3. ジャッキー・ブラウン
タランティーノが普通の映画を撮った。タランティーノ監督による普通の映画は余り観たくないので、前二作と比較すると興味を逸しますし、雑感も劣る。とはいえいつも通りのオタクらしさをぷんぷん匂わせるところは好きです。主演女優パム・グリアーが、今回のシネフィルたるタランティーノを教えてくれるのですが、DVDの特典映像で語っているように、彼女は一昔前のタランティーノにとっての超女優だったらしい。そのために、映画はグリアーを中心に一昔前にタイムスリップしているようなノスタルジーがあります。タランティーノのオタクぶりは、『パルプフィクション』で再び光を浴びたJ.トラヴォルタのように、昔に戻るのではなくて、タランティーノ流に役者を料理する了見の狭さに生かされていたと思います(誉めてるんですよw)。しかし今回の『ジャッキー・ブラウン』では、逆にパム・グリアーに仕えているような違いがあります。それは今回デ・ニーロやフォンダのような、タランティーノから見たら正統派をタランティーノ流に料理する代わりに、パム・グリアーを昔のままに活かすという対比によって、面白さを出すための効果だと思います。デ・ニーロたちは最近落ち目ですが、消えてはいなし、タランティーノのオタクぶりを示すほど発掘し甲斐のある人たちでもない。そんな人たちを、自分のオタク的な流儀で描かせて、その対比で今度は発掘し甲斐のある人=グリアーを昔のままに描くのは、これまでのタランティーノにはなかった手法ではないでしょうか?『パルプ~』でも、ブルース・ウィリスの設定に感心しましたが、今作のように、対比で描いたことはなかったと思います。そういう意味であいかわらずタランティーノ作品って面白いなと思いました。 8点(2004-06-02 19:14:24)(良:1票) |