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ゆきさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 614
性別 男性
自己紹介  洋画は字幕版も吹き替え版も両方観た上で感想を書くようにしています。
 ネタバレが多い為、未見映画の情報集めには役立てないかも知れませんが……
 自分と好みが合う人がいたら、点数などを基準に映画選びの参考にしてもらえたら嬉しいです。

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1.  ゾンビーワールドへようこそ 《ネタバレ》 
 ボーイスカウトとゾンビの組み合わせといえば「バンクス/ゾンビキャンプ」(2013年)という前例がありましたが、あちらが子供向けに仕上げていたのに比べると、こちらは背伸びしたい若者向けって感じの内容でしたね。  グロい場面や、エロい場面なんかも適度に配してあるし、何よりティーンエージャーの成長物語として作ってある。   である以上、何時まで経っても大人になりきれない自分としても、大好物な品のはずなのですが……  要所要所で引っ掛かる部分があって、手放しで絶賛出来ないのが残念でしたね。   いやもうホント、出来は良いんですよ。  ゾンビ映画ってジャンルは、百本観たら八十本以上は「外れ」と感じてしまうくらい「当たり」率の低いもんなのだけど、本作は間違い無く「当たり」の部類。  映像や音楽もしっかりしていますし、途中で間延びする場面も無かったし、娯楽作品として高い水準に達していると思います。   テントを張ったり焚火したりする「ゾンビに襲われる前の楽しい一時」が、きちんと描かれてるのもポイント高いし、お約束の武器としてショットガンが登場し、豪快にゾンビの頭を吹き飛ばしてくれるのも良い。  普段は車が壊れても全然手伝ってくれなかった悪友が、ゾンビに襲われている最中には積極的に手伝ってくれる対比なんかも、上手いなぁと感心しちゃいましたね。  主人公達がボーイスカウトという設定を活かした「ホームセンターで材料を集め、自前の武器を作成する場面」も、凄く良かったです。  物語上、特に必要は無いのに爆発シーンを挟み、分かり易く「はい、ここがクライマックスですよ」と教えてくれてる感じなのも、憎めない愛嬌がありました。    じゃあ、何が気に入らなかったのかというと……  本当に些細な事なんだけど、主人公のベンの言動が問題だったんです。  勿論、彼は良い奴だし、真面目だし、自分も彼が嫌いって訳じゃないんですが、何故か肝心な部分で(えっ? 何それ?)って思うような選択したり、行動を取ったりするんですよね。  なまじ彼が「良い奴」で、自分も序盤から彼に感情移入して観ていたもんだから、途中から徐々に(この主人公は、何か違う……)って違和感を抱き始めたのが、失望に繋がっちゃったんだと思います。   そんな違和感が決定的になったのが、パトリック・シュワルツェネッガー演じるジェフの首を切断して「この、カスが」と毒付く場面。  そりゃあジェフは「嫌味なイケメン男子」という、オタク映画における最大の憎まれ役キャラだったけど(ゾンビ化した知り合いを殺しておいて、そんな態度取る?)って引いちゃったんですよね。  なんか首の斬り方も妙に恰好良く、スタイリッシュに描いて「どう? 観客の皆もスカっとしたでしょ?」と言わんばかりの演出していたのにも(悪趣味だなぁ……)と、ゲンナリするばかりでした。  ここは、お調子者の相棒であるカーターが「ざまぁみろ」と罵って死体を蹴るのを「やり過ぎだ」とベンが咎めるくらいのバランスでも良かった気がします。    あとラストシーンにて、共に苦難を乗り越え、絆を育んできたデニースではなく、ケンドルの方と結ばれるというのも、スッキリしない感じ。  作中の人物の立場になれば「映画で描かれたのは、長い人生のほんのワンシーンに過ぎない。ずっと前から好きだったケンドルを選ぶのは当たり前」って話なんでしょうけど、映画を観ている観客からすれば、出番なんて僅かしかないケンドルより、ヒロイン格であったデニースの肩を持っちゃう訳で、どうも納得出来ないんですよね。  それならせめてデニースの目線で(あぁ、ベンに振られちゃった……)的な切なさを出してくれたら、彼女に同情して、切ない余韻が残ったと思うんですけど、それも無し。   良い映画だし、面白い映画だったんですが、肝心の部分が肌に合わないっていう、非常に勿体無いパターンでした。
[DVD(吹替)] 6点(2020-04-07 08:59:31)(良:1票)
2.  ゾンビランド:ダブルタップ 《ネタバレ》 
 大好きな「ゾンビランド」の主人公四人組が、十年後も家族であり続けたという、それだけでも嬉しくなっちゃう映画。   家族ともなれば当然、意見が合わなくて喧嘩別れしちゃう事もあるんだけど、最後は元の鞘に収まり仲直りっていうのも気持ち良かったですね。  誰か一人くらいは死んじゃう可能性もあるかもって警戒していただけに、そんな懸念を吹き飛ばして全員生存エンドを迎えてくれたのも嬉しかったです。   監督も主要メンバーも同じ顔触れが揃っており、前作が好きな人なら安心して楽しめる内容となっているんですが……  「終盤の展開が雑」っていう欠点まで前作と同じだったりして、ちょっと困っちゃいましたね。  「ゾンビも進化して、更に厄介な敵となった」という伏線があったのに、それに殆ど意味が無かったという肩透かし感も寂しい。  「高さ」を利用してゾンビ達を一斉に退治するクライマックスも、中々痛快ではあったんだけど、上述の設定があるせいで (これなら敵は普通のゾンビのままで良かったな……)  って考えがチラついてノリ切れなかったし、典型的な設定倒れに思えちゃいました。  「二度撃ち」でも倒せない新型ゾンビって印象は強烈だっただけに、もっと上手く活用して欲しかったですね。   勿論、長所も色々あるというか、どちらかといえばそちらの方が多かったくらいだと思います。  ホワイトハウスを「我が家」にして四人で生活する様も楽し気で良かったし、人気漫画「ウォーキング・デッド」を読んで「全然リアルじゃない」と感想を漏らすのも、実際にゾンビ世界に住んでいる主人公達ならではって感じがして、面白かったですね。  すっかり豊満な女性に成長したリトルロックが、反抗期を迎えてしまい、それに他の三人が振り回される展開になるのも、ファミリー映画らしい魅力があって良かったです。  新キャラのマディソンを殺す場面をハッキリ描かなかったから (実は彼女は生きていて、ゾンビ化した彼女と再会する事になるんだろうな)  とばかり思っていたのに (……生きてるだけじゃなくて、ゾンビ化すらしてなかったよ!)  ってツッコまされた辺りも、程好いサプライズ感があって好き。   他にも、リトルロックの彼氏を「胡散臭い」と観客に感じさせる流れも自然で (なんだ、この彼氏って良い奴かと思ってたのに、実は嫌な奴だったのか)  と失望させたりしないバランスに仕上げてあるんですよね。  かなり早い段階で、有名なボブ・ディランの曲を「自分の曲」と言ってリトルロックに聴かせる場面が挟まれており「こいつは信用出来ない」と印象付ける事に成功している。  こういった形の、さり気無い人物描写が上手い監督さんなのだなと、改めて感心させられました。  モンスタートラックや「誕生日プレゼントの銃」の使い方も巧みだし、人間をゾンビと勘違いして殺す事を「マーレイしちゃう」なんて表現するセンスにも、クスっとさせられましたね。   終わり方に関しては、前作と同じ「家族エンド」であり、予定調和な心地良さがある一方で、ちょっと物足りないとも感じていたのですが……  エンドロールの後、ビル・マーレイの大暴れを描いてくれた事には、もう大満足!  もし「ガーフィールド3」ならぬ「ゾンビランド3」があったら、再びエンドロール後には「ビル・マーレイが生きていた頃の話」を流して欲しいな、と思えたくらいでしたね。  完全なコメディパートかと思わせ、観客を油断させておき、意表を突いて格好良いゾンビ退治に突入する流れが、本当に面白かったです。   「ゾンビ世界を生き抜く為のルール」ならぬ「ゾンビランドを楽しむ為のルール」を作るとしたら、そこには是非「エンドロール中に席を立ったり、停止ボタンを押したりしてはいけない」って一文を付け加えたいな……と、そんな風に思えました。
[DVD(吹替)] 7点(2020-03-04 23:41:12)(良:1票)
3.  ゾンビランド 《ネタバレ》 
 世にゾンビ映画は数多く存在しますが「その中で一番好きなのは何?」と問われたら、本作を挙げるかも知れません。   そのくらい面白いし、楽しいし、魅力的な一品なんですよね。  文明社会が崩壊した理由を長々と語らず「ゾンビウイルスに汚染されたハンバーガー」がキッカケだとナレーションで軽く説明してしまい、後はひたすら主人公達が「ゾンビランド」で生き抜く様を描くという、そのシンプルさが心地良い。  主人公のオタク青年に、相棒となるタフガイ、ヒロイン枠とマスコット枠となる美少女姉妹という、登場人物のバランスも良かったです。   主人公が「ピエロ恐怖症」なんだと告白すれば、その後にピエロゾンビと戦うシーンが挟まれ、恐怖を乗り越えて成長する姿が描かれたりして、とにかく観客の期待を裏切らない作りになっている辺りも、実に素晴らしい。  そうやって、本筋に関しては王道を守りつつ、要所要所で「意外性のある場面」を挟み、飽きさせないようにしている工夫も上手かったですね。  「姉妹達の裏切り」にせよ「相棒のタラハシーが可愛がっていた仔犬の正体」にせよ、直接本筋と絡むエピソードではないので「初遭遇時から姉妹と仲良くなる」でも「タラハシーは仔犬を失ってしまった男」でも、構わないといえば構わないはずなんです。  でも、そこをあえて「裏切られた後に仲良くなる」「仔犬ではなく息子を失ったのだと知って、一同の絆が強まる」という形にする事によって、観客を驚かせる事にも、劇中の人物達に深みを与える事にも成功している。  この辺りの「お約束な魅力」と「意外性の魅力」との使い分けが絶妙で、本当に上手い脚本だなぁと、観ていて感心する事しきりでした。   恐らくは軍隊が乗り捨てていったのであろう戦車がさりげなく背景に映っている(しかも主人公達はそれを驚きもしない)とか、文明崩壊後の世界の描写に、ちゃんと説得力があった点も良いですね。  土産物屋で暴れて、店内を滅茶苦茶にする場面では「ゾンビ」(1978年)から通じる「文明が崩壊した世界で好き勝手やる楽しさ」が感じられたし、皆で暖炉の前に集まってモノポリーする場面なんかも、凄く好き。  「お金はいくらでもあるけど、もうモノポリーで使う事くらいしか出来ない」っていう皮肉さを、さらりと描く辺りなんて、本当に御洒落だと思います。   ビル・マーレイが呆気無く死んじゃうのは寂しいとか、姉妹はシャワーを渇望していたのだから、それを叶えるシーンがあっても良かったのにとか、遊園地でピンチになるまでの流れが無理矢理過ぎるとか、不満点もあるにはあるんですが……  それらもテンポ良く、ギャグを交えながら描かれているので、あまり気になりませんでしたね。   それよりも、小さな売店に籠城して、四方八方から襲い掛かるゾンビを迎え撃つ場面が、痺れるほど恰好良かった事。  クライマックスの舞台が遊園地だからこその、様々なアトラクションを駆使した「対ゾンビ戦」も丁寧に描かれている事など、長所の方が、ずっと印象深い。   終盤にて、主人公は「女の子の髪を撫でる」という夢を叶える事が出来たし、相棒も念願のトゥインキ―を無事ゲット出来たしで、カタルシスを存分に味わえる作りになっているのも、嬉しかったですね。  「僕達は皆、ゾンビランドで一人ぼっちだ」と呟いていた主人公が、家族を手に入れて、再び旅立っていく。  そんなハッピーエンドで終わる辺りも、文句無し。   遊園地で一日過ごした後のような、心地良い充足感に浸れる映画でありました。
[ブルーレイ(吹替)] 9点(2019-04-24 23:26:26)(良:3票)
4.  空飛ぶペンギン 《ネタバレ》 
 家族の絆が再生する様を描いた映画なんだけど、そのキッカケとなるのが「ペンギン」っていうのが珍しいですね。   主人公は離婚した身であり、今は別居中な子供達の気を引く為にペットのペンギンを飼う流れとなるのですが、そんな「子供達と上手くやる為の道具」に過ぎなかったはずのペンギンに対し、愛着を抱くようになる流れも、ちゃんと描かれている。  高級な家具に囲まれていた部屋を、ペンギン達の為に雪まみれにする流れは微笑ましいものがあったし、公園でペンギンや息子達と一緒にサッカーして盛り上がる場面なんかも良かったです。  邦題の通り「空飛ぶペンギン」という、ビジュアル的に派手な見せ場も用意されているし「餌の魚ではなく、主人公を選ぶペンギン達」という場面によって、息子達だけでなく、ペンギン達も主人公の家族になったんだと示して終わる辺りも、上手かったと思います。  そういった「ファミリー映画」「動物映画」としての魅力を感じさせる場面がしっかり用意されてあった点は、文句無しで素晴らしかったです。   ただ、この映画は色々と気になる点も多かったりして……  一概に傑作とは言えない出来であったのが、非常に残念ですね。  基本的には好きな作風の品なので、それらの点も「愛嬌の内」と捉えたいところなんですが、ちょっと気になる点が多過ぎて、許容量をオーバーしてしまった気がします。   まず、根本的な話になってしまうんですが、ペンギン達を可愛いとは思えなかったりしたんですよね。  アップになると顔も怖いし、鳴き声だって、耳に心地良い響きとは言えない。  おまけに糞をするシーンをギャグとして何度も描いたりするもんだから、これには正直ゲンナリです。  ペンギンが主軸となる映画において、その可愛さを殆ど感じられなかったっていうのは、致命的なマイナスポイントでした。   主人公の部屋から聞こえる鳴き声や足音に迷惑している隣人に、元嫁の現恋人である男性など、主人公にとって都合の悪い存在の影がやたら薄いし、悪人っぽく描かれている点なども、何だか偏っている気がして、観ていて居心地が悪くなりましたね。  白頭鷲はアメリカの象徴であり、主人公の父親のニックネームも白頭鷲であるとか「アメリカは勝負に勝った者を逮捕するような国じゃない」って台詞だとか、やたらアメリカって国を意識した作りなのも、どうもノリ切れない。  こういうファミリー映画兼動物映画にまで、そういう愛国心みたいものを持ち込んで欲しくないなって、つい思っちゃいました。   で、最後に、これは短所ではなく長所に分類される事だと思いますが……  実は本作において一番キュートに感じられたのが、子供達でもペンギン達でもなく、脇役である「パ行が好きな秘書」のピッピだったりもしたんですよね。  単純に女優さんのルックスも愛らしいし、パ行の言葉ばかり好んで用いるというギャグキャラなのに、秘書としては意外と有能っていうアンバランスさも、非常に魅力的だったと思います。  彼女にスポットを当てた続編なり外伝なりが存在するのであれば、是非観てみたいものです。
[ブルーレイ(吹替)] 5点(2019-03-22 21:54:44)(良:1票)
5.  ゾンビ・ヘッズ 死にぞこないの青い春 《ネタバレ》 
 ゾンビを主人公にした映画は何本もありますが、自分にとっての「ゾンビ主人公映画」初体験がコレだった気がします。   正確には「半分ゾンビ」という設定であり、主人公は「人間を食べたい」という欲望は全く抱いていない為「食人鬼の苦悩」的な物は描かれていなかったりするので、その点については拍子抜けでしたね。  他にも「途中で死んだ仲間のクリフはゾンビ化しないの?」「ラストで主人公はヒロインと結ばれたけど、子作りとかは可能なの?」と気になる点が多く、本作における「ゾンビの生態」があまり説明されずに終わってしまうのは、かなり残念。  せっかく劇中にて「ゾンビを研究する集団」まで登場させているのだから、彼らの口を通して、もっと詳しく説明して欲しかったです。   監督であるピアース兄弟の父親は、あの名作「The Evil Dead」(邦題:死霊のはらわた)にスタッフとして参加していたとの事であり、その縁もあってか、劇中のドライブインシアターにて「The Evil Dead」を流したりと、過去のゾンビ映画に対するオマージュ描写が散見される辺りは、同じゾンビ映画好きとして嬉しかったですね。  「主人公はゾンビである」という設定が、劇中でキチンと活かされており「ゾンビを退治しようとする人間達から逃げる主人公」という、通常とは真逆の面白さが味わえる辺りも良かったです。   普通のゾンビ映画であれば、如何にも主役になりそうな黒人青年がゾンビハンターと化して主人公達を追ってくるって点も、面白くて好きですね。  この辺り、主人公のマイクが「冴えない眼鏡のモブ顔」って感じなのに対し、黒人青年は「精悍な二枚目」っていうビジュアル面の対比もあって「普通なら主人公のはずのキャラクターが敵役」「普通なら無数にいるゾンビの中の一人に過ぎないはずのキャラクターが主役」という設定の妙味を、より深く楽しめるようになっていたと思います。   同じ「半分ゾンビ」仲間である相棒のブレンドが、頭の軽いチャラ男と思わせておいて、要所要所で名台詞を吐いてくれるという意外性も、実に心地良い。  ゾンビになった事を悲観する主人公に対し「そりゃあ個性っていうべきだ」と元気付けたり「彼女の気持ちは分からなくたって良い。でも、お前の気持ちは確かなんだろう?」と告白を後押ししてくれたりする様が、凄く良かったんですよね。  彼の他にも、半分ゾンビではない完全にゾンビなチーズに、元軍人のクリフなど、道中で一緒になる仲間達が三人とも魅力的だったりするもんだから、ゾンビ映画としてだけでなく、青春ロードムービーとしても、しっかり楽しむ事が出来ました。   途中までは苦みを含んだ展開が多く(これは主人公とヒロインが結ばれずに終わる可能性もあるかな……)と思わせておいて、意外なハッピーエンドで終わってくれるって辺りも、嬉しかったですね。  上述の通り、細かい点について考え出すと(半分ゾンビの主人公と、人間のヒロインとで、本当に上手くいくんだろうか?)って疑念も湧いてきたりするんですが、そんな野暮な観客に対し「愛さえあれば大丈夫だよ」と言わんばかりに、それまで敵だった人間達にまで二人を祝福させて、有無を言わさず終幕させている。  その強引さと、能天気なほどの人間賛歌&ゾンビ賛歌っぷりに、初見では戸惑う気持ちもあったんですが……  (この映画は、そこが良いんだ)と、今ならそう思えちゃいますね。   明るく、和気藹々としたNG集に至るまで、ゾンビ映画らしからぬ陽性な魅力を味わえた、とても貴重な一本でありました。
[DVD(吹替)] 7点(2019-03-21 17:22:21)(良:1票)
6.  ソルジャーズ・アイランド 《ネタバレ》 
 この映画、結構好きです。  好きなんだけど……それを差し引いても欠点の多さが気になっちゃいましたね。   金持ち連中が自慢のタネを得る為、節税の為にレジャー感覚で軍隊に参加するという「富豪部隊」の設定は面白いのに、それを活かし切れていない。  例えば冒頭、如何にも「普通の戦争映画っぽい場面」から始まって、それがあんまり面白くなかったりするもんだから、気勢を削がれる形になっているんです。  しかも、後に映画のラスボスとなる相手が冒頭にて主人公に一度倒されていたりするもんだから、緊迫感も失せてしまうという形。  これなら冒頭の部分はカットして、主人公が「富豪部隊」の護衛役に雇われる場面から始めた方が良かったんじゃないかな、って思えます。   主人公が「伝説の軍人」って割には「弾を避ける為に、ジグザグに走って逃げるべき」ってアドバイスを武器商人からされたり、内通者がいると分かっているのに基地を移動させようとしなかったりと、その能力に疑問符が付いてしまう辺りも残念。  物語を面白くする要因なはずの「内通者の正体」に関しても、どうも扱いが下手だった気がしちゃうんですよね。  作中で特にヒントも出していないから「犯人探し」を楽しむ事も出来ないし、犯人のキャラ付けに関しても「嫌味な金持ちその1」という没個性的な代物でしかなかったので「良い奴だと思っていたのに、裏切り者だったのか……」という意外性も無し。  そんな裏切り者を殺す際に「クソ銀行屋め」と言わせたりするのも、如何にもって感じがして、ノリ切れませんでしたね。  この手の「皆もサブプライムローン問題には怒ってるでしょ? だから映画の中で銀行屋を懲らしめておいたよ」というパターンは流石に食傷気味で、ちょっと興醒めしちゃったくらいです。   そんな欠点の多さに比べると、良かった部分を探すのは大変だったりするのですが……その数少ない「良かった部分」が、かなり自分好みなんですよね。  主人公が戦友と交わす会話「国のために戦ったのに報われない」「金のために戦おう」にはグッと来ちゃったし「今はトレーラーハウス暮らしの無精髭な主人公が、実は伝説の軍人だった」って設定も、男の浪漫をくすぐるものがあります。   ナイフを用いての決闘で、敵にトドメを刺すシーンも恰好良く決まっていたし、水上バイク同士を衝突させて爆発させるとか、アクション映画として見栄えの良い場面がしっかり詰まっているのは、文句無しで長所だと思いますね。  ラストシーンにて、花火を打ち上げたり、争いの種となっているレアメタルを海に投げ捨てたり、水鉄砲で子供達と遊んだりしている光景を描き「島を独裁者の手から解放した」喜びを感じさせて終わる辺りも、ハッピーエンド感があって良かったです。   そういった具合に、確かな魅力も秘めている映画であるだけに(ここは、もっとこうすれば良かったのに……)って、歯痒くなっちゃいますね。  せめて「富豪部隊」の面々が善意に目覚めていく流れだけは、もうちょっと丁寧に描いて欲しかったです。  例えば、事前に島民の子供との交流を描き、この子達を救いたいと思って金持ち連中が立ち上がるとか、そういう展開にしておけば、もっと感動出来たろうし、胸を張って「隠れた傑作」と言えた気がします。   「クリスチャン・スレイターが主演で、彼の恰好良い場面がちゃんとある」というだけでも、自分にとっては「良い映画」なのですが……中々他人には薦めにくい一品でありました。
[DVD(字幕)] 6点(2018-12-04 14:43:17)
7.  そして誰もいなくなった(1945) 《ネタバレ》 
 原作者アガサ・クリスティ自ら手掛けた戯曲版に則り「最後に残った二人が結ばれて、島を去る」というハッピーエンドになっている本作品。   自分としては「全員が死亡するバッドエンド」な原作小説よりも、より好みな結末のはずなのですが……どうにも楽しみきれなかった気がします。  以下は、その理由について。   まず、原作の「そして誰もいなくなった」(1939年)は紛れも無い名作なのですが、実はセオドア・ロスコーによる「死の相続」(1935年)という先駆作があったりするんですよね。  ・外界と遮断された場所に集められた人々が、次々に殺されていく。 ・途中で死んだかと思われていた人物が、真犯人である。   という内容なのですが、実はそちらでも「主人公達は無事に生還し、カップル成立のハッピーエンド」を迎えていたりするんです。  つまり、原作小説の結末をハッピーエンドに改変した結果、元ネタの小説と同じような形になってしまった訳で、これには流石に(何だかなぁ……)と思っちゃいました。  「死の相続」と「そして誰もいなくなった」の最大の差異とは「容疑者全員が死んでしまうという衝撃」にあったのに、本作ではそれがオミットされているんですからね。  元ネタよりも一歩進んでみせた原作小説に対し、本作は更に一歩下がって元の位置に戻ってしまったかのようであり、非常に残念でした。   勿論、本作なりの良い点もあって、各所に散りばめられたユーモラスな場面なんかは、原作に無かったオリジナルの魅力だと思います。  「こんな話がある。二人の英国人が孤島で3年間暮らしたが、紹介者がいないため会話ができなかった」という小噺も好きだし、医者と判事とが「(医者なのに)薬を信じないのですか?」「(貴方は判事ですが)正義を信じます?」と語って、笑い合う場面なんかも好み。  室内にいる人物を鍵穴から覗き見するという、映画ならではの視覚的な面白さが盛り込まれている点も、良かったですね。  「探偵役かと思われた人物が、実は犯人」という意外性が、原作より強調されている辺りも、上手い演出だったかと。   総評としては「面白かったとは言えないけど、観ておいて良かったと思える一品」という感じに落ち着くでしょうか。  モノクロの世界観が心地良く、それだけでも「格調の高さ」「名作の香り」を感じさせてくれただけに、結末が期待外れであったのが、実に惜しいですね。  ハッピーエンドに失望しちゃったという、貴重な体験を味わえた一本として、記憶に残る事になりそうです。
[DVD(字幕)] 5点(2018-08-27 02:54:18)
8.  ゾンビハーレム 《ネタバレ》 
 冒頭「The Evil Dead」(邦題:死霊のはらわた)のコミック片手に熱弁を振るうオタク男が出てきた時点で、掴みはOKといった感じ。  他にも、恋人と別れたばかりの男、ゲイの男、プレイボーイに、離婚の危機を迎えている男という、バラエティ豊かな面子が、彼女や彼氏や妻の罵倒を背に旅に出る導入部は「Wild Hogs」(邦題:団塊ボーイズ)っぽいしで、どちらの映画も好きな自分としては、嬉しくなっちゃいました。   そんな中年男達のドライブ旅行にて、バスの運転手を務め、唯一の女性メンバーとなったキャンディが、あっさりゾンビ化しちゃうのだから、意外性も抜群。  何せ彼女、メンバーの誰かと恋人になりそうな気配があったし、鹿の死体を片付ける件では、一番男らしく(?)て頼もしい姿を見せていましたからね。  彼女だけは紅一点としてゾンビ化せずに、一緒に戦ってくれるんだろうなと予想していただけに、それを気持ち良く裏切られました。  舞台となる町に子供の姿が見えない事を含め、徹底的に「男VS女」という構図に拘ったからこそ、思い切り良く彼女を序盤で退場させたのでしょうね。  結果的に、それは大成功だったかと。   斧を持った花嫁ゾンビに、両手に鋏を装備した美容師ゾンビと、登場する女ゾンビ達が個性豊かなのも嬉しい。  中盤にて、今まで遭遇した女ゾンビの中で、誰が可愛かったかと男達が品定めするシーンなんて、如何にも「旅の夜」ならではの会話って感じがして、楽しかったです。   上述の場面に限った話ではなく、全体的に男性目線で作られた品であり、女性ゾンビを指して「あいつらは頭が悪い」なんて言い放つシーンもあるから、女性が観ると、ちょっと抵抗があるかも知れませんね。  物を投げたら女ゾンビの巨乳に命中して跳ね返る場面とか、思わず笑っちゃったけど、上品とは言い難いです。   玩具屋で即席の火炎放射器を作る件はワクワクさせられたし、ゾンビ映画ではお約束となりつつある「ゾンビの振りをして、襲われないように移動する」が「女装して襲われないように移動する」になっている辺りも、クスッとさせられました。   ラストも物凄く爽やかで、仲間の絆を確認し合い、皆で笑顔になって、走って終わりというハッピーエンドっぷり。  彼らの背後には大量の女ゾンビが迫っており、根本的な解決にはなっていないのですが、それでも友情の強さの前には、些細な問題と思えてくるのだから凄いです。  ショッピングカートに男を乗せて、それを押しながら爽やかに終わるのは「What to Do in Case of Fire」(邦題:レボリューション6)の影響もあるのかも知れませんね。   気になった点としては、そんな終わり方で「友情は素晴らしい」と感じさせる内容であるにも拘らず、作中で友達の中から死者が出てしまっている事が挙げられそう。  皆して楽しそうに笑っているけど、友達が死んだばかりなんだよなぁ……って事が、どうしても引っ掛かっちゃうんですよね。  ちょっと残酷な物言いとなりますが、所謂「殺され要員」ならキャンディや、途中で出会った軍人さんもいる訳だし、こんなに明るいハッピーエンドで纏めるなら、男友達グループの死者はゼロにしても良かったんじゃないかなと。  その方が、ラストの爽快感も強まったように思えます。   とはいえ、総合的には満足感の方が大きかったですね。  こういう「当たり」と出会えるから、ゾンビ映画の棚を漁るのを止められないんだよなぁ……と、しみじみ感じました。
[DVD(字幕)] 7点(2017-06-20 06:40:49)(良:1票)
9.  ゾンビスクール! 《ネタバレ》 
 子供が大人を殺しまくる映画といえば「ザ・チャイルド」などの先例があります。  でも、子供がゾンビになるというパターンは初見の為、新鮮な気持ちで観賞する事が出来ましたね。   中盤以降は、お約束の籠城展開になる訳だけど、その場所が小学校というだけで、もう面白い。  「携帯電話の持ち込みは禁止」という校則+「ゾンビによる電話線の切断」という展開によって、入念に外部との連絡を遮断し、何とか脱出に成功したと思ったら、実は学校の外も地獄と化していた……というオチも、お約束だけど良かったと思います。   そんなベタな展開の一方で「主人公とヒロインが結ばれない」「序盤に腕を引っ掻かれたので、絶対に主人公もゾンビ化すると思っていたら、大丈夫だった」などのセオリー外しも、意図的に行っているのですよね。  主演のイライジャ・ウッドが「ホビット」と言われて意味深な反応をしたり、車にされた落書きの「しゃぶれ」というワードが伏線で、その犯人である子供を「しゃぶれ」と言ってから轢き殺すシーンがあったりと、脚本も色々と凝っています。  子供ゾンビが死体で遊ぶ残酷描写、そして彼らをピッチングマシンやカンフーを駆使して薙ぎ倒す大人達の描写なども、それぞれ「観客が見たいもの」を分かっているというか、サービス精神が感じられて、嫌いじゃないです。   ……っと、ここまで書いて気付いてしまったのですが、どうも本作って、ちょっと素直に褒め切れないような、微妙に感じる部分が多かったのも確かなんですね。  基本的にはゾンビ映画というだけで好みだし「主人公達は教師」「舞台は小学校」「ゾンビとなるのは子供達」というキーワードだけで(これは絶対に面白いはず!)と期待し過ぎたのかも知れませんが、それを差し引いても、観賞後の満足度は高くなかったです。   理由の一つとしては、根本的に敵が弱い事が挙げられそう。  序盤こそ(引っ掻かれるだけで感染するタイプか、こりゃあ子供ゾンビといえども油断出来ないな……)と緊張感も味わえたのですが、結局「大人は感染しない」という事実が中盤にて明らかになり、それ以降は死亡者すら出なくなりますからね。  これは流石に落差が激し過ぎるというか、何だか敵が勝手に弱体化したようにも感じられ、ノリ切れなかったです。  なんせ本当にゾンビ達が「凶暴な子供」というだけなので、一対一では「武装した大人」が圧倒的有利なんですよね。  じゃあ数の暴力で攻められるんだろうなと思ったら、一対多数でも結構余裕だったりして、全く危機感が無い。   その「敵が弱い」「主人公側が負けそうにない」という画面作りなせいで、ヒロインの彼氏による自己犠牲シーンでも(無理して残って戦わず、一緒に逃げれば良かったのでは?)と思えてしまうし、その後に「皆の為に犠牲になったアイツが、実は生きていた」展開をやられても、全然興奮しなかったです。  作り手側としては「実は生きていた」展開に説得力を持たせる為、敵に囲まれた状況から脱出しても不自然ではないような設定したのかも知れませんが(そりゃあ、あのくらいの強さの相手なら死なずに済んでも不思議じゃないよな……)と思えてしまったし、本末転倒ですよね。   最後に火を点けてゾンビ達を燃やすクライマックスに関しても、劇中人物はグラサンで格好付けて決めているのに、観ているこっちはといえば、完全に白けモード。  (貴重な液体燃料を使わなくても、そのまま逃げれば良いじゃん……しかも、ついさっき車がガス欠になるって展開やった後にコレかよ)なんて、意地悪な考えが浮かんできたくらいです。   一番不満だったのは、主人公グループに付き従う二人の子供達。  本当にもう「子供は全員悪役ってのも気分が悪いので、一応味方側にも付けておきましたよ。しかも男女の黒人と白人でバランスが良いですよ」くらいの存在価値しか見出せなくて、終盤に至っては台詞すら皆無で、実に勿体無かったです。  黒人少年の方なんかは、授業の際に主人公の書いた小説を読み上げるシーンがあったんだから、その後に「先生の書いた御話、面白かったよ。続きが読みたい」くらい言わせても良かったじゃないか、と思えましたね。  そうすれば「主人公にとっての、初めての読者」という関係性が生まれ、両者に絆が育まれるし、彼が糖尿病で倒れた際に、危険を承知で主人公がキャンディー菓子を調達しに行くシーンも、更に劇的になったんじゃないかと。   何て言うか、個々のパーツは決して悪くないんだけど、それらを乱雑に繋いでしまった……という印象ですね。  もうちょっと丁寧に作ってくれていたら「好きな映画」と断言出来そうだっただけに、勿体無い映画でありました。
[DVD(字幕)] 5点(2017-06-09 12:23:23)(良:2票)
10.  それでも恋するバルセロナ 《ネタバレ》 
   (結局、ヴィッキーとクリスティーナどっちが主役なの?)とヤキモチしたりもしたのですが、終わってみれば良いバランスだったように思えますね。    どちらかといえばクリスティーナの出番が少なめで、影が薄く無個性になってしまいそうなところなのに「欲しくないものは分かるけど、何が欲しいかは分からない」などの台詞によって、彼女というキャラクターを的確に表している辺りも上手い。  この手の恋愛映画ではお約束の「現実的な女性」「ロマンスを求める女性」という組み合わせな二人だったけれど、実は前者の方が内心ではロマンスを求めており、後者の方が意外と根っこの部分は現実的という対比も面白かったです。   序盤にて「彼はありがちなタイプじゃない」というクリスティーナの言葉に対し「ありがちなタイプって、ダグの事を言っているの?」と喧嘩腰に反論するヴィッキーという場面を描く事により「実はヴィッキーは婚約者のダグに物足りなさを感じている」と、観客に自然と覚らせるのも良かったですね。  こういう描写で、わざとらしさや押し付けがましさを感じさせず、すんなり理解させてくれるのって、凄い事だと思います。   「翻訳で失われるものは多い」という、字幕や吹き替えに頼っている身には耳の痛い言葉が劇中で飛び出す辺りも印象的。  この映画に限っても、字幕では「成就しない愛はロマンチックだ」と表示される台詞が、吹き替えでは「成就しない愛だけが本当にロマンティックだ」という台詞になっていたりするんですよね。  どちらかといえば、後者の言い回しの方が好み。  確かに色々と失われているかも知れないけど、翻訳によって生み出されているものも多そうだなぁ……と感じました。   ラストには「非現実」を求めた二人がそれに失望し「現実」に戻っていくオチとなる訳だけど、そんな二人が、実に味わい深い表情を浮かべていた辺りも良かったです。  安易な表現になってしまいますが「大人になった」というか、憧れていたロマンスさえも結局は下らないものだったと知ってしまった虚しさというか、そういうものを感じさせてくれました。   しかしまぁ、あれだけの事を「つかの間の恋」の一言で済ませ、婚約者には真実を告げないまま夫婦になるという辺り、女性は強かというか、怖い存在だなぁ……と再認識。  主人公の女性達に関しては、どうも感情移入出来なかったというか、最後まで距離を感じていた気がしますね。  それと、劇中では基本的に「退屈な男」とされている婚約者のダグが優しくて良い奴であり、作中の美女達にモテまくるファンの方が薄っぺらで魅力が無いように思えた辺りも興味深い。  これって作り手側も意図的にそうしたのかどうか、気になるところです。   観客もバルセロナを旅行した気分になれるという、バカンス映画に必要な要素がしっかり詰まっている辺りは、好印象。  途中出場にも拘らず、大いに存在感を発揮してくれたペネロペ・クルスも、忘れ難い味がありましたね。  ウディ・アレン監督作とは肌が合わない事も多かったりするのですが、これは中々楽しめた一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2017-03-22 05:24:17)(良:1票)
11.  ソルト 《ネタバレ》 
 「主人公の身辺に、もう一人ロシア側のスパイがいる」という事は、途中で察しが付くように作られていますね。  自分は彼女の夫を疑っていた為、あっさりと死亡したのに驚き「何かと主人公を庇ってくれていた同僚がスパイ」というオチには、素直に騙される事が出来ました。  予想が外れて悔しい思いもありますが、映画を楽しめたという意味では、こちらの方が正解だったと自分を慰めたいところです。   それと、この手の「続編を意識したような終わり」って、どうも印象は良くないのですが、本作は何となく毛色が違うようにも思えました。  続編を作るつもりなら「主人公の夫」「スパイとして育てた師」「同僚」と、続編に活かせそうな重要人物を三人も殺しているのが不自然というか、如何にも勿体無いのですよね。  インタビュー動画などによると、どうやら監督さんも続編には気が乗らないみたいで、これはあくまでも「主人公にとっての始まりの物語」として完結させたようです。  自分としては、上記の「重要人物でも必要なら殺す」という思い切りの良さが、続編の可能性を薄めた代わりに、本作の完成度を高めていると感じられましたね。   しかしまぁ、アンジェリーナ・ジョリーという女優さんは本当に身体を張る人なんだなぁ……と、今更ながらに驚嘆です。  映画本編を観た限りでも「これってスタントマンじゃないよね?」と思えるアクションでしたが、特典映像をチェックしたら、やっぱり本人だったみたいで、大いに納得。  高層マンションの窓を伝い歩くシーンの迫力も凄かったですが「手錠をはめられたままで相手を絞殺してみせる姿」が、アクロバティックで恰好良くて、特にお気に入り。  どちらかといえば、男性がアクションをこなす映画の方が好みだったりもするのですが、彼女くらいの根性を見せられると、もう「参りました」と脱帽する他ありませんね。   脚本の細部が気になったりもしたけれど、素直に面白いと思えた映画でした。
[DVD(吹替)] 7点(2017-02-08 04:01:06)(良:1票)
12.  卒業旅行 ニホンから来ました 《ネタバレ》 
 有り得ない設定なんだけど、それが現実における「舶来信仰の日本人」と重なり合って、シニカルな笑いへと昇華されていましたね。  英語が書かれた服、現地の品とは別物に変貌している料理。  異国の人々から見たら、日本人だって間抜けな姿になっているかも知れないよ、という「視点の転換」を提示してくれるのが面白かったです。  そういった寓意が込められている事を思うと、主題歌が「YOUNG MAN」というのも、実に心憎いチョイス。   金子修介監督って、コメディ映画を撮っても上手いんだなぁ……と思う一方で、どこか既視感を憶える作風だった為、スタッフをチェックしてみたら「彼女が水着にきがえたら」(1989年)「七人のおたく」(1992年)と同じ脚本家さんだったのですね。  大いに納得したし、上記二作品が好きな身としては、何だか嬉しいものがありました。   登場人物が、思った事をそのまま口にしてしまうなど、少々「分かり易過ぎる」点は気になりましたが、それも慣れてしまえば「愛嬌」と感じられてくるのだから、不思議なもの。   最後は絶対ヒロインと一緒に日本に帰るエンディングだろうなと思っていただけに、スターであり続ける事を選ぶ結末には、吃驚させられましたね。  主人公が子供時代からの夢を叶えた形でもあるし、孤児達に「頑張れよ、僕も頑張るから」と約束した言葉を、守ってみせたんだな……と思うと、不覚にも感動。   織田裕二が歌う「YOUNG MAN」が、作中で二度続けて中断される形となっており (どうせなら、最後まで聴いてみたかったなぁ)  と思っていたところで、クライマックスにて見事に歌い切ってくれるという演出も、凄く良かったです。   そして極めつけは、ラストシーンにて表示される「つづく」のテロップ。  自分もスターになろうとしていた「一発次郎」の伏線もある事ですし「卒業旅行2 チトワンから来ました」に期待なのですが……はてさて、公開は何時になる事か。   異国旅行で体験した、夢のような出来事。  それを一時の幻で終わらせずに、夢の続きを歩む事を決意した主人公と、彼に呆れながらも付き添ってくれるヒロイン。  実に気持ちの良い映画でした。
[ビデオ(邦画)] 8点(2016-05-22 17:36:48)
13.  卒業白書 《ネタバレ》 
 映画の冒頭にて、観客であるこちらが恥ずかしくなるようなピンク色の夢を見ている主人公。  もっと生真面目なタイプの青春映画かとばかり思っていたので、完全に意表を突かれましたね。  けれど、そんな風に戸惑っていたのも束の間。  すぐに感性のチャンネルを切り替える事が出来た為、充分に楽しむ事が出来ました。   作風としては、後の「アメリカン・パイ」や「ホーム・アローン」にも通じるものがあるんじゃないかな、と思います。  特に後者に関しては、それが顕著で(高校生版のホーム・アローンだな……)と、心の中で呟いてしまったくらい。   様々な媒体でパロられている、シャツに下着姿という格好で踊るトム・クルーズの姿。  元ネタの映画では、こういった意味合いのシーンだったのか、と感心させられたりもしましたね。  両親が旅行に出掛け、自分一人となった家の中で、ガンガンに音楽を流しながら踊り狂う主人公。  凄く気持ちが分かるというか、自分も思わず真似したくなるようなシーンでした。   他にも、童貞を捨てようと意を決してコール・ガールを自宅に呼んだら、現れたのがガタイの良いオカマのお姉さんだったという件。  そして、父親の愛車を湖の中に沈ませてしまう件など、視覚的にも印象深い場面が、沢山ありましたね。  滅茶苦茶になっていた家の中を、両親が帰ってくる寸前にギリギリで元に戻せた(実は戻せていない)辺りなんかも、凄く良かったと思います。   そういった「両親の不在中に好き勝手やる話」としては、とても好みだった本作。  けれど、ヒロインとの恋愛模様に関しては今一つピンと来なくて、残念でした。  謎の多い女性で、それが独特の色気にも繋がっていたのですが、どうも好奇心よりも警戒心の方を刺激されてしまったみたい。  結果オーライで大学面接まで成功に終わるというのも、ちょっと「上手く行き過ぎ」感がありました。  個人的好みとしては、両親の帰宅と同時に完結でも良かったかも。   上述のように、細かい不満を感じた瞬間もあるのですが、総じて楽しめる時間の方が長かったように思えます。  結局、主人公は儲けたお金を全て失ってしまったけれど、精神的な成長と、素敵な彼女を得られたのだ……というハッピーエンドなのも、決して嫌いじゃないですね。   やがて歳月を経て振り返った際には、そういった諸々もひっくるめて「好きな映画」と言えるようになっていそうな、そんな一品でした。
[DVD(吹替)] 6点(2016-05-21 12:24:53)(良:1票)
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