1. 浮草物語
《ネタバレ》 これはよくできた映画。 小津さんをして、「比較的よくいった作品」と言わしめた本作は、 カラーでもう一度、2回目の映画をつくっている。 それが「浮草」である。(是非、近日中に観ねば!) 巡業する旅芸人一座親方に、子どもがいた。 今の彼の愛人が、その倅を、仲間の女に誘惑しろという場面。 怖い女ごころですね。 でも、それだけの話じゃないんだな、これが。 そこが嬉しいところ。 名作! [ビデオ(邦画)] 9点(2024-11-22 00:31:12) |
2. ウディ・ガスリー/わが心のふるさと
《ネタバレ》 不況にあえぐオクラホマ、そしてエデンの園カリフォルニアに向けて旅立つ途中で 出会った貧しい人たち。 彼らは、厳しい境遇の中で人間らしさを持っていた。 それがガスリーの表現のメッセージとなっているようだ。 しかし、彼は教会でボランティアする若い金持ち女性と関係を持つ。 そこから、彼の表現に、矛盾が出てくる。 もがくガスリー。 ラスト貧困層のために歌う歌が、いつしか全米で人気の的となる。 家族にも見放され、彼は幸せだったか・・ しかし映画はとてもいい作品で、飽きさせない展開で、2時間半が、あっという間だった。 [ビデオ(字幕)] 7点(2024-08-26 14:18:51) |
3. ウンベルトD
《ネタバレ》 「自転車泥棒」デ・シーカ監督のネオリアリズム映画。 公務員勤め上げた老人の年金額の不足による、もの哀しい映画。 家賃滞納のなか、年金日までどうやって暮らすかという切なさが来る。 老人とペットといえば、アメリカの「ハリーとトント」を思い出す。 あちらは、元気にやっていたが、こちらは戦争前のイタリア。 ただでさえ、戦争に敗けたイタリアのモノぐるしい空気が手厳しい。 自分に身を置き換えて観てしまう。 現代に置き換えるなら、ケンローチの「ダニエル・ブレイク」だろうなぁ。 寒い。うぅ・・ [DVD(字幕)] 8点(2023-11-07 22:03:14) |
4. ウィンチェスター銃'73(1950)
《ネタバレ》 文句なく面白い。 名銃をめぐる物語。 これを時代劇に置き換えると、名刀の奪い合いになり、 それがマキノ監督の「丹下左膳」なのかなぁ・・ 劇中、西部劇十大事件のうち、一つ、第七騎兵隊(カスター)の殲滅が 話に出てきて、ワイアットアープまで出てくる。 しかし、本作はOK牧場の決斗は描かれない、スピンオフ西部劇である。 西部劇に面白い映画のエッセンスが満載! この映画は観といて損ないぞ~! [DVD(字幕)] 9点(2023-08-02 01:01:31) |
5. ヴィデオドローム
《ネタバレ》 特撮が楽しい。 ソフビのビデオなどにキュンと来る人たちは、 こんな時代だし、心ゆくまで特撮作って、 youtubeにアップすればいいんじゃない? [DVD(字幕)] 7点(2023-07-27 00:30:23) |
6. 動く標的
《ネタバレ》 面白い! ポールニューマンの魅力を全部出し切れてないが、 このシリーズは、当時の映画人に光を与えただろう! 最初は、女たらしが武器の私立探偵か、と思ったが、とにかく頭が切れる! それがポールニューマンのルックスにピッタシなんですね~ でもデジャブがある。 そう刑事コロンボは、これがベースになって創られたシリーズものではないのでしょうか!! 先にコロンボを見た後の世代ならではの、デジャブですなぁ・・ 崖っぷちのカーチェイスもカリオストロを思い出しました。 [DVD(字幕)] 8点(2022-12-03 00:14:48) |
7. 右門捕物帖 紅蜥蝪
《ネタバレ》 最後、右門が推理を披露する場面が芝居小屋! なんだ!これは!まるでヒッチコックじゃねえか!? そうなんです。時代劇は、外国映画の良いとこもふんだんに取り入れて、 芳醇な文化を築いてたんですね! ところが外国映画が面白くなってきて、日本映画つまんないよって 誰かが言いだして、時代劇は衰退していくんです。 これは国家的損失ですぞ! 観もしないで、映画を語ってた人の責任じゃないか!! [DVD(邦画)] 7点(2022-10-30 20:20:41) |
8. ウエスト・サイド・ストーリー(2021)
《ネタバレ》 旧作大好きです♪ でも箱庭的だった旧作を、スピルバーグが今風に翻訳してくれて、 この作品の面白さがさらに分かりました! やはり作家は最後はシェイクスピアに挑みたいんじゃないかなぁ・・ スピルバーグのセンスに合うのが、 ロミオとジュリエットの現代劇ウエストサイドだったために、 今回の映画化になったんじゃないかなぁ? もう一回、改めてロバートワイズのウエストサイドを観直したいと 思いました。 [DVD(字幕)] 8点(2022-06-10 01:27:52) |
9. 雨月物語
《ネタバレ》 溝口健二、代表作である。 まだ、こんな傑作を観てなかったか、と唸ってしまった。 見事、この一言に尽きる。 田中絹代を本で調べていたら、次のような記述があった。 撮影後、溝口が森雅之に、その演技の見事さにライターで火をつけたという。 田中は「私だってうまいと言わせてみせる」と思ったらしい。 まさしくラストの霊の田中は絶品である。 以後、溝口と田中は映画界で、力をみせつけあうかのように、張り合い、 田中絹代は同年、「恋文」(未見)という映画で監督までしてみせるのである。 [ビデオ(邦画)] 10点(2021-06-30 23:35:04)(良:1票) |
10. 海辺の映画館 キネマの玉手箱
《ネタバレ》 玉手箱というタイトルどおり、冒頭2時間くらい 映画のクライマックスのようなイメージの洪水が続く。 うわぁこりゃしんどいなぁと思ってたら、 ラスト1時間くらいになって、さくら隊の話で一気に話がしまってくる。 それからは、あの広島での出来事である。 あぁそういえば、監督の尾道って広島だっけ・・ 大林監督の、戦争を体験した映画監督、やり残したことないような とても重い3時間でした。 [DVD(邦画)] 7点(2021-06-26 22:16:55) |
11. 歌麿をめぐる五人の女(1946)
《ネタバレ》 狩野絵師が浮世絵師に惚れこむという着想がいい。 その後、田中絹代などの女たちの男をめぐるバトルがあるのだが、 ラストは、壮絶な"おきた"の女の生きざまを 歌麿が絵にするところで終われば、良かったのだが・・ それを画面に映し出してくれれば、もっと良かったなぁ・・ 「美しき諍い女」もそうだが、絵を題材にした作品で、完成した作品を 画面に出す作品はない。 音楽なら「蜜蜂と遠雷」があるのだが・・ [ビデオ(邦画)] 7点(2021-04-03 02:52:18) |
12. 海よりもまだ深く
《ネタバレ》 是枝監督作品の中でも好きな作品だ。 何より、小説家志望のくたびれた男(阿部寛)に共感できるし、 彼の家族(樹木希林もまた!)の話す台詞が、とても心地よく刺さる。 いつもの是枝時間の中に、今回は台風という時間が入ってる。 「歩いても歩いても」と似てる映画ではあるが、両作とも好きだ。 リリーフランキーもいて、是枝組、真骨頂である。 [DVD(邦画)] 8点(2021-01-30 22:19:14) |
13. 海は見ていた
《ネタバレ》 吉岡君と永瀬君の二人が出ている時代劇は「隠し剣」の前にもあったんですね。 むしろ「隠し剣」は山田洋二監督が吉岡君の汚名挽回に創ったのでは、と思ってしまうくらいです。 この映画、自分は好きです。 黒澤さんの創りたかった映画なんですね。 自分には描けぬ世界はないと悔しがったからかもしれませんね。 それほど女郎たちの見てる世界はドラマ性に長けているんだと思います。 監督が熊井啓だというのも話題性をもちます。 なんで、熊井監督なんだろう?というのが正直な気持ちでしたが・・ [ビデオ(邦画)] 7点(2019-12-03 03:25:34) |
14. ウインド・リバー
《ネタバレ》 ジェレミーレナー、いいよね。好感持てます。 前の方のレビュワーさんも書かれてるけど、アメリカの田舎、しかも山岳地帯で 生き抜くのは、半端ない厳しい世界なんだね。 アメリカのふところの深さは、現代でもスマホが通用しない、こういう面も持ち合わせてるからなんだろうなぁ。 先住民警察とFBIと警備員たちの銃撃戦は、あれは犯罪が絡んでたから起きたのだろうか? それとも縄張り意識か、対抗意識が普段からあるのだろうか? ネイティブアメリカン社会は、あまり表に出てこない世界なので、ちょっと分かりづらかった。 [DVD(字幕)] 7点(2019-03-16 17:43:27) |
15. ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
《ネタバレ》 見応えある、太った俳優をあまり観ないものね。 昔はチャールズダーニングとかいたんだけど・・ チャーチル演じる俳優に、独特の目力のあるゲーリーオールドマンを特殊メイクして、 起用するとこは面白いよね。 でもゲイリーらしさの、ちょっと悪どいとこが活かされてないというか・・ こんな直球の映画とは思ってなかった。 「ダンケルク」を観てたので、鑑賞もスムーズに。 でも、第2次世界大戦、イギリスこんなに追い詰められてたんだね・・ イギリス王朝が話の分かる人で良かった。 さすが歴史の長い大英帝国。 これから来るEU離脱問題もうまく対処できるだろうか・・ [DVD(字幕)] 7点(2019-01-27 00:44:13) |
16. ヴァレリアン 千の惑星の救世主
《ネタバレ》 リュックベッソンのファンなんで、観ました。 リュックSFの「フィフス~」も後からジワジワ~と来て、結局DVD買っちゃいましたもん♪ 多分、この映画も手に入れることになるんじゃないかな?(笑) バンドデシネが原作なんだね。これは原作もなんとか読んでみたい。 近くの漫画ミュージアムに購入してもらうかな? 映像が派手な割に、話はシンプル。 1人の司令官のミスで、一つの惑星を破壊しちゃったって・・、そりゃあかん! この二人のコンビがいいよね。話の決め手は相方の女性だった。 この二人なら、SFじゃなくても、結構面白そうなストーリー出来そうな感じもします。 リュックベッソン、手落ちなし。 ユーモアも交え、ラストは愛で締めくくります。い~よね~。 [DVD(字幕)] 7点(2018-12-01 23:40:41) |
17. 美しい星
《ネタバレ》 吉田大八はいいなぁ。 ズレてる人(じゃぁ何が「フツウ」なんだよって怒られそうですが・・)たちの 世界観を壊さずに、現実との軋轢を描いて、ラストに持っていく、この力技。 今までの作品、全部そうだもんね。 いや、中々いないですよ、こんな映画監督。 観ている側を混乱させつつ、映画として引っ張り、ラストは観客も登場人物もハッピーな話を 創り続けてる監督って・・ 三島由紀夫が原作なんだってね。 どんな話だったんだろ?(読めって言われそうだけど、私は映画が好きなのだ) 宇宙との交流を言う方々いますよね。 でもきっとこんな幸せになってくれるといいな。 [DVD(邦画)] 8点(2018-11-23 18:35:27) |
18. WOOD JOB! ~神去なあなあ日常~
《ネタバレ》 良質の娯楽作品。 それを矢口監督は提供し続けてくれる。 本当に感謝。 彼のような監督が多い方が業界としては健全なのだろうけど・・ 怪優、染谷くんの主演映画。 好感持てます。 そしてクライマックスのラストの祭り。分かりやすい祭りですね~(笑) それに長澤まさみって色んな役に挑戦してますね。頑張れ~! [DVD(邦画)] 8点(2018-07-29 15:05:18) |
19. ウルフ・オブ・ウォールストリート
《ネタバレ》 テンポよく、最後までダレルことなく観られた。さずがスコセッシ。スコセッシは、昔はデニーロとよくタッグ組んでたけど、今はディカプリオが多いね。ディカプリオの怪演は見もの。理性の抑えが効かない役を狂ったように演じている。バカと天才は紙一重というけど、ディカプリオはどっちなんだろう?なんて思った。 [DVD(字幕)] 7点(2017-07-30 12:04:52) |
20. うなぎ
《ネタバレ》 誠実な夫を裏切り、不貞を働く妻。そんなショッキングな冒頭から始まる。この夫婦に何があったのかは描かれてない。しかし、夫の役所広司にしてみれば、この妻はつかみどころのない(理解できない)うなぎのような存在だったのだろう。だから、この劇中のうなぎは、元妻である。しかし、そんな現実逃避を周囲がほっとくわけない。やがて幸せが手の届くところに来たところで、主人公はうなぎ(元妻)を河に離す。そんな話である。この映画で、ラスト刑務所に行く役所に弁当を渡す清水美砂。この二人がその後、幸せになったことを今村昌平監督の中で整理するために遺作「赤い橋の下のぬるい水」をこの同じカップルで創ったのかもしれない。本作は大人のラブストーリーである。しかも人間ドラマが重厚で見ごたえのある作品である。カンヌ映画賞受賞もうなずける。つまらない男の、子どもを宿した清水美紗の幸せを祈る映画観客のハートを掴んだからだろう。どこの世界も、いい人は幸せになってほしいという気持ちでいっぱいなのだ。そして映画というものもそういう祈りからできた総合芸術なのだと思う。 [ビデオ(邦画)] 8点(2016-10-01 19:58:21) |