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1.  仁義の墓場 《ネタバレ》 
実在したヤクザである石川力夫の壮絶な生き様を描いた深作欣二監督の映画。とにかくこの主人公 石川力夫(仮名ではなく実名で登場するというのがすごい。)がとんでもない男で、終始何を考えているのか分からない凶暴さを前面にむき出しにしていて、薬や女に手を出す、親分(ハナ肇)やいつも気にかけてくれている兄弟分(梅宮辰夫)にまで牙を向くというまさに仁義なきヤクザという感じでその異様さがめちゃくちゃ際立っている。それを演じるのがそういうのとは程遠いイメージの渡哲也(深作監督の実録ものということもあって先入観からつい主演は菅原文太と思い込んでしまっていたのだけど。)というギャップが面白いし、他社出身の俳優が主演だとイマイチ持ち味が生かせない監督も多くいる中、見事に全編通して「仁義なき戦い」のような熱気にあふれたこの時期の深作監督らしい映画になっていて、力夫には感情移入や同情といったものが全くできず、むしろ嫌悪感さえあるのについ見続けてしまう。渡哲也は最初は梅宮辰夫と一緒にいるシーンとか違和感を感じていたのだが、見ているうちに気にならなくなったし、イメージを覆すほどの怪演を見せていて、存在感も圧倒的。病み上がりで力夫を演じていたらしいのだが、その影響と撮影の疲れからか、とくに後半の力夫が麻薬におぼれてからは、役としての演技ではなく、渡哲也自身が体調不良なのではと思えてきて、役柄と役者の区別がつきづらくなってしまったが、それが却ってリアリティを感じさせるものになっている。力夫がうつろの表情で妻(多岐川裕美)の遺骨を食べるシーンが目に焼き付くのだが、とくにこのシーンの撮影時などは相当体調が悪かったのではと思えてしまう。中毒性の強い映画で、深作監督の映画の中でもカルト映画と呼ばれているのもわかる映画だが、中毒性だけでなく、渡哲也のそういう状況下での演技にもカルト映画と呼ばれる要因があるのではないかと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2018-05-19 18:46:33)
2.  昭和おんな博徒 《ネタバレ》 
加藤泰監督最後の東映作品となる任侠映画。主演は江波杏子というのが東映任侠映画では珍しいのだが、本作の企画意図としては時期的に藤純子引退後に新しい任侠映画のスター女優をというのがあったのだろう。どうかなあと思っていたのだが、江波杏子は大映で任侠映画のシリーズを持っていたらしく、そのせいか特に違和感はなく、良かったと思う。主人公・お藤が雨の中、標的を仕留める冒頭からいかにも加藤監督らしい演出で格調高く、ここだけでも印象に残るものとなっている。(この冒頭の雨とタイトルロールの汽車を見ると加藤泰の映画だなあとすごく感じられる。)物語としては夫(松方弘樹)を殺されたお藤の復讐劇で、夫 新二郎が殺されるまでのエピソードを前半に回想形式で描き、後半の復讐劇につなげるという二部構成になっているが、脚本としては前半部分が丁寧に描かれているのに対して後半部分がちょっと急ぎすぎに感じるのは尺の都合上仕方がないとはいえ、なにか物足りない感じがしたのが少し残念だったのだが、前半の松方弘樹も後半の天知茂もお藤と関わっていくドラマがみごたえあるものになっていてあまり退屈はしなかったのでもう30分ほど長ければもっと良かったかもとも思った。ところで、DVD特典映像の予告編を見ると「新シリーズ」とうたっていて、最初はシリーズ化を計画してたのがうかがえるのだが、2作目は作られることはなく、東映ヤクザ映画は翌年から任侠映画に代わって実録路線へ。そして加藤監督は次回作から松竹を中心に映画を手掛けるようになる。やっぱこの時期(70年代初頭)の東映の任侠映画を見るとそういう移り変わりの時期だったことを思わずにはいられない。
[DVD(邦画)] 7点(2017-09-09 23:58:54)(良:1票)
3.  昭和残侠伝 破れ傘 《ネタバレ》 
シリーズ最後の作品で、本作公開の翌月には「仁義なき戦い」が公開されたとのことで、東映任侠映画としても最後の作品になるのかな。そういうこともあってか、いつもの風花コンビを演じる高倉健と池部良に加え、前作にも出演していた鶴田浩二が再び出演しているほか、安藤昇や北島三郎まで出演していてとにかく豪華な俳優陣が目を引く。それ以外には特別なことはなくいつも通りなのが安心して見ていられるし、前作のように助太刀が入らず、終始風花コンビ二人だけの殴り込みのシーンもこのシリーズらしいものになっていて良かったと思う。しかし、内容としてはいつもよりたくさん登場人物が死んでいる感があってなにかこのシリーズとしてはちょっと殺伐としすぎた印象が残り、なにか違うと感じてしまったのがちょっと残念に思う。前作と同じ佐伯清監督が手掛けているが、本作でも主役コンビなどメインの役柄を演じる俳優たちのよさはじゅうぶんに出ているかわり、脇役陣がそれほどでもない。これが前作では不満だったのだが、二本目ともなると既に慣れてしまい、マキノ雅弘監督や山下耕作監督が手掛けた回との違いの一つとして楽しめるようになっているのが自分でも不思議。ただ、ヒロインとなる重吉の妻役はこの時期東映で高倉健との共演が多かったという星由里子が演じていて、悪くはないのだが、若大将シリーズの澄子など東宝映画での印象が強いせいかイマイチしっくりこない。
[DVD(邦画)] 6点(2017-04-29 16:44:18)
4.  昭和残侠伝 吼えろ唐獅子 《ネタバレ》 
シリーズ第8作。今回は高倉健、池部良の風花コンビに加え、鶴田浩二まで登場している。内容は義理や筋を通すことへの苦悩がよく描かれた典型的な任侠映画らしい任侠映画になっていて面白いし、出来としてはそんなに悪くない。でも、マキノ雅弘監督の担当した回と比べると佐伯清監督(本作で監督作初鑑賞)の本作は脇役の描き方がイマイチに思え、そこが物足りなく感じる(単に慣れの問題かもしれないが。)し、話の発端となる風間重吉(池部良)の弟・文三(松方弘樹)の駆け落ちの相手と、花田秀次郎(高倉健)のかつての恋人の二人のヒロインが登場するが、展開上、駆け落ちのエピソードのほうがウェイトが大きくなり、秀次郎のかつての恋人とのエピソードはなにか中途半端な感じ。文三の駆け落ち相手を演じるのが新人ぽい女優なのに対してこの秀次郎のかつての恋人を演じるのが東映専属ではない日活の松原智恵子(に加えて今回の敵役も日活の葉山良二。)だったので、せっかく他社から出ているのにととくにファンでもないのにもったいなく感じてしまい、無理に主人公にもヒロインを出さなくても駆け落ち相手だけで良かったのではと思う。また鶴田浩二が出たことにより、池部良の存在感がちょっと薄くなった感がある気がして、とくにクライマックスの殴り込みシーンに途中から鶴田浩二が助太刀に現れ、いちばん最後のシーンも高倉健と鶴田浩二の後ろ姿のツーショットというのはこのシリーズとしてはさすがに違和感があったのがちょっと残念だった。
[DVD(邦画)] 6点(2017-01-19 20:19:27)
5.  昭和残侠伝 死んで貰います 《ネタバレ》 
シリーズ第7作で、マキノ雅弘監督が手がけたこのシリーズとしては最後の作品となる。今回の花田秀次郎(高倉健)はヤクザ稼業から足を洗い、身分を隠して実家の料亭で働くという設定なのが今まで見たこのシリーズではちょっと異色な気がするのだが、任侠映画でありながらホームドラマの様相もあり、それがけっこう斬新に感じるし、これが本作の中で利いている。マキノ監督のこのシリーズの監督回はこれですべて見たことになるのだが、前の二本とも雰囲気の違う作品になっている印象を受けるのはこのせいだけではないかも知れない。冒頭の初めて会う秀次郎と幾江(藤純子)の木の下でのやりとりから既にマキノ監督の演出は冴えており、とくにこのシーンで降っている雨はこのあともこの二人の重要な場面で降っており、なにか暗示的で、二人が言葉に出せない何かを代弁しているようで効果的で、本作はこの二人の数年間にわたる恋物語としてもよく出来ている。風間重吉(池部良)も今回は舞台となる料亭で働いている堅気の設定であるが、幾江に手を出したヤクザの客に殴り掛かった秀次郎を止めるために図らずも秀次郎を殴ってしまうシーンはやるせなさがあり、また、重吉がそれを詫びると秀次郎がさらに詫びるというシーンはただカッコイイというだけでなく、「男」とはなにかということを考えさせられる名シーンで本作の中で最も印象に残る。荒木道子演じる盲目の料亭の女将も泣かせるし、彼女の抑えた演技も良かった。作品全体としては堅気に戻ったヤクザがさまざまなしがらみから結局元の道へ戻ってしまう哀しみがシンプルかつ丁寧に描かれていて、任侠映画としてだけでなく、人間ドラマとしてもちゃんと見ごたえがあり、まだこのシリーズ見るの4本目だけど本作がシリーズ最高傑作と言われているのに異論はない。コメディーリリーフの長門裕之も物語がシリアスになりすぎないようなスパイスとして重要な役割をはたしているなど、全体的なバランスもいい。それともう少し言わせてもらえればカメオ出演的な津川雅彦もマキノ監督の微笑ましいお遊びで楽しかった。秀次郎にだし巻き卵をもらう坊ちゃんを演じる子役時代の真田広之(最初、面影がなさすぎて気がつかなかった。)も可愛らしい。
[DVD(邦画)] 9点(2016-03-12 16:10:41)(良:1票)
6.  シルクハットの大親分 ちょび髭の熊 《ネタバレ》 
熊寅こと熊坂寅吉(若山富三郎)を主人公に据えた「緋牡丹博徒」シリーズ番外編第2作。今回も前作と同じ鈴木則文監督が手がけているだけあって任侠映画定番の展開の中でも喜劇色が強くなっており、熊寅のキャラクターの良さも出ていて面白かった。とくに熊寅が運転している自動車が止まらなくなるシーンはサイレントの手法が取り入れられていて本作の笑いどころとしては特に印象に残る。前作でお竜さんの舎弟を演じていた伊吹吾郎が違う役で登場していて東映の映画ではよくあるパターンだが、前作で演じていた役柄の弟という設定で少しの強引さは感じるものの「悪名」シリーズでもあったパターンなのでとくに違和感は感じなかった。(ひょっとしたらこの設定は若山富三郎が勝新のシリーズである「悪名」を意識した上でのことかもしれない。)前作同様熊寅のピンチにどこからともなく現れるお竜さんは今回も主役の熊寅を食うことなくあくまで引き立て役に徹している(登場シーンはさすがにハデだが。)のが潔く、これもこのシリーズはあくまで熊寅が主人公というのを実感させてくれる。このシリーズは本家のシリーズに比べてあまりヒットしなかったのか、熊寅を主人公にしたシリーズはここで終了。個人的にも前作のほうが好みだが、せめてもう一本くらい熊寅主役の作品を見たかった気はする。
[DVD(邦画)] 7点(2015-05-15 21:24:00)
7.  シルクハットの大親分
「緋牡丹博徒」シリーズのコメディリリーフ的存在である若山富三郎演じる熊寅を主人公にした今でいうスピンオフ作品。「緋牡丹博徒」の登場人物の中でも熊寅というキャラクターは好きなので、こういう外伝的映画の存在は正直嬉しい。緋牡丹シリーズの脚本をずっと手がけ、生みの親でもある鈴木則文監督が演出を手がけている(ちなみに脚本はのちに緋牡丹シリーズ完結編「仁義通します」を手がける高田宏治。)だけあって熊寅の良さはじゅうぶんに出ているし、ハチャメチャな喜劇要素が強く、何より熊寅を演じる若山富三郎も主役で演じているからか脇役の時よりも演技がイキイキとしているように感じる。後半登場するお竜さんも熊寅を食ってしまうのではなく、あくまで脇役として熊寅を引き立てる役回りに描かれているのが逆に良かったし、これによって本来の主役と脇役を入れ替えたような構図になっているのが新鮮。緋牡丹シリーズはすべて見ていて東映のヤクザ映画のシリーズものの中でも好きなシリーズなのだが、そんな自分にとっては本作もやはりじゅうぶんに楽しむことができる映画だった。
[DVD(邦画)] 7点(2015-04-16 23:36:01)
8.  実録三億円事件 時効成立 《ネタバレ》 
三億円事件を題材にした犯罪サスペンス映画。実際に時効が迫っていた時期に公開されていて、(東映らしいなあ。)冒頭に実際に三億円事件の捜査に携わった刑事ふたりのインタビューが挿入されるところは生々しくてリアルで、この頃のほかの東映実録映画(あんまり見たわけではないのだが。)とは一線を画した印象で、本筋が始まっても石井輝男監督は犯行までをドキュメントタッチかつサスペンスフルに描いている。中でも犯行を再現したシーンは実際の事件にけっこう忠実に描かれており、緊迫感もじゅうぶん。しかしその後、金子信雄演じる刑事が登場してからは普通のサスペンス映画のようになってしまったのはちょっと残念だったかな。でも、東映ヤクザ映画で悪役を演じることの多い金子信雄が善良な刑事役を演じるというのは見る前はかなり意外に感じていたのだが、演技を見た印象としてはヤクザ役のときとあんまり変わらなかったので、後半はほとんどこの金子信雄のキャラを楽しみながら見ていた感じだった。
[DVD(邦画)] 6点(2014-11-20 17:03:09)
9.  衝動殺人 息子よ 《ネタバレ》 
木下恵介監督が「香華」以来15年ぶりに松竹に凱旋して手がけた社会派映画。一人息子を通り魔に殺されたことをきっかけに犯罪被害者遺族に対する補償制度の実現に向けて動き出す父親を実話をもとに描いたストーリーで、見る前はちょっと硬すぎないかと思っていたが、いざ見てみるとすごく見ごたえのある骨太な力作映画になっていて最後まで見入ってしまった。今でこそ被害者遺族に対する補償制度は存在するのだが、この映画が製作された当時は無かったわけだから、木下監督はそこに疑問を持って本作を手がけたことが分かるし、実際に本作公開の二年後に補償制度が運用開始しているのは本作の影響もあるのではないかと思える。誰でもよかったという理不尽な殺人事件で家族を奪われた登場人物たちの悲しみがリアルにこちらに伝わってくるような心理描写はいかにも木下監督らしいし、きっと実際にこういう事件で家族や友人を亡くした人たちも同じ思いなのだろうと思わずにはいられなくなる。しかし、ドラマとしてはやや物足りない部分もあり、とくに主人公が自分と同じような境遇の人たちに会うために全国を渡り歩く部分が思ったよりもあっさりしていて、ここをもう少しじっくりと描いていればもっとストーリーに厚みが出たはずでそこが残念。本作で映画賞を総なめしたという主演の若山富三郎は東映ヤクザ映画での印象が強くなりかけていたが、本作ではそれをあまり感じさせることはなく、評判どおりの素晴らしい演技を見せていて間違いなく本作は「悪魔の手毬唄」と並ぶ若山富三郎の演技派としての代表作だと思う。そしてもう一人、そんな若山富三郎演じる夫を支える妻役の高峰秀子はこの頃はもう女優業は散発的になっていて、本作が最後の出演作とのことだが、衰えというものをまったく感じさせておらず、その存在感と演技はやはり別格だ。全国各地にいる被害者遺族を演じる出演者も豪華なのだが、大阪のシーンで登場する夫を殺された中年の女性を中村玉緒が演じているのは、同じシーンに若山富三郎がいるだけに「殺された夫=勝新」というリアルな想像をついしてしまい、この中村玉緒の登場シーンだけなんだか妙な気分になってしまった。
[DVD(邦画)] 7点(2014-04-10 18:25:42)
10.  新 仁義なき戦い 組長最後の日 《ネタバレ》 
シリーズ通算8作目で深作欣二監督と菅原文太のコンビによる「仁義なき戦い」のタイトルを冠した映画ではこれが最後の作品となる。前作「組長の首」より飯干晃一の名がクレジットから外され、完全オリジナル脚本となったが、この映画も五部作ほどの勢いはなく、普通のプログラムピクチャーのヤクザ映画という印象で、そんなに面白くはないし、ナレーション(酒井哲)が少なく、テロップによる人物紹介もないなど、これまでのシリーズと比べるとかなり印象が違う。「完結篇」で大友勝利を演じ、「新仁義なき戦い」にも出演していた宍戸錠の弟である郷瑛治が殺し屋「ジョー」という役名で出ているのには笑える。今回の組長は悪役がハマリ役の小沢栄太郎だけど、出番が少ないうえに、憎々しさもイマイチで残念。シリーズ最後の作品ということもあって(と言っても製作中にはそう思っている関係者はいなかったかもしれないが。)か、菅原文太演じる主人公が刺されてしまうが、そのまま終わってしまうのはかなりの中途半端さで、せめて主人公の生死をハッキリさせてから終わってほしかった。それとやはり今回も金子信雄がいないのがさびしい。
[DVD(邦画)] 5点(2011-05-19 14:18:37)
11.  新・仁義なき戦い 組長の首
シリーズ通算7作目。主な舞台が広島から九州に変わり、飯干晃一の原作とは関係のないオリジナル脚本となり、完全に最初の五部作とは別の一話完結の物語になっているが、どうもシリーズとしての勢いがなくなってきてる印象。確かにカーチェイスなど五部作になかった見せ場があるのだが、どうも空回りしているし、菅原文太扮する主人公のキャラも広能に比べて魅力がないように思う。深作欣二監督が撮影中に絶賛したという山崎努は確かに良かったとは思うけど、なんかエピソードが中途半端で演じたキャラクターがあまり印象に残らない。「広島死闘篇」の上原靖子役が印象的だった梶芽衣子の使い方も勿体無く感じる。ヤクザ相手に男から男へ渡り歩く女を演じるひし美ゆり子は「ウルトラセブン」のアンヌ隊員役でお馴染みなだけにこういう役を演じていること自体に驚くが、この女のエピソードをもっと膨らませればドラマにもっと厚みが出たのではないか。それと金子信雄が出てないことも残念。大和田組長を演じる西村晃は山守役の候補にあがっていた人で、貫ろくのある組長を見事に演じているが、やはり金子信雄演じる山守ほどのインパクトがなく、物足りなく感じた。それでも娯楽アクション映画としてそれなりには楽しめるものにはなっているとは思う。でもやっぱり物足りなさが残る映画だった。
[DVD(邦画)] 5点(2011-05-12 13:53:52)
12.  新仁義なき戦い(1974) 《ネタバレ》 
全5作で完結した「仁義なき戦い」シリーズであるが、それからあまり間を置かずに製作された新シリーズ第1作。人気シリーズを手放したくないのは分かるが、ちょっと潔さが感じられないなと思いつつも見たが、想像よりは悪くないし、シリーズ初参加となる大物俳優の存在感もあって楽しめる。それに五部作で登場するたびに殺されていた松方弘樹が最後まで生き残るのは見ている側の予想を裏切る展開である意味新鮮に感じた。五部作とは役名の変わった出演者が多い(でも、田中邦衛とか役柄はほぼそのまま。)中で金子信雄だけは同じ役名で同じ役柄というのが嬉しかったりもする。しかし、ドラマとしてはちょっと盛り上がりに欠け、五部作に比べてちょっと物足りないというか、普通のプログラム・ピクチャーになってしまった感じがするのが残念。(五部作では人間ドラマの面白みに加え、ラストシーンが印象的な場合が多く、それが評価を上げる一因になっていたのだが。)菅原文太演じる主人公も広能と口調は同じだが、キャラクターが広能と比べるとワルな感じなのが少し違和感を覚える。田中邦衛の手旗信号のシーンはコミカルだし、五部作同様ユーモラスな場面があるんだけど、やはり五部作のほうがドラマとしての見ごたえはあったと思う。殺された組員(誠直也)の母親役で1シーン登場する菅井きんが強烈だった。
[DVD(邦画)] 6点(2011-04-05 16:24:24)
13.  仁義なき戦い 完結篇 《ネタバレ》 
前作「頂上作戦」で一応の完結を見たかに見えたこのシリーズだが、四部作では中途半端と考えたのか(実際はヒットシリーズを手放すのが惜しかったのだろう。)急遽企画され製作された五作目にして広能昌三を主人公としたシリーズの完結篇。笠原和夫が脚本から降板してしまい、高田宏治が脚本を担当している。これまでのシリーズと比べてややこじんまりとしていて盛り上がりにも欠けるし、前作のラストから強引に続けてしまった感もやはりある。それに今回は広能(菅原文太)をはじめ、武田(小林旭)も山守(金子信雄)もあまり登場しないのだが、それでもなかなか面白かった。しかし、このシリーズ(に限ったことではないが)では役者の使い回しが目立つが、今回話を引っ張る若いヤクザを演じるのが北大路欣也というのは「広島死闘篇」の山中役が印象的だっただけに止めてほしかったかも。大友役も宍戸錠に代わっているが、千葉真一のようなインパクトはないものの、それほど違和感はない。(小林旭と宍戸錠の共演を見ていると日活映画を連想してしまい、裕次郎がどこからか出てくるのではと思ってしまったり。)一作目の青大将のようなキャラからみるみる出世していった槙原(田中邦衛)が殺されるのはキャラに愛着がわいていたのでやや寂しさを感じる。ラストの広能が引退を決意するシーンもこれで本当に終わりなんだと思うと感慨深いものがある。(エンドマークが「仁義なき戦い 完」というのも哀愁を感じさせていていい。)余談だが映画館の入り口で桜木健一演じるヤクザが殺されるシーンで出てくる藤純子のポスターを見て「緋牡丹博徒」シリーズが見てみたくなった。
[DVD(邦画)] 7点(2011-03-30 19:05:30)(良:2票)
14.  仁義なき戦い 頂上作戦 《ネタバレ》 
シリーズ第4作。いよいよ抗争が激化して最初から最後まで息つく暇もないほどなのだが、これまでなかった一般市民の犠牲や、抗争事件の取材に躍起になるマスコミ、そして暴力団一斉検挙に乗り出した警察という要素が加わったことで見ごたえが増していて4作目というのにクオリティを全く落とさないのは凄い。今回は広能(菅原文太)が前半で警察に逮捕され、後半は前回登場した武田(小林旭)が引っ張っていくあたりは「広島死闘篇」同様にこのシリーズがヤクザ社会を描いた群像劇であるということを強く感じさせられるし、次々と登場する曲者ぞろいのキャラクターたちもこのシリーズの魅力なのだろう。深作欣二監督の演出も相変わらずパワフルで魅せてくれる。最後は警察の頂上作戦によって生き残ったヤクザたちが逮捕されてしまうのにはなぜか哀れみを感じてしまった。それに最後の最後、広能と武田の会話はグッと来るものがあり、広能や武田よりも山守(金子信雄)のような卑怯者(でも、なぜか個人的には打本(加藤武)同様、なぜか嫌いにはなれない。)の方が刑期が短いというあたりに世の中の矛盾も感じさせている終わり方で印象に残る。それに完全にこの回で完結してもおかしくない空気が流れていて、実際に笠原和夫の脚本のシリーズとしては最後になった(次回以降降板)のも理解できる。菅原文太が広能を演じるのはあと一作残されていて、もちろん見るつもりでいるが、くどくならないかがちょっと心配。
[DVD(邦画)] 8点(2011-03-10 13:58:12)
15.  仁義なき戦い 代理戦争 《ネタバレ》 
シリーズ第3作。今回は前2作ほどの派手さはないが、その分、組同士の駆け引きの面白さがあり、見ていてだんだん引き込まれていった。下にも書かれている方がおられるが、笠原和夫の脚本は実に見事で、今にも全面抗争が起きそうな中でのやりとりは緊迫感があり、飽きさせない。深作欣二監督の演出も1作目や2作目のようなエネルギッシュなパワフルさよりもこの男たちの駆け引きのドラマををじっくり描くことに重点を置いており、脚本と演出がしっかりしているからこそ、ドラマ部分に見ごたえがあり、このシリーズがただ単にヤクザ同士の殺し合いだけを描いたシリーズではないことが分かるし、なぜこのシリーズが後世に残る名作と言われているのか分かる気がする。でも、やや中だるみ感もあり、これまでの2作は単体でも見れる感じだったのに対し、本作はいよいよ全面的な抗争が始まるというところで終わるのでやや物足りない感じがするのだが、同時に次も早く見なくてはという気持ちにさせられる。その本作のラストシーンはヤクザの社会の非情さを見せつけられるとともに、死んだ渡瀬恒彦演じる若者の無念や、組長である広能(菅原文太)の思い、若者の母(荒木雅子)の悲しみなどがひしひしと伝わってきて、強く印象に残る。出演者では広能組幹部の一人を演じた川谷拓三はシリーズこれまででいちばん大きな役柄ではないだろうか。打本役の加藤武はいい人のイメージが強いだけにどぎつい方言のヤクザ役はミスキャストなのではと思ったが、(実際、「座頭市二段斬り」で演じた敵側の用心棒役はミスキャストに感じた。)金田一シリーズの刑事や、「釣りバカ日誌」シリーズの秋山専務のイメージとはまた違う雰囲気の役を見事に演じていて新鮮に感じた。物語にじゅうぶん絡む役柄ながらスチール写真だけで登場する丹波哲郎演じる明石組組長も(本当に写真だけなのに)貫ろくと存在感がたっぷりあるのは驚かされる。
[DVD(邦画)] 8点(2011-03-02 23:20:33)
16.  仁義なき戦い 広島死闘篇 《ネタバレ》 
「仁義なき戦い」シリーズ第2作。今回はシリーズ本来の主人公である広能(菅原文太)を脇に回し、元予科練志願だった山中正治(北大路欣也)の悲劇的な末路を描いていて、前作のような勢いはやや抑え気味になっているものの、山中のドラマがなかなか見ごたえがあり、集団よりも個人に焦点をあてているのもあるのだろうけど、そのおかげで前作よりも分かりやすく、ドラマとしても前作より面白かった。予科練の歌を口ずさむ山中にはどこかかつて軍国少年だった深作欣二監督自身が投影されているのではないかと感じられるし、ヒロインの靖子(梶芽衣子)が戦争未亡人というのも利いている。ラスト、警察に包囲された山中の自殺シーンと、靖子の彼を思って号泣するシーンは演じる二人の熱演もあり、印象に残る名シーンになっているし、組織に利用され、虫けらのように死んでいく男のやりきれなさがよく伝わってくる深作監督の演出も見事。しかし、深作監督が苦手としているのかこの二人の惹かれ合っていく過程の描き方がちょっと適当というか下手に思え、この部分にもっと深みがあれば良かったと思う。出演者では山中を演じた北大路欣也はもちろんだが、大友を演じる千葉真一のキレたキャラクターもいい。最初は千葉真一が山中を演じ、北大路欣也が大友を演じるはずであったらしいが、逆にして正解だったと思う。成田三樹夫も相変わらずカッコイイし、広能の舎弟として登場する前田吟は「男はつらいよ」シリーズの博役でおなじみなだけにこういうヤクザ役は新鮮に感じる。そしてやはり梶芽衣子が美しく、恋人と引き離される女性の悲しさを見事に表していて素晴らしく、山中と靖子の惹かれあっていく部分の演出が下手に感じながらも、それでも彼女の演技から靖子の女としての悲しみが伝わってくるのはすごいと思う。このシリーズは基本的には女気なんかなさそうだけど、この映画の梶芽衣子は本当にいい。
[DVD(邦画)] 8点(2011-02-15 14:42:54)(良:1票)
17.  仁義なき戦い
深作欣二監督の代名詞的な映画で昔から見たいと思っていた映画だが、東映のヤクザ映画を見るのに抵抗があり、一部のシーンはテレビの日本映画特集番組などで見ていたものの、全編見るのにはなかなか手が出なかったが、ようやく見た。冒頭のキノコ雲の写真をバックに流れる有名な音楽(実際に映画を見ていなくてもこれまで幾度となく耳にしている。)から興奮させられるし、映画が始まっても深作監督らしいテンポのいいエネルギッシュな演出で引き込まれる。しかし、登場人物の人間関係をこちらが把握する前に殺し合いが始まってしまうのでゴチャゴチャした印象があるのも事実。でも、深作監督のダイナミックな躍動感あふれる演出は見ていて飽きないし、なにより実話ベースで当時まだ問題となっていた事案を題材にし、尚且つ実在するヤクザをモデルにしているだけでも企画の日下部五朗や、深作監督、脚本の笠原和夫といったスタッフの尋常でない挑戦心を感じられる。俳優陣も濃く、ヤクザ映画、そして、深作作品でも初めて見る菅原文太が渋く、存在感を発揮しているのをはじめ、出てくる男たちがみんな熱く、これぞ男の映画という感じ。山守役の金子信雄がはまり役と言われているが、自分が生き残るためなら何でもするような男を見事に演じており、本当にはまり役だ。(個人的には金子信雄と言えば小学生の頃に風邪引いて学校を休んだ日にたまに見ていた朝日放送の料理番組の司会というイメージが未だにある人なのだが。おいおい。)ラストの葬儀場で広能が拳銃をぶっ放すシーンはなにか見ていて爽快感を覚える。ガラが悪いのでちょっとまだ抵抗はあるかもしれないが、続編も見てみようという気にさせられるような面白さはあった。
[DVD(邦画)] 7点(2011-02-10 13:43:30)
18.  修羅雪姫 怨み恋歌
「修羅雪姫」シリーズ第2作。というか前回のあのラストシーンからどうやって続編につなぐのかと思ったら、前回のラストは無視しているみたい。前回は雪は復讐のためだけに生きていて、かなり気迫があり、演じる梶芽衣子からも得体の知れない凄さを感じたのだが、今回の雪は前回に比べておとなしく、凄みも感じないし、前回印象的だった主題歌が流れないのは残念(なぜだ。)だし、映像の美しさも前回のほうが勝ってた。でも今回は梶芽衣子のまわりにいる出演者が曲者ぞろいで、原田芳雄と伊丹十三の兄弟や、伊丹の妻を演じる吉行和子の濃い熱演はもちろん、悪役の岸田森がなんとも怪しい存在感で演じていて、はっきり言って雪よりまわりにいる登場人物たちのほうがインパクトがある。(岸田森、やっぱりカッコイイなあ。)これはこれでいいのだが、やはり前回に比べると雪の存在感が薄くなってしまった感じでやっぱり残念。ただ映画自体は思ったより面白かったかな。藤田敏八監督の映画を見るのは2本目だが、のちに監督となった伊丹十三が藤田監督を俳優として「タンポポ」に起用しているのを思い出し、ここでは藤田監督が俳優として伊丹十三を起用していることに一種の感慨深さというか、そういうのを覚える。ところで鈴木瑞穂のナレーションを聴くとこんなはちゃめちゃな映画でも硬派な社会派ドラマのように見えてしまうから不思議。
[DVD(邦画)] 6点(2010-09-08 23:45:39)
19.  修羅雪姫(1973) 《ネタバレ》 
主演の梶芽衣子の存在感が圧倒的で、美しく、激しく、強く、そして悲しみを秘めたヒロインをクールに演じていて、文句なしにカッコイイ。(眼力鋭いところはなんか柴咲コウみたい。)今ならR15指定は免れないだろうと思われるほど血の多い映画で、おそらく万人には受けないであろう映画だと思うのだが、それでも、映像は美しく、冒頭、梶芽衣子演じる鹿島雪が雪の中で大立ち回りを繰り広げ、倒した相手の血で赤く染まっていく白い雪や、返り血で赤く染まった白い着物など、白と赤のコントラストが絶妙で思わず美しいと唸ってしまう。冒頭の牢屋のシーンで白から赤に変わる外に降っている雪なども美しく、とにかく赤と白が最初から最後まで強烈に印象に残る。主題歌である「修羅の花」もよく、冒頭で流れてきたときにあまりの歌詞のインパクトにおどろいたのだが、これが血まみれの鹿島雪が白い雪の上に倒れるラストシーンでかかるともうやられたという感じで、このラストシーンのためにこの主題歌があるようなそんな気持ちにさせられるほど、映像によく合っていて、またシーン自体も非常に美しく、主題歌の歌詞と映像の美しさが見事に調和した名シーンだと思う。
[DVD(邦画)] 7点(2010-08-31 14:18:55)(良:1票)
20.  処刑遊戯 《ネタバレ》 
「遊戯」シリーズ第3作。今回はコミカルさを排除し、最初から最後までひたすらハードボイルドに徹している。冒頭の銃撃戦などは派手な音楽もなく、淡々と進行してなかなか凝っていてカッコイイ。しかし今回は前2作ではそれほど気にならなかった松田優作のカッコつけたきざなセリフまわしというか、そういうのがかなり気になってしまった。このシリーズは毎回脚本家が違うわけだが、今回は「探偵物語」を同時期に書いていた丸山昇一が担当。この脚本家が個人的にちょっと苦手なのかもしれない。村川透監督の演出は前2作に比べるとこだわりが見えてだいぶ頑張っていると思うものの、テレビドラマのような印象がやっぱり少し残る。敵の黒幕が前回ヤクザの親分を演じていた佐藤慶なのだが、2作連続で同じ人を同じような役に配役しているのがちょっと面白みに欠ける気がする。(まあ、先週「殺人遊戯」を見たばかりというのもあるんだが。)それにしても以前見た大島渚監督の「夏の妹」でも思ったが、ヒロイン役のりりィの独特なしゃべり方はなんか気になるなあ。
[DVD(邦画)] 5点(2010-07-13 13:10:30)
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