1. スパルタカス(1960)
ハリウッド製史劇映画を語るときに外せないほど有名な作品だ。キューブリック監督ということだが、実際に観てみると・・・、らしくない。カークダグラス演ずるスパルタカスも、当時としては“はまり役”だったのかも知れないが、「グラディエーター」のラッセルクロウを観てしまった後では、「ん?」という感じがしないでもない。オールバックのヘアスタイルがいかにも50年代アメリカ的だからだろうか。剣闘シーンはといえば1回だけしかなく意外なほどあっさりしたものだったし、もっと緊迫感があってもよかったと感じた。ところがである。後半の反乱シーンあたりから一気に緊迫感が与えられ、映画にも凄みが増してくる。イタリア南部の丘陵地帯を埋め尽くすほどのエキストラを使った反乱軍の移動シーンやローマ軍の戦闘隊形などは空前絶後。「ブレイブハート」を撮ったメルギブスンが「スパルタカス」の戦闘シーンを参考にしたというのもうなずける。が、実際の戦闘シーンはというと、やはりよく研究しただけあって「ブレイブハート」の方が一枚上手といった感があるのは確か。バックで流れる音楽が妙に古臭いのがいけなかったかなあ・・・。しかし、そんなことよりも、負け戦で生き残った仲間たちがスパルタカスをかばおうとして「私がスパルタカスだ」と立ち上がるシーンや、最後のアッピア街道沿いに並んだ6千名もの十字架のシーンには胸が打たれてしまった。やはり名作だと思う。 8点(2002-03-26 08:03:39) |