1. スウィーニー・トッド/フリート街の悪魔の理髪師
冷たい青灰色、沈んだ茶、そして、ペンキのような真っ赤な血。いつもながら、色彩の統一感がすばらしい。 デップ演じる主人公が、とにかくだれとも目を合わせないのが印象的。相手の目をちゃんと見ると、次の瞬間にはばっさり、なのである。 寒々しい海辺やピクニックの空想シーンの、いかにもしかたなくいてやってる、みたいな雰囲気が笑えた。でもだれも笑ってなかったけど。 すべて吹き替え無しで役者が歌ったと聞いて、楽しみにしていたのだが、演技と歌がきっちりかみあっていて、ミュージカルとしてちゃんと成立していた。 いちばん歌っている姿が想像できなかったのが、アラン・リックマンなのだが、歌唱的にはちょっと弱いかな、と思ったが、地位も名誉もあるヘンタイ親父という役柄にはまさにぴったりでした。 [映画館(字幕)] 7点(2008-04-05 23:41:14) |
2. 酔画仙
イム・グォンテク印の美しい映像が、どうも絵葉書みたいに安っぽく見えたのはなぜだろう。エピソードも細切れで、韓国近代史のお勉強にはいいかもしれないが、感情のうねりというものを、いっさい拒否するような編集である。 チェ・ミンシクは、顔も体も、たるみすぎ。放蕩を尽くしたという人物像だからそれでいいのかもしれないが、無頼というより、むさくるしいとしか見えなかった。 アン・ソンギの老けメイクはひどかった。墨でシワをかくなよ。。 [映画館(字幕)] 4点(2007-11-26 20:21:38) |
3. スターダスト(2007)
デ・ニーロの怪演を見に行ったのだが、相変わらず楽しそうに演じていて、満足できた。ピーター・オトゥールも、さすがの貫禄だし、元気そうで何より。それよりも、ミシェル・フェイファーの根性入った悪役ぶりが圧巻だった。魔法を使うたびに、若さが失われて、手の甲にさーっとしみが浮き出てくるのが、おばさんにとっては、あまりにもいやんな CG だったよ。 映像も実に美しく、雄大な風景や、魔女の館の美術もよかった。海賊の空飛ぶ船などに、宮崎アニメの影響が言われているが、わたしはそんなに気にならなかっし、船のさび加減などの細かい部分には感心した。 ストーリーは少年の成長物語、という感じで、子供にも安心して見せられる内容でした。それだけ、おとなにはちょっと物足りない部分もあるが、きちんとした映画らしい映画にできあがっている以上、あまり贅沢をいってもしょうがあるまい。 全体におもしろかったけど、いちばんだれたのが、主人公のふたりのかわいらしい恋模様というのが、一緒に見に行った小学生の息子と、意見の一致したところである。 [映画館(字幕)] 6点(2007-11-25 18:25:36) |
4. スクール・オブ・ロック
《ネタバレ》 ジャック・ブラックの暑苦しさ全開。息子たちといっしょに見たのだが、とくに高校生に大うけであった。 ストーリーは予定調和的に進んでいき、予想を裏切る展開はほとんどない。だが、見ていてとても楽しい。いっしょに歌いたくなる。 ロックが好きだというだけがとりえ?で、人格的にも経済的にも破綻寸前という男が、ニセ教師になると、なぜか子供たちの自尊心をきちんと尊重して、ロックバンドという目的のために、クラス全員が夢中になり、自分から動くように、うまく誘導していく。もちろん全員がバンドのメンバーになれるわけはないから、裏方の仕事に回る子供も出てくるのだが、スタッフあってこそのバンド、ということを何度も強調して、それぞれの実力を引き出していく。いくら子供相手とはいえ、これだけ対人関係をコントロールできる人間が、こんなダメダメな境遇にいるわけないだろう、と思うのだが、これはほら、『ギャラクシー・クエスト』のロック版なんだよね。現実的なことにはまったく役に立たないオタクでも、それなりの場を与えれば、ちゃんと人並み以上のことができるんだよ、という。 ジョーン・キューザックの校長先生がキュートだった。 [DVD(字幕)] 7点(2007-07-27 18:32:07)(良:1票) |
5. スカーレットレター(2004)
《ネタバレ》 主人公が、美しく才能のあるふたりの女性を妻と愛人に持つ、という設定が、まず納得できない。金持ちでもなく、それほどハンサムでなくても、なんとなく憎めなくて、女性をひきつけてしまう男というのは、確かに存在するだろう。でも、ハン・ソッキュ演じるキフンは、ただ身勝手なだけで、どこにそんな魅力があるのか、いっこうに見えてこなくていらいらしてしまう。ラスト近く、閉じ込めらてからの錯乱の演技はさすがだが、それだけが見所、っていうのでは、あまりにさびしい。 イ・ウンジュ演じるカヒが、キフンの妻であるスヒョン(オム・ジウォン)と学生時代に愛し合っていた、と告白する場面がある。回想の中で、真っ赤なシルクのシーツの上でふたりが抱き合うシーンは実に美しいが、それがただのサービスショットに終わってしまったのが惜しい。こういう設定にするのであれば、カヒもスヒョンも、ほんとうに愛しているのはキフンじゃなく、ただお互いを愛するがあまり、間にはさまったキフンをとりあっていただけ、っていうほうが、よほどすっきりする。カヒのほうは、キフンにぞっこんだし、スヒョンのほうは、最後までほんとうはどちらを愛していたのか、はっきりしないままである。 殺人事件の被害者の妻であるキョンヒ(ソン・ヒョナ)との関係も中途半端。仕事以外のつながりがあまりないし、やはり最後に、カヒを失ってしおれているキフンに、駄目押しをするようにショックな事実を告げて、さらっと去っていく、というような場面がほしい。 要するに、女3人とよろしくやっているつもりが、実は3人それぞれにいいように利用されていただけだった、っていう話でもないと、ハン・ソッキュがこの役をやる理由がよくわかんない。仕事はやめたが、妻とは結局どうなったか説明がないし。人格破壊されるくらいこてんこてんにだまされて、職も妻も愛人もすべて失う、っていうラストなら、後味悪いなりに納得いったと思う。 これが遺作になってしまったイ・ウンジュだが、冒頭のシーンの歌が、けっこうよかった。ピアノのほうは、プロをめざした腕前だというし、何度言ってもしかたないが、つい言ってしまう。ほんとうにもったいない。 [DVD(字幕)] 5点(2007-07-27 18:28:45) |
6. スーパーマン リターンズ
小学生の子供のリクエストで見に行った。 バランスよく、たいへんよくできた娯楽作品である。ジョン・ウィリアムズの景気のいいテーマがそのまま使われていて、なつかしかった。しかし、ケビン・スペイシーは、どうもいい人イメージが強すぎて、異常にも邪悪にも見えない。 主役の俳優の顔が、まるでマネキンか CG で作ったようなハンサムで、最後まで感心して見ていた。旧作のぎすぎすしたロイス・レーンと違って、今度の人はみずみずしくてよい。柔らかい印象が強いのは、母親としてのシーンが多かったせいか? [映画館(吹替)] 7点(2007-07-25 15:43:08) |
7. スパイダーフォレスト 懺悔
この邦題、なんでわざわざカタカナにしたのかなぁ。そのまんま『蜘蛛の森』のほうが、おどろおどろしいような気がするが。それに「懺悔」なんてつけちゃったら、ネタバレじゃん! 韓国サイト の VODで見たので字幕ナシ。それほど長セリフも早口のセリフもなかったので、韓国語にはついていけたのだが、時系列がごちゃごちゃに出てくる話なので、見ているとかなり混乱する。カム・ウソンは熱演だが、彼の心の痛みより、怪我してるのが痛そう、気の毒、というほうが先にたつ。 [インターネット(字幕)] 5点(2007-07-24 16:49:12) |