1. ショーガール
《ネタバレ》 ◆なぜこの作品がラジー賞なのか全く理解できません。評価を下したやつらは、この作品をしっかり見たのかと疑っています。この傑作のどこがラジー賞に値するのでしょうか。ここで書くのは不謹慎なことかもしれませんが、評価は人それぞれだと分かっていてもマジでムカついています。◆本作は設定は奇抜ですが、内容は王道の青春スポコンもので、ライバル、親友、恋人、嫉妬、努力、挫折、ハプニング、ユーモアといった青春スポコンものに欠かせない要素が全て詰まってしかも丁寧に描かれている傑作だと思います。本作がラジー賞なら、日本で大量生産されているテレビ局主導の青春スポコンジャンル映画(カーリングものとかラップものとか書道もの)はフィルムを燃やしたほうが良いレベルだと思います。女優がここまで体当たりの演技をして、全てをさらけ出して、最初と最後でまったく表情が違う映画が日本においてあるでしょうか。それは日米の映画制作の体制の違いとか資金額の違いとかそういう問題を超えたところにあるものです。つまり、この映画のようにストリップやエロに対して真っ向から向き合い、良質な青春スポコンジャンル映画にする気概があるのかってことです。私が把握している限り、最近の作品でこの作品に近い所まで行っているのは『愛のむきだし』ですが、それでもこの映画にはまだまだ及んでいない。『恋空』のレイプシーンにいたっては、レイプと綺麗なお花をオーバーラップさせるという超絶的な逃げを展開している。◆なぜか邦画との比較ばかりになってしまったけれど、本作のダンスシーンの迫力やストリップシーンのリアルさ、登場人物の作りこまれた描写やライバルがしっかりライバルしている点や、夢を一途に追うものと夢を持てど行動が伴わないものの対比などしっかり撮られていると思う。加えて、ストリップの色物的存在のあのおばさんの存在など、ストリップを丹念に調べていなければ絶対に生まれない存在だと思う。そういった意味で非常に誠実に撮られた極上のエンターテインメントだと思います。ラジー賞の権威がどの程度のものなのかも教えてくれた本作は、間違いなく僕にとって大切な作品となると思います。 [DVD(字幕)] 10点(2010-10-06 02:34:41)(良:1票) |
2. 少林少女
《ネタバレ》 ◆大筋の整合性が整っていなくとも、ディティールがしっかりしていれば鑑賞に堪えうるものにはなると思うのですが、鑑賞中細かな点がいちいち引っかかり、考えるのを途中で諦めた程沢山の穴がありました。なぜ、初めてラクロスに触れた柴崎は、ゴールの反対方向にシュートをするのか。一瞬で遠くに消えるラクロスのボールを見て、なぜまわりのメンバーは平然としていられるのか。というかそもそも小林拳とラクロスは親和性があるものなのか。ラクロスの専門家が見たらどのように感じるのか。なぜ初心者の集まりが、他チームと最初から互角の勝負ができるのか。なぜ富野由悠季がいるのか・・・etc◆この作品の良い所は、ラクロスのメンバーが意外と豪華な所です。山崎真美は落ち着いた語り口で、キャラがしっかり作れていたし、何より満島ひかりをメンバーの中に見つけたときが、作品鑑賞中の最も感動したシーンでした。それからは満島ひかりをメンバーの中から見つける作業に没頭できたので前半の不快指数はそれほど高くなかったように思います。◆後半になってからはラクロスシーンは無くなり、ひたすら格闘シーンになりました。格闘シーンは本広演出の「外し」が随所に見られましたが、「外し」を通り越してカンフー映画全般に対する「嘲笑」・「侮蔑」に近い印象を受けました。その後、エヴァ風内面演出が終わり、敵味方共に子役にすり変わったシーンでは、子役が2パターンぐらいに見えたのは僕の目の錯覚でしょうか。◆エンドロールが始まると、またラクロスのシーンが始まります。99-0という一方的過ぎる試合展開の最後に止めを刺して相手のラクロス人生を終わらせるかのようなシーン、即ちラクロスのボールを三人ぐらいで順繰りに殴ると、ラクロスのボールが炎をまとって龍に変化し、相手のゴールをキーパーもろとも焼き尽くそうとする殺人未遂のシーンは、、本作品中屈指の出来だったと思うのですが、なぜエンドロールのバックでそれを見せるのかは分かりかねます。◆本広監督は風呂敷を広げることはでき、中々期待させる点は素晴らしいと思うので、今度は風呂敷をたたまなくてもいいので、元のあった位置に戻すとかせめて人が踏みそうな所には置かないとかその程度の気をつけ方はしてもらいたいです。もう、映画版サイレン以来のやるせなさです。 [DVD(邦画)] 3点(2010-09-22 22:40:49)(良:1票) |
3. シザーハンズ
◆おとぎ話であるからして、細かい部分に突っ込むのはタブーであると思いますが、それにしてもちょっと中途半端だったかなと思います。キムとエドが恋愛に発展する過程があまり描かれていないので、それぞれのシーンに重みが無かった。◆ただ、色彩分けはとてもよくできていたと思います。OPの暗みがかったファンタジーチックな絵から、一気に色とりどりでコメディタッチの市民住宅街に切り替わる。不気味さをカラフルさで一気に取り外し、手がハサミである異形の人間を身近なものにしてしまう。最後は逆に、コメディ世界からシリアスでファンタジーチックな世界に観客を引き戻し、ラストの神秘性を醸し出す。◆でもやっぱり、手って大事だなあ。人と人がつながっていくときの、きっかけですものね。エドは、それを腕と唇から始めなければいけない。これって大変なことですね。◆色の使い方でストーリーを肌で感じることができるとり方と発想は素晴らしいと思います。7点を献上させていただきたい。 [ビデオ(字幕)] 7点(2006-11-08 00:41:29) |
4. 17歳のカルテ
《ネタバレ》 ◆『カッコーの巣の上で』と主題が同じということもあり、本作にかなりかぶるところもありました。ただ、『カッコーの』は救いようのない終わり方だったのに対して、こちらは逆に未来を感じさせる終わりかたをしています。◆どちらのほうが好きかと聞かれれば、ぼくは本作のほうをとります。『カッコーの』は世の中の不条理さとか、不自由さといったものに絶望していますが、本作ではその不条理さや不自由さを認めたうえで、それらとどう共存していくかといったことまで描かれています。広げた風呂敷はけして小さくはなかったのですが、それを畳みきった本作はすごい。◆また、演出面でも色の使い方や、猫の映し方、ホラー的なシーンの映し方などを意図的に変えていて、映画というメディアを使いこなしています。◆さらにはキャスト面でも、主演とその脇を固める人々のレベルが高く、唯一のミスキャストと思われたウーピー・ゴールドバーグも最終的には彼女でなければだめだと思わせられました。 [DVD(字幕)] 9点(2006-03-19 02:07:55) |
5. 白雪姫
◆長編アニメの基礎を作り上げた作品であり、後のアニメにとっての大きな壁でもあるこの作品。井戸に波紋が立つシーンを見ましたけれど、・・・いや・・ねえ・・そりゃ戦争にも負けますよ。1937年ですよ。どんだけリアルなんですか?目を疑いますよ。CGでしょう?◆それから、なんですかあの動物の使い方、どんだけキャラがたってるんですか?最後に、なんですかあのパイの切れ端の使い方、なに文字書いてるんですか?普通切れ端で文字を書こうと思いますか?もう、アイディアがおかしいです。 [DVD(吹替)] 9点(2005-12-12 22:33:17) |
6. 情婦
テンポがものすごく良かったですね。役者の卓越した演技、それからところどころに入る気の利いたジョーク。証人喚問での論戦もおもわずうなずいてしまう。陪審の判断が下されるところなんか手に汗握りました。ウィルフリッド・ロバーツ卿、お疲れ様でした。どうかお体に気をつけてください。 [ビデオ(字幕)] 8点(2005-10-26 00:33:52) |
7. 市民ケーン
《ネタバレ》 影の使い方が印象的だった。オペラ歌手の妻が「もう歌いたくない」と泣きついたのに対してケーンは「君はただ歌っていればいいんだ」というシーンがある。まるで彼女を押さえ込むかのようにケーンの影が彼女に覆いかぶさっていた。彼女はケーンをしっかり見つめながら、顔を影からゆっくりと出す。ケーンの権力とそこから抜け出したい彼女の心理がそのシーンから伝わってきた。 映画の見方を教えられた作品だった。 [映画館(字幕)] 9点(2005-10-25 21:08:09) |