1. ウルヴァリン:X-MEN ZERO
《ネタバレ》 まあ楽しめましたし、マーヴェルって本当に画面設計が凄いなあと再認識。展開を早めるために、すごく視認性の高い構図と記号配置してますよね(ある意味、いやどんな意味でも必殺シリーズ最盛期の映像美と根が同じで (詳細はブログにて)[インターネット(字幕)] 7点(2013-08-04 10:58:18) |
2. ヴァン・ヘルシング
もー冒頭のシーンにやられたんで夢中で観ちゃいましたよ。なんたって最初のセリフがホラー映画史に燦然と輝く「アライブ! アライブ!」なんですもん。 ざっくりと大味な造りも、世の怪奇映画が出来合いのプロダクションムービーとして作られてきたという事実を思い出させてくれて、案外正統な印象。無駄に大作ムービー臭もあるしね。 そして、古今東西オイラが観てきたフランケンシュタイン映画の中では、本作のモンスターの描かれ方が一番原作に近くて納得できる(「フランケン映画はアドベンチャー大作として撮るべきだアッ!」というのが昔からの持論なのです)。彼は人類を相対的な立場から、「他人事」として語れる者なんですな。神(ヘルシング)と悪魔(ドラキュラ)の対立から等距離分離れているというポジショニング(そしてそのバランスを壊すキワードが「トモダチ」というの)にシビレますですよ。 ドラキュラの方は役者さんの力の問題もあって、往年の名優たちには及ばない。だけどマックス・シュレック版やルゴシ版はもちろん、トビー・フーパー版までキチンと意識して演技に盛り込んでる。なかなか勉強家のようです。全然成功してませんが(涙)。 で、この点数になった理由なんですが、ドラキュラの「嫁」たちのデザインが悩みどこだったからなんですね。 ヴァンパイアってよりハーピー的なクリーチャーデザインなんだけど、これ過去の吸血鬼映画にはないコンセプトなんですよね。むしろ原典を探すならフランケンシュタインの方の「花嫁」のデザインなんじゃないかと。 …だったらちゃんと嫁にパンクヘアさせて、怪鳥音しゃべらせなよ(笑)。そこんとこの踏ん切りのつかなさが、すっごく惜しくて惜しくて…イゴールネタではあんだけしょーもないギャグで引っ張ってるクセによ(一瞬メル・ブルックス映画かと思ったぜ)。 ホエール版フランケンの煮え切らなかった部分への決着をつけられるくらい、器のしっかりした企画・脚本だったのに。残念でごわした。 [インターネット(字幕)] 7点(2011-10-09 03:03:44)(良:2票) |
3. ウェイキング・ライフ
《ネタバレ》 『スキャナー・ダークリー』を観逃しちゃってガッカリしてた矢先、中古ショップで720円の『ウェイキング・ライフ』を発見! ウハウハしながらレジに駆けたという…ちなみに、一緒に買った『ツイスター』は580円でした。世の中って素晴らしい。 本作は実験作だし、失敗してるシーンも多いので点は上げられないですが、好き・嫌いの別で言うと猛烈に好き。言葉で埋め尽くされた世界が、何ともエキサイティングだ。 技法的には単純に映画へデジタルペイントしただけ、と思ってたのに、様々な技法を使って手の込んだ絵を見せてくれる。絵のレイヤを全部揺らしながら進行する場面なんかは、普通動かないモノが動くのでかなーりクラクラ。 だが大ざっぱなアメリカのアニメだから、こういう状況下で平気でカメラをパンさせたりしてスムーズなアニメーションを壊してしまう。コマの繋ぎがわかってしまったら、こういうアニメは醒めてしまう。動画をスムーズに動かすノウハウに関してはまだ日本が先を行ってるだろうな(『スキャダー』観るまで結論出すのを保留しますが)。 ストーリー的にはコレでいいんじゃないすかね。一般人狙ってないし。キルケゴールやサルトルが何者か知ってる人限定、『わが涙流れよ、と警官は言った』の名が出てパッとキャラクターが思い出せる人限定。 つまり…よく日本でDVD出せたなコレ。日本語吹き替えまで付けちゃって。こういうバカも尊敬に値します。 [DVD(吹替)] 6点(2007-05-10 21:03:41) |
4. うつせみ
面白い映画でしたが、困った。 最初から最後までオイラ、ほとんど人間を見てませんでした。ミヒャエル・ハネケの『セブンス コンチネント』と、そしてヤン・シュワンクマイエルの『ワイズマンとの休暇』と同系にある、家具と日用品の群像劇でした。オイラがタイトルつけるとすると『第七大陸から来た男』ですな(笑)。 …という風に解釈しながら観ていたので、後半から結末にかけては「前半でオイラの脳が観ていた絵」をご丁寧に繰り返してくれてるだけで、すっかり飽きてしまったという…嬉しいようで全然嬉しくない体験でした。しっかりした土台を作って、その上にまた丁寧な土台を築いたような感じ。入居しようと思ってたビルがない。 キム・ギドク監督、この程度で観客を煙に巻いたと思ったんなら甘い甘い。その先をお願いします。 [映画館(字幕)] 5点(2007-04-03 22:52:38) |
5. Vフォー・ヴェンデッタ
《ネタバレ》 2001年のアフガン侵攻以来、こういう映画を望んでいた観客は少なからずいるんじゃないだろうか。陰惨な現代をカリカチュアライズした舞台、国家に牙を向ける偽悪的な犯罪者、強権的な政府にNOを叩きつける市井の人々の革命…確かに今『未来世紀ブラジル』を撮るなら、こういう風にやるのが正しいだろう。デュマを意識した大ロマン的な展開(ちょっと蛇足気味にラストで明かされているが)も、手品のように巧くはまっていた。 …だが、ラスト30秒で全てがぶち壊し。何とこれは真剣なプロパガンダ映画だったのだ。 「こんなご時勢、何を言っても仕方ねェや」と映画で息抜きしに来たオイラは、カーテンコールのごとくに(だが舞台とは違ってシリアスに)死んでいった者たちが顔見せするエンディングで思いっきりのけぞってしまった。このスタッフ、マジだよ。シャレで作ってるんじゃないよ。大資本映画を見て世界情勢について真剣に考え、自らも行動する時代は70年代で終わってるんだってば。オイラはね、『未来世紀ブラジル』みたいな最後の最後まで意地悪いのを期待してたんだよ。『未来世紀ブラジル』の幻のエンディングバージョンじゃないの。 「素晴らしいディナーを振舞ってもらったけどデザートに毒を盛ってありました」的な悲しい作品でした。素材が良かっただけに残念。娯楽として観たい方は、ビッグベンに花火が舞うあたりで席を立つのがいいと思います。 …あ、今回はクレジットの最後まで見たわけじゃないんで、なんかドンデン返っちゃうような仕掛けがあるかもしれませんがネ。 ●追記:これ、英国の評論家が何て言ってるか気になりますねえ。すっごくスノッブにけなしてそうな気がするな(笑)。●さらに追記:うわぁこれ、イギリス映画じゃなくてドイツ映画なんだ! ラストを含め、いろいろ腑に落ちました。点数上げるかどうかは、しばらく熟考してから…。●さらにさらに追記:そういやこち亀以外でも、『宇宙家族カールビンソン』の虹男にも似てるんだよなあ…あさりよしとお、ネタにしないかなー。 [映画館(字幕)] 2点(2006-04-25 18:39:33) |
6. 宇宙戦争(2005)
原作の、「あの」超有名な冒頭のくだりをそのまま使ったのはエライ。というか、あの時点で映画のスタンスが明快にわかったので悩む事なく楽しめました。トライポッド登場時に、隕石孔に集まった人たちが身分や性別や職業に関係なく殺されまくる「あの」名シーンも、原作を最初に読んだ時のゾクゾク感が蘇ってきた。全体的に、H.G.ウェルズの原作に何かを付け加えようという意図は感じられず、非常に素直な現代版アレンジだったと思います。唯一の相違点は主人公の娘の存在なんだけど、微妙かなあ…もっと息子との確執を描いた方が、視点が複眼的になってよかったと思うんだけどね。ただ、原作の『宇宙戦争』の意図というのは、「大英帝国がインドや中国に対してやってきた事を、超文明世界からやられてしまう」という逆転の構図にあるわけで、その点では本作は十分役割を果たしていますね。監督の人選で4年間もすったもんだしながらも、この重要な軸足がブレなかったのはエライ。そしてこれは一重に、アフガン戦争真っ只中の2002年春の時点で版権を買い取り、企画を立て、ドリームワークスに持ち込んだトム・クルーズの一途さにあると思います。これだけ商業価値のない大作を、よくまあ仕上げたモンです。トム君、ポスト・ビーティと呼ばれる日は近いぜ!(呼ばれたくないだろうけどね)●追記:父子愛がどうこうという意見が多いけど、スピルバーグ作品で少女がスクリーミング・クィーンをつとめるのはお約束じゃん(笑)。主人公の横でキャーキャー叫ぶ足の引っ張り役が、本作に必須だったというだけの事じゃないかと思います。しっかし…ダコタ・ファニングって、将来はいいSQに成長しそうだ…。(^^; ●さらに追記:トライポッドに喧嘩売っちゃうシーン、原作をわかってらっしゃるレビュアーさん内では非常にデリケートな評価ポイントみたいですねえ。オイラは日本が発明(!)し、20世紀末から大流行してしまった「自爆テロ」を原作の流れに組み込もうというスピルバーグの努力の跡と見ています(ハリウッドのレーティングからして、アガキとも取れるけどね)。ま、あの程度が妥当でしょう。製作の経緯からして、トムちゃんは本気で自爆して娘だけ助かるエンディングにしたかったんじゃないか、って疑ってますけどね…ほらほら本音言っちゃえよトム! [DVD(字幕)] 9点(2005-11-15 00:35:13)(良:2票) |
7. ヴェルクマイスター・ハーモニー
また至宝の映画が増えてしまいました。最高でした。キャスト全員に走っている凛気は、まるで黒澤映画を見てるみたい。失敗の許されない長回しだからこその緊張感。舞台とは違い、自由自在に動き回るカメラ。「映画って、こんな事もやれるんだ」という素直な驚きを覚えた作品です。でもまあクジラはチャチだったすね(笑)。(2005/6/11 1点下げ…何度も見ると感動が薄れてきて…(^-^;) [映画館(字幕)] 9点(2004-02-04 23:14:57) |