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くなくなさんの口コミ一覧[この方をお気に入り登録する

プロフィール
コメント数 56
性別 女性
年齢 55歳

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1.  雨月物語 《ネタバレ》 
この映画は死霊の女性2人が主役です。妖艶で能のように仕草が美しい京マチ子と、母性豊かな賢妻の田中絹代。共通点は好きな男とのささやかな幸せを望んでいることと、上品で言葉遣いが丁寧なこと。対照的に遊女に堕ちながらも、強かに生き抜いた水戸光子が人間臭く、対比が面白かったです。一方、男2人ははっきり言って狂言回し。彼らの望みは、金儲けと立身出世、なんとも解りやすいです。改心に至る過程もすごく解りやすいですね。何にせよ、つきあわされる女たちは大変です。 あと、この映画で素晴らしいのは、墨絵のような画面の美しさとカメラワークです。特に霧の琵琶湖でのシーンと、誰もがよく撮れたなあ。と思ったはずの、源十郎が宮木を捜して家を一周する長回しのシーンです。源十郎が荒れた家を一周して戻ると、火が焚かれ、鍋と酒を温める妻がいる。ほっとして安らぐ夫のそばで、こちらに背中を見せる彼女はどこか不気味な黒い影に見えます。少し夫を責めるような視線を投げたり、やはり嬉しいと涙を見せたり、ここはもう田中絹代の抑えた名演技に引き込まれっぱなしでした。やがて、彼女は朝日の中へ消えていく。一方、1人の男性を獲りこむために存在した朽木屋敷も美しく幻想的な怖さがいいし、闇に消えた若狭と右近も魔性そのもの、素晴らしかったです。海外受けした理由がよく分かります。ただ、惜しむらくは宮木や阿浜の台詞が、ちょっと説教臭く感じてしまったこと。特に宮木はお金なんかなくてもいいのにと、ちょっと悲しげな目を見せるだけでよかった気がします。あと、どうせなら「吉備津の釜」もぜひ映像化してほしかったと思うのは、あの兄弟のような僭越な望みでしょうか?最後に藤兵衛に一言、全部戦のせいにしないで下さい。
[DVD(邦画)] 8点(2009-03-31 01:19:17)
2.  ウエスト・サイド物語(1961) 《ネタバレ》 
理屈なんてねえ。とにかくあいつらが嫌なんだ。チンピラ喧嘩もここまでの民族紛争レベルにきちゃうと、折角のマリアの善意はひたすら裏目に出まくるんですね。しかし、この争い、外で撮影したのは正解です。セットとか室内だと、篭りっぱなしで息が詰まります。あとハッピーエンドじゃないミュージカルは始めてみましたが、わたしは別に違和感なかったです。ていうか、ハッピーエンドの「ロミオとジュリエット」の方が有り得ないと思いますが。でもラスト、このジュリエットはロミオを失った悲しみより怒りの方が強く出てきたんですね。まあ死ぬ気にならなかったのなら、踏んだり蹴ったりのアニタを慰めてあげて下さい。
[DVD(字幕)] 9点(2006-07-10 03:47:41)
3.  裏窓(1954) 《ネタバレ》 
ヒッチコック監督の作品は実験的なものが多いですが、これはスタジオセットで巨大な箱庭を作った感じですね。中では主人公を取り巻く人々や、アパートの住民たちが、みんな活き活きと動き回っているのに、全部が監督の手の平に納まっているところがお見事です。ぜいたくを言えば、話の進行と一緒に作られていた曲が今一つなこと。「知りすぎていた男」の「ケ・セラ・セラ」くらいの分かりやすい名曲であってくれれば完璧だったのですが。あと正直、もう一ひねり欲しかったですね。 今回、アメリカの良心と呼ばれたジェームズ・スチュアートが演じる役はなんと、のぞき。手前勝手な推測を繰り広げつつ、自分は動けないので、ただ見て、周りに文句言っているばかりの、結構ひどい男です。それでも、あまり憎めないのがジミー・スチュアートの魅力ですね。そして、その彼が抵抗するも勝てない、犯人より強いインパクトのグレース・ケリーが美しく、魅力的でした。セールスマンの部屋に忍び込むときのワンピースがとても綺麗です。あと、あの非常時に1階のミス・ロンリーを見ていた看護婦ステラもいい味出していました。 それにしても、あんな事件があったら、アパートの隣人達は私生活を見られていたと気がついたと思うんですが・・・。全く変わらず、開けっぴろげに日常生活を送っているのは凄いと思いました。エアコンがなく、テレビよりラジオが一般的で、終電が早く、コンビニがなく、旅行には宝石を持っていく時代・・・。なんだか、日本の時代劇の長屋生活に通じるような大らかさを感じました。いや、むしろ今の日本の方が物騒すぎて歪んでいるんでしょうか・・・。ヤな世の中になったものです。
[DVD(字幕)] 9点(2004-06-04 00:22:32)
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