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1.  罪の声 《ネタバレ》 
原作既読。『ラストマイル』を見て野木亜紀子さん脚本を過去作をさかのぼっていて、今作は未見だったことに気づいて鑑賞。映画として、とてもよかった。  主役の小栗旬と星野源の2人はもちろん、脇で出てくる人たちがいちいち絶妙。回想シーンの女の人たちがちょっと現代的でキレイすぎる(若い日の母とか、望ちゃんとか)のは少し気になるも、おじさん、おばさんたちはみな素晴らしかった。中盤までは阿久津と俊也のそれぞれの調査が並行して描かれる上に情報量も多いので、ちょっとついて行けない感じだったのですが、二人が合流した後は物語が一本化して、感情移入できました。とくに合流後の2人が少しずつ交流を深める様子など、一つ一つのシーンが丁寧に作られていて好感が持てました。原作では大半を別々に行動する阿久津と俊也の物語をバディものにしたのは大正解。野木さんの得意分野に引き込んで物語が活気づいただけでなく、「真犯人」と母親の告白を重ねることで終盤がエモーショナルになりました。ラストがちょっとだけ違っていて、原作と比べて二人がもう一歩近づいているののもとてもよかった。  難点は、原作自体の難点でもあるのですが、冒頭のイギリス人女性の「中国人は知らない」の真意が簡単にピンと来てしまうこと、そして、事件に関わった子どもたちのその後があまりに違い過ぎること。違っていることがドラマになるので、それはそれで仕方がないのですが、事件の主軸となったもう一方の家族が犯人グループからまったくノータッチでいられたのがどうしても都合良すぎに思えてしまう(このあたり、総一郎に感情移入しすぎているのかもしれませんが)。あと、これは映画館で見なかった自分が悪いのですが、テレビ・PCモニターだとどうしても一部の台詞が聞き取りにくい。ヘッドフォン使用か、(可能であれば)字幕表示がおすすめかも。
[インターネット(邦画)] 7点(2024-09-18 08:45:51)
2.  ツイスターズ 《ネタバレ》 
前作との関係性はいまいちよくわからずに戸惑う。展開などは前作をなぞっている部分(竜巻による主人公のトラウマ経験ではじまる/ストーム・チェイサーのキャラクター/ぶっとぶ映画館・・・など)もあって、続編なのかリメイクなのかよくわからない感じがちょっと気持ち悪く、最初の印象はいまひとつ。  とはいえ、竜巻追跡シーンになれば、そういう裏事情もだんだんどうでもよくなる。CGでやり過ぎない、というか「最新技術で再現された1990年代風味の竜巻シーン」は好印象。無駄にわかりにくくごちゃごちゃした絵ではなく、竜巻で人やモノが飛ぶ。ほぼそれだけのアクションで最後までやりきってしまった点が素晴らしい。また、『ザリガニの鳴くところ』のデイジー・エドガー・ジョーンズ、『トップガン・マーヴェリック』のグレン・パウエルと魅力的な若手が、主人公2人を気持ちよく演じきっているのも魅力。とくに、「自然と共に育ったけれど、知性も備えた女性」という主人公ケイトに、デイジー・エドガー・ジョーンズの起用はぴったりハマっていて、ディザスター映画にありがちな「ドラマパートでの失速」がほとんどないのも気持ちいい。  ただ、ラストの展開には疑問も残る。中学生のときの夢を最新科学で実現という科学万能な展開ではなく、恐ろしい敵との共存の可能性へと進んだほうが、自然の恐ろしさを身をもって知っている彼女の「成長」らしかったと思う。それでも、アートな欲を出すことなく「こういうのが見たかった」にきちんと応える一作。猛暑のお盆休み真っ最中、束の間の涼しい映画館に逃げ込んで見る映画としてはベストの選択だったと思います。
[映画館(字幕)] 6点(2024-08-14 22:42:39)
3.  椿三十郎(1962) 《ネタバレ》 
予想よりコミカルな展開でちょっと戸惑ったが、これはこれで面白い。コミカルであるだけに、三十郎が逃げ回る敵方の侍たちをあっという間に切り殺すシーンや超有名なラストシーンでは、殺陣の爽快感よりも「人斬り」の哀しさのようなものがいっそう際立つ。そういう三十郎や室戸半兵衛の生きる世界と、若い侍たちの生きる世界は全く異なっている。そのコントラストが喜劇にもなるし悲劇にもなる。短くあっさりしているが深い。さすがの名作。
[CS・衛星(邦画)] 8点(2011-09-21 16:43:50)
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