1. チャップリンの独裁者
《ネタバレ》 この映画を初めて観た時は、とても辛かったのを覚えています。体調ではなく、故淀川長治先生の本の中で「チャップリンが命をかけた映画」という内容のものがあって、観るべきか、果して観たとしても冷静でいられるものだろうかと。非常に悩み苦しんだ思い出が「辛い」ものとして残っているんですね。しかし、再見すると、中学生に観た頃とは違って、誤解を承知で言うなら清々しいものが自分に残ったのです。あのパントマイムで人を笑わせ、泣かせ、感動を与えてきたチャップリンがどうしても伝えなければならないことを、ラストの演説でしゃべります。これでもかというくらいにしゃべります。あのチャップリンが。初見の時はこのシーンが長く、重く、戦争批判の最たるものとしか映らなくて辛かったのです。しかし今では、いや、チャップリンは希望を持っている。このメッセージを託すべき人間になんら失望もしていないし、人をあきらめたわけじゃない。人を信じているからこそ、伝えようとしているんだ、と理解できて。うれしかったです。戦争はいけないことだ、と台詞に込めるのではなく、人が人として生きていける世界をつくろうみたいな、そんな素敵なメッセージに聞こえてくるのです。やはり偉大な人です。 10点(2004-03-25 17:47:01)(良:2票) |
2. チャンス(1979)
《ネタバレ》 人がいかに先入観で物をみているか、肩書きだけで判別をつけるかを猛烈に皮肉り風刺した見事な作品。ただの庭師の言葉に、それも単純な言葉に、影響を受けありがたいアドバイスだと本気で思う人間のなんと愚かなこと。「冬は必ず春になる」なんて、誰もが知っている事実。改めて格式のある人物(だと思い込んでいる)から発せられると何とも含蓄のある台詞にきこえる不思議。純粋で世間のことを何もしらない庭師をピーター・セラーズが好演。見るとはまってしまういい映画です。 9点(2004-03-25 13:18:21) |
3. 超時空要塞マクロス ~愛・おぼえていますか~
《ネタバレ》 歌の力が本編の物語と観ている者に同じように影響を与えてくれるラストの戦闘シーン。今までになかった感情に突き動かされました。派手なドッグファイトにかぶさるリン・ミンメイの曲。完全にツボにはまりました。スピード感あふれる画面にながれる「愛」の唄に、異常なまでの高揚感を覚えレコードも購入。若かったといえばそれまでですが、自分の中ではマクロスの名場面はこのラストだと思います。その他のシーンも作画のクオリティも高く綺麗なのですが、思い出すところがあまりないのも事実。 やはり印象度となると、先に挙げた場面にどうしてもなってしまいます。 7点(2004-03-24 10:44:36) |
4. チャンプ(1979)
《ネタバレ》 その昔、前売券を買うともれなくチャンプハンカチが付いて来て、公開前から「さあ、お泣きの準備を!」と誘われているみたいで、少し引いてしまいました。誰がこんなもの持って行くかい!上映後は、ハンカチが無い事を後悔するぐらい大泣きでした。まんまと宣伝部の術中にはまってしまいました。でも、この涙は感動とは少し違っていまして、可哀想だな、の涙なのです。父親のひたむきさが確かに胸を打つのですが、死んでしまっては 駄目でしょう。こんな可愛い子供を置いて。死ぬからこそ「涙」も許されるのでしょうが(この映画の「涙のクライマックス」にはなりますが)悲劇になる要素がそのまま料理されないで出ると 美味しいけれど、後には残らない。要素をうまく加工して、メニューに載っけてくれたらよかったのに。と思います。感動した人、ごめんなさい。 6点(2004-03-10 12:51:50) |
5. 小さな恋のメロディ
《ネタバレ》 サントラ盤を捜して、何軒もレコード屋を回った記憶があります。それほど、音楽が耳にすんなり入って来て、すぐに口ずさめる、いい曲ばかりだったのです。映画も可愛らしい宝石のような映画です。純粋に人を好きになり、一緒にいたいから結婚しようなんて、そのあまりにもピュアな言葉の応酬に大人達は翻弄されるばかり。ごっこじゃなくて、本当にそうなりたい願いを持てることって素敵ですね。最後トロッコで草原の彼方へ消えていく2人を見ていると、浮世の事など忘れてしまいます。不純に染められた今、心の洗浄剤ともなる映画ですね。これは。 9点(2004-03-05 12:28:34) |