといっても辰巳柳太郎の吉良常。月形龍之助の吉良常も良かったのだが、この辰巳柳太郎の吉良常は非常に味わい深く、とくに病に倒れてからの亡くなるまでのシーンでの演技は見ていて思わず涙が出るほど感動してしまった。その後の飛車角が殺された宮川の仇討に向かうシーンで止めに入るおとよ(藤純子)とのやりとりも印象的だ。それにクライマックスの殴り込みのシーンで画面がカラーから白黒に切り替わるのは同じ内田監督の「宮本武蔵 一乗寺の決斗」を思い出すが、やはり本作でも効果的に使われ、凄まじい殺陣シーンの中に美しさを感じることができる。そしていちばん最後のシーン、やってきた泣き崩れるおとよに宮川を託したあと、去っていく飛車角の後ろ姿。背中が飛車角の悲しみを代弁しているようで、なんともやるせなさの残るこのラストシーンが強烈な印象を残していて、この殴り込みシーンからラストシーンまでの演出が本作をさらに格調高い傑作へと押し上げている。これが内田監督にとって最後の東映映画で、かつ遺作の前という映画なのだが、それを全く感じさせずにこんな傑作に仕上げてしまうのは素晴らしいと思うし、それに応えた出演している俳優陣ももちろん素晴らしい。任侠映画に興味はあるけどなかなか手が出せないという人には真っ先に本作と山下耕作監督の「博奕打ち 総長賭博」の二本を薦めたいと思う。そういえばこの二本とも同じ年の鶴田浩二主演作だ。
[DVD(邦画)] 8点(2019-07-14 12:10:13)
11.  人生劇場 続・飛車角 《ネタバレ》 
シリーズ第2作。飛車角(鶴田浩二)が刑期を終えて出所するところから始まっていて、前作のラストが素晴らしかっただけに抵抗を感じるものの、決してつまらない続編というわけではなく、前作には及ばないものの、そこそこ面白かった。今回新たに長門裕之が登場しているが、彼が出るだけでマキノ雅弘監督の映画のような感じを受けてしまうのは気のせいか。(前作に続いて沢島忠監督が手掛けているのだが。)今回も前作と同じくメロドラマ色が強く、飛車角がおとよ(佐久間良子)を追って満州へ行く展開などにそれは表れているように思う。しかし、今回は佐久間良子がおとよに加えてもう一人、東野英治郎演じる親分の娘 お澄を演じていて、おとよが病死したあと、飛車角がその親分から縁談を薦められていたお澄と結婚するという展開は分からなくはないものの、見ていてなにか飛車角におとよへの未練がましさを少し感じてしまった。前作で宮川を演じていた高倉健が別の役で再登場とかはなかったのは良かったと思う。飛車角は周囲から「角さん」と呼ばれていて、東野英治郎演じる親分からもそう呼ばれているのだが、やはり、西村晃が出演していた永島敏行版同様につい「水戸黄門」を思い浮べてしまう。飛車角が裏切った仲間に殺されるラストシーンはヤクザ社会の非情さを物語っていてもの悲しかった。でも、面白いのは確かだが、やはり、前作が良すぎたせいか、蛇足とまではいかないものの、物足りなさも残って、前作のほうが良かったという感想をどうしても持ってしまう。
[DVD(邦画)] 6点(2019-07-07 11:00:17)(良:1票)
12.  人生劇場 飛車角 《ネタバレ》 
以前に永島敏行主演の同じ原作の映画は見ているが、やはり飛車角を主人公にしている本作のほうが面白いし、東映がその後、任侠映画で一世を風靡することになるその原点の映画であることにも感慨深さを感じる。沢島忠監督は錦之助や美空ひばり主演の明るい時代劇の印象が強いので、見る前はどうかなと思う部分もあったが、こういう題材でもそつなくこなしていて安心して見ていられる。本作から既にのちのパターンは出来上がっている感じだが、東映最初の任侠映画であることもあってか、まだその色は全面には出ず、どちらかと言えば文芸メロドラマのような感じ(沢島監督もメロドラマのつもりでやっていたと語っている。)で、東映任侠映画を見慣れていると、物足りなさも多少あるかもしれないが、その分、見やすさもあり、また格調の高い作品に仕上がっている。飛車角を演じる鶴田浩二はもちろんカッコイイのだが、月形龍之助演じる吉良常がそれを上回る存在感を放っており、カッコよさも飛車角以上で、この前見た「組織暴力」での悪役も印象的だったが、一線を退いた老客という設定が晩年の月形龍之助本人と被るところもあるのか、この映画の吉良常に月形龍之助というのはピッタリな気がした。宮川(高倉健)がおとよ(佐久間良子)に無理やり抱き着くシーンでは宮川を演じるのが、まだ本格的にブレイクする前の高倉健というので、その後の高倉健のイメージからすると少し違和感を感じてしまうのは仕方のないところ。その宮川が単身殴り込んで殺されるという展開だが、高倉健が任侠映画でこういう役回りなのは逆に新鮮だった。で、この映画の一番の見どころは既に書かれている方もおられる通り、ラストシーン、思わず、ええ、ここで終わり・・・と思ってしまったが、止めるおとよを振り切って宮川の仇討に向かう飛車角をラストシーンにすることで、余韻がすごく残るし、沢島監督の言葉どおりに、ああ、なるほど、これはメロドラマだなと改めて感じることができる。一応、続編も見るつもりだが、あまりに素晴らしいラストだっただけに、果たしてどうか。いずれにせよ本作はこれから始まる東映の新しい時代の到来を告げるのにふさわしい傑作と言える一本だったことは間違いない。
[DVD(邦画)] 7点(2019-06-28 01:05:47)(良:1票)
13.  次郎長三国志 甲州路殴り込み 《ネタバレ》 
東映版「次郎長三国志」シリーズ最終作となる第4作。今回は前作ラストで捕らわれの身となったお仲さんを救出する部分から東宝版で言えば6作目の終盤となるお牒さん(佐久間良子)の死までを描いていて、東宝版最終作にあった中途半端なもやもや感はない。しかし、大木実が大政役に復帰している一方、今までと役者が交代してしまった人物が前作よりも多くなり、中でも前作で捕らわれたところで終わったお仲さんを演じる女優が交代してしまっているのは登場する冒頭部分から違和感がありすぎて戸惑うし、東映では後年の「仁義なき戦い」シリーズでも役者の交代は頻繁だったのだが、せめて前回と今回のつなぎのエピソードの主軸であるお仲さんは丘さとみで通してほしかった。(丘さとみはこの頃、活動を縮小してたみたいだけど、同時期の「宮本武蔵」シリーズ最終作にはちゃんと朱美役で出ているので、出ようと思えば出れたのではと勘ぐってしまう。)それでもやっぱり東宝版で大感動してしまったお牒さんが死の直前に次郎長一家一人一人に声をかけるシーンは分かっていても泣けてくる。しかしこれも次郎長一家を演じる俳優が一部交代してるせいか東宝版に比べると若干落ちる気がするのは気のせいか。さらに続編があってもおかしくない終わり方をしていて実際東宝版ではまだ続きがあるのだが、お牒さんの死で物語を閉じるのはここらへんがキリも良く、ちょうどいい終わり方なのだと思う。でも、個人的にはやっぱり東宝版のシリーズのほうが好きだな。とはいえこの東映版のシリーズも決して嫌いではない。
[DVD(邦画)] 7点(2016-11-10 23:24:21)
14.  次郎長三国志 第三部 《ネタバレ》 
東映版「次郎長三国志」シリーズ第3作。旅に出ていた次郎長一家が清水に帰ってきて、石松(長門裕之)や三五郎(品川隆二)、お仲さん(丘さとみ)も清水にやってくる。東宝版で言えば第4作と同じだが、忘れている部分もけっこう多く、楽しめた。大政や三五郎など2作目までと演じる役者が一部交代しているのは少々残念に思うものの、それを感じさせない勢いがあり、途中からほとんど気にならなくなったし、むしろ次郎長一家の絆というものが深く感じられる作品になっている。中でも東宝版でもそうだったのだが、圧倒的不利と分かっていても人質となったお仲さんを助けるために甲州へ向かうラストシーンにはやっぱり次郎長一家のカッコよさや絆の深さをより一層感じられるのがいい。マキノ雅弘監督らしい盛り上がりももちろんあり、テンポもよく、東宝版とはまた違う魅力があり、安心して見ることができるし、マキノ監督の次郎長シリーズへの思い入れの深さも感じることができる。見終わってすぐに次回作が見たくなるような終わり方だが、東映版シリーズも次回で最後。なんだかんだ言ってやっぱり少しさびしさがある。
[DVD(邦画)] 8点(2016-11-10 22:20:38)
15.  次郎長三国志(1963)
マキノ雅弘監督がかつて東宝で手掛けた「次郎長三国志」を自らの手で東映で再映画化したシリーズの第1作。7年くらい前に東宝版9部作を見たときからいつか東映版もと思っていたのだが、ようやく見ることができた。前シリーズが白黒だったのに対してカラーであり、当然のように次郎長一家役の俳優陣も違うのだが、それでもどこか懐かしさを感じるのは嬉しかったし、「次郎長三国志」といえばマキノ監督というイメージが強いのだが、それを裏切らない明るい作風で気軽に楽しめた。次郎長役は鶴田浩二が演じていて、粋でいなせな雰囲気があり、東宝版の小堀明男の次郎長とはまた違った魅力があり、けっこうハマっていたと思う。(鶴田浩二を時代劇の主役で見るのはかなり久しぶりのような気がする。)またそんな次郎長を慕って次から次に仲間が増えていくのが東宝版同様に序盤である本作の面白いところだ。でも、東宝版に比べてテンポが早く、1時間40分ほどの間に東宝版で言えば2作目の終盤あたりまで話が進んでしまったのはもっとじっくりと見たかった気もするので残念といえば残念。とはいえ、全体的に見ればやっぱりおもしろかったし、東宝版に続いてこの東映版シリーズも全部見てみようという気持ちも強くなった。それともう一つ、デビュー間もない藤純子が初々しくて可愛い。
[DVD(邦画)] 7点(2016-10-22 16:24:10)
16.  昭和残侠伝 唐獅子仁義 《ネタバレ》 
シリーズ第5作。この間見た山下耕作監督の「人斬り唐獅子」と比べるといかにも娯楽作といった感じなのがマキノ雅弘監督らしいところなのだが、話自体はけっこう暗く、同じくマキノ監督が担当した「血染の唐獅子」(このシリーズ、はじめて見た作品。)に比べると快活さが足らないような気がしたし、最後の殴り込みシーンで助太刀に入る待田京介もなんか浮いてしまってる印象だった。それでも面白くないということはけっしてなく、楽しめるし、藤純子がヒロインを演じているのも見ていて安心感がある。今回、志村喬が親分役で出演している。東映任侠映画で志村喬のこういう役柄を見るのは意外な気もするが、新鮮だったし、さすがに重厚な存在感のある演技で映画を引き締めていて、あっけなく殺されるシーンも無情感があって印象に残る。
[DVD(邦画)] 7点(2016-02-11 16:48:33)
17.  昭和残侠伝 人斬り唐獅子 《ネタバレ》 
山下耕作監督が手掛けた「昭和残侠伝」シリーズの一本。このシリーズ自体を見るのがまだ二本目で、しかもかなり久しぶりだったのだが、見ごたえがあり面白かった。山下監督ならではの美しさや障子の影なども丁寧にしっかりと作り込まれていて、監督の代名詞ともいえる花もここぞというシーンで印象的に使われていて、重厚さを感じさせる作風も山下監督らしい。主演のふたり、高倉健演じる花田秀次郎と池部良演じる風間重吉もカッコよく、義理と人情の葛藤がうまく描かれているが、中でも風間の葛藤が印象深く描かれている。山下監督の「戦後最大の賭場」で主人公の妻を演じていた小山明子がヒロインを演じているのもやっぱり新鮮な感じがする。それに千恵蔵演じる親分も存在感があり、いい味を出していてよく、とくに殺されるシーンの静かな演技が印象に残る。そのほかの脇役たちもそれぞれイキイキとしている。そんな脇役たちの演出がしっかりとしているからこそ主演のふたりがひきたつのだ。クライマックス近くで風間が組を抜け、秀次郎とともに殴り込みをかけるシーンも美しさがあり、たまらないし、「死ぬときは一緒だ。」という秀次郎のセリフに秀次郎の風間に対する深い思いを感じられるし、殴り込みで負傷した風間に「死ぬときは一緒だっていったじゃねえか。」と声をかけ、風間に肩を貸し、二人去っていくシーンも美しさやぐっとくるものがあり、感動的だった。
[DVD(邦画)] 8点(2016-01-23 22:50:59)
18.  潮騒(1964) 《ネタバレ》 
BSプレミアムで再放送中の「あまちゃん」に今頃ハマり、その中の劇中劇として登場した架空の映画「潮騒のメモリー」が気になってモデルと思しき本作を見たのだが、今まで見た三島由紀夫原作モノの中でもとっつきやすく、高尚な文芸映画というよりは無難なアイドル映画という感じで、軽い気持ちで安心して見ていられるつくり。この後も山口百恵や堀ちえみといったその時々の旬のアイドルを起用して映画化されているのも分かる。全体として甘さを感じる部分も多いのだが、アイドル映画だと思って見るとまあこんなもんだろうという感想で可もなく不可もなくというところか。ヒロインの「その火を飛び越してこい。その火を飛び越してきたら。」というセリフが有名なのだが、どういう風に出るのだろうと思っていると、なんかえらくあっさりとしていたのは逆に驚かされた。音楽がギターで通されているが、ちょっと雰囲気的に合ってなかった気がするし、これは比べるのもどうかと自分でも思うが、「あまちゃん」を見ているさなかにその影響下で本作を見たせいか、吉永小百合扮するヒロインは海女という設定なのに海に潜っているシーンがほとんどないのが少し物足りなく感じた。
[DVD(邦画)] 5点(2015-07-09 23:26:59)
19.  新選組(1969) 《ネタバレ》 
三船敏郎の近藤勇は風格が漂い、存在感も良い。三国連太郎が芹沢鴨をいかにも胡散臭く演じており、大河ドラマで同じ役を演じた佐藤浩市と見比べるのも面白いだろう。内容は芹沢暗殺から新撰組の結成、近藤が打ち首になるまでの新撰組の歴史が2時間の間にギッシリと詰め込まれ、駆け足ぎみではあるが、最後まで面白く見られる。沖田総司(北大路欣也)が病死するのではなく、カッコよく戦死したのは驚いたけど。
[CS・衛星(邦画)] 7点(2015-06-09 22:20:06)(良:1票)
20.  死闘の伝説 《ネタバレ》 
終戦直前の北海道を舞台に、疎開してきた一家があることをきっかけに現地の住民たちから疎まれたことから起こる双方の対立を描いた木下恵介監督による映画。その対立を激しい暴力描写を伴って描いているのが木下監督の映画としてはかなり異色であり、とくに後半部分の登場人物たちが激しい殺し合いをはじめる展開は一見本当に木下監督の映画なのかと思うほどだが、その暴力描写のみを売りにした娯楽映画などでは決してなく、最初から最後まで重苦しい雰囲気で展開する社会派映画である。戦時中に疎開した者と疎開先の住民との確執は本作で描かれるほど極端でなくても実際にはあったことだと思うし、木下監督もそれに怒りを感じていたのだろう。(現在でも差別による対立はじゅうぶんあり得るし。)そしてそれを描くにはあえてこうするしかなかったのではと思うし、木下監督のいつもとは違った一面を見れたのも新鮮だった。木下監督らしさがまったく出ていないのかというとそうではなく、登場人物たちに戦争批判的なセリフをストレートに語らせるなどメッセージ性もある。ラストはなんとも言えない虚しさがあるが、木下監督はこの事件と戦争を重ね合わせて、人間の愚かさや争いの虚しさというものを描いているように感じられ、確かに異色作ではあるが、木下監督の信念のようなものはちゃんと貫かれていて、作風のブレは感じられない。ただ、主演は岩下志麻で脇に菅原文太が出ていて、とくに岩下志麻はまだ若手の清純派の頃なのだが、先に後年の東映映画を見ているせいかこういう暴力描写の多い映画でこの二人が共演していると木下監督の映画としてはちょっと違和感を感じてしまうのも事実ではある。
[DVD(邦画)] 7点(2014-09-28 10:28:11)
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